全力で頭を抱える日記

おもに乙女ゲームの感想を中心に。ネタバレご注意。

22 2011

Diary 総評

零さんの人格修正ゲーム。

街へ行ってオタショップを練り歩いた時に、前から気になっていたDiaryを購入しほいほいとプレイしてみたところ、予想以上に上手くまとめられており、自分でも吃驚するぐらい萌えた。その前にやっていたゲームで地中深くまで沈んでいたことも要因の一つかも知れないが、それを差し引いても良い出来であったと思う。
このゲームはいわゆるヤンデレゲーで、一周目は必ずBADになるヤンデレ幼なじみの零さん(さんを付けずには居られない)を上手くなだめながら、幸せになる方法を模索するゲームです。
自分はヤンデレ好きなので、上手くそれと合致したというのもある。昨今とりあえず人を殺しておけばヤンデレ的な底の浅い感じなものに辟易してたので、久しぶりに乙女ゲーでガチで病んでる人を見れて心がうきうきした、まったくもってどうかしている。

その内容はというと、お前はカレカノの有馬かというぐらい少女漫画展開だった。
主人公が引っ越してきた日に、いじめられいた美少女を助けてその美少女が実は男の子で、母親を強姦魔に殺された上、実父は母親に盲目過ぎて零さんを育児放棄。当の本人は美少女と間違われるほど端正な顔をしており頭が良くドS。そんな零さんに温かな手を差し伸べる主人公と家族でしたが、いわゆる心の闇とやらは消えること無く、主人公への独占欲に塗れていく。
このゲームでの零さんの第一声が「(自分にはイチモツが)ついてるよ」というものだったのも非情に心躍るものだったが、美少女だと間違われ主人公にパンツを脱がされるというヤンデレとは程遠い展開から(乙女ゲーからも遠い)、幼少時代、小学校、中学校、高校と経て二人が成長するに連れて危うさをはらんでいく感じが、簡素なストーリーながら見事ツボを得ていて楽しかった。
一周目は主人公が古賀先輩というちょいワルな先輩を好きになり、零さんがガチ病みして周りの邪魔者を排除していく展開は、怖いというよりは定例行事な感じがして、展開が読めて底が浅いように感じてしまった。しかしながら二週目でそんな零の裏側、何故あっさりと人を殺せるのか、不安定な心を語られていて、読んでいて苦がなく零さんに感情移入出来た。

個人的ですが、私は主人公を傷めつけるヤンデレはあまり好きではありません。主人公を痛めつけてまで自分に向かせようという気持ちが既に相手より自分を優先しているように思えて、気持ちの入りようが本気でないように思えるからです。
まあでも結局は自分の為になるのですが、周りを排除しようとするならともかくまず主人公を痛めつけるような行動に出るキャラはヤンデレなのかなあと疑問を感じてしまう(余談ですが、相手の立場を考える余裕がある場合もヤンデレではないと思っている。例:すみれの蕾のハル)
だから一周目は納得が行かない上、底の浅いヤンデレだなあ(深いのがあるのかどうか分からないが)、と思いながら二週目に入りました。で、前述したとおり、零が簡単に人を殺せる理由、一周目で無差別のように思える殺人にもきちんと動機が存在したことを明かされます。それは主人公を独占したい、という気持ちだけでなく、零の生い立ちにも関係しておりすごくよく納得できた。

しかしながら、結構お下な話もするする出してきてびっくりした。冒頭のついてるよとかパンツ下げだけではなく。
幼い頃から一緒なためか、結構ディープなネタというか、生理ネタを出したり、零さんと付き合うようになったら父親から性交渉の時は気をつけろ、という話をされるとは思わなんだ。でもこういうのがDiaryの味であり、わりと嫌悪感無くそういうのを出してきたのを評価したい。将来ヤリチンになっても困るもんな!
それに加えて凄いのは零さんがそういうネタに乗っかってくることです。
生理が始まった主人公に「これで僕の子供が産めるようになった」だとか、付き合うようになってもどうして手を出してこないのかと思う主人公に説明する零さんのお言葉が「俺はさ、確実に君の子供が欲しいんだ」

お前はどこのパジャマ先輩なんだ。

こういうので萌えてる私もいろんなものに殴られすぎてどこかおかしくなってるんだと思うが、こういうのをさらっと言えてしまう零さんの奇妙で不安定な部分を現しているようで。
ちなみに確実に君の子供が欲しい発言は、『自分が不幸な子供だったから、好きな人との子供はきちんとした立場と状況の時に幸せに生まれてきて欲しい』という意味で、中身は至極真っ当なんです。だったら略さず最初っからそう言えというのは零さんには無粋というものです。

あんまり語ると、長くないゲームなので魅力が半減してしまうのであまりばらしませんが(ここまで言っておいてなにをいっているのだか)、零さんは心根は優しい子だということは言っておきたい。一周目こそお空へ羽ばたいたまま戻って来られなくなった人になってしまったが、とある何処かの精神科医のように最初っからこうだったというわけではなく、きちんと更生の余地があります。危うさは綱渡りだが、上手く綱から転がり落ちないようにも出来るゲームです。綱からころがり落ちてその綱で亀甲縛りでもしてるのは雪村先生とか緊縛先生にでもまかせとけば良いってことです。(先生ばっかだな)

あと、いくら温かな家庭で愛情持って育てられたとしても、付けられた傷がそれで癒えるわけではなく、学んだり乗り越えたりするのは自分自身なのだと零が知っていくストーリーには、妙な現実感があってそこも魅力的だと思いました。
精神的なヤンデレ好きさんには是非遊んでもらいたいゲームです。


【総評】
・システム

特別不自由という部分はありません。あえていうならボタンに触れたときに音がならなかったりするぐらいで、本当に些細なものです。選択肢通過後もスキップ持続、オート持続、は非常に便利な機能でした。他のPCゲーにも追加して欲しいぐらい。
音量設定、速度設定も普通に使う分には申し分ないです。低価格ながらも有り難いぐらいだった。
選択肢次第で零さんの見た目と中身が変わるが、劇的な変化を遂げるわけではなく、開放的になるかそのままぐらっぐらキてる零さんで行くかのどちらかです。パツキンルートでいくと自分の中身や毒だと思っている部分をさらけ出していくし、真っ黒なままだと腹ん中どす黒いまんまで行きます。どちらが危うくないかというと、パツキンのほうが安定性はあったが、私は黒髪のほうが好きです。零さんがぐらぐらしてないっていうならもうそれは零さんじゃないと思うんだ(私の頭のほうがグラグラ来てる)
ああ、あとパツキンのほうがヤリチンでした。これは上記で語った「確実に子供が~」の理由がぶっ壊れるのであまりよろしくなかった。理由はどうあれ一般ゲーはある程度節度があったほうがいいとは思う。攻略対象のパンツ脱がすゲームでこんなこというのもどうかと思うが。

・サウンド
零の声優、無名の新人か同人かはよくわかりませんが、各所で言われている通り棒読みな部分が多い。が、シエスタよりはマシだったと言いたい。シエスタをプレイされていない方のほうが多いと思うが、あれは奇跡の演技力だったと今でも思っている。(気になった方はやってみてください、シナリオは良いです)
そして主人公の名前の部分だけ空白なのが非常に違和感を覚える。
例えば「そうそう、綾子はそっちのほうやって」という台詞があったら聞こえてくるのは、「そうそう」(0.5秒空白)「はそっちのほうやって」と聞こえる。「はそっち」みたいな感じで聞こえる。
気になるようならいっそのこと無かったことにすることで対処出来るが、自分はせっかく付いてるんだから勿体無い、でプレイした。個人的には声優の演技よりこちらのほうが気になった。
この2点を乗り越えられれば違和感なく楽しめるのではないかと思う。おそらく無理なんじゃないかと思うけども。

・スチル
残念ながら絵で敬遠されそうだな、というのは私が絵で敬遠していたからです。このきしめんみたいな髪の毛の塗り方さえなければ未だやりたいと思えるのだが……シナリオに入り込めば愛着も沸くし、髪の毛以外の塗りは納得できるものではある。
骨格はそれほど崩れていたわけではないが、スチルになると不安になる出来も多かった。
枚数はそれほど多いわけではないが、差分は多い。サスペンスを歌う割にはそういうスチルがあんまりなかったのは物足りない。もっと怖がらせてくれても良さそうだけど…そうなると低価格でなくなりそうな上、甘いスチルが減りそうだ。
嫌な偶然ってのはあるもので、このゲームでも零さんの肩幅がすごいことになっていた。勘弁して欲しい。

・シナリオ
低価格ながら、簡素に上手くまとめたと思う。出会いや流れは王道ながら、話に味があったし、テンポもよかった。テンポが良い分つぎつぎ進んでいくが、そこはきちんと納得させるポイントを抑えていて、短いながらもスッカスカな事にはなっておらず、考えさせられる展開も多くありました。
読みやすい文章や展開な反面、地の文が誰視点なのかサッパリ分からず(主人公視点で話が進むのに父親を『雅人』と表現したりする)そこでつっかかる部分もありましたが、展開には引っ張りこまれたので深く気になるような部分でなかったのが幸いだった。
私の頭がアレだったせいか、主人公視点の日記形式で進む意味があったのかどうか理解できず疑問。
あと悪者だと思っていた人にも同情するエピソードがあったのはどうかと思った。考えさせられはしたが、これだけ短いプレイ時間の中では重みがないし、そこはもう少しテンポよく進んでも良かったのではないかと思う。

あまり主人公が零さん救ってやる!とかガツガツ思わなかったのは高ポイント。昨日今日の出会いではないし、家族も同然だから支えるの当たり前な感じは良かった。零さんのドSな言葉責めにもユーモアある返答でめげずに答えていたのは面白かったです。
主人公だけでもなく、誰か一人だけでもなく、いろんな人と関わって零さんが変わっていくっていうのがすごく説得力があった。


非常に良いゲームをさせてもらった。買う気が全くなかったNOISEを無事予約した尻軽は私です。
あと美雷様に踏みつけられるのを生業としているので、宇宙電波を受信するために無事ツンデレS乙女も購入した。プレイするどころかインストールするのもいつになるか分からないが買っただけで美雷様に近づけたような気がしている。思えば星の王女からずいぶんと長い道を歩いてきた気がするが、萌えたり嬲られたり釣ったり釣られたり殴ろうとして殴られたりワインを肌で飲めと言われたり精神科医に精神削り取られたり、なんだかんだ楽しんでいるような気がしないでもない。

萌えを貰ったところで、うたプリに戻ります。
何故自ら殴られに行くのか自分でも分からないけども、それでもやっぱり楽しんでいる部分も、あったような無かったような。

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ダム様が病んでらっしゃったらそれはそれで泣く。


拍手ありがとうございました!
何故だか苦しんでいるような記事のほうが多く押されていたりするので、応援されているのだと勝手に思って頑張ります!(自分で打っていて思ったけども、何故乙女ゲーをするのに頑張るんだ)


【2017/12/22追記】
紅花をプレイしてなんだか色々思い出して再プレイしてみたけれど、一週目の零さんはほんとキレッキレっすね~~~私はそんな零さんが相変わらず大好きだ。躊躇いのないアクティブっぷりが最高にサイコ。主人公に支えられるとかそういうのが一切なく闇の方へ向かっていく感じがすごく良い。安易にヒロインに癒やされたりしないところが。いや、癒やされては居たんだろうけど治っては居なかったのか。
このルートは例え主人公が古賀先輩を好きになっていなかったとしてもこの結末に堕ちる気がする。END0って零さんが古賀先輩と出会わない選択肢を選ぶ=零さんが主人公以外の他人との世界を広げないと到達するENDってことなような気がする。上記でも語っているけれど、結局自分で立ち上がるのは自分自身でしかないってところは本当に好きなシナリオ。もちろん誰かに支えられて立ち上がるのだけど、立つのは結局自分自身の両足で、というところがとても良い。

あと零さんにとって主人公は絶対的な存在なんだけど、スーパーマン的な存在ではないところが良いなあ。なまじ賢いだけに周りの状況や心情が幼少期からよく見えすぎていて色々悟ってしまって脆かった零さんを支えるという点に置いては絶対に外せない存在になっているのが素晴らしい。零さんとの気の置けない仲な会話も読んでいて逐一楽しかった。反応がいじめがいある感じで零さんが楽しそうなのがまた良い。とても良い。
あと確実に君の子供が欲しい発言は本当に萌えた。これぐらい素晴らしい台詞は中々に出会えない。

零「……俺はさ、確実に君の子供がほしいんだ」
綾子「へ?」
零「どちらかがいらないと思っていたり、万全の準備ができていない状況では結ばれたくない。俺がその失敗を経て産まれたから。
 だから準備ができたら……そうだな、三人くらい欲しいな。きっと君の子供ならすごく可愛いだろうから、今からとても楽しみだよ」
綾子「……」
零「聞いてる?」

ああもうこのやろー「聞いてる?」じゃないよ!おったまげてんだよ!こっちは!!そんで萌え転がってるんですよ!!(逆ギレ)
この前に大学卒業するまではセックスしないって発言があるのが本当に素晴らしいよ君は……でもそれだけ零さんの傷は深いんだろう。多分それは到底完治する傷ではないんだろう。でも主人公という常備薬があるからなんとか保ってられるんだろう。用法用量を正しく守るんだよ。

ハッピーエンドルートでも「浮気したら、殺すから」ってそれ好きな女にいう発言じゃないだろって発言もするけれど、これは主人公が零さんの方を向いたからこその発言だと思った。Diaryでは零さんしか攻略出来ないけど、零さんが狂わずに古賀先輩と幸せになる未来もあったように思える。でもそうなるとDiaryの物語の趣旨から逸れてしまうから存在しないのはきっと正しい。古賀先輩もいいキャラしてるからちょっと攻略したかったけれど。

綾子「あの話も、聞かせてくれて嬉しかった」
零「でも、だからこそますます……放せなくなった。ごめん、綾子」
綾子「なんで謝るの、馬鹿」
零「うん……ごめん。好きになって、ごめん……」

聡明だからこそ、自分の気持も状況もよく見えている。好きになってしまって、好きになられてしまったら、主人公が何かちょっとでも間違いを起こしてしまったら許せなくなる。多分それは相手に勘違いさせてしまった的な軽微なことでも零さんにとってはスイッチが入りそうになるんだろうなと。主人公が自分にとっての引き金だと知ってしまっている。しかもめっちゃスイッチ軽い、指かけただけで発射出来てしまいそうなほど軽そう。そして勝手に引き金にしてしまったことを、申し訳なく思っている……けどもう後には戻れない。そんな零さんの切ない気持ちがこのやり取りから伺い知れるのが胸が締め付けられる。そしてその意味を主人公が全く気付いてないというのも。でも零さんは謝らざるを得なかったんだろう、例え主人公がその真意を知ること無く、気付くことがなかったとしても。

でも一番感動したのは郷田先生とのやり取り。大人になった私は郷田先生を攻略したくてしたくてたまらなかった。この主人公じゃなく別のキャラを据えて攻略したいなあ……Operetta殿頼みます。ほんっといい男だ郷田先生。零さんをビシバシ育てる言葉の暖かさもそうだけど馬の出産シーン見て号泣するとかなんだ、萌えの塊か。可愛い。

ちなみに金髪零さんも攻略し直したけどまっっっったくピンと来なくて笑った。全然萌えなかった。上記で語ったように金髪零さんの方が今後生きていく上では良いんだろうけど、危なくない零さんなんてそれはもう零さんじゃないじゃないですか。ずっと危うく居てくれ。ちなみにこの見た目が変わるシステム、紅花では無くなってたけど、正解だと思う。