全力で頭を抱える日記

おもに乙女ゲームの感想を中心に。ネタバレご注意。

みんな振れ幅凄いな……もう一人ぐらい自然を愛する細波みたいなやつが居ても良かったんじゃないだろうか……。


●夏侯惇
乙女ゲーの正しい手順を踏んで真っ当に恋愛して終わったものだから、今の所何の感想も浮かばないのが困っている。それもこれも夏侯惇の前に曹操をやり、夏侯惇の後に劉備をやってあまりのかっ飛ばしっぷりに記憶が吹っ飛んでしまったからだ。

十三支嫌い女も嫌い故に関羽が嫌いでわーわー言うとりましたが、そこをどう主人公に落とすのが見ものだなと思っていたのだけど、過程はさっくりしながらもきちんと描かれていた。ただ昔からの悪い噂がある十三支はともかく、女嫌いになにか理由があるのかなあと思ったらそんなんでもなかった。私が見逃しているだけかもしれないが……でも作中強さランキング(望月調べ)では夏侯惇より関羽のほうが絶対強いので、女に負けるという点で嫌っていたのかもしれません。そんなところも夏侯惇の愛すべき可愛らしさだと。

左目を失うのも夏侯惇が考えを変える大きな要素にされていたし、関羽とのやりとりで、噂やその他諸々の邪念に惑わされずに何が大切であるかを見極める力を育てて行くのは、正直萌えというより微笑ましさや成長を見守る親のような気持ちが勝ってしまっていた。
そしてそんな夏侯惇に対し、俺はそれ理解出来ねえ!な夏侯淵の対比も面白かった。夏侯惇も夏侯淵も思考が柔軟ではなくて、逆にそこが面白いなと思っていたんだけども、夏侯惇の方が僅かの差で柔軟さを持ち合わせて来て、そこで亀裂が入っていったのは楽しかった。これって主人公が居なければ入らなかったヒビのように思えて……言い方を変えると主人公によって命運が狂っていくのは好ましかった。
でも一番親しかった兄である夏侯惇と、目の前でその武勇を見ていた関羽が居たのに、最後の最後まで自分のモノの見方を変えようとしなかったのはある意味とても潔かったと思える。愚直とも言えるのか。プレイヤーは十三支側の良さや無害さ(本当に無害だったかと言われるとそうでもないのだけど)を知っているので、差別されることに抵抗を持つけれども、最初から『十三支は悪いもの』として育てられて実際に十三支に触れる機会が無かったのだから夏侯淵がなかなか考えを変えられないのも理解出来るし、自分の考えが間違いだったと認める困難さもわからないでもない部分があるので。そういう意味では夏侯淵の存在はとても面白かった。
結局仲違いして刃を交える事になり、夏侯淵は最後の最後まで自分の考えを改めずに谷に落ちていったシーンは、ラブシーンよりも印象に残った。この相容れなさが各々の矜持の在り方を示していたような気がしたし、負けたから自分の考え方も間違っていると言ったような展開にならないところが、逆に好感を持てた。

しっかしこのルートの曹操様めっちゃまともでびっくりした(劉備ルートもだが)。他人のルートでまともな分、自分のルートで大騒ぎしちゃったのか……。
あと曹操ルートの終盤で夏侯惇と夏侯淵が、曹操様が十三支でも何でも良い!って多少悩んだにせよ認める展開があったんだが、正直あんなにあっさり認めるぐらいなら認めてもらわない方が良いなと思っていた。心から信用していた人間に結構大きな嘘つかれたも同然だったのに。なんだかんだちゃんと曹操自身を見ていて判断したという描写なのかもしれないけど、逆に関羽とこれだけのやり取りをして乗り越えた差別の壁をあっさり越えちゃったようで、なんだかなあという思いも無きにしもあらず……。まあ嘘つかれたことより曹操自身への尊敬の念が勝ったといえばそれまでなのだが……。

魏軍だからどうも感想が曹操様に寄ってしまうな。
ラブシーンに話を戻すと、眼を負傷した時に看病していた女性を好きになった云々のくだりは要らなかった……そこは別にあの時手当してくれて良かったで終わった方が綺麗に思えて。あと主人公の腕だかに痣があるのが目印と聞いて、てっきりこの痣が何か夏侯惇ルート以外での主人公の重要な伏線になるのかと思ったら全然そんなことなかったっすね。


●劉備
知ってはいたんだ、ショタはいずれ大きくなるんだって……。

プレイ前感想でも書いたが、私は彼が15歳と聞いた時点でショタ好きとしてのテンションは下がりに下がっていたし、もはや十三支の謎ぐらいにしか興味はなかったんだけど、ショタ好きとしても神経を逆撫でされた上にシナリオが突拍子もなくて滅茶苦茶萎えた。

十三支は昔金眼という猫の妖怪を倒した劉一族が、その妖怪の血を浴びた呪いによって頭に耳が生え眼が金眼になる半妖怪の呪いを掛けられたそうです。元は人間だったのに半妖怪となり、張飛が覚醒したり純粋な猫族は眼が金色だったりするのはそのためだそう。伝承が捻じ曲げられて伝わって、金眼の子孫ということになってしまったのでした。
その後は山奥で細々と暮らしていたところを、曹操らに暴かれてしまうところが物語のスタート地点らしい。

んで、その金眼を倒して一番血を多く浴びてしまったのが劉光という劉備の祖先で、代々劉一族が金眼の呪いを受け継ぎ、猫族の長だとされてきた。しかもその呪いは代を重ねるごとに成熟していくらしく、その邪悪な心は強大な力となり何百万もの兵を一瞬で葬ることが出来るんですと。
劉備自身の清い心でそれらの呪いを抑え込んでいて、その影響とかが色々作用して劉備が年齢よりも思考や言動や見た目が幼いらしい。

……他ルートで度々猫族の命運を左右する重要な局面で、この思考が5歳児程度の劉備に、いい歳こいた大人たちが「劉備様どうするんすか!」と問うたり、劉備が幼い発言でなにか言っても「劉備様がそう言うなら仕方ねえよな!」みたいなことを言われることに、きっと何か理由があるんだろうと思っていたけど……まさか思考が5歳児の状態の人を本気で崇め奉っているとは思わなかった。
なにか自動的に劉備すごーいみたいな思考になる呪いが掛かっているだとか、劉備が適当に言ったことがバシバシ現実になるよく当たる占い師みたいな力とか持ってるんだろうかとか私の淡い予想を超えてとんでもない現実を叩きつけられた。いやいや劉備の祖先がすごい人だと言い伝えで伝わっていて尊敬してめっちゃ大事に育てよう!みたいなことになったとしても「関羽ぎゅーして」とか言ってる子供の言うことを一族の長の劉備様が言うことだから、と子供の思考に責任を押し付けてるこの一族めっちゃヤバい、と別な意味で震えた。そら攻め込まれて良い感じに利用されて滅びの道を歩みますよ。
でも思えば十三支だけじゃなく、劉備が一族の長だからという理由で国をくれた人間(陶謙様)も居たので、なんか呪いのアレが漏れ出たりして働いていたのだと思い込むことにした。

そしてこの事実を教えてくれたのは呂布で、その呪いを抱えた劉備の血を浴びると力が移るらしかったんですが、逆襲にあい惨殺される呂布様。……呂布ファンとしてはこんな姿ばっかりでなんだか切ないです呂布様。そして曹操ルートでも浴びせた素敵な断末魔をここでも浴びせてくださる。

「貴方はいずれ、この大陸を血の海へと変える存在となります。
数百万の屍の上に立ち哄笑を響かせるような、ステキな妖が貴方の未来の姿……」

呂布様のよく当たる断末魔占い。当たりすぎてちょっと困る。

とりあえず呪いの影響で劉備は「5歳児のような幼い劉備」と「15歳の思考を持った本来の劉備」と「邪悪な劉備」がいることが判明。二番目の劉備は偃月の呪いの力が弱まるときだけ現れることが出来るらしい。そしてその二番目の劉備が「どの僕も全部同じだ」とわけのわからないことを申し上げて、関羽と私を混乱させる。
いや、言っていることはわかる。5歳児の劉備は15歳の劉備が通ってきた道だろうし、邪悪な感情を持つことは人間としても普通の感情だ。そこに強弱はあるにせよ、おかしな事ではないし、全部内包してこそ一つの劉備なんだろう。そこはわかる。だけどいきなり三人現れて全部僕です、と言われても、誰か一人代表して出てきてくれと思った。二番目が出てきたと思ったら一番目が出てきたり、三番目が出てきたりもうほんとわやくちゃで、この劉備欲ばりセットみたいな状態が非情に混乱した。

なんやかんやで関羽のことが好きだったらしい劉備は、関羽が誰かに取られるんではないかと思って三番目の闇落ち劉備の力が開放され、姿かたちも大人劉備となる。この姿がショタコンの私にトドメを刺したことは言うまでもない。
まあそれは私の性癖だから良いのだけど、この劉備が袁紹軍を乗っ取り、「人間同士を戦わせて滅ぼして、関羽は自分の子供を生んで、猫族だけの国を作るんだー!」と大人の姿で子供みたいなことを言ってのけ、流石にそれは賛同出来ないわな態度を取って距離を置こうとする関羽に縋って行かないでーと泣きつくのである。…………こないだもなんか似たようなことしてた人見たな……。
いやでも私はこの感情丸出し劉備が嫌いではなかった、というかむしろ好ましい方だった。似たようなことしてた人が最萌だったのだから、この自分の感情に素直な劉備を楽しまないはずがない。

最終決戦で劉備の負の感情を食べて育ちまくった金眼が現れ、それと対峙しなんとか愛のパワーでやっつける……も、結局倒しただけじゃ呪いは解かれず、結局まともな劉備が「もう一度自分の中に入れとくわ」とか言い出すから、なんか壮大なことしたりなんやかんやあったりしたことが全部吹っ飛んで振り出しに戻ったのでびっくりした。一番ビックリしたのが、この状況を猫族のみなさんがすんなり受け入れることである。
呪いの始まりの人の子孫であったとはいえ、なんの罪もない劉備が今まで自分を犠牲にして抑え込んで居たのにもかかわらず、結局呪いを抑え込んでも、やっぱ封印されるのは劉備様だよな!万事解決!みたいな雰囲気になってる猫族の皆様方にドン引いた。皆すべての事実を知っているのにも関わらず、一人も劉備に封印することを止めたりすることもなく、「何があってもどんなでも劉備様だから」とか広い心のふりをした酷い押し付けで劉備が呪い受け入れることを納得していた。今までもそうしてきたからこれからもそうする、で許される問題じゃ無いような気がするんだが。
ただでさえ恋愛対象にすら思われないような容姿と言動でやきもきしてそれがスタートの感情だったのに、またその状態に戻れと……そして最終的に統合して誰か一人になるだけならまだしも、結局子供劉備の姿のまま三つに分裂したままなのである。

これ以上ショタコンの私の気持ちを逆撫でしないでくれ……。
ただでさえショタの姿で大人の言動されるのでも呼吸が止まりそうなのに、また三つの人格が出てくるわけのわからない状態だから余計に負の感情が育った。三つとも劉備なのは理解しているしそれを受け入れてもいるが、正しい姿は「15歳の劉備」ではないのか。皆が当たり前のように成長しているにもかかわらず、一人だけ『当たり前』を与えられない元の劉備が不憫で可哀想で仕方がなかった。たとえ劉備本人がそれを納得しようと、周りがそれを受け入れるのは駄目じゃないのか……。誰か一人に負わせてきた結果の惨事なのに、また誰か一人に負わせようとするのはやめてくれ。というか呪いを小分けに300等分にでもして皆で負担すればなんやかんや薄まっていくだろ、頼むそうしてくれ。

あと劉備が自分を大切に思ってくれた関羽への気持ちを育たせていたことは理解できるのだけど、関羽がいつの間にか劉備のことを好きになっていて全く理解出来なかった。途中から三つの人格のうち大人劉備が出てきてそことの逢瀬みたいなことがあって意識するみたいな展開があればまだ納得も出来るんだけど、結局は家族愛の域を出てないのでは。これは張飛ルートでも同様だった。

いつもショタを見ながら「大人になるな」と思っていたのに、ショタ(の姿の人)を見ながら「早く大人になれ」と願うことになるとは思わなかった。子供劉備のまま勝負をしてくれたなら私は手を叩いて喜んだだろうに、それも年齢が15歳という時点で叶わぬ夢となってしまったし、劉備の設定も、十三支としての物語も、劉備と関羽の恋愛も、全部が全部中途半端なまま終わってしまったので酷い消化不良を起こしている。
そもそも三つの人格と子供と大人の容姿が入り乱れるからキャラクターに集中することも難しくて、正直乙女向けに作っているある程度ノウハウのある方々がこれにOKを出したことが自分としてはちょっと不思議な感覚である。ショタ好きとしては憂き目にあうけども、大衆の反応を選ぶのならやはり劉備は大人ままにしたほうが絶対に良かったような気がする。敢えて子供劉備を残したのがショタ好きへの配慮だというのなら、それは地雷だと申し上げたい。大人要素が少しでも入ったらそれはもうショタじゃないのだと……。
そういうわけで、三兎を追って一兎も得ることができなかったルートだった。


●サブキャラ雑感
・関羽(主人公)
沸点が低くて若干脳筋な部分もあるけれど、武将だと考えればなんだか納得もできた。わけのわからないうちに好きになったりすることがあったけど、それもシナリオが原因なので彼女自身に気になるところは無かった。ただ劉備に対する扱いは、自由すぎてて見ていてちょっと怖かった。たとえ劉備に救われた所があったにせよ、あまりにも劉備に肩入れしすぎていて。
武将的な強さでいえば、かなり登場人物の中でもかなり上位に来る方だろうか(後述)。乙女ゲーは守られ主人公が主流の中、普段では得られない活躍出来る爽快感みたいなものを得ることが出来て楽しかったです。
とにもかくにも一部の感情が成長してない感じの方々に無意識的に母性を求められたり執拗に追いかけられたり勝手に嫉妬されたり、かなりとても周りに苦労させられたので、その後は穏やかに過ごしてほしい。父親代わりはいても母親代わりは居なくて関羽自身も母親がどういった存在かもきっとわからなかっただろうに、よくやってたと思いますよ。みんな関羽が居なくても靴下ぐらいはちゃんと履けるようになろうね。

・呂布様
様を付けずにはいられない。中の人の演技も含めて、強くて賢くて妖艶で博識で残虐非道で我が道を行く呂布様が本当に楽しかった。私は彼女が大好きだ。張遼ルートだったかで関羽をハメて自分と契約させてエロいことしようぜみたいな展開になった時、攻略対象との幸福を捨てて本当にそういうEDがあればよいのにと願ってしまった。エロいことしてるところ見てみたかった。
とにかく人の隙や弱さに入り込むのが見ていてゾクゾク来た。それが呂布様らしい言い回しでユーモアがあって面白い。呂布が喋るたびにテンションが上ったし、撮ったスクショもほとんどが呂布の発言なのが自分でも笑える。これほどまでに美しくてエロくて確立した個性を持っているキャラクターに出会えるとは思っても見なくてそういう意味でも嬉しかった。
物語のキーパーソン(おそらく金眼を倒す力を授けた仙女?)でそういう意味でも周りを翻弄するのが見ていて面白かったし、トドメを刺された後の去り際まで悪を貫き通すそのお姿にはもはや感嘆の吐息すら出ました。こういうキャラを乙女ゲーで見られたことに本当に感謝、楽しかった。
最後に、演じた沢城みゆきさんに拍手。沢城さんでなければ呂布は呂布でなかったと思えるほど素晴らしい演技だった。

・猫族の皆さん(関定、蘇双、世平)
皆良いキャラをしていた。猫族でガチャガチャやってる様子を見守るのも楽しかったなあ。
世平おじさんについては、関羽のお母さんに惚れていたんだろうけど、人間に嫁いで戻ってきたら妊娠しててその子供を親代わりとして育てたと思うとどういう感情で育てていたんだろうか。煮え切らない思いもあっただろうに、と妄想が広がった。
ただ猫族唯一の大人なのに、全然主導してくれなくて、前述したとおり幼い劉備に判断を任せようみたいな展開になった時は、大人ってなんなんだろう……とちょっと途方に暮れた。

・袁紹
狡猾で悪どくて倒される宿命にある可哀想な小物キャラなんだけど、発言に見え隠れする他者との劣等感に苦しむ部分が結構好ましく見れた。おまけシナリオ?では関羽を操って一緒に暗いところへ堕ちそうなところがなんとも私好みでよかった。暗いところに居た人が明るいところへいく話も大好きだけど、闇に落ちる話も同じくらい好きだ。
作戦はある程度練られても戦に出られるような武も無くて、周りはチートみたいな頭も武勇もある奴らばかりだったらそれは劣等感バリバリになりますよ。歪んでいるかもしれないが関羽に向けられた感情は正しく愛情だったように思えてとても萌えた。

・馬超
袁紹のように物語にある程度介入してくれるならまだしも、どのルートでも一瞬でしか出ないこの人にそこそこ長いおまけシナリオを付けられたのは、嬉しいという気持ちは湧かなかった。シナリオは短くまとまって居て、猫族と同じ迫害される立場の異民族らしいんだけど、それもまあルートに比べれば微々たるものだから満足できるような出来でもなかった。ただ馬超自身のオラオラ系キャラクターは好ましかった。こういう人の方が性根まともだと思いますよ関羽さん……。

・張角
最序盤で居なくなるので忘れがちなんだけど、この人が居なければ十三支がどういう立ち位置かが上手く浸透しなかったと思うので、そういう意味ではかなり効果的だったかと。物語に使われてしまった悲しい立場だけども。
この人一体どこで育ってきたのか気になりますが、曹操様の件も含め、主人公の村以外で他に見つかってない十三支の村とかあるのかなとちょっと思った。


【総評】
・システムについて

頼むから普通のADVだけにしてくれ。プレイ前感想でも語ったが、独自のゲームシステムは全部要らなかった。
桃園システムは好感度調整のために100万歩譲って必要だと判断しても、バトルシステムと旅システムは何千万歩譲ろうが必要だとは言えなかった。すべて選択肢で解決するからである。
バトルシステムは、介入システムとタイミングシステムの2つに分けられる。介入システムは文字通り物語に介入するかしないかだけの話で、タイミングシステムはタイミングよく□ボタンを押すだけだ。これが一体何が楽しいんだ。しかもタイミングシステムに至ってはルートで出てこないキャラも居たので、制作陣も必要だと思ってない可能性を否定できない……。
旅システムについては誰に話しかけるかを選ぶだけなのでこれも選択肢で解決する。一緒に会話して歩いてるところを演出したいのならシステムとして設けなくても十分。
普通のADVとしての機能は問題なく、セーブロードもサクサク。スキップがやや遅い程度。
同じような展開・台詞なのにルートが違うだけでスキップ出来ないのは結構苦行だった。それがだだ被りしていて、終盤は強制スキップ使って乗り切ったぐらいかなりの描写が被っていた。展開を違う風にしてくれとは言わないから、せめて既読スキップぐらいは使わせてほしい。

・グラフィックについて
とても美しい。文句なし。
珍しく背面立ち絵があって、これをなかなか効果的に使っていて演出的な意味でも面白かった。中でも良かったのは曹操様のデザイン。物語の謎を考慮した髪型なのだけど、これを上手く調整して疑問を抱かせないような髪型にしているところがとても感心した。
趙雲の結った髪が解ける立ち絵をちゃんと用意していたりと、細かい部分も作り込んでいて十二分に楽しみました。一方で背景は使いまわしも多かったのだけど、そこは目を瞑りたい。

・シナリオ、設定について

この作品で一番驚いたことは、シナリオの整合性をぶん投げても萌えだけは外さないイメージがあったオトメイトのゲームなのに(REDもいるが)、シナリオの整合性がまあまあ取れてて萌えがさほど得られなかったこと。武将たちの思惑があってそこに時代が流れていっている感じがなかなか表現されていて、そこが一番楽しめたかもしれない。逆に恋愛描写はそれほど濃くなく、あっさりとしているのでそこを求めると肩透かしかもしれない。私が悶まくった曹操ルートも恋愛描写が丁寧と言ったわけではなく、それまでの戦で経験した経緯や流れを踏まえての描写だったので、恋愛描写で萌えたいのならある程度の妄想力が必要だと思った。

猫耳については、『付ける必要があったのかどうか』なんだけど、あった部分もあるし無かった部分もある。この要素がついてることによって敬遠した人は少なくないだろうし、実際私も発売当初からこの作品を知っておきながら猫耳だという理由で購入には至らなかった。プレイし終えた今なら、猫耳である必要は無かったかもしれないが、物語にとっては必要な要素であったので納得は出来ている。
この猫耳という要素が効果的に働くのはインパクトがあることと、設定上一目見て『十三支』だという部族だと判別できる点であるように思える。しかしそれは猫耳でなくても良かったかもしれない、例えば何らかの動物の尻尾でもよかったし、髪の毛の色とかでも良かった。きっと制作陣は、それをわかっていてもなお「猫耳」を選択したというのが、とても面白いなと思った。やってみたいなと思わせるよりも、インパクトがあることを選択したんだろうなと……いやもしかしたら何も考えずに猫耳生やしちゃえだったかもしれないが。
でもそういったインパクト重視な選択は結果としては面白く感じたし、猫耳という一見するとふざけた要素を割と真面目に調理してシナリオを構築していたのは好感を持てた。このシナリオを読んで、安易に猫耳にしたんじゃないんだろうなと感じられた部分があったので、結果自分は『猫耳で良かった』と言えるし、猫耳に対しての抵抗感もそんなに無くなっていた。
あと狙ったどうかはわからないけど、多分相当数の人が猫耳を見て負の感情を抱いたと思うんだけど、これは十三支の設定によくマッチしていると思った。十三支は人間から差別を受けていて、人間が十三支の猫耳を見た瞬間「うわっ」と思われる。一方でプレイヤーも猫耳を見た時「うわっ」って思った人は多いんじゃないかなと。この「うわっ」の意味は細かく言えば違うんだけど、本質が重なる部分も少なからずあるのではないかな、と思えてとても面白く感じた。
一つだけとても気になるのはこの猫耳設定、原案を作った広井王子のアイデアなんだろうか……。

全体的に見るとやはり三国志演義を元にしているからか話の流れが途中まで同じで、ルートに入ってからも序盤は同じなのでダレる部分もある。その後は完全に個別ルートに入るのだけど、フルコンプを目指すのならそこまで我慢するのにちょっと疲弊した。
ただ十三支演義なりの味は十二分に発揮されていたと思うし、描写は濃いわけではなかったけれども、設定をよく練ってシナリオに落とし込んでいたなと感じられたので楽しんで終えることが出来た。

オススメ攻略順は、【 張飛→夏侯惇→張遼→趙雲→曹操→劉備 】
張飛、夏侯惇は物語の謎は殆ど明かされません。
趙雲ルートは主人公の謎が、張遼・曹操ルートは各々の謎が、劉備ルートは物語全体の謎が明かされる感じでした。



プレイ後余談。

・武将としての強さについて

Q. 十三支演義主要登場人物の強さを高い順に並べよ。ただし猫族に関しては獣化しないものとする。


A. (大人劉備)>呂布>曹操>関羽≒趙雲>張飛≒夏侯惇≒張遼>夏侯淵>>>袁紹>>>(子供劉備)

こんな感じだろうか?(自信なし)
関羽強いとても強い。大人劉備は獣化なんだろうけど、一応。袁紹軍の武将はめんどくさかったので入れなかった。謎なのは張遼なんだけど、本気出せば関羽と同じぐらいにはなりそう。張飛も獣化しなくてもその時のテンションで入れ替わりそう。
一方で、夏侯惇・夏侯淵組が作中でも弱く描写されてたのはとても驚いた。関羽が倒せた武将をこいつら二人がかりで苦戦したので……デカい口叩いて置きながら関羽よりも弱いんかお前ら……。でもそりゃ目の上のたんこぶになるよなと納得。

・他人のルートの曹操様を見ての感想
めっちゃまともだったのでびっくりした。劉備ルートで劉備が売ってきた喧嘩も「猫族は今後局面を左右するから、結果的に自分のところに来るなら不問にする」みたいなこと言った時は、スイッチ押されない曹操様はこんなにものを見る目がある人だったんだーと意外な一面を見た気がした。いや、元十三支なのもあるからかもしれないが。それでも夏侯惇・夏侯淵に関しては人間嫌いな曹操様でもある程度認めて信頼していたのではないかな、と思っている。
自分のルートでも部下を看取ったのもあったし、性根は優しいとまでは行かなくても他者を思いやる人なのかな……と思ってスイッチ押された後のことを思い出して改めて萌えた。振り幅すごすぎて針がギュインギュイン言ってるよ。


物足りない部分もあったけど、最後に思ったことは、やはり楽しかった。色々考えさせられたり考察する要素が多くてそこも合わせてまるごと楽しめた。
ちなみにタイトルの十三支演義をこのゲームをプレイする直前まで「じゅうさんしえんぎ」って読んでいた。「じゅうざ」と発音するのだと知った時は何かの間違いかと思ったぐらいだ。それにしても作中で「十三支」が差別用語として扱われているのに、タイトルの中に入っているのがとても面白いなと思った。
常識人と狂人でジェットコースターのようだった。


●趙雲
十三支演義界の攻略対象たちの聖人成分を全部この人が吸い取った説を推したい。本当に暗いところがなにもない真っ当な人だった。残念なことに私はそういう精神的に大人で周りを見てくれる常識人にあまり惹かれない人間なのが心苦しいところで萌えはあまりなかったのだけど、それでもこの人が報われて良かったなあと思えるお話だった。

他の攻略対象たちはキャラ自身に問題がありそうだけど、このルートは主人公自身の謎を解き明かしていくところも楽しかった。正直言うと趙雲との恋愛イベントよりこちらの方が心に響いてしまった……。公孫賛様が主人公の実の父親だと明かされるのは、なんとなくそうなんじゃないかなと匂わせる描写があったので驚きはしなかったけど、明かされた後の公孫賛様の喜びようが本当に奥さんを愛していたんだなあと感じられて。公孫越に討たれてしまった公孫賛様が、主人公と別れるシーンは思わず目頭が熱くなった。戸惑いながらも自分の父親だと受け入れ始めていた主人公が、息絶える直前の公孫賛様に「お父さん」と呼びかけるシーンはお涙頂戴といえばそれまでなのだけど、それでもそうとわかっていても胸に響いた……。それはきっと主人公が自分は他の猫族とは違うという発言を何度もしていたから、一族という意味でも家族という意味でも孤独に生きてきたんだと感じられていたし、そんな主人公に与えられた家族だったんだというのが短いながらも幸せを感じられる描写だった。

そんな人間と猫族の恋愛の末に生まれた主人公が、同じく人間との恋に落ちるというのがなんとも因果で美しい流れ。
その上、義に厚い趙雲が今までお世話になってきた公孫賛に、最後に娘をよろしく頼むと言われてしまって自分がその娘に抱いてきた想いとの軋轢で苦しむ描写はとても美味しかった。趙雲が主人公と袁紹との話を立ち聞きするシーンに立ち絵まで付けてくれた制作陣に割れんばかりの拍手を送りたい。主人公や女性キャラが立ち聞きする展開が多い乙女ゲーで、逆パターンを見れたのは久々な気がして嬉しかった。あと男→女への嫉妬は乙女ゲーの醍醐味だなと。
最後の最後に発破かけられるまで趙雲は主人公への思いを開放しなかったんだけど、主人公への感情だけではなく、これは主君である公孫賛と想い人である主人公との親子関係の過程を観てきたからだろう。これがなければ他ルートのように天然ブチかまして主人公を口説いていたような気がしなくもない。普通の親子関係ではなく離れていた家族がまた出会えて、失われていた時間を取り戻していく温かい空気を側で感じたのが、趙雲が気持ちを押し殺してしまった大きな要因になったように思えた。素直で誠実な趙雲に思いを押し込める展開を添えたのは本当に上手いなと思うし、それを主人公の出生の謎を上手く織り交ぜたところも良かった。

最後には自分の思いぶちまけてたけど、それを自覚してちゃんと抑えられているから本当に趙雲は真っ当な人だなと思った。他者のせいにせずに他者を思いやる心を持っているから、己の心の軋轢に苦しむ。主人公の意思に関係なく自分のものにしたいという思いは確かにあったんだろうけど、それは自分の思いを認められると思えたから吐けた言葉であって、主人公に本当に別に想い人が居ても趙雲は軋轢で苦しんで苦しんで苦しんだ上で、誰にも目のつかないところに消える道を選びそうな気がする。他の人達がロケット飛ばしまくるぐらいやばいので、どこまでも清い趙雲が置かれているのはとてもバランスが取れているなとも感じた。

そんな趙雲に反してどこまでもゲスい袁紹様もある意味心地よかったです。敵役にふさわしいクソっぷりに、趙雲の清さを際立たせる活躍したで賞を差し上げたい。袁紹に裏があるんじゃないかという描写の分量もいい感じに混ぜられていて、味方なのか敵なのかわからない程よい感じになっていたのも楽しかった。最後の最後で自分が考えてることをバラすのは詰めが甘いんだけど、その詰めの甘さこそが袁紹の器の小ささを表現しているようでとてもしっくり来た。

恋愛描写が色濃いというわけでもなく、むしろそれ以外の描写が濃かったんだけど不思議と納得出来ないわけではなかった。いやだってこんな聖人に惹かれないわけ無いだろう……という思いがあるのは否定出来ないけれど、やはりその趙雲の誠実さがウリでそこに惹かれるのはよくわかる。一方で趙雲から主人公への感情は出会ったばかりの段階で「お前の役に立ちたいと思ってるんだ」と言われるのは少々強引かなと思ったけど、それもまあ趙雲の性格上のことを思えば無理な展開でも無いような気がした。

不満を言うならば、常に暴れまわってる呂布や曹操がちょっかいを出してこなかったのが、全体的な流れ的な意味で引っかかってしまった。絶対なんだかんだ理由つけて殴りかかってくる方々なので。でも身内でワタワタしてる時にこいつらがちょっかい掛けてくると話に収集がつかなくなりそうなので、出てこなかったのはシナリオ的には理解できる。……けどやっぱり全体的な流れを考慮してほしかったなとも。


●曹操
プレイ前感想で「思いっきり主人公(と私)を振り回してくれ」とは語ったけど、振り回し過ぎだろうが……。でも私は手加減一切なしの曹操様渾身一発のジャイアントスイングが本当にもう楽しかった。ずっとずっと振り回されていたかった。もっともっと息もできないぐらい回転してほしかった……。

前半で主人公と曹操が親密になっていく様子を描き、後半から曹操様のスイッチがオンになってからはもうそれまでの割と穏やかなテンポがひっくり返るような激流だった。それこそ前半は後半への助走なんだけど、助走があるからこそ高く飛べるのであって。でも助走部分も曹操様の不器用な走り方が可愛かったです。

前半での親密になっていく様子は過程が丁寧とは言い難いもののポイントが抑えられていて良かった。董卓の罠に嵌められて重症を負った部下を看取るシーンは印象的だったし、曹操自身も負傷してそれを主人公がなんだかんだあって看病するうちに曹操自身に惹かれて行く様子も、ありがちな流れではあったけど心穏やかに見れた可愛いシーンでもあった。自分の父親を弑しても満たされない自分の思いを、主人公との対話で落ち着かせてもらう様子は、自分の欲しいものが得られないと駄々をこねる子供をあやす母親を見てるようだった。きっと主人公への感情は恋愛でもあったんだろうが、得られなかった母親の愛情を得ていたのでもあったんだろうなあ。
乙女ゲーにおいてのカウンセリングは母性が重要視されているんじゃないかと勝手に思っているのだが、曹操の様子は本当に『母の胸で寝かせてくれ!頼む!』って感じがして、いや全力でそんな頼んでくれるならこっちも有るか無いかよくわかんない母性絞り出してやろうじゃん?とめっちゃ母性くすぐられました。『何が欲しいかすらわからないからとりあえず全部欲しい』とか言ってる曹操様を、『いやいや子供じゃないんだからちゃんと欲しいものだけ買いなさい』と諭す主人公は本当に母親のようで笑うしか無かった。実際めっちゃ笑ってた。声出して笑いまくった。
曹操はこの段階から直感的に主人公が純粋な十三支ではないということを感じ取っていたのだろうけど、それでもまだ何も知らなかった頃の二人が惹かれていく様子を描いたのは、今思えば上げて上げて突き落とすためなので滅茶苦茶エグいなと思うが、私はそのエグさが大好物なので正直とても興奮した。

そんな前半部分から、後半に入り曹操の絶対押しちゃいけないスイッチが押される。押すなよ押すなよと同じで、こういうのは押されるためにある。様式美。

なんやかんやで思いが通じ合ったようなそうでないような二人。主人公は猫族でなく曹操の元へ帰ってくると伝え、猫族のいる徐州を攻める呂布から救うために出陣することになる。二人で呂布を倒し、劉備を救いに先に主人公だけ徐州へ向かう。そこで呂布が最後に断末魔として曹操に呪いをかけるのがもうほんと……とにかく最高だった。演者の熱演も相成って、筆舌に尽くしがたいほど素晴らしかった。

「貴方が心から渇望し、求め続けていた同胞が目の前にいるのも知らず……
あははははははは!曹操!それでも貴方は手に入れられない!!
この世で唯一無二の同胞であっても!生まれてこの方、誰からも愛されてこなかった貴方には!
曹操、私のように一人寂しく、惨めに誰からも愛されずに死になさい!!」

主人公が猫族と人間の間の子、つまり曹操と同じ立場の混血であると伝えたあとの言葉がこれ。……呂布は本当に洞察力に優れている。つまり呂布は、曹操が一体何を欲していたかを見抜いていて、この事実を知った後の曹操がどのような行動に出るかも知っていた。そしてその行動により、主人公からの愛情すら受けられなくなるのだと……先見の明がありまくり。そしてそんな曹操の心情を、作中誰よりも一番察していたのが、曹操に愛情を抱き始めていた関羽でも無く、曹操を慕う夏侯惇でも夏侯淵でも無く、この呪いをかける呂布という事実が本当にもうなんというか……最高。呂布自身も貂蝉との関係が仮初めであり孤独であることを自己理解している、その上で己が一人であることを受け入れている。しかしその『一人』を曹操は受け入れられず、苦悩する要因になっていたことも理解していた。曹操の本質を見抜き、一番理解していたのがこの呂布であったという事実が狂おしいほど好ましかった。
そしてこの一連の呂布の呪いの言葉で、それまでなんとなく示唆されていた曹操が十三支と人間の子であると明かされる点も、衝撃度合いが増し増しで良かった。

それ以後はもう頭のネジ全部外した曹操様をお楽しみください。
何の事実も知らない状態で関羽に惹かれたこと、そして人間と十三支の間には子供は生まれないと孤独の人生を送ってきた自分と関羽が同じ生まれであったことが相乗効果となり、『やっぱあいつ俺の運命の女だったんじゃん……!!』となった曹操様は独占欲を極めまくる。十三支なんか要らねえ抹殺!とにかく自分と関羽を邪魔するものは抹殺抹殺!終いには「十三支と人間の混血。私たち二人だけの種族だ」とか言い出して、笑い転げたと同時に、哀れで可哀想で仕方が無くなった。同情である。

曹操の父曹嵩は十三支の女性を慰み者にして、出来ないと思ったら出来てしまって、好きでもない男の子供を身ごもって生んだ母は狂人となった。曹操は頭が良く聡いので、すべての状況を幼いながらに察していたのだろうなと。父を恨むことしか出来ず、母に愛情をすがることすら出来ない。そりゃあ受け入れてくれそうな猫耳の可愛い女の子が現れたらちょっと膝枕して寝かせてくれないかと頼みたくもなりますよ。一度も与えてもらえなかった母性与えて欲しくもなりますよ。ちょっとぐらい触らせて上げてくれ関羽。

孤独で、誰かになりたくて、でも誰にもなれなくて、そんな自分の気持ちの落とし所が「人間でも十三支でもない」。自らの耳介を切り落として人間に擬態して、正体を知らずに評価されるごとに自分は一体何者であるかを突きつけられたのだろうか。曹操はずっとこれだけを支えにして生きてきたんだろうなと思うと……恐怖と悲しみと歓喜で震えた。

「私がお前のことを大事に思うのはなんらおかしなことではない。
頼む、私を一人にしないでくれ……。
もう十三支たちに心を寄せるのはやめて私のことだけを考えて欲しいんだ……!」

いやそら経緯を考えたらおかしな事ではないですけども、自分のことだけ考えてほしいから他の十三支を殺してしまえホトトギス状態になるその思考回路の突拍子もなさと振り幅の大きさが凄い。ただこれは曹操が耐えてきたものの重圧のようにも感じられた。圧力が大きければ大きいほど反発も大きい。

「ひとりの時は大丈夫だったが、私はお前を知ってしまった……。
もうひとりにはなれない!」

そらそうでしょうね……これほどみっともなくて可哀想で、でも何よりも正直な愛の告白もあるまい。曹操の聡明でいて不幸なところは、孤独だった自分が孤独じゃなくなった瞬間に、孤独に戻るところを想像してしまうところだよなと。『孤独じゃない』というプラスを知ったことにより、それまで大きさがわからなかった『孤独』というマイナスのサイズを測ることが出来てしまったところだろう。頭の回転が早いから、自分が孤独になる要素がちょっと考えただけでもわかるし、残念なことに権力もあるから、それを完全排除するための行動をすることも出来る。本当に困ったもんだ。

一方で巻き込まれた主人公・関羽さんは、曹操はそんなこと言ってるけど私個人が大事なんじゃなくて混血が大事なんじゃないのか……?と疑問を持ち始める。これほど混血がどったらこったら言われてたらそうなりますよ。
曹操のスイッチは確かに主人公が混血であることだった。でも自分は曹操のスイッチが入るきっかけが、主人公への思いじゃなくて『混血』だったところがとても良いと感じていて。それは曹操をずっと苦しめた要因だと思っているからなんだろうなと感じるからだ。主人公への思いがあったにせよ、主人公への感情が引き金ではないのに主人公に執着するのはすごく好ましい。
しかし呂布でさえわかっていて関羽もスイッチが押されてからとはいえ理解できた曹操の孤独の意味が、曹操自身が全く理解してないところがとても良い意味で物語をややこしくさせる。

「しかもだ、同胞に出会えただけでも奇跡なのに、私とお前は性別も違っていた。
つまりそれはどういうことかわかるか?
私とお前は生まれながらのつがいなのだ。私とお前の二人だけが、同じ種族としてこの地上に陥とされたのだからな」

わけのわからない方程式を編み出さないでくれ。わかるか?とか聞かれても困る、わからん。
こんなわけわからんことを言い出す曹操様は自分が孤独であるということを、「十三支でもない」「人間でもない」と考えていたことに起因している気がする。故に、どちらにもなれないから孤独である。しかし自分と同じどちらにもなれていない存在である関羽が現れたから孤独では無くなった。……果たして本当にそうなんだろうか。いや曹操様にとってはそうなんだろうけれど。
では、どちらかが満たされている人は孤独ではないのかというとそうではない。人間であっても十三支であっても孤独を感じている人はきっといる。曹操にそれを学ばせてくれる人が一人でも居ればよかったのだろうが、この歳になって唯一現れたのが関羽だけだったのが引きが良いんだか悪いんだか……。でもそう紐解いて行くとこのわけのわからない方程式も少しは理解できるような気がする。納得は出来ないが。……あともしかしたら出てこないだけでまさかの混血3人目が出てくる可能性も考慮してよ曹操様……。

これがわからないんだったら閉じ込めるしかないな、とわからない言動にさらにわからない言葉を重ねる曹操様。薬も盛られてギリギリのところを自傷して気を保ってなんとか逃げようとする……ところを髪の毛引っ張られて捕まえられた。ここまで来ると壮大な押し問答で、関羽も関羽で切迫しているし、寄り添いたいと願っても話聞きゃあしないし、会話にならないしでとても不憫だった。この時の「あなたには混血でも何でも無い、ただのわたしを愛してもらいたかった……」っていう発言を理解してもらえないししようともしないところがとてもツボった。関羽からすれば「混血だと知らない状態でも好きになった」と説きたいだけなのに、「好きになったのは混血という運命」という変化球が返ってくるからキャッチボールにもなりませんよ。……結局曹操様は全部滅ぼして孤独になった関羽を手に入れる!とか高らかに宣言していてとんでもない暴投を投げていた。

ぼろぼろになりながらも袁紹軍にいる猫族の元へ帰ってきた関羽。一方曹操様は、最終決戦で50万もの兵を引き連れて関羽を奪いに来た。私の生まれ故郷の人口を10倍してもまだ足りない人数に涙が止まらない。この騒動につきあわされる兵士の気持ちを考えると切なくなる。
そんな私情に権力を挟みまくる曹操だったが、袁紹に罠を掛けられ、関羽が毒薬を飲まされ解毒薬がほしければ、そして曹操が十三支との混血であることをバラされたくなければ言うことを聞け!と。ラスボスとしては物足りない器の小ささだけど、正直袁紹様のナイスアシストっぷりは趙雲ルートで学んでいたのでこの辺りはどう転ぶかワクワクしながら見れた。

武器を捨てろ、殴られろ蹴られろ、極めつけには主人公に刺されろ。出来るわけ無い訴える主人公の手を掴み、わざと刺される曹操様。
曹操様は十三支ということをバラされることは別に大したことではなく全く響いて無い様子だったのは笑った。どっちも嫌いらしいからバラされたところで双方大ダメージなだけだろう。逆にそれは曹操にとってはざまあみろな展開になるような気が。

ラストは感動もしたのだけど、曹操様の本質は結局変わらないような気がしてならない。血に囚われていた曹操様に、最後に血は関係ないと草兵が矢の盾になって救うところは、それまでの主人公が曹操軍に居た頃の立ち回りも伏線となって上手いし綺麗な流れだなと感じた。それを受けて曹操も「十三支でも混血でもなんでも良いから愛してる」と回答するんだが、私にはどうしても本質が変化したようには思えない。
曹操は最初から関羽のことはちゃんと愛していたと感じていた。それでも自分の今までの孤独への要因が満たされて解決したのだと勘違いして暴走した結果なのかなと……。混血はトリガーであり記号でしかない。曹操がずっと囚われてきて孤独であると信じ込んでいた『混血』という要素を持っていたからスイッチの入り方が激的でここまで壮大で勢いのある暴れ方をしたけれど、たとえ関羽がただの十三支でも段々雲行きが怪しくなって結果心配で独占したいから閉じ込める!みたいなことになるのではないかと。
エピローグで「私は色々なものから解放されたが、同時に、お前に囚われたようだな」とか言ってくれるのだけど、最初っからそうだったじゃないか……としか言いようがなかった。最初っから孤独にしないでくれと縋っていたじゃないか。嫌っていた十三支なのに関羽だけに執着していたじゃないか。
曹操様が最終的に学んだのは「人間」も「十三支」も自分を孤独にする要素じゃないということだけで、それが取っ払われて、今までその裏に隠れていた「主人公」が表に出てそこにシフトしただけなのでは。最初から主人公に執着していただけなので、例えば誰かの策略でやはり十三支が主人公を連れて静かに暮らしたいみたいな情報戦の罠に引っかかったら、大暴れした上で監禁ぐらいは平気でするんじゃないだろうか。話し合いで解決しようとか、それまでの十三支たちの言動で判断しようとか一切思わず関係すら絶ちそう。そんな危うさを秘めたままだと感じている。

……いや、まあ……そこが好きなんですけどね。
だから根本的にも本質的にも何も変化したとは感じられなかったこのお話が猛烈に好みでした。でも変化しなくて良かったんだ。本質なんて並大抵のことでは変化するものでもないとは感じているし、私は曹操様の一番の魅力はそこだと感じている。孤独しか知らなかった男性が孤独じゃないことを教えてくれ幸福を与えてくれた女性に執着しないわけなんて無いんだ。もっとやれ。もっと振り回してくれ。


だからBADENDは猛烈に好みだった。孕ませED大好き。もうこれこそ曹操様の真髄!って感じで正直TRUEより興奮していたかもしれない。
十三支も何もかもを滅ぼして、精神が壊れ人形のようになった主人公を孕ませて子供の誕生を待ち望む曹操。

「ふ、結局私もあなたの子でした。あなたと全く同じことをしています。
……でも、これが正しかったのだ」

後悔も無く、笑顔を見せてこれを言う様子は、とてもBADには思えなかった。なんだーめっちゃ幸せそうじゃん。
実際曹操は幸せなのだと思うし、価値観はその時その人の感情で揺れ動くものだと思っている。主人公にとってはBADかもしれないが、曹操にとってはHAPPYなのだろう。この世で二人きりだと思っている人と子供を成せたとわかったとき、滅茶苦茶喜んだだろうなあ……その様子も見てみたかった。権力振りかざして自分の思うままにやりたいようにやって欲しいものを手に入れた。心は手に入らないけれど、ま、そんなことはどうだって良いんだろうなあ。
手に入れて失敗したと後悔しているなら見方も変わったのだろうが、後悔しているどころか幸せな様子を見て、最後まで私を振り回してくれたと拍手を送りたかった。曹操は、自分の根本にあるものが『混血』ではないことに無意識的に理解していた居たんじゃないのか。BADではそのことに気づかないまま終わっただけで、曹操の本質が遺憾なく発揮されたEDだったように思えてとても興奮した。自覚が無いのが質の悪いところなんだけど、それもまあ曹操様のチャームポイントみたいなもんですよここまで来たら。
しかしこのENDは呂布の予言通りに一人寂しく誰からも愛されずに死を迎える事になりそうなところがまた廃退的な美しさを感じる。そんなところを全部含めてもう悶え転がって萌えを通り越し痛みすら覚えるほどの良いENDでした。暴投がフェンス超えてスコアボードにぶつかってスタンドインした感覚、ホームランじゃないけどホームラン。


いやー……しかし………関羽さん……ちょ、趙雲じゃなくてよいのか……?
今の所曹操様最萌の私でも、こいつやべえな、とは感じている。趙雲ルートが理性の塊の真っ当な方だったのでその反動が凄い。主人公がボロボロにされても曹操が好きだというのだからあれだけど、このルートでも趙雲はまばゆい光を放っていた。その光をすべて吸収するブラックホールが存在していたが。
でも自分は唯一無二の人を見つけるお話が好きだし、唯一無二の人に狂う話も好きだし、唯一無二の人のために世界なんて関係ねえと他人を巻き込みまくる話が大好きなので何もかもをムシャムシャ美味しく頂いていた。見た目も中身もダントツで好みな男性に出会えてとても嬉しい。

曹操様が主人公が混血であると知った時の反応で意外だったのは、曹操様が欲していた立場を持っていた関羽を恨んだりせずにいた事。関羽も関羽で孤独は感じていたのだろうけれど、十三支たちに囲まれて幸せに暮らしていたし曹操が満たされなかったものは満たされていたので……そこで曹操が同じ立場なのにお前だけ満たされててずるい!むかつく!ってならなかったのが意外だった。でもそうならないのは当然のことだった……前述したとおり曹操自身が孤独の意味を勘違いしているから。十三支でも人間でもないから孤独であると信じ込んでいるから。いや、曹操がそれが孤独だというのならそれが正解なんでしょうけど。
もし曹操が一度でも誰かに愛されたことがあったなら、関羽への感情は反転していたのだろうかが少し気になる。

あと背面立ち絵ですら人間の耳が見えずそれに猫族の耳があった部分を隠すようなキャラデザはそういうことだったのかと。デザインうまいなあ。一度バレてしまったら二度使うことは出来ない演出だけど、だからこそ衝撃度合いも高くて楽しめた。


私は絶対曹操様に惹かれると周りのいろんな人に予想されていて、案の定ホールに吸収されてしまったわけですが、予期してくださった皆々様に多大なる拍手。大正解!!
あけましてハッピーニューイヤー!
昨年末あたりからちまちま進め、正月休みが終わったら感想を書こうとポンコツ頭がすぐに思い出せるようにスクショを撮りまくっていた。いざ感想を書こうと確認したら要点のシーン以外でもスクショを撮りまくっていて、一体何の感想を抱いてこのスクショを撮ったのかわけのわからないことになり、我が事ながら大変困っている現状です。6割くらい呂布の会話なんだけど、感想書くためというよりお前の趣味じゃないかこれ……でも呂布はいいキャラしている、多分最後まで呂布のスクショを取り続ける事になりそう。


●張飛
助けて諸葛亮……。(1では出てこない)

現在は二人攻略した状態だけど、この張飛ルートを攻略してる状態からもう十三支のみなさんが流れに流されいろんな奴らに利用されてこねくり回されてるのを見て、そりゃ今まで隠れて暮らしてたから情勢知らないのを考慮しても徐州での流れは正直もう「呂布さん!ヤッちゃってくださいよ!」と敵側に肩入れするわけのわからない気持ちになっていた。
腕っぷしは確かに強いのだろうけど、それをコントロールするブレーンが居ないから利用されているのは理解できるし、そんな時代という濁流に流されているところを見るのも楽しめてはいるが、まだ見ぬ諸葛亮に助けを求めてしまうぐらい綺麗に罠に掛かる……掛かり過ぎる。一体何回劉備人質取られてるんだ。人質専門要員か劉備は。

そんでもってそんな指示系統がすっぽり抜け落ちている関羽軍団でも張飛ルートは極めて酷かった。
張飛ルートに入るために関羽の沸点を0℃にしなければならない選択肢を選ぶところも多少なりとも辛かったが、徐州で趙雲と関羽が出かけて留守を任された張飛が、趙雲に嫉妬して二人を追いかけて主力武将三人が徐州から叩き出されたところを呂布に乗っ取られるのは怒りや呆れを通り越して笑い転げた。
このシーンの凄いところは、そんな張飛を関羽が怒髪天を衝く勢いで何やっとるんじゃお前は!って怒って叱り、物語の流れで仲間になってくれた趙雲が「張飛を責めても何にもならない」となだめ、関羽に雷落とされてグズグズ泣くでかい図体した男性をこれまた趙雲が「一番悪いのはお前じゃなくて呂布だから」と慰めるのである。


もう……もう趙雲でいいじゃないか……。

というかこれを見せられて趙雲に転がらない関羽がすごい。私はもう光の速さで趙雲に転がり落ちた。転がり落ちた時にぶつけたあちこちで全身打撲状態だが、趙雲なら受け止めてくれるのだ。こんなに十三支のことを考えて危機的状況の場を取りなしてくれる十三支と何の関係もない男性に惚れないルートじゃないことに驚いた(いやもしかしたらあるのかもしれないがこのルートでは明かされなかったから無かったも同じであろう)。趙雲が張飛を宥めるシーンは、母親(関羽)に叱られて泣く子供(張飛)を宥め次にどうしたらいいのか導く父親(趙雲)のようであった……。もう趙雲でいいじゃないか。絶対良いパパになるぞ。なんでこれ趙雲ルートじゃないんだ。なぜだ、なぜなんだ。

いやしかしここから張飛が盛り返すシナリオならそれもまた面白いなと思っていた。これだけ格好悪いところを見せたのなら、成長して男らしく格好いい姿を見せてくれるのだろうこれはきっとその助走なのだそうだきっとそうなのだ……そんな期待を寄せる私を、張飛は殴り飛ばしてきた。
徐州から放り出されて困った三人は、敵対していた曹操に援軍を頼むことにした。曹操は関羽が自軍の武将になるならと取引を持ちかけ、関羽は張飛にその取引内容を明かさずに曹操の協力を得ることになったと伝える。そこで隠し事するなよという意見が湧いてくるのもわかるが、隠し事せずに趙雲と出かけて来ると言ってあのザマだったのでここでこの事実を隠さざるを得なかった関羽の気持ちもわからなくはない。隠しても隠さなくても同じ道をたどるんだったらとりあえず現状穏便に済む方を選ぶのもわかる、急を要する状況だったし。結局落ち着いた後にこのことを告白するから、タイミングは悪かったにせよ関羽の行動に糾弾すべき点は無かったように私は感じた。

なんやかんやで張飛が覚醒して暴れまわって呂布を倒した所、なぜか帝にあぶねーやつ認定された張飛には討伐命令が下され、張飛は逃亡生活に入る。関羽は約束通り曹操のもとへ行く。急に出てきた帝とやらの命令は絶対だ、っていう点は違和感を覚えたけどそれはまあいい。
関羽はとある山賊の討伐を任されるも、罠に嵌められたと思ったらその山賊はなんと張飛だった。山賊認定されてたけど、実際は難民を率いて生き残る術を模索していたらしい。そこは別にどうと思うことも無かったが……ひどいのはここからである。

主人公が曹操の愛人になったという噂を聞いて、張飛がなぜかブチギレているのである。
せめて恋人同士だったら裏切られたとキレるのもわかるが、家族同然とはいえ付き合っても居ない勝手に想いを寄せていた男が他の男のものになったと勝手にキレているこれは一体なんなんだ。なんでこいつは勝手に裏切られた気になっているんだ。どうしてこいつは彼氏面しているんだ。そもそも関羽が曹操のもとへ行くことになった原因は何だ、それを踏まえてキレてるのか、つーかなんでキレとんねん。そもそも猫族を離れなければならず、自己を犠牲にして曹操のもとへ行った関羽の気持ちを少しでも考えたことがあるのか。あと張飛の軽率な行動のせいで呂布に殺された人たちのこと思い出してそれでもキレるというなら歯を食いしばれ。誰も殴らないなら私が殴る。

しかしそれを受けて関羽の何の心に響いたのか、離れていて存在の大切さを知ったのかわからないが、ずっと張飛は思っていてくれたんだ……と胸をときめかせるのである。

……助けてくれ趙雲。もうどうしたらいいんだ。

どこに張飛に惹かれる要素があったのか。自分が忘れていた約束を大切にしてくれていたからという点を考慮しても、忘れている時点で主人公にとってはそんな重要じゃなかったように思う。周りを見ず、相手の気持ちを考えず、自分がした行動で失われた命があることを忘れ、相手からの気持ちがないと駄々をこねる……結局張飛は最後まで見事に子供のままだった。約束を交わした幼少期となんら変わらない。つーか約束を忘れられたのなら何度でも覚えてもらえるぐらい結び直すぐらいの意地ぐらい見せんかい。

その後なんやかんやで曹操の手から逃れて張飛と結婚する時に親代わり?の世平が「早まってないか?本当に大丈夫か!?趙雲のほうがよくないか?」と言っていた。貴方は私か?


感想に落とすと私もかなりの勢いでキレてるっぽくなっちまいましたが、実際は笑っていた。ここまで恥部を晒してさらに違う恥部を見せてくれるので、いっそのこともっと見せろむしろ全裸になって踊って見せろと手拍子するぐらい変なテンションになっていた。
張飛の良い意味で無邪気な点は好ましく思っていたのだけど、この情勢だと悪い方向にしか行かないとは思っていたし、実際悪い方向に行っていたのは正直なところかなりしっくり来ていた。しかしそれが恋愛的な意味でも悪い方向に突っ走るとは思わなくて、私は大きな声をだして趙雲の名を呼び助けを求めるしかなくなったのでした。


●張遼
脳筋選択肢を選ばなくていいだけで結構心が軽くなっていた。十三支演義は選択肢次第で主人公の思考が性格上逸脱しない範囲で変わり、それに伴い周りの対応も変わるので、そういう意味でも楽しめた。

張遼は感情不明の正体不明なミステリアス部分がウリで、それが主人公とのやり取りでどう変わるかを楽しみにしていたんだけど、正直張遼が主人公と交わしたエピソード程度では主人公に惹かれる理由は納得までは行かなかった。そもそもここで変わったと強く心に残るエピソードが無かった時点で、未だになぜ張遼が主人公とのやり取りだけで心を育てられたのかが理解出来なくて。
主人公が呂布のお気に入りという点において、張遼自身が一番人間と多く触れ合えるのが関羽だけだったからだと納得させるに至った。

それよりもなによりも私が呂布を好きすぎる時点で、正直張遼とのかかわり合いより呂布とその他諸々による行動を楽しんでいた気がする。呂布の「主人公を手に入れたい」という意志が強いのでそこが色濃く出ていたし、それが物語を動かす大きなきっかけにもなったので、そりゃ張遼とのイベントがおぼろげになってしまうわなと自分自身妙な納得をしている。

張遼の正体も、呂布に作られた土人形ということで、大方の予想を裏切らなかった。貂蝉もその類だと思っていたら、どうやらこちらはもとは人間らしい。そこを呂布に見初められたというのは本当に呂布はいい味を出しているなと、ただただ私の呂布に対する好感度が上がっていくばかりだった。呂布の正体については妖怪かなと思ったら、仙女だった。どうして呂布が仙女なのかの始まりは明かされなかったけど、それは私が呂布を好ましく思っているからで、あくまでも一サブキャラ以上ではないので明かされないことに不満は感じなかった……けど知りたかったなー。

張遼が人間らしい感情を芽生えることで、自分の好みではなくなり元の張遼が不要になった呂布は新たな張遼を作る。女を好む呂布がなぜ張遼だけは男として作ったのかはちょっと疑問だけど、やはりこの時代だし男手が必要な部分もあったのかなと。一方で貂蝉も呂布に隠し事をした時点であっさりと切り捨てるシーンは猛烈に印象に残った。自分本位で自分の思うがまま、欲望の求めるままに突き進む、そしてその力が呂布にはある。恣(ほしいまま)という言葉のとおりに在る呂布の姿は私にとってはただただ魅力的に映った。

関羽を庇ってボロボロになった張遼と愛のパワーで呂布を倒すシーンはなんだか物足りなさも感じてしまったし、ここで大した策もなく最強最悪だった呂布が倒されてしまうことが、呂布にふさわしい引き際なようには感じられなくて少し悲しかった。もうほんと乙女ゲーとしては感情移入するキャラクターを間違ってはいるんだけど、呂布は本当に魅力的なキャラだったので、倒され方にもこだわりがあったらなあと感じざるを得ない。これは張飛ルートでもそうだけど、呂布は不老不死なのになぜやられたのかは普通に疑問。愛のパワーか。
いずれのルートにしても桃源鏡が壊れているのでそちらが呂布の本体だったと考えるのがよさそうなんだけど、なんかそれだとなぜ仙女扱いになるんだとわけのわからない疑問が湧いてくるけどそこ突っ込んでも答えでなさそうなので……。

まあ呂布に関しては私の呂布への強いこだわりなのでそれはまだ良いんだけど、張遼ルートで一番引っかかったところがある。
心を通わせた張遼と、新たに呂布が作った張遼と。呂布が自分の思い通りに行かないことを怒り狂って後者の張遼に八つ当たりをしているところを見殺しにして前者の張遼と逃げる所。後者の張遼は主人公と出会う前の張遼なだけで、本質的には何ら変わらない。この張遼だって、学べば心を育てることが出来たかもしれない。だからここで助けに行かなかったことが、主人公が教えようとした人間らしさとは真逆を行っているようである意味ゾクッと来た。張遼自身にとっては自分と同じ立場の土人形なのに。
主人公が言う人間らしさというのは相手が何者であっても思いやることであって、それは土人形でも同じことなのでは。ここであっさりもうひとりの張遼を囮にして見殺しにするシーンは、呂布が笑いながら人を斬り刻むシーンよりも恐ろしかった。自分が大切にしたいものだけを大切にして、そうでないものは切り捨ててもいいものだろうか。まあそれもある意味とても人間らしい部分ではあって面白みもあるんだけど、随分と独善的だな、と感じてしまった。でもそれは、強弱はあるにせよ呂布が行っている行動と根本的には変わらないのでは。だから私には自分の思うままに突き進む呂布のほうが筋が通っているように見えるんだよなあ。

ラストは桃源鏡を使って自分の命を半分分け与えて張遼を生かすんだけど、それこそ呂布とやってること変わらない。自分の命を犠牲にして相手を助けたいという尊さはあれど、怨念籠もった呂布の断末魔のほうが人間らしくて響いた。


なんかもうこれ呂布の感想なのでは……。
いやもうここまで語ったら最後まで呂布の感想で締めるけれど、呂布の己の欲望に忠実なところこそが人間らしさの極みって感じがして楽しかった。そもそも人間らしさってなんやねんって話になるけれど、人じゃないものに人らしさを与えるなら良い面も悪い面もあること教えてほしかったなと。そんなテーマじゃないと言われてしまえばそれまでなんだけど、呂布という強烈なキャラクターが居たからこそ、張遼ルートの『人間らしさ』の描き方が気になってしまった。




もうここまで簡単に猫族操作できるのなら、ちゅーるでもおびき寄せれるんじゃないかと思っている。それだけ面白い具合に超簡単に周りの軍に操作されているけれど、前述したとおり山奥で静かに暮らしていたただの部族の一つだと思えば結構納得できている。
あとびっくりすることに私はオトメイトのゲームにはどんなに話がむちゃくちゃでも萌えだけは外さないと感じているのだけど、このゲームでは戦況や話の流れが面白くて萌えが一切得られていないのがびっくりしている。スイーツを頼んだらタコわさびでも出された気分だ。どちらも好きだから良いのだが……。
とにもかくにも次は私が転がり落ちた趙雲ルートなので、願わくばどちらも得られると良いな。
31 2018

2018年望月経歴

毎年大晦日にその年攻略したゲームを月ごとに書き連ねたりしていたんだけど、正直めんどくさくなった上、今年は全然ゲームをしなかったのでやめることにした。年々体力の衰えを感じている…………それもそのはず、来年でこのブログも10周年こと小学4年生になるからです。なんともうそんな年になったんですね、数年前始めたばっかりの感覚が残ってるのは、私の脳内が高校生ぐらいからまるで成長していないからだろうか……。


そんなことはともかく、毎年どのくらいゲームを攻略するか目標を立てていたんだけど、こればかりは反省を含めて振り返りたい。

<2018年の目標>
・男性向けエロゲー積みゲー 2本 【残り1本】
・BLゲー 3本 【残り2本】
・乙女ゲー積みゲー 4本 【残り2本】
・ADVじゃないゲー 1本



あーもうやめだやめだ。

目標ってなにか知ってる?って問いたいぐらい何も出来てないじゃねえかあんた……自分でびっくりだよ……。昨年体調を崩してそのまま引きずったのを鑑みても積んであるゲームぐらいは崩そう。どんなに丁寧に歯を磨いてもどこかしらの歯が欠けたりしてるけど、その歯医者と同じようにゲームにもお金かかってるから。私に提供されるのが歯の健康か私の笑顔かぐらいの違いだから。どっちも大切だから。
いやしかし毎年高くもなんともない目標を立てては買っては積み買っては積みを繰り返しているのでもうやめだ。そもそも新しもの好き飽き性な道産子気質もあって唾を付けては「これじゃないな」みたいな全く味のわからないソムリエみたいなことをエンドレスリピートしている。私の最悪な口内環境は日々求めてる味が変わる質の悪いランダム要素が満載なのでもう来年の目標は立てないことにしました。

ときメモGSみたいに総評として今年一年を振り返ると、今年はゲームをしない代わりによく映像を観たな……。
アニメだったり映画だったりバラエティだったりドラマだったり。アニメ以外は毎週追って見ることが一年のうちでも1本あるかないかなので、ここ数年観ていなかった分まとめてみたような感じで新鮮でした。
ハイパー個人的などうでもいいことを語ると、ずいぶん昔に華ヤカの感想を書いてる時に「腹違い兄弟対抗チキチキ次期当主レース」と自分で書きながら『このチキチキってどういう意味なんだろう、なんで私はチキチキって打ったんだろう、ゴロが良かったからだろうか』と思いながら長い間放置していたんですが、最近ガキの使いをまとめて観まくっている時にコレダーーー!!って気づいて、一人スッキリしてました。ガキ使のチキチキの元ネタと言われているものもあるらしいです。またどこで使ったらいいかわからない知識が一つ増えた……。


オススメのゲームを教えてくださった方、本当にどうもありがとうございました。そして大変申し訳ございません……プレイしたいリストには突っ込んであって後は私の口内環境次第なのでどうか気長にお待ちいただければと思います。
そして地震時に安否確認のご連絡をくださった方、改めて本当にどうもありがとうございました。発生当時は体感したことのない揺れに「これは地球のアトラクション」と唱えることで恐怖を紛らわせてましたが、電気や諸々が復旧後に確認したとき、頂いた優しさは身に沁みていくようでした。

とりあえずゲーム欲はちょっとずつ湧いてきたので来年も気の向くままプレイしていきたい。またやる気はなくすかもしれないがその時はその時だ。

それでは皆様、健康で良いお年をお迎えください~!
プレイ前感想を書くかどうか迷ったんだけれど、多分シナリオで大きく感想が変わりそうだなあと思ったので、今の段階で各キャラに対してどう思っているかを記して置くことにした。と言っても現在、張飛ルートの終盤まで来ているんだけど、この人は予想通り私の感想が全く変わらなかったのでオッケー。

シナリオに関しては特に引っかかることもなく楽しめているし、猫耳については発売当時は引っかかって居たけどもうかなりの年月を積み重ねたので大抵のことはどーでもよくなるもんだ。これでにゃあにゃあ言われたら猫耳喫茶演義とでも勝手に改題しようかと思っていたんだけどそのようなこともなく、今のところは人間と一見して区別するだけのただの身体的要素だったので自分もそういう意味で捉えられている。

引っかかってるのはゲームシステムなんだけど、桃園システムも旅システムもバトルシステムも今の所全部いらないっす……百歩譲って桃園システムは好感度調整のために必要なものだと判断しても、旅システムとかはもはや歩いてるだけやんけ……。
旅システムも千歩譲って演出の一つだと捉えても、バトルシステムはもう「よ!いつものオトメイト!」と怒り狂って叫びたいぐらい簡素なシステムだった。介入システムは選択肢でも十分だし、タイミングシステムはこれがカラマリのあのシステムに利用されたんかなーと複雑な気持ちになった。わーいタイミング良くボタン押すの楽しいーとプレイヤーが思うと感じて制作陣はこれを付けたのかと小一時間問いたい。
中途半端につけるぐらいならADVだけにしてほしいとオトメイトのゲームをプレイするたびにひしひしと感じている……。いや、宣伝する上でウリが必要になるのかもしれんけど、でもさあ……これはなあ……これウリになるんすか……?


以下より攻略前キャラ雑感。

●主人公(関羽)
長毛の髭のオジサンが見事猫耳の可愛いお嬢さんに大変身。私がこの作品で一番受け入れ難かったのはこの子なんだけど、よくよく考えれば一騎当千とかもセーラー服でパンツ見せながらおっぱいの大きいオネエチャンが槍を振り乱したりしてるので、それを受け入れてるのであればこの子を受け入れられないはずはないと思った。プレイしてみたら10分も立たないうちに慣れた。やはり食わず嫌いはいかんですね。
主人公らしくいろんな人からの矢印を色んな意味で受けているのだけど、三国志演義という物語を考えた時に関羽を主人公にしたのはとても効果的で正解だなと感じた。あと作中でも屈指の武力を持っていてときめいた。
OPが高垣彩陽だったため、私の脳内でも彼女の声は高垣彩陽になってしまっている……。(OVAは赤﨑千夏さんでした)

●張飛
その露わになった大胸筋を見て脳筋っぽいなと思ったらほぼそのとおりだった。キャラデザで筋肉見せたがりのキャラはそういうところあるある。かっこいい所が来るのかと思ったら今の所萌ポイントなんだろうなと思うところで全く響いてこない状況なので、相性もあるのだろうが……それはまあ個別シナリオ感想で詳しく語りたい。
一行で語ると徐州での行いは一周回って私を笑顔にさせ、趙雲の好感度だけが爆上げになった。

●張遼
CV遊佐浩二というだけで身構えるけど、なんとなく勘で、幸せになりたがりタイプっぽくなりそう?
正体不明な感じが魅力的だし、私の愛しの呂布様(後述)の部下ということもあって、私自身の彼への好感度も高いのだけど、その他の奴らが結構滅茶苦茶やってるんでインパクトがなく印象が薄れている。登場シーンも今の所多くないので。
私は狂いかけの綱渡りキャラが大好きなんだけど、彼はなんとなーくそれっぽくて、それを主人公が治療しそうだなあ……いやそこが乙女ゲーの醍醐味でもあるので、もしそうなれば楽しみたい。外れてもそれはそれで。

●趙雲
誰がこんなまともな人呼んでこいって言ったんだ……呼ばれた方も困るだろ……。
成り行きで猫族についていく事になっているけど、何が起きても常に冷静でかつ嫌味がなくきっと裏もなくこの乱世を生き抜く聖人。あまりの巻き込まれ具合に、「なんかほんと……助けて頂いてすいません」と感謝よりも先に謝罪させてほしい気持ちに駆られる。
自分はあまりこういった聖人タイプは好きにならなさそうなんだけど、十三支演義内では珍しいタイプっぽいのでそういった意味で楽しめそうな気がしている。

●曹操
この人も幸せになりたがりタイプなように感じるんだけど、それを自覚してなさそう。私はプレイ前から色んな人から「曹操を好きになる」って言われてたんですが、ほんとに今ん所攻略対象では一番曹操が好きですね……多分プレイ後も感想が変わらなさそうな雰囲気がする。あと周りにどれだけ好きなタイプダダ漏れてるんだ……。
合理的で非情で、幾多の作品で描かれてきた三国志演義の曹操のお手本タイプでもあるんだけれど、そこがどう十三支演義らしく色をつけてくれるのかとても楽しみにしている。思いっきり主人公(と私)を振り回してくれ。

●夏侯惇
話し合い等で誰かに挑発されるたびに「こいつマジムカつくんで切りますか?」と刀をちらつかせては曹操にステイステイされていたのは笑った。魏軍お約束の流れなのかそれは。
張飛とはまた違った愚直さなんだけど、種類が違いそうでそこは楽しめそう。あと主人公たち猫族をこき下ろしてくださるけど、そんな彼を主人公という沼に叩き落とすところが乙女ゲーの醍醐味なのでそういった意味で超期待している。主人公がいないと生きていけない身体になあれ。

●劉備
ショタコンの私は彼が15歳と聞いて、なんで15歳でこんな幼いんだと驚く夏侯惇たちをよそに落胆していた。15歳いったら中学生じゃないっすか、誕生日によっては高校生だ。とはいえこれも物語の謎の一つなんだろうし、そういう物語の根幹的な意味ではとても楽しみにしている。張遼同様、CV石田彰氏に軽く怯えている。色んな意味で不穏な空気を感じている。……まさかこのまま純真無垢な少年のようなキャラで行くまい。もしこのままのキャラで行ったらそれはそれでよくチャレンジしたと拍手を送りたい。萌えるかどうかはまた別だけど……。

●呂布
いや攻略対象じゃないけど語らせてほしい……今の所すべての攻略対象を差し置いて彼女が一番好きだ。別枠。別格。別腹。
なんと言ってもおっぱいがデカい、おっぱいがデカい、おっぱいがデカいところが最高だし、この本能の赴くままな狂気的なキャラクターも惹かれるし、それでいて去り際も美しい。極めつけに百合で自分とほぼ対照的な女の子を従えてるなんて最高じゃーないっすかあ!強くてエロくて頭おかしくてかっこいい、こういうキャラが昔から大好き。言葉の端々になんとなく見える矜持もうっとりする。乙女ゲーだから彼女の悪行が詳細な描写では語られなかったけど、そこが見たかった気がしないでもない……そんで色んな意味で抉られたかった。
このままヘタれた事を言うキャラが居たらどんどん攻め込んでぶん殴ってくださいよ呂布様ァ!!


シナリオをどう感じるか不安だったんだけど、三国志演義という下地があるからか今の所恋愛描写よりも戦の流れをめっちゃ楽しんでいる。でもそこが三国志ネタの旨味でもあるし、なんだかんだ乙女ゲーとしても楽しめたらいいな。
あと一緒に戦いたくなったのか三國無双のアプリをDLして同時進行で無双乱舞して楽しんでます。三国志ゲーをやると毎度無双をやりたくなる。不思議。