全力で頭を抱える日記

おもに乙女ゲームの感想を中心に。ネタバレご注意。

09 2019

Switch買いました

相変わらず口内環境がクソオブクソの望月ですおはこんばんちは。このブログは歯で箸を折ったことを報告した記事からスタートしたブログなので自分以外興味がないと分かって居ながらもなんとなく自分の口内環境の報告を定期的にしていますが、ついに先日願ってもいないのに口腔外科デビューしてしまいました。なんと石原さ○みを遥かに凌ぐハイパーたらこ唇です。果たして完治し、また元気に前歯で箸を折れる日が来るのか乞おうご期待。


・Switch購入
元気にルーンファクトリー4をしている。もはやどちらが現実なのかわからないぐらいプレイしている。
ルンファク4は3DSを2部ラスボス一歩手前ぐらいまでプレイした記憶があるような無いような記憶があるがどこまでプレイしたのか覚えては居ない。ただただレオンが好きでレオンにからかわれるたびに胸をときめかせてひたすらドクニジマスでレオンを肥やしていたことだけは鮮明に覚えている。今回もレオンのケツだけを狙っている。上半身裸だからついでに乳首とかも狙っている。
いやしかし本当に奥深く充実したゲームです……やればやるほど終わりが見えない。作業が中心ではあるけれど自由度が高くレベル上げも楽しい。いちいち作業に没頭してしまう楽しさを内包した素晴らしいゲームです。キャラクターも豊かでシナリオも良い。みんな可愛い。そんなわけでゼルダの夢を見る島が来るまではルンファク4で遊ぶだろうけど、久々にゲームをしている!という感情にさせてもらえて楽しいです。自分の根幹はやはりアクションゲーにあると再認識した。

ちなみにSwitchは据え置き型を購入したけど、重さはそんなに気になっていない。ベッドで上向きにやるには多少重たいだろうけど、私の筋力のまったくない腕ではVitaどころかPSPも苦痛だったのでSwitchもVitaもそんなに変わらない印象だった。TV画面でもプレイしてみたけど、こちらのほうは何故かやめ時がわからなくなって怖くなったので主に携帯機モードでプレイしている。解像度が全く荒くならないのは感動した。技術の進歩はすごいなあ。画面も普通に綺麗だし、なにより充電が楽。置くだけで充電になるというのが凄く良い。あと携帯機モードでゲーム画面のまま据え置きのやつに差し込むとTV画面が勝手にゲーム画面に切り替わるのも感動した。楽だなあ、とことん手間を省いてくれる。
そんな感じでSwitchに関しては今の所不満は特に無い。充電時間が長くなったバージョンのを購入したおかげかほぼ一日中プレイしても充電が切れることはなかった。金額は高いがその分かゆいところにも手が届く充実の内容であると感じた。

どうでもいい個人的なあれだけど、任天堂のゲーム機で乙女ゲーやるのがとても不思議な感覚になる。ときメモGSをDSでやったときもそうだったが。というかイマイチ恋愛ゲーを任天堂でプレイする感覚が私にはあまりないのだと気づいた。私にとってのゲームのスタートはもちろん任天堂なんだけれど、幼少期にプレイした記憶が根強いのだろうなこれは。


・幽遊白書を見ている
シャレマニで緒方ボイスを聞くと私の中のいにしえの蔵馬が目を覚ましたのでチキチキ幽遊白書鑑賞会を開催している。実は学生時代に全話見切っていてこれが二週目に入る。アニオリも上手く織り交ぜられてて、特に終盤の冨樫先生が力尽きかけた魔界編辺りの内容はアニメでしっかり補完されていて、とても好きな作品。あとやっぱり蔵馬は格好良い。超かっこいい。何から何までかっこいい。性癖ドツボっす。緒方さん、色々主役級を演じられているけれど、やはり私の中の緒方恵美は蔵馬あってこそだなとこれまた再認識。
ハンターハンターも大好きだが、幽白は少年漫画としてのバランスが良い。適度に勧善懲悪で、後半今の冨樫節が効いてくるというか。暗黒舞踏会辺りからの流れは多分あのときの冨樫先生じゃなきゃ描けなかったんだろうなあというのが感じられて良い。
しかし冨樫義博の描く悪役もツボにハマりまくって胸がときめく。いいキャラ産みまくり。仙水みたいな正義と悪が反転したキャラも良いが、左京とか垂金権造とかみたいな生粋の悪役がなんというか記憶に残る。


・次プレイする乙女ゲーム
実はルンファク4をプレイする前に死神と少女をプレイしたのだが案の定というか予定通り挫折した。他にプレイしたいゲームがあってそちらに気が向いたのも在るが、いざプレイするとプレイ意欲が消滅するくせして、なんとしてもこのゲームだけは意地でもフルコンプしてやるんだという気持ちはおそらくフルコンプするまで消えない。かというと面白いと感じるかというのは別の話で、『どうして面白くないと感じたか』をこの作品に関しては突き詰めたい気持ちがある。ただ最後までプレイしたら評価がひっくり返るかもしれないし、機会があったらまたチャレンジしたい。
直近で購入予定は幻奏喫茶アンシャンテ。少女漫画のような少女小説のようなどストレートな題材が好み。自分は事前情報をほぼ仕入れないので何を掴まされようと全力でとったどーする人間だけど、できれば面白いといいな。できれば。オトメイトさん頼んますよ。
年末にはおそらくMUSICUS!とバスタフェロウズの二大すめらぎ琥珀が来るというすめらぎ琥珀ファン(私)にとっては幸せな状況に。昨年はゲーム意欲がぱったり途絶えたけど今年はゲーム充できそうで今からめっちゃ満足してます。まだ買ってもプレイしてもいないのに。


そんな感じでルンファク4が暗転したとき写るデラックスたらこ唇のおばけに負けずにしばらくは畑を耕してます。
タイトル長い。本当はソウタ、メイだけ別記事にしようかと考えたんだがこの三人はなんだか切っても切り離せないようなものだと感じたので、勢いで3人+真相+総評を続けて書く。いつものようにクソ長い感想がさらに連結して万里の長城になるが、それは私のチャームポイントのようなものなのでご了承ください。
あまりにも物語の根幹に関わりすぎるので総評以外はワンクッション起きます。総評もネタバレしないように頑張って書くが、そういう文章をあまり書いたことがなくとんでもなく自信がないので気にする方はご注意。このゲーム、半分くらいは謎解き要素メインなので、知らずに進んだほうが楽しめる……とは思う。


【総評】
・システム、音楽

システムについてはいつもの可もなく不可もないオトメイト。オトメイトゲーするたびに毎回言ってるなこれ。その意味は、使いやすいわけでもなくこれといって不便なわけでもない。サイケデリカのスタッフが関わっているらしくフローチャートシステムだったが、サイケの時はコレが私の足を引っ張ったが、今回は自分でいちいち選択するような手間もなく選択肢で進むいつものADVだったのでさほど意味はないがこれといって困ることもないシステムだったのは助かった。シナリオの出来はともかく、システムについては毎回余計なことをして足を引っ張るイメージしかないので。
一つだけ言いたいのは、私は鬼のようにスクリーンショットを撮る人間なので、モノローグの時にバックログを辿ろうとしたら「モノローグ」って文字しか表示されないのは身体が硬直したし(これ確かノルンでもそうだったよ!)、バックログ画面の右下に、バックログの文字と被る位置でボタン操作の説明が鎮座されていたのは結構邪魔くさかったのでもし次がある時は勘弁してください。
音楽についてはOP、ED主題歌共に凄く良かった。もちろんその他BGMも。勝利BGMはなかなかに胸が熱くなった。特にBADのムービーのほの暗さと、全力で「コレはBADなんだ!!」と言ってくる演出は必見。最初見た時は笑ったが、なかなか気味が悪くて良いと思う。

・グラフィック
オトメイト御用達・悌太氏の美麗なイラストだったが、いつもと違うのは塗りのテイストを変えてきた事。アニメ塗りっぽい仕上がりでしたが、これが近未来的な作品の雰囲気にあっていて良かった。ポップでスタイリッシュなキャラのキービジュアルに、ナンバーと色を印象づけることがとても効果的に働いていて、主人公含め10人という大人数の一人ひとりを上手く記憶に残させてくれた。カラーがキャラクターイメージにも合致しているし、そういった意味でもよく考えられている。
十三支演義のときもそうだったが、今回も立ち絵やキービジュアルに物語の謎や設定を上手く織り交ぜてくれたのはとても感心した。プレイし終えたあとに「ああそういうことか」と理解できるのは面白い。この方は本当に、こういうさり気なくそれでいてかっこよくデザインするのが巧みだなとしみじみ感じた。

・シナリオ、設定について
大方の謎や細かな設定については大体回収される。謎の散らばらせ方は上手いと思ったが、ややヒントをバラマキすぎというか「これがヒントです!」という演出をし過ぎかな、というふうにも感じた。が、この長くない話の中で、あと乙女向けという点を考えれば敢えて難易度を低めに設定したのかな、とも思わなくもない。ただ、やはり謎解き要素を入れるなら、こちらが全く気づかないような謎や伏線を敷いてネタバラシの時に目ン玉が飛び出るほどの衝撃を味わって見たかったな、という気持ちはやはり拭えない。『このキャラにこの設定がある』と大体察せられるし、キャラのEDで別のキャラの設定が判明しかかったりすることもあるので、ミステリにおいてはそれが致命傷になる部分もあると感じた。
ルートに寄っては恋愛過程に比重があるし、なぜ好きになったのかどこを好きになったのかを考えると辛いものがあるルートもあったけれど、やはり9人という攻略対象の多さとシナリオの分量的にはしょうがなかったのかな、という思いもある。これはライターの力量うんぬんの問題でもあるとは思うけれど、それ以上に大元のオトメイト自体がもう少し総量を広げてほしかったな、という思いもある。このシナリオを十二分に描かれて、その上それを体感した上でどういうことを感じられたのかな、というのを書き記したかった。まあ予算とかの問題もあるんだろうし、仕方がないと思う部分も無きにしもあらず。
逆を言えば、この1ルートそれほど長くない話の上で、謎を回収する流れは楽しかったし、どのキャラクターにも感情移入出来たのは素晴らしかった。ミステリであるおかげでもあるとは思うが、シナリオには引き込まれたし、飽きたり中だるみすることもなかった。各々の感情を考えたり共感したりする時間は充実していて、最初から最後まで綺麗に楽しむことが出来たし、私がオトメイトに唯一求める『萌え』という感情も堪能することが出来てとても満足だった。

あと一番胸に来たのは、BADじゃないがBADよりも胸に刺さって痛みが残り続けるお話見れたこと。心に残り、考えさせられ、それでもほのかに灯るようなものがあったのは何にも代えがたい時間だった。


オススメ攻略順は【 トモセ→キョウヤ→ミズキ→ケイト→リョウイチ→マモル→ソウタ→メイ→タクミ→真相 】
公式推奨順もこれっぽいらしいが、これの意味は徐々に謎をバラしていく感じと、あと心象的な意味も含めてだと思う。流れはこの通りにやっていくと、キャラクターの行動の意味がよく分かってよかった。


以下よりネタバレ含みまくったキャラ+サブキャラ感想です。真相については伏線もあったので大方の予想通りだったんだが、メイにはやられた……お前の思いという名の槍が胸に突き刺さって抜けないぞこのやろう……よくも……よくもやってくれたな。
一応公式の推奨攻略順とやらに沿って攻略しているんだがなかなかのジェットコースターで目が回っているそんな今。


●獲端ケイト
ケイト可愛いよケイト。攻略中私はずっと彼のことを可愛いとしか言っていなかった。脳内ずっと可愛いでしか埋まってなかった。ほんと可愛いぞケイト、天性の可愛さ!キュート!プリティー!ずっとそのままでいてくれ!

物語の謎としての絡みは、序盤で伏線がはられていた左腕の謎と前回参加者ってことぐらいなだけで、根幹に大きく関わってくることはなかった。というかそれ以上にケイトは私の好み過ぎて、割とそういうことどうでも良くなっていたし、ここまで本音で周りを威嚇し自分に傷を付けられまいとしている人間がスポンサーやプロデューサーさんとはとても考えられなかった。そういう意味ではコレ以上ないほど清廉潔白でしたねケイトさん。
割と序盤で主人公だけに前回参加者で左腕が奪われたことを告げるのだけど、もうその時点でケイトは主人公のことをある程度信頼していたのだろうし、気持ちが寄っていたんだろう。周りにろくな女がいなかったケイトを思えば、心優しく気遣い出来て純粋な主人公を見てイライラしつつも惹かれてしまう気持ちもよく分かる。そんな純粋な主人公を見て、『馬鹿だ』と思う気持ちと『傷ついてほしくない』という相反するような気持ちが同居していたのだろうか。どちらにせよ前回参加者なだけあって情報的な意味ではとても有利な立場だったろうし、早々に主人公に何の裏もないことを見抜いていた。他人を傷つけたくないからとペナルティーを受ける主人公を見て、思うところも多く在ったのだろうし。

ツンケンしながら周りに毒を吐き近寄らせまいと敵意をむき出しにしながらも、主人公も負けじとケンカップルな如く言い合う様子は本当にもう眩しくてニコニコしながら見ていた。対等な関係性で居て、強い言葉で威嚇するケイトに応戦する主人公も可愛くて良かったなあ。強いケイトの言葉に凹むこともあるのだけど、ほのかに垣間見えるケイトの優しさにも気づいてくれるし、喧嘩する二人をよそに心温まりながらその様子を眺めていた。
それでいて、きちんとケイトが料理が得意な理由と女性嫌いな理由も明かされていく。特に料理が得意になった理由については、誰かが食べてくれることを常に意識しているからとても胸に来た。同じく料理が好きな人間としては、自分を含んだ誰かのために創ることの重みもよく分かるし、そこに思いをのせていたケイトの感情がとても響いた。

ラストは嫌がらせのごとくケイトが左腕を失うことになったドラマの再演を勝手に仕掛けてくるディレクターもナイスアシストで良かった。いや~~~ほんとこの世界恋のキューピッドの仕事ぶりには感動すら覚えるっす。キスシーンのあるドラマで、主人公が飛び入り参加して無事二人だけご帰還のハッピーエンドでした。なぜ二人だけなのかとか、なぜケイトだけ色んな意味での甘々判定だったのかとか疑問点はありますがそれは最後に回収していただけることを期待して。
とにかくもうこのルートはケイトが可愛かったし、ホント素晴らしくケイトが可愛かったし、いや~例えようもないほどツンケンするケイトがハイパー可愛かったのでとにかくもう大満足です。自己を守るために他人を言葉で攻撃してまで距離を取ろうとするケイトが大変に可愛らしかったですし、自分の気持ちに偽らないで正直に進む彼のようなキャラクターは大変に好ましい。女嫌いも克服できたし、家族ともそれなりに和解できたし、そしてなにより可愛い彼女も出来たし私の頭は今猛烈にハッピーハッピーです。こんな素晴らしい出会いの機会をくれてありがとうプロデューサーさん、ありがとうアルカディア。


●双巳リョウイチ
いやーーやってくれましたねえ!リョウイチさん!!仲間を裏切って期待を裏切らない!!素晴らしい!!
自分は推理小説はほぼ推理しないまま読むタイプなので、誰も信じてないし誰も疑ってない状態で進んでましたが、正直リョウイチだけは絶対なんかあるだろと思ってたし、その発言の気味の悪さに恐怖を覚えて次第に恐怖すら超えてだんだん楽しくなってきました。ラスト辺り付近ではもうワハハ笑いながらプレイしていた。
自分は序盤も序盤で彼の発言がすごく気味が悪かったので、特段彼が抱えている設定の謎については興味がなく、興味があるのは『なぜこんな言動をするのか』だけだった。だからリョウイチがスポンサーだとバラされても「やっぱりな」としか思わなかったし、どうしてスポンサーになったのか、彼が負ってきた人生と心の変遷しか興味がなかった。
ちなみに私が序盤で引っかかった発言は以下のものである。

リョウイチ「さっき手を握った時の反応やドラマの雰囲気を見て思ったんだが……」
腰に腕を回したままの状態で双巳さんは観察するように私を見ている。
リョウイチ「少しは慣れておいた方がいいんじゃないか?瀬名は……彼氏とかいるの?」
ヒヨリ「いま……せん……」
(中略)
リョウイチ「あんたが緊張してるようだからちょっとからかって緊張をほぐせればと思ったんだが……逆効果だったな」

善良な大人の男性を装っておきながら、こういうことを言うのが気味が悪いし気持ち悪い。要約するとキス以上のことがドラマでさせられるかもしれないから慣れておいたほうが良いというリョウイチにとってはアドバイス的な意味でのアレだったんだろうが、私にとっては逆効果どころか好感度下がるどころかマイナスにまで達した。こういう事言われて私が思ったのは、慣れろってお前で慣れろってことか?ってことで、それはあわよくば年下の女の子と練習がてら恋愛の真似事をすることを俺は受け入れるぞっていう最低の決意表明であって、それをこんな異常な状況でも冷静で物事を俯瞰できる(フリをしている)年上の大人の男性が言ってくるのが、ただただ気味が悪かった。リョウイチのすべてを知った今ならば、この言い方ってドラマなら何をされても仕方がないって思いが透けて見える。それは『ドラマの中でならば俺とそういうことになっても仕方がないし、俺はそれで主人公を傷つけてもどうとも思わない』ってことなんだろう。この発言を受けた時はもちろんそこまで考察しては居なかったけど、だとしても、つい先日まで見ず知らずだった男性に勝手に腰に腕を回されて、言われることが『やばいことされるかもだから慣れておけ』ってどういうことだ。慣れるわけ無いだろが?
これがもし、リョウイチが清廉潔白だったのなら、『もしそういうことになったらごめん、でも覚悟しておいて』みたいな言い方になるんだろう。というか清廉潔白じゃなくても心から相手を騙すのならそういう言い方をすべきだったのだけど、リョウイチはちょいちょい信仰心や俺は悪くない悪いのはお前ら精神が漏れ出ているのが気味が悪いところだし、今思えばリョウイチはしっかりとした助平心で主人公のことを見ていたんだろう。

リョウイチ「ゆっくりとした心臓の音を聞いていると、気分が落ち着くだろ?
胎児の時に記憶が蘇る、らしい。確かに母親のお腹の中は一番安心できる場所だろうしな。
単純に鼓動の音が同調しているのかもしれない。でもこれで……俺に下心がないことも分かっただろ」

え!?どこが!?
下心がないどころかドスケベ野郎じゃん!一回りも下の付き合っても居ないJK抱きしめといて何言ってんの!?正気か!?(じゃなかった)
安心させる方法はもっと他にあるはずだし、主人公より長生きしてたらそれぐらい知ってるはず。これを善良な人間を装ってやるから気味が悪いのだ。ほらトモセやケイトみたいに大声で正直に自分の気持ちを叫んでみろ、『俺は女子高生が好きです』って。……そういう風に言われたほうが自分に正直な人間だと、好感を持って見られる。
ただこのキャラクターについては凄く良く出来ていたと思うし、ちょいちょい漏れ出てる信仰心については素晴らしく良い塩梅だったと思うので、そういうの気味の悪さは嫌いじゃない。ただ好きと言えるまでは振り切れ方が足りないが。物語の謎を小出しにする意味合いや、プレイヤーがリョウイチに対する疑念を持たせる上ではその漏れ出方はとても上手いなと思った。おかげで一度もリョウイチを信じることなく終わったのはなんだかちょっと寂しい気もするが。

あーあと裏でキョウヤのこと脅したりキョウヤだけやたらと厳しく当っていたのはとっても陰湿で良かったです。良かったと評するのも如何なもんかとは思うが、リョウイチの性格が素晴らしく表現されていたと思った。本当に何も思っていないのなら気にならなかったのだと思うが、リョウイチにとってキョウヤはなりたくてもなれなかった存在であったように思える。自分が持っていないものを持っている人を見ると妬ましい。隣の芝生は青い。……どんだけリョウイチは敗北感味わって生きてきたんだろう。まあスポンサーという立場である以上、敵側であるキョウヤに対しての攻撃は表立っては出来なかったのだが、この陰湿な攻め方が非常にリョウイチらしくてよかった。

リョウイチ「俺には分からない、何が正義かなんて。俺から見れば、お前も絶対の正義には思えない。
正義はいったいどこだ?どんな形をしている?ただ思い込んでいるだけじゃないのか?
ほら、見えなくなってきただろ?形なんてない。信じるほどのものじゃない」

両親がスポンサーで、自身も妹を無くし、それでも敵が何であろうと立ち向かおうとするキョウヤを、ドラマの役を装って責めた陰湿なリョウイチの言葉が五臓六腑に染み渡る。それほどキョウヤが眩しくて眩しくて、自分がそれに屈したのだと認めたくなくて、なんとかキョウヤを引きずり降ろそうとしているようにしか見えなかった。キョウヤもキョウヤで弱さを抱えた人間だから、罠にハマってDEADENDになってしまうのだが、自身がスポンサーだとバレてもキョウヤだけは許せなかった。きっと本人は認められなかっただろうが、キョウヤに対しての敗北感はリョウイチにとって相当耐え難いものだったのかな。キョウヤルートで傲慢な卑屈が語られていたが、リョウイチはそれを認められなかった姿なように思えた。傲慢に卑屈を振りかざしている。
しかし、リョウイチに好意を抱いた主人公が、それでも人殺しの手助けは出来ないと線引きをして、リョウイチと対話するシーンはとってもゾクゾク来て良かったです。リョウイチの真髄ここに顕る。

リョウイチ「お前がここに残ることで、これからここに呼ばれるはずだったたくさんの人間を救うんだ。
いい話じゃないか。言うなればヒーローだ。
それに、痛みなんてすぐにわからなくなる。俺が一緒にいるから。怖いことなんはなにもないよ」

本性現される前から怖かったのにこれ以上怖いことってあるんですかね。狂ってしまえよ楽になるぞ、ということなんだろうが、狂ってしまって楽になるのは逃げなんじゃないか。ヒーローという単語を出す辺り、本当にキョウヤに対して劣等感抱いてたんだなあ。その劣等感をバネに不屈の精神を構築してほしかったが、そうでなくなった姿のリョウイチを拝む事が出来たのはとても興味深かった。リョウイチは心のどこかで、キョウヤのように現状に立ち向かう姿が正しいと感じているにも関わらず、そうなれなくて他人を異世界配信に引きずり込む自分の立場と比べて、勝手に悔しくなって、それでも自分を否定しきれなくて、自己肯定するために『自分はヒーローだ』という言葉を発したように思えた。キョウヤを殺してもなお、拭えないキョウヤへの敗北感が滲み出ている。キョウヤは別にお前のことそんなに意識してないってのにさあ……そういう意味ではリョウイチの『負けた姿』を見ることが出来たのはとても興味深かった。
圧力に勝った姿に人は喜びを覚えるけど、負けた姿にも美と共感を覚える。これを良い悪いで判断することは難しいが、ここで重要なのは他人の命運が掛かってるってことだが、そこをお構いなしに自分を守ろうとしたリョウイチの感情のすべてを否定しきる感情も正直私の中にはない。ないが、……なんかやっぱりいけ好かないんだよな、個人的な好みの問題で。他人に自分の感情を預けるのはきっと楽ではあるんだろうが、そうまでしてしまったら面白いとは思えない。俺がプロデューサーになってやる、って言ったら私も彼にハイレベルの興味を抱けたんだろうが。

それでも、彼がこの狂った世界を受け入れ、称賛する理由が明かされたのは良かった。

リョウイチ「『独りになりたくないから、独りの奴を作る』んだ。
そうすれば、自分が独りじゃないってよく分かるだろ?自分が幸せだってよく分かるだろう」
明瀬さんだけに対する言葉だとは思えない。かつて通り過ぎた何かに対する、恨みの言葉に聞こえる。
(でも……原因が何だったとしても、今こうして双巳さんは独りになってる)
(双巳さんは独りになってる)

怒涛の追い打ちをかける主人公に手足痺れる。大事なことだから二回も言われてる。なんかもうかわいそうだから手加減して上げてよ。独りでも幸福な人は居るだろうが、リョウイチにとっては不幸なことなんだろうな、それは。まあその尺度に関してはお前ん中ではな、で済む話だが、リョウイチがこの世界を受け入れてしまった理由を語るシーンはやはり、共感できるものがあった。始まりは小学生の頃、きっと理由も覚えていないほど些細なことでクラスの中で孤立させられる。二度目は勝手に心の支えにしていた弟が思春期で離れていったこと。そして、スポンサーに出会い、誰よりも公平に接してくれて道を示し、リョウイチを裏切ることがなかったことで自身もスポンサーになったと。
小学生あたりの頃に除け者にされる経験は言うなれば殆どが経験する道なので、大いに共感できた。主役になれない自分を嘆く気持ちがあるのも理解できる。自分という存在がある限り、自己顕示欲というのは切り離せないものだし、そこを『狭量な自分』と称するリョウイチにも大いに共感できたし理解も出来る。ただリョウイチからは、他人から裏切られたことを嘆くばかりで、自分が信じてもらう努力をしたのかというところが殆ど見えないところがただただいけ好かないのだ。あがいて、もがいて、それでも無理だと闇に落ちる話も好きだし、逆にそこから救われる話も大好きだが、『この世界は公平じゃない』と嘆くばかりで何かを変えようと動いたのかが見えて来ない限りリョウイチはきっと独りのままなんだろう。世界は公平じゃないと嘆いたまま。当たり前じゃないのか。極端な話、リョウイチさんはスポーツ見て順位表みんな同率一位とかでも面白いんですかね。
主人公に『選んでもらった』という優劣を実感してそこに嬉しいという感情が伴っているくせに、それでも公平な世界は素晴らしいと言い続けるリョウイチ。それを崩されるのが嫌だから、主人公を一旦は拒否したんだろうが、まあものの見事にキスぶちかまされたのでやっぱり女子高生が好きだったんじゃないか……という他ない。公平なのが良いと言いながら心のどこかで他人を見下し、自分と違う意識だったと知った途端に異世界人を見下し、好いてくれる女の子にだけ心を開く……これをいけ好かないと評する他にない。
他人に傷つけられたからと言って、何の関係もない人間を傷つけてもいい理由になんてならないと思うが。まあそれでもいいとリョウイチは思ったんだろうし、そこに対して思うことはあるが、たった二度の経験で世界は公平じゃないと憎むだなんてさぞかし生きにくいのだろうなと思った。もしかしたら語られないだけで印象的な2つだけを上げたのかもしれないが、リョウイチからはそれを感じられなかった。リョウイチは他人から優しくされたことも思いやられたことも一度もなく今まで生きてきたとはとても考えにくいし、他人に傷つけられたら他人を思いやろうという気持ちを学ぶのだろうと思うが、そうはならないどこまでも独善的なところが双巳リョウイチの魅力なんだろうな。ただやることなすこと中途半端すぎる……振り切れるならもっと振り切ってくれ。

ラストは主人公の説得や諸々の展開が在って、主人公を信じる事に決めた。ここで射落が「信仰の対象を主人公に変えるのか?」と厳しいお言葉を掛けてくれるのがとても良かった。的を射ている。もっと責めても良いっすよ。
ここでリョウイチがそんな簡単に宗旨替え出来ない、主人公は二番目というのだが、ほんとこの人最後まで何を言っているのかわからなかった。世界観変えられるぐらいにまでそこそこ長い間心酔していたくせして、ぽっと出の主人公の言葉と行動にフニャフニャにされておいて何を言ってるんだ?運命の女の子見つけたから宗教やめますじゃかっこ悪いとでも思ってるんだろうか?左手薬指専用の指輪作ってるやつの言うことなのかそれは?こんな事になっておいてプロデューサーが一番なわけ無いだろ主人公が一番に決まっているだろうが一体何を言ってるんだ。

まあここまで語ったけどリョウイチの感情は大体理解できたが、一番理解できなかったのはそれでもリョウイチを好きになった主人公の感情の流れだった。年上のお兄さんに優しくされることは魅力的だろうが、描写やエピソードが足りなすぎて、敢えて辛辣な言い方をするが、キョウヤを殺したあともリョウイチを信じようとしていたのは正直結構引いたしあまり理解も納得もできなかった。それでもなんとか耐えられたのは、キョウヤの一件を「許せない」と線引いてくれたからだった。あそこがなければ結構納得の行かないまま進んでしまった気がする。
リョウイチに確認したいのは、もし自分が独りにする相手を選べる立場だったら痛みも感じずに何の迷いも苦悩もなく生きられていたのか?ということ。独りにされる痛みを知ったから嘆き悲しんでいるけど、じゃあ選べる立場だったら本当に誰も選択しなかったのだろうか。何の関係もない赤の他人を巻き込み、自分と違うと知った途端異世界人を見下すリョウイチが、自分を守るために独りにする人を選ばないとは、私は到底思えない。

主人公が異世界側に堕ちるEDも見てみたい気もするが、なんというかリョウイチは信仰してるって言う割には信仰心足りなさすぎて、堕とされるならもっとマジヤバでガチヤバなやつにやってもらいたいので、リョウイチさんは追い苦悩して今の数百倍ぐらいはのたうち回って痛覚どころか闇の感情しかなくなるぐらい堕ち直してきてもらえますでしょうか。よろしくおねがいします。


●茅ヶ裂マモル
初っ端からネタバレをかますが、異世界人と人間のハーフとのことで、もうどうやって子供作ったのかその過程が気になって頭の中ぐるぐる回ってたので恋愛模様に関してはちょっとスルーしてしまった。それでもリョウイチルートよりは優しく穏やかで誰にも見せずに苦悩している彼に惹かれるのは理解できたが。
彼のルートも色々伏線が貼られているのは感心した。味覚に関すること、聴覚に関すること、やたらと固執する違和感のある右腕……などなど。この謎を散りばめつつ回収していく様は他のルート同様、わざとらしくなくうまい回収の仕方で、かつ主人公とのやり取りもあってとても楽しく見ることが出来た。
異世界人はどちらかと言えば、過激であればあるほど感情が揺さぶられて楽しめるのだろうが、彼の本質はそれとは真逆で、穏やかで思いやりがあるのでなんとも切なくて良い。逆に彼との対比で、リョウイチのほうが過激で他人などどうでもいいと思いがちなのが面白い。どっちが異世界人なのかわからないですね。どっちも人間なのか、どっちも異世界人なのか、それともどちらでもないのか。
右腕を大切にする理由は切なさを極めていて良かった。自分が生まれてきた理由を考え、愛情があって生まれてきた証なのだと、異世界人化している右腕を『自分である』と捉えて大切にしている。それでも過去の映像を見て、狂人になってしまったように見える母の姿を見て落胆し、自分を愛してくれる存在などいないと諦めたところに現れたのが主人公だった。主人公も異世界人の本当の姿を見て具合が悪くなってしまったり、それを見て『自分は受け入れられない』のだともらいゲロが如く具合の悪くなるマモルを見るのは心苦しかった。もちろんこの話は主人公がマモルを受け入れてこそ輝くし、そういうラストで終えられるのだけど、厳しいことを言うと、もし右腕とそれ以外の状態が反転していても主人公は好きになったのか?と問いたい。異世界人化しているのが右腕以外で、それでもなおマモルの内側が同じでも主人公は同様に愛することが出来たのだろうか。到底受け入れられない異物を受け入れ、自分と全く違う生物であることを理解し受け入れ、それでもマモルのことが好きなのだと、そう言ってくれる展開のほうが見てみたかった。まあ乙女ゲーである以上そういう展開がウケないと言われてしまえばそれまでだが、このテーマでそれを扱う以上、そこまで描いてほしかったなという気持ちを捨てる事が出来なかった。
だから、最後に自分の個性である右腕を切り離してしまった彼を見て、私はなんとも言えない気持ちになった。それはマモル自身の個性で、ずっと大切にしてきたものであって、例え主人公とは違うものであろうと、なかろうと、そのまま大切にするべきだったんじゃないのかな。それこそがマモルの苦悩であったとは思うが、その体で生まれてきて与えられて、今のマモルを形成してくれた大切なマモルの一部であるように思えたので。

そうそう、リョウイチは自らスポンサーになった人間だが、マモルはスポンサーにならざるを得なかった半異世界人で、この対比は面白かった。中身もほぼ真逆なのが色々と考えさせられるものがあってとても良い。ラストシーンも対比していて、マモルは過去の自分と決別して、新しく生まれ変わることに決めてこの世界に終止符を打とうとする。どこまでも対比していてその点がすごく面白かった。

マモル「あなたと生きる世界は、幸せに満ち溢れていますね。どんな傷も、苦しみも、怖くない。
小さなことに思えます。生きることは幸福です。……あなたがいれば」

若干危険な考え方なようにも思えるが、愛する存在を得て世界が変わるのは乙女ゲーにとても相応しい。でも誰しも心の拠り所を持って生きているものだし、誰にも愛されず誰も愛することも出来ずただ漠然と生きるしかなかったマモルが唯一手にしたかったものを手に入れられたのは良かったなと思ったし、心温まった。

いや、しかし、本当に……どうやって子供作ったんだろ……エロゲ脳なのでそればかり気になってしまう。
(追記:裏バレブック読んだら解決しました。とりあえず私のエロゲ脳が心配するようなことは無くてほっとしたような、種のそういうことを超えなくて残念なような……)


お次は残りの3名です。実は初見の段階だとメイが最萌だったのが自分でも意外だったが、なんかとんでもない闇抱えてそうじゃないですか?いや抱えて無くてもいいんだが、なんかこういう中間管理職タイプを好きになってしまう傾向にある。気がする。ソウタは辛辣な言葉を投げるが、言っていることは至極まっとうで、話が進まなくなりそうな時に素晴らしいタイミングで投下してくるので大好きです。自分に正直に生きてそうなやつが好きなんだ私は。タクミについては私のショタコンセンサーがあんまり引っかからないのが残念。でも12歳の小学生なら間違いなくショタなのでタクミくんは胸を張っていい。これで中学生だったら私は膝に土を付けて倒れ込みながらおいおいと嘆き悲しむが。
女1人!男8人!性別不明1人!のドキドキわくわく共同生活!
男女比すごすぎて裏切り者がどうとか以前にプロデューサーの助平心が透けて見えるようでプレイ前からテンション上げ上げでした。この男女比露骨すぎてむしろ推せますよプロデューサーさん!

舞台は近未来、今よりも情報統制がされて機械も発達していた。ある日突然アルカディアとかいう異世界にぶち込まれた主人公は、強制的に異世界配信という異世界人たちに見せるドラマを演じさせられることになる。……強制されることがドラマぐらいでよかったな、ほんとドラマでよかった。この男女比でむしろさせられることがドラマだけってある意味捻くれてるっていうかいい趣味してるな。

そんな感じで飯も用意してくれるし風呂は一瞬で済ませられるし掃除も洗濯もしなくてもいいし周りはイケメンパラダイスだし、もうずっとみんなでここで適度に暮らそうや……って思いながら重い腰を上げてプレイをしていた人間の攻略感想です。


●萬城トモセ
乙女ゲーにおいての幼馴染枠って大体不憫枠なのでスタートダッシュから主人公好き好き!その他みんなじゃがいも!な態度を取る彼をこれ以上ないほど不憫なものを見る目で見てしまったのは申し訳ないとは思っているが、例にもれず本当に不憫だった。
トモセは露骨に主人公に好意を寄せていることを隠さないし、近づく男どもも普通に牽制する。このどう考えてもアレな男女比にも一番最初に物申してたし、主人公が大切で好きなんだなあというのは嫌というほどこちら側に伝わってくる。むしろ暴走しがちでちょっと抑えろと言いたくなるほどトモセの苛烈な感情は画面越しに波動となって体感できた。

そんな画面越しの私にすら伝わるトモセの好意を、頑なに見ないふり気づかないふりをする主人公。理由は、肯定否定してもどちらにせよこの関係が崩れてしまうのが嫌だから、らしい。ナンヤソレ。
幾千幾万もの幼馴染たちを攻略し、その他のルートで彼らが散るところを見てきたが、自身のルートでさえこの理由で返答も貰えずにずっと濁らせられているトモセを思うだけで、下戸の私がトモセの代わりに自棄酒でも呷ってやりたいとすら思った。そして便器にでも顔を突っ込んで胃の中のものと合わせてその感情やもろもろを水に流してやりたい。もちろん主人公にそんな態度を取られてしまうトモセは次第にこの異様な状況を「むしろこの世界でドラマしとけばチューとか恋愛関係疑似体験出来るしラッキー」とか解釈しちゃうのである。涙と胃液が止まらん。妄想の世界だけでオッケーって気持ちにまで下がってきてるなんて可哀想だ。
いやこれでもトモセはここへ来るまでも相当に待ったんだろう。作中でも言及されていたが、主人公を焦らせてもだめだと気遣う発言も見受けられた。そのトモセがこの非日常の世界を手にすることでストッパーが壊れてしまう様は不憫ではあったが、とても楽しく見ることが出来た。平然を装っているのに、中身が壊れ始めている。異様な世界に順応して壊れていく様子はトモセには申し訳ないが面白かった。普通ではない狂い方だし、それは主人公への感情が引き金だなんてとても美味しいじゃないか。
主人公の今の関係が心地よすぎて壊すのが怖いという気持ちもわからなくもないが、トモセの感情を有耶無耶にして逃避して気づかないふりをすることは、それ以上にその関係が壊れるリスクを背負ってでも踏み出そうとしたトモセの感情すら踏みにじる行為でもある。もし、ここで幼馴染以上に見られないという返答をしたのなら、トモセも諦めるなり諦めずに頑張るなり気持ちを次に進めただろうし、私も「それならしゃーないな」で納得出来たんだろうが、誤魔化すというのは対等な感情を求めたトモセにあまりにも失礼に思える。
そのうえ主人公は、いまはそういう問題じゃないだろ、という態度を取る。ある意味とてもご尤もであるが、悪い言い方をすればトモセの一世一代の感情から逃げたゆえの結末であるので、ここで主人公が怒るのはお門違いというかなんというか……この二人の騒動に巻き込まれる周りの人が可哀想だ。よく皆キレないでこの二人のいざこざ見守ってたな。皆大人だな。他8人だか7人だかの生命がかかってんねんで。

主人公の荒療治でトモセも周囲を気遣う目を取り戻し、主人公もなんだかんだトモセへの気持ちを自覚して、ディレクターに交渉して元の世界に戻る。色々端折ったが、ラストのトモセの戦いはそれまでの伏線も回収していたし、トモセの演技への情熱も感じられるようで良かった。あんなに頑なだった主人公の感情がいざこざであっさり感情を自覚したのは結構不思議だったし、もう少し丁寧に気持ちの変遷を描いて欲しかったという感情はあるが。それだけトモセへの返答を濁らせる主人公になかなかにストレスも溜まったのだけど、トモセの思考回路がそれ以上におもしろ愉快だったのでオッケーです。多分プロデューサーさん辺りと仲良くできそうな気がしなくもないな。


●明瀬キョウヤ
私はこういう明るくて統率力あって希望に満ち溢れた人間が実は裏で闇営業してましたみたいなのがなかなか嫌いじゃないので、豹変してくれ~!狂ってくれ~~!って願いながらプレイするという悪趣味と言うにふさわしい目で見守っていたのだけど、残念ながら清廉潔白だった。すまん!明瀬!申し訳ない!この世界には特殊な性癖を持った人間ってのが存在するんだ!

恋愛描写についてはやはり濃いとは言えないのだけど、この環境下では多少の吊り橋効果的なものはあるものだし(リョウイチも触れていたが)、昔からこういう主人公たちに圧力を掛けてくる黒幕は恋のキューピッドを担ってくれているので、可愛い年下の彼女も無事にゲットだぜ出来たし結果オーライなのではないだろうか。協調性あるしリーダーシップあるし頼りがいもあるし、希望も忘れないしその名の通り明るいし、主人公が惹かれて好きになるのもよく分かる。
それ以上に伏線回収が綺麗でそういう意味でとても楽しかった。主人公を妹みたいに扱う→実際に妹が居てそれが行動理由になって情報局に入る、会話が上手く噛み合わない部分がある→記憶が消されている、明瀬の両親がスポンサーだった絡みの話などなど……もちろん物語の核心に迫る部分は隠されているし、そこにやはり多少なりともフラストレーションは貯まるのだが、まあそれは後々回収されることを楽しみにしたいと思う。

そうそう、キョウヤの「傲慢な卑屈」に対する会話はなかなかに面白かったし考えさせられた。

キョウヤ「あれもこれも出来ないと不安がって、努力せずにいることが怖い。そういうのが、卑屈……かな。
そしてそれを人にも求めるところが、傲慢なんだと思う」
申し訳無さそうな目が、私を見た。
キョウヤ「瀬名。俺はあの時、『友人の死を受け止めて乗り越えるべきだ』と思ったんだよ。
そういう『努力』をすべきだと思ったし、もし俺なら出来ると思ったんだ。……俺なら、な」
大きなため息が出る。悔いるように頭に手を当て、言葉を重ねた。
キョウヤ「俺は他人も同じように出来ると、そうすべきだと思い込みすぎだ。それが俺の傲慢、かな」

……割と普通のことじゃないのか?度合いにもよると思うが。一歩踏み出すのが怖いのは割と誰にでもよくあることだと思うが。
絶対できる!俺なら出来るから!はポジティブな言い方をすれば相手への期待だし、「この人ならそれが出来る」と思うことは、相手への信頼でもある気がした。もしキョウヤがどんな人にでも同様のことを思うのならそれは『やりすぎ』に変化して『傲慢』になるのかもしれないが、なんとなく、キョウヤはある程度人を見て発言しているんじゃないかなあと思ったし、主人公にこれを明かした時点でやはり主人公を信頼しているからこそなのだと感じた。
まあその解釈はともかく、それを誰かはわからないが他者から言われて凹んでいる明瀬がとても興味深かったというか。こんなにポジティブ街道まっしぐらな言動を繰り返しておきながら、いざ他人から指摘されて、自分は感情を押し付けすぎていたと一歩引く事が出来るのなら、明瀬は間違った道に進まないような気がするな。というか、トモセとか獲端とか見て元気だしてほしい。アレぐらい空気読まなくても割と生きていけるから、たぶん。

ちなみにこの発言も巡り巡ってラストあたりで明瀬に直撃するところも良い。きれいな伏線回収だった。そこで主人公が立ち上がって助けに行くところも良かったし、主人公もきっと辛い時に明瀬にたくさん助けてもらったのだろうし、良い相互関係なんじゃないだろうか。凄い安定感のあるカップルが完成してしまった。
そこでラストでディレクターが一人残してその他が帰るか、その他を残して一人が帰るかの選択を迫るのだが、あっさり自分が残ると言うもんだからアル●ゲドンのテーマ曲が脳内で掛かってしまった。トモセルートの凝部もそうだったが、こんなにかっこいい「俺はここに残る」はとてもシビれた。

あとこのルートで拍手を贈りたかったのは、陽キャにありがちな、敬語やめてタメ口OKだよ~!な発言を主人公がスルーしまくって最後まで敬語を貫き通したところ。よくやった主人公!よくぞ美しい日本語を守ってくれた!
そして皆の前で俺たち付き合ってまーすを繰り出したあとにトモセが明瀬に「しばらく無視するんで」と面と向かって宣言するのが笑ったし正直トモセのそういうとこ凄く好きですね。そうそう簡単に割り切れない思いを抱えているのはルートを通ったのでわかってはいるけれども、嫌がらせすることも嫌味を言うこともなく、主人公の明瀬への気持ちも認めて、引くところは引く。本当に主人公のことが大切だったのだなあと他者でのルートでも見せられると、逆にこちらが辛くなってくる。美味しいものでも食べて元気だして行こうぜトモセ……。


●射落ミズキ
性別不明の御一人だが、最後まで見事性別不明を貫き通し「答えはベッドの中で」を繰り出されたのが妙に笑いのツボを刺激されて大笑いした。私は疲れているのか。……いや、でも最後まで性別不明を貫き通しあとはプレイヤーのご自由に、というのは誰も裏切らなくてそれはそれできれいなオチだなと思った。自分は答えがほしい人間なのでどちらか示して欲しかったが。主人公はもうどちらでも良いという判断をしているし、私自身もどちらが来ても「美味しい」とは思うが、できればやはり男性であってほしいので私の脳内では男性で終わった。

明瀬ルートが自己を犠牲にして全員を救う話だったが、射落ルートはそれとある意味対称的であると言える。明瀬が全員を救えるキャラクターなのだとしたら、射落は何らかの犠牲が必要なキャラクターだった。要するに主人公属性がない御方なのだが、こういう人が主人公になると上がる問題、みんな大好きトロッコ問題です。
少数と大多数、どちらか選択できるとしたらどちらを助けるかの思考問題。射落は過去異世界配信の協力者となった兄を止めきれずそのせいで大勢の人を異世界配信で亡くしたことを悔いており、次その選択が迫られる時が来たら迷いなく少数を犠牲にする方を選ぶと宣言される。これほど立派に建設されたフラグもあるまい。思考実験なので明確な正解は存在しないし、この問題を提示された分だけ答えは存在するのだと思っている。どちらを選択しても悔いは残るし、誰かの生命は助からない。だとすると、こういうのは選択時に『どちらを選べば自身の心が軽くなるか』なような気もする。射落がした選択もきっと、大勢を選べば射落の心が多少なりとも軽くなるからだろうなと。まあそれだけの意味じゃないってことも理解は出来るが……難しい問題だな。選択時は良いと思っても選んだあとに後悔することも多いだろうし。

プロデューサーさんを追い詰め、今まで犠牲になったその他大勢と、ここに居る10人とを天秤にかけるも、管理局側にも異世界配信に協力者がおり、一転して逆に選択を迫られるシーンは正直めちゃくちゃ興奮したし、美味しいシーンだった。大変にいい趣味をしていらっしゃるプロデューサーさんが提示した選択は、射落が大切に思う主人公と、自身の兄を含めたそれ以外の人間。ここに来るまでにやり取りで少しずつ近づいて、信頼して、嘘をついていたことを悔いて、ドラマの中ではあるけれど主人公を刺殺して、それでも射落を信じてくれた主人公と、自分の兄を含めたその他大勢の生命。どちらをとるか。天秤にかかる重さが重ければ重いほど選択は難しくなるし、そうなればなるほど私はむちゃくちゃ興奮する。ここでどちらを選んでも私は射落を責める気持ちにはなれなかったし、それは関係ない部外者の視点から見ているからに他ならない。ここまで射落の思いや感情を追ってきたからこそ肩入れしてしまうけれど、他に犠牲になった人にもそれまで追ってきた人生というものがある。残酷かもしれないが、それでもこれは射落ミズキの物語だし、理性で動いてきた射落が最後の最後で自分の主人公への気持ちを認めて、感情で動いてたった一人を選択したのは、イヤな言い方をするならば、恋愛ゲーとしては正しい姿なんだろう。ここでもし射落が主人公を選ばなくても、それはそれで一番大切なものを失ってまで使命を貫いた思いの強さを評価したように思える。それでも射落が主人公を選んだことは、それとはまた違ったとても良い部分の感情も含まれているようで、そしてそれは本来人が持ち得る直情的な意志のようで、それまで自分の気持ちや感情すらも欺いて来た射落の姿が見えたようでも在って、なんだか射落が身近に感じられた。
あと主人公自ら犠牲になろうとする点はとっても興奮した。愛する男のために自己を犠牲にするだなんて美しいじゃないですか。好きな展開が怒涛のようにやってきて興奮しっぱなしだった。

残念だったのはラストシーンで、二人で異世界に残ってなんだかんだ選択できなかった人たちを助けているというオチ。人命に関わることなので心証は良くなるが、究極の選択をした重さは全くなくなるのでそういう意味ではとても萎えた。あとなんだかんだ黒幕も協力してくれている(規制が緩和された?)的な発言があったのも頂けなかったなあ……黒幕がどういう思いで彼らを手助けしたのかはまだわからないが、そんな中途半端ことするぐらいなら最初からこんな迷惑なことしないでくれるかという思いだけが残った。
最後に。CV緒方恵美の破壊力はとんでもなかった……ほんと素晴らしく性癖のツボを押してくる声帯だったし、演技もミズキの正体不明な感じを出してくれてとても良かったです。


いやしかし管理局の人に二人も入られてるとか黒の組織ばりのスカスカっぷりです。敢えて引き入れたんだろうがいいんかそれで。
今の所異世界配信側の意志が全く明かされないしわからないので、なんでこんな事すんだろ的な軽さで見ている。明瀬の両親も射落の兄もどうしてこんな狂ってるとしか言いようがない事に感化されるのかが理解出来なくて、ここが最後まで理解できないとちょっと厳しいものがあるが、それは最後まで見た上で判断したいと思う。
自分も大概拗らせの民なので、ほんとに裏切り者って一人なんか?皆諸事情抱えてるんじゃないか?と思って居て、誰も信じてないし誰も疑ってないみたいなイケメンパラダイスを心から楽しんでしまっている。これは間違った楽しみ方なような気もしなくもないが、明瀬に求めて居たように狂ってほしい人は何人か居るのでその辺りを楽しみにしながらプレイしたいと思います。

今の所一人だけ全く相容れないのは双巳リョウイチさんという御方なのだけど、この方の恐怖発言集が作れるぐらいスクリーンショットを撮っているので、彼のルートでは存分に殴り合いたいと思います。黒幕であろうがなかろうが殴り合いで決着を付けます。
とにかくめっちゃ疲れた。色んな意味で。


Navelから派生した新ブランドCitrus。ロープラで攻略対象一人、選択肢一個。話はそこそこ長くロープラにしては頑張っている方だとは感じたが、長けりゃ良いってもんじゃない。導入部はともかく、物語が一旦落ち着いてからラストに進むまでの中だるみが半端なくて、途中で何度放り投げようかと迷ったぐらいのつまらなさだった。それでも投げなかったのはこのゲームの攻略対象が一人だとわかっていたしロープラだったからクリックしてりゃいずれ終わるだろうという半ば投げやりな気持ちだったが、そんな考えも粉砕されかけるほどの退屈さを体感した。エロシーンはいくらがギブりそうになったが根性でラストまで見た。こっちも金払ってるから出されたものは全部食ってやらあ!の精神でなんとか最後まで平らげた。が、それが美味しかったかとか消化して満腹中枢刺激されたかというとまた別問題。そんなわけでロープラの良さよりもロープラだからこその悪さのほうが目立ってしまって私の中の海原雄山がひたすら唾飛ばしながらキレていた。

詳しい理由は後述するとして、システムについては普通のADV。不便なところはなにもない……というか選択肢も一個しかないので周回プレイ等の不便さもない。音楽についても良くも悪くも気になるような点はなかった……と思われる。
CGについては横顔や一部角度の絵が相変わらずアレだったけれども、鈴平絵が好きな人は満足出来るんじゃないでしょうか。私は有馬の顔面の作りが非情に好ましいという理由でこの作品を購入したのだが、そういう意味では期待したものが得られて満足でした。


さて、シナリオについて語るが…………正直この作品を楽しめたのは導入部だけだった。もう一声するとエロシーンさえないサブキャラクターたちは好ましく見れた。つーか自分はこっちのおっぱいのほうが揉みたかった。おっぱいは大きさじゃない質と形だと自分も思うが、中盤怒涛のすぴかお嬢様とのエロシーンがあるなら一回ぐらいでかいおっぱいとか中くらいのやつ揉ませてもらっても良いんじゃないでしょうか。連続して意味があるんだかないんだかよくわからないエロシーンが挟まれて、私は朧気な意識の中で有馬のちんこの長さ最初と違くないか?随分伸びたな?とか大変どうでもいいことを考える始末だった。

話を戻すが、導入部についてはまあまあ楽しめた。ヒロインである乙部すぴかはただの食事では栄養を摂取することが出来ず、人の生命を食らって命を長らえる特異体質で、5年前のある時本能に目覚めて周りの人間の生命を食らった。その惨事の中でも生きていたのが有馬だった。以降有馬はすぴかの従者としてそばに居ながら、生贄として下半身からカッスカスになるまで精(液)を搾り取られる良いんだか悪いんだかな日常を強いられていた。すぴかは過去の惨事の時に有馬の父親を殺してしまい、有馬から普通の日常を奪ってしまったことを悔いており、そして有馬もなんだかんだお嬢様を憎みきれず首を絞めようとしても決心がつかず……な微妙な関係性は見ていて面白かった。問題はこのすぴかの性質の謎が明かされる中盤から、すぴかが主要人物の生命を奪ってしまうところまで話が殆ど動かず二人はそれまでの色んな意味での絞り絞られの関係性から、有馬との男女としてのセックス楽しいな~な描写がひたすら繰り広げられるところである。
これが本当に全く物語が動かず、同じ話を何度もし、かつ敵対していた立場の危うい人間を屋敷に連れ込んだり、いきなりアナルに突っ込んで開発したりメイドプレイを楽しんだりしていてその様子をずっと眺めさせられるのは非情に良い睡眠に誘われた。……一度や二度ならばまあ普通のセックスしてこなかったもんな、楽しんどけ楽しんどけとか思いながら見ていたが、それが三度四度と続くと、いい加減もうセックスするなと真逆のことを思わされている不思議。これが抜きゲーならいくらでもセックスしようがなんだろうが納得できたんだろうが、Navelの派生ブランドで正直これをやられるのは注文したものと別のものが出てきた感がとてつもなかった。
あと、何度もいうが、この間驚くほど話が動かないのである。大半がセックス過多な描写なのでそれもあるが、それでも物語が動かない。物語が動かない上に二人の思考を見させられるのだが、それもまたなんだか納得行かないものだった。これは後ほどキャラ感想のところで書きたいと思うが、簡潔に書くのならば二人共現状を打破しようという意志が全く感じられないのである。
一応すぴかや乙部家の謎などの解説も入るが、それを受けて、次はどう対応しようとか、敵がいる中で攻撃された場合どうするかとか、全く動いてくれないのである。全く動いてくれないどころか有馬が髪フェチだとかという鼻に小指を突っ込みたくなるほどどうでもいい設定を掘り下げられ、ハーレム状態の有馬がすぴかやサブキャラクター達の髪を梳く話とか見させられたときは序盤の有馬の比ではないぐらい私の気がおかしくなりそうだった。

そんでそんなセックス三昧な日々を送っておきながら、唐突に「何度か体調を崩しかけていた」とか数行で語られて、ではセックスしなければよかったのでは?とか湧いてくる疑問も苦虫を噛み潰した表情でなんとかゴミ箱にぶっこみながら、あんなにセックスしておきながらも愛した有馬を殺すのが怖いから今まで見たく精を搾り取って来ませんでした、有馬は結局私を愛してるの愛してないの?みたいな話をされ、私はゴミ箱に胃液ごと苦虫を吐いた。私の中の雄山はすでに意識を失っていた。序盤有馬が戻ってきて普通のセックスを合意で受け入れてた時点で答え出てねえか、と思うが、これがまた微妙な曖昧な表現で濁らされて居たのがなんというか……この物語の理解は出来るが納得いかない部分の一つ。
そんでもってまた唐突に(一応理由はあるのだが)、夜中に急に目覚めて町中をさまよい歩いたところでサブキャラクターの一人の生命を食らってしまったところでお嬢様は唐突に何かが吹っ切れたのかやっぱ有馬の生命食べたくないから別の人間食べて生きるわとか言い出し、私はまたもや苦虫を奥歯で噛みしめるプレイを強いられた。ラスト付近でも有馬が「実はお嬢様がこういう体質の人間だって知ってました。祝い子を目覚めさせるために頑張ってました」とか告白してくれるのだが、いやいや序盤も序盤の物語が動き出してその情報を教えてくれた月子を有馬が撃った時点でなんとなく察せられないか?つーか有馬が祝い子を知っていた時点で答えは出てるのでは?とか思う私をよそに、まるで衝撃の新事実が如くな反応をするすぴかお嬢様を見る頃になってようやく自分の中の雄山が覚醒しむしろ苦虫の味を吟味する方向へ転換した。もうかなり終盤だったけども。

大味で説明したが、こんな感じで一度解決したと思われるようなことをもう一度掘り返されるのは納得し難かったし、中盤アホみたいにエロシーンばかり挟まれるのも苦痛で仕方がなかった。二人共自分やお互いの感情を考察しようとしておきながら、結局それを吐き出すことはなく関係性は変わったと思いきや実はそんなに変わってませんでした的な感じになるのは二重に展開を見させられているようで、このロープラの短い話の中でそれをやられるのは苦痛でしかない。
ライターの癖かもしれないが、文章の構成も言い回しを替えて同じことを二重に表現されているところも多々見受けられた。だから小難しい表現を使っていないのにも関わらず、とても読みにくく理解しにくい。決定的な表現を使わず、曖昧な表現で躱されるのも効果的なこともあるが、それも何度もやられると、状況がなんだかよくわからない事になって各々の心情を捉えにくかった。なので最後までなんだかよくわからないがよくわからないまま解決した話で終わってしまった。そんな感じで、まったりとしていてそれでいてしつこい芳醇な苦虫の味と苦痛により大変悪くなった口内環境だけが残っている。


以下よりキャラ感想。話の構成も合わなかった上に、主役二人も合わなかったので楽しめなかったのにはとても納得している。ロープラとは言え新作で購入したゲームが合わなかった悲しさを堪能した。これもまた一興。だが納得はしていない。


●乙部すぴか
とにかく自分とは相性の合わないヒロインだった。これに尽きる。ロープラで一ルートしかないゲームのヒロインが相性が合わないのだから、私にとってこの苦痛の惨事とも言えよう現状は当然のことであろうと、そういう意味では非情に納得している。
何が合わないかって言うと、現状を打破しようという意志が感じられない点である。例えば他人の生命を吸い取ってしまうのなら、それを加減する練習をするとか、一晩で有馬を搾り取れるだけ搾り取る的な方法じゃなくて、週に一~二回とか平均値の回数でやってみるとか、なにか別の方法を取ろうとしなかったのは疑問。その上ただ有馬とセックスしまくっていたくせして、結局他人の生命なんてどうだっていいわみたいな開き直られるとどうしようもない。序盤の有馬の父親を奪ってしまった苦悩は一体何だったんだ。そもそも序盤も序盤で昼と夜で性格が違うみたいな二重人格の設定も、己の性質を受け入れてしまえばオッケー!融合!みたいなあっさりした展開もどうかと思った。お嬢様の昼と夜で分裂した理由も曖昧なうえ、他人の生命を奪ってしまった後悔と苦悩からだとしたらそれだと後半の展開と苦悩が軽すぎる。有馬の父親の生命を奪ってしまった上に、親しい人間の生命を奪ってようやく悪い方に吹っ切れられてもすぴかへの印象が悪くなるだけだった。
あとは、たとえ生きるためだったとはいえ、有馬の父親を殺し、その上で有馬に殺してほしいと願うのは傲慢だと感じた。他人の生命を奪ってしまう苦悩を味わっているのに、それを有馬にも味わわせるのか。それは有馬にとっての苦痛にしかならないのに、自分が苦しみから救われることばかり考えているようでどうにもこうにも心証が悪い。有馬の大切にしている人を殺したから有馬に殺されるべき、という考えは安易すぎるし、そこに有馬への意思確認がなされていないのも一方的すぎる。
この上で「悲劇の主役になるつもりもない」とか言ってくるので、どの口が言っとるんかと思った。後半すべて吹っ切って、やっぱ祝い子やったるわな展開になった時は本当に一体何を苦悩して何に耐えてきたのかと。立場があるから自由に動けないのはわかるが、立場があるからこそ出来ることもある。自分の生い立ちや性質を調べることもせず、理解しようという意志も感じられなかった。似たような立場の月子がきちんと自分の意志で動き行動しているからこそ、その対比がまた苦々しかった。苦悩だけが十二分に描かれていたけれど、苦悩から抜け出す行動をしてくれないと共感を得にくい。本人は否定したが、それは苦悩に酔っ払っているということにはならないのか。かつ自分の欲求を満たすためにセックス三昧なんてやられた日には、結局すぴかはこれ以上ないほど欲望に忠実な存在だった。


●隈方有馬
顔面が大変よい。それだけで五割許した。しかし許されない範囲が大きすぎるため五割許したところでなあ。
実はお嬢様を利用してました、祝い子の研究してました、とか言われてもそれがどういう研究でどう作用してどれだけの成功率だったかとかは曖昧にしか語られないし、有馬も有馬ですぴかにカッスカスにされてたからこれでイーブンで良かったんじゃあないだろうか。終盤にこれを言われても、だいたいなんか祝い子と関係あるのは察せられたから衝撃の度合いも少ないし、この事実を話さないですぴかの気持ちを受け入れる事は出来ないみたいな回答は、いまさら何を言っとんねんとしか思わなかった。有馬のその自己満足の感情のために死ななくてもいい人や苦しまなくていい人がこれから苦しむかもしれないということを全く頭にないのがキツイ。有馬も身近な人を殺されて自分も殺されかけて苦しんだのに、その痛みを忘れるのが早すぎる。それに、自分の状況を話してスッキリした上で有馬も有馬で「後はお嬢様が好きにしてください」みたいな他人に委ねる思考がいけ好かない。メイン二人が互いに負い目があるのはわかるが、だからといって判断まで放棄するのはいかがなもんか。
すぴかに精根尽き果てるまで搾り取られるから、他所の女と遊ぼうとは思わないし、自慰してその一発が後々の致命傷になるのが怖いから自慰も出来ないみたいなことを序盤で語られた時は、面白い設定だなあと思ったもんだった。が、中盤でお嬢様に吸い取られなくなった瞬間、正直麦の身体は興奮するみたいなことを語られた時は、喉元過ぎればなんとやらだなと思った。5年ですぴかにしか愛情を抱けなくなったとかいうエピソードがあればまた別だったんだけど、そういうわけでもないのにすぴかへの愛を語られても意志が弱いようにしか感じない。それが生理現象だということは理解出来るが、だとしてもこの短い話の中で、すぴかしか攻略出来ないのに浮気めいた表現をされるのは結局有馬の意志は何だったのかを捉えにくくされた。そういう感情を持ってしまうことが悪いというわけではなくて、それはこの短い話の中で描く必要があったのか?という話。リアリティはあるのかもしれないが、すぴかしか攻略できないことを強いられているプレイヤーの立場としては、それ正直に言う必要ある?と思ったし、その意志をわざわざ確認してくるすぴかに対しても同様のことを思った。すぴかもすぴかで自分の力のせいで有馬が自分にとらわれて正常な思考を無くしているんじゃないかと疑う気持ちも分からなくはないが、それは麦がいる前で確認するのは無神経すぎるし、結局有馬のことを信用していなんじゃないかという気持ちに向かってしまう。まあこれも後ですぴか本人が嫉妬だと認めていて、ただひたすらに麦が可哀想だった。というかそもそもカッスカスになるまで搾り取られてるのに寝て起きたらそこそこ動けるみたいなのも結構手加減してくれてるんじゃないのか。すぴかが無意識に手加減してくれていたのか有馬の体力が無尽蔵だったのかどっちだったのかはしらんが。
あーあと、俺はロリコンではないけどお嬢様の小さい身体でもちんこは勃つけどロリコンではないからマジで信じて、みたいなことをセックスするごとに何度も何度も何度も言われるのは自分でもよくわからんが猛烈に腹が立った。俺は小さい身体でもちんこは勃つ!ドン!みたいなふうに言われたほうがまだ納得が行った。その言い訳は一体何なんだ。意思表示するにしても一回でいいし否定すればするほど肯定の意味と捉えざるを得ない。
そんな感じで主役二人が自分にとって地雷も地雷で進めば進むほど私の表情は無へと近づいていった。


●阿久戸麦
私にとってのこの作品の聖域その1。麦は自分の立場を弁えているし、弁えていながらも度々有馬にユーモアあるアピールをしてくれていた。序盤で麦が冗談めかして「自分とどうですか」ということを有馬に問いかけるのだが、有馬はそれを『そうならないのがわかっていて冗談を言ってくれている』と解釈するのだけど、女心が全然わかってないので出直してきて欲しい。案の定終盤で状況に追い詰められた有馬に対して麦が一緒に逃げないかと有馬を誘うのだけど、心の底からここで選択肢がほしかった。私はそのまま麦の豊満なおっぱいを揉みたかった。その魅力的な谷間に指を突っ込みたかった。そんな面倒くさい女なんか捨ててこっちの色々弁えてくれながらも自分のことを好いてくれる可愛い女の子にしようよ。と、この時までは思っていた。しかしこの告白シーンで麦の株爆上げの有馬の株大暴落。

麦「……どういう風にですか? 幸せになってほしい、と言うだけなんて無責任過ぎませんか。どのくらい、本気なんですか」
有馬「もし麦さんがよその男と交際を始めたなんて聞いたら、機嫌が悪くなるかもしれませんし、そいつが君を幸せにできなかったら落とし前をつけに行きますよ」

なあーにいってんだコイツ。自分が落とし前付けれる立場だと思ってるのか。
これを振った側が言うのが本気で腸が煮えくり返るどころか地獄谷みたいになってるし、雄山も食べることを拒否するどころか既に店から飛び出して行ったわ。あ、麦の項目なのになんか結局有馬のこと語ってるな。振られた側にこういうことを言うのはタブーだとわかっては居るが、それでも言わざるを得ない。麦にはもっとふさわしくかっこいい素敵な男性と幸せになってほしい。こんな下半身カッスカス男なんて捨てて、素敵な男性とめいいっぱい幸せになることを祈っている。
この後麦は笑顔で有馬への好意を告げて自分の気持ちに決着を付け、すぴかの女給としての立場を弁えてすぴかを支えるところもただひたすら好感度が上がっていった。


●弓張月子
状況はいくらか違えど、月子とすぴかは立場が似ている。立場が似ている分、比較して、月子のほうの魅力が勝ってしまっている。祝い子として育てられて失敗作だと劣悪な環境下に置かれても、前を向き、後ろを振り返らず、自分の気持ちにも状況にもちゃんと決着をつけようとしている。現状を把握し、己の立場や状況を調べ、学び、自分がどういった方向に向かいたいかをきちんと考えて行動している。だからこそ何も動かないすぴかとの対比が目立ってしまったし、月子がなによりも強い意志で現状を打破しようとしているところがとても心地よかった。恨みの対象になるはずのすぴかに対してもすぴかの感情や気持ちを尊重しているし。多分麦と月子どちらかが欠けていたら私は泡を吹いて倒れていたかもしれない。
ED後に見れる黄昏逸話というおまけでも、この惨事の根源の存在にきちんと決着を付けてくれてもはやストップ高になるほど株を上げ続けていた。ていうかそれは本来であればすぴかや有馬の主人公勢がするべき決着だったと思うのだが。まあもはやどうでもいいし自分は月子が好きなので最後までかっこよく素敵な存在で居てくれたことには感謝。


●烏丸志乃
とてもいいキャラしていたオネエサン。お姉さんに食べられたかったなあ……エロシーン楽しみにしていたのに無くてがっかりだった。後半はすぴかを動かすために配置されていただけなのはとても残念だったが、物語から脱落したかと思いきや実は生きていたのは、ご都合主義だとは思ったがそれでも嬉しかった。志乃さんとえろいことしてほしかったなあ、嗚呼。


●女給長
この人が作中で一番すぴかのことを考えてすぴかを一番に行動してくれていた気がする。エロいことしてほしかった。



大正時代かどうかはわからんが、浪漫的な設定もうまく活用されていなかった。着物着てるぐらいじゃないだろうか。現代設定じゃないと通信機器あたりの設定を描かなくていいし、まあこの時代あたりにしておけば伝奇的な雰囲気が出るのもわかるが、どうしてもそれだけでは物足りなかった。
基本有馬視点で物語が進むのに、有馬が居ない視点になるといきなり第三者視点になるのも混乱した。大体すぴかを中心に語られるのだが、それならすぴか視点にすればよいのに結局第三者視点でお嬢様の心情とか語っちゃってるのでその辺りも統一してほしかった。物語の謎についても読んでいけば大体察せられてしまうし、どこかで見たような物語をなぞっているだけなのもワクワク感すら掻き立てられなかったというか。
5年でセックスするうちに情が移ったのも察せられるのだけど、それ以上に何らかの心を通わすエピソードでも盛り込んでくれればまだ二人の離れられない関係性のようなものに説得力が出たのになあと思いながら見ていた。描かれるのが二人の始まりとエロシーンぐらいだけなのでどこにも感情移入出来ずに感情が彷徨ったまま消化すら出来なかった感じが残っている。

中盤エロシーンが多めだったが、Navel系列のゲームに抜き要素を主体として求めている人ってどれぐらい居るんだろうか。少なくとも自分はNavelにはそういうものではなく別のところで勝負してほしかったし、Citrusがそういう方向性で行くのならば抜きゲなら抜きゲでもっとエロさを出してほしかったし、黒いものを描くなら描くでもっと黒くするべきだと感じた。全てにおいて中途半端。味のしないただ黒い色のついた香りだけする安物のコーヒーでも飲んでるようで、これなら自分はいっそのこと水道水を飲みます。