11 2011

瞬ルート クリア

笑顔を綺麗に凍らせるほどの悪意あるシナリオ


必死に生きたいと足掻いて藻掻いている人を、10人で叩きのめす素敵なシナリオでした。おかげで息もできない。
瞬がなにかを背負ってることは龍馬ルートでもわかりましたが、このルートで一気に明かされて、それが両手両足で殴る蹴るのルート(1週目よりもひどい)だったので、もう辛くて可哀想でたまりません。瞬でも神子でもなく、祟くんが。
瞬が神子を思う気持ちよりも、それよりも自分の命を保とうとする、『生きたい』という誰もが持ち合わせている強い意志を持っている祟くんの方へ一気に感情がなだれ込んだ。

瞬ルートは、幼なじみという補正を受けているので、それほど恋愛の過程が描写されていなくても、好きという気持ちは伝わってきた。過去のエピソードに頼りすぎな部分もあったけれど、それが逆に未来のない瞬に合っていてよかった。瞬にも祟くんにも、未来はありません。なので過去にすがるしか無い瞬の思いはなんとなくわかった。
逆に神子側も、幼なじみという補正を受けているせいで、瞬への気持ちが分かりやすかった。
初めてあったような人ならばわかりにくいキツイ瞬の指摘も、神子はそれが瞬の優しさや思いやりだと知っている。(と思っているのは私だけかもしれないが。神子はそう思ってないかもしれないが。)

瞬は未来がないから、神子に自分が居なくてもいいようにアレコレ指摘したりします。
それは当たり前だろ、ということから、過剰反応しすぎ、というものまで様々です。
でもそれは全部神子様のため、瞬も立派な神子様支持者であり、それは

たった一人の肉親である祟くんでさえも差し置いて

という現実に、PSPを持つ手がガタガタ震える。
手っ取り早く答えをいうと、瞬と祟くんは合わせ世の未来で生まれた星の一族です。
でも星の一族は神子を支える立場にあり、瞬と祟くんは神子を支えるために時空を超えて(どうやって超えたか不明)神子である主人公のもとへやってきたのでした。
しかし、神子が活躍するということは、瞬と祟くんが居た合わせ世が消え、二人のいる未来が消えるということ。
要するに自分の寿命を削り、自分の存在を消すために、わざわざ未来からやってきてくださった、自虐にもほどがあるだろうという立場でらっしゃった。

まさか命のかけらを削ってるのが神子様でなく祟くんたちだったとは、涙も枯れ果てる素晴らしいお涙頂戴シナリオです。
神子様なんてED超えたらピンピンしてますからね、もう一回時空跳躍でもする気なのか龍馬と飛行機乗りますからね。

これでどうして自分の命でなく、神子様を好きになったのかサッパリなのだけども、愛があればなんでも出来るといわんばかりに瞬兄は神子への愛を押し殺そうと苦しむ苦しむ。
一方で祟くんは、
このままでは自分の命が危うくて、自分の命を哀れんでくれている人はひとりもおらず、実の兄でさえも自分の敵で、何年も自分の命が消えてしまうのではないかと怯えながら、一生懸命自分の命が続くように、力の持つ神子を敵にして戦い続けている。
それでは自分の命以外の存在や生命が消えてしまっていいのか、という話ではありません。
しかしながら、誰も自分の命の状況を知らず、足掻く術はひとつしか見つからなくて、それに一生懸命奔走する祟くんは決して否定できる存在ではありませんでした。
(ふと十二国記の陽子のセリフ「誰も惜しんでくれない命だから、せめて私だけは惜しんでやるんだ」 というのを思い出した)

一方神子は自分の命をチョピットずつ削る代わりに時空跳躍できる、ハンデにも程がある能力が備わっている素晴らしい神子様なのですから、自分の命も存在も消滅することがほぼ確定な祟くんと比べると不憫すぎる圧倒的な暴力数です。

個人的にですが、祟くんは神子のことを恨んだり憎んではいたけれども、完全に嫌いだったかというとそうではないと思う。
神子を煽る行為はしていたけど、自分たちの状況をバラすという神子の同情を引く行為を最後までしなかったし、神子に有利で祟くんに不利な情報も話したりしていた。自分の行動を止めて欲しいのかなと思う行動もチラホラと見受けられた。

それだけに、瞬がたった一人の身内を捨てて神子への愛を必死に抑えているという状況に、ずっと抑えててくれ、と乙女ゲームにあるまじきことを考えてしまう。
家庭内不和でも起こしてるならまだしも、弟の命を捨てて自分は恋に爆走しようだなんて(いや一応抑えてたけど)、家族も大切に出来ないやつが何言ってやがるんだと、真相が判明した後は小指で鼻でもほじくりまわしながら恋愛イベントを冷めた目で見ていました。

そんな中、最終決戦前夜。
「暗い部屋にひとりでいると、不安で怖くて胸が押しつぶされそうになる」
と、とても二つの世界をブッ壊したとは思えない発言で瞬へ抱きつき甘える神子様には、あまりの不条理に耐え切れなくて、雄叫びをあげながら顔面にPSPを打ち付ける衝動を抑えるのに必死でした。
それで神子様は天海を一瞬で倒したあと(この時点で神子様レベル40)、瞬が居なくなった世界を目にしてようやく真実を知ってまたチョピット命を削って過去へ戻って「瞬兄を救う」とか絶叫するので、自分も「世界は神子様のもんじゃないんだ」と絶叫したい気持ちでいっぱいです。

そんな解決策も見出さずにただ自分の惚れた男の未来を変えたいが為の時空跳躍三週目、いつになったら神子様の命のかけらは削られるのかと(減っても増える親切設計、生命力に道道溢れている)全力で頭を抱えながら、最終決戦会場へ行くと、そこには祟くんが。祟くんは、天海は合わせ世を完成させるために現代に飛んだとのこと。
あ、天海さん、早く…!と(祟くんが)危機迫る状況の中、天海のところへは行かせないと祟くんが立ちはだかる。

そこでのやりとりに、滝のような血の涙が流れる。

神子「祟くん、そこをどいて!」
祟くん「ひどいよお姉ちゃん!せっかくボクが生きられるようになったのにそんな言い方するんだ。少しは喜んでくれないの?瞬兄だってこれで助かるんだよ?」
神子「……でも」

……でも!?
合わせ世が完成しなければ瞬も生きられないっていっとるやんけ!と両手で机をバシバシたたきながらも、神子には通じず、でも、と申される。これまで姉弟のように過ごしてきたはずの祟くんの命も、聖なる慈悲の御心で自分の世界を選択なさるお姿に、不条理とはコレだ、と神子様のフェイシングが胸に突き刺さる。

そこで祟くんがまた悲しそうに、

「やっぱり、そうなんだ。結局お姉ちゃんって、自分の好きなようにしたいんだね。龍神の神子とか、使命とか、世界を守るだなんて言ったって、やっぱり自分が一番大事なんだ」

というから、ごもっともでーす!としか返しようがない。

したらば瞬が唐突に祟くんを攻撃。愛しい人への愛は、家族の命よりも重い。
肉親のように接してきた神子と、実の肉親で痛みを分かち合ってきた兄である瞬にボッコボコにされた祟くんの切実なる一言。

「ボクは消えなきゃいけないの?生きたいとおもっちゃいけないの?どうしてボクだけ…そんなの……ひどいよ……」

穴という穴から血の涙が流れそうなぐらいのセリフに、祟くんの存在理由は全否定されたまま、天海との最終決戦。
無事天海をワンターンキル後、消え行く合わせ世と再び分離する世界の中で、祟くんはどんどん薄れていき、
「なにをしたってボクは消える…そういう運命だったってこと?」
という最後まで希望をぶっ叩く展開には、希望と絶望は表裏一体というような摂理を学ばせて頂いたのかもしれません。
祟くんが消える時には差し出さなかった手を、瞬には差し出して強く握るという展開が、祟くんの最期に花を添える。

最終決戦後は消えかけた天海が、時空の狭間に合わせ世の空間を作るというむちゃくちゃなことを言い出して、一体今までの行動はなんだったのか、プレイヤーの時間までをも時空跳躍して無かった事にする神子様には、トイレに駆けこんで便座に顔を突っ込んでこみ上げてくるような感情を与えてくださったように思います。
それが出来るんだったら最初っからそうしろと、天海に四神召喚したい気持ちを抑えながらのED。
ここまで徹底的に空気の不味いルートだったが、最後まで不味い空気を吸わされたまま、瞬の神子への愛・ポエムを聞きながら、テックアーツのアニメーション(※エロゲのスチルアニメ)のがまだ綺麗に動く、うごうごスチルを眺めED。

祟くんの行方は、未だ分からず。
(天海が作った合わせ世か、もしくは描写されていないだけで現代?それとも消滅済みなので……どれを取ろうが味方がいない。救いようがない)

こんなに祟くんを愛おしく思い、そして不条理とは何かを真剣に考える切っ掛けを与えてくださって本当に神子様は凄いと思います。胃から出すものがなくなるくらい。
逆にここまでされると、「わざとやってるんでしょう?」というシナリオには、お見事!と両手を叩くしかないです。

作中での瞬の一言、「あなたは素晴らしい神子だ」
これが脳内に焼印されたまま消えない。


次は、評判のよろしくないチナミさんに行こうと思います。
チナミは分かりやすいキャラに分かりやすい展開でここまで来たので、瞬ルートに比べるとサラッと終えてしまうかもしれない。
それより心配なのは、どのルートでも瞬も祟くんも消えるという事実が頭から離れないことです。真相を知りたいからと言って最初にやるべきではなかったかも知れないけども、それでも祟くんを思える時間が増えたことを良く思いたい。

遙か4の風早ルートをやったときは、あまりの大団円に、それでは他のルートはなんなんだ!(特に忍人)と憤りを隠せませんでしたが、今度はそれの逆を付いてきたので押し黙るしか無い。

遙か5は涙が必須なゲームなようです。(常時垂れ流し)


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全乙女が泣いた。


前回で拍手を押してくださった方、本当に有難う御座いました。
いつも数倍の拍手に、遙かはじめネオロマの不動の地位っぷりを思い知らされました。
さすが、愛され神子のモテカワゲーム!
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