全力で頭を抱える日記

おもに乙女ゲームの感想を中心に。ネタバレご注意。

29 2014

グリザイアの果実 天音ルート 感想

う、うーん……結論から言うと、マキナルートでへし折られた期待はそのまま現状維持で終えてしまった。でもマキナルートよりは後半引き込まれる展開だった。ただ、恋愛的な意味ではマキナルートのほうがまだ良かったし、マキナのほうが魅力的だったんだよなあ。(どちらかと言えば、です)
正直言って天音への私の好感度はぐるりと反転してしまうことになったのでした。

というわけで、相変わらずの辛口感想になります。


マキナルートのフラグを意気揚々とへし折り、天音ルートへと突入した時の気分の高揚具合が私の天音ルートでの第一の山であった。
もう『有無を言わせぬ勢いで、噛み付くように激しく唇を奪う』っていう選択肢。マウスが壊れる勢いで叩きつけました。スチル!スチルこい!こらもう来るしかねえだろスチル!って右手拳アツく握ったけど、私の目に映るのは雄二の部屋だけで部屋に虚しくエロゲ御用達のンジュルル効果音が響き渡って虚しくなったりもした。

そしてここからセックス三昧で、共通入るだけでも大分くたびれた感じだったので、ついにエロシーンオートで流しながらJAMプロをBGMで流し続けるという意味不明な行動を続け、初おセックスで雄二がおっぱい好きなくせして一度もおっぱい揉まないことに揉んどけよ!そこは!ってもうテンションがよくわからない方向へ。高揚山を降りたら荒野が広がっていた。
そもそも最初の告白シーンでも雄二がうだうだ天音への気持ちを考えてなんか途中でパッと割り切った感じで『好きだ』って言ったシーンがあったんですが、あれは「どちらかと言えば好きだ」って感じで、別に恋愛的な意味で好きになったわけじゃないと思うんです。好きか嫌いか聞かれれば、まあ好き?みたいな。とりあえずセックスしてたら情が移っただけって感じがして、お互いがお互いの『特別』になった感じは全然しない。

無意味なエロが終わって(ただこのエロ展開と無条件で献身的な天音の意味は後にわかってスッキリ)、夏祭りでアイツ天音じゃね~?と女の子たちから指をさされ、これから話が動くぞ…!みたいな明らかな助走イベントの後、ようやく天音の過去が語られることに。

この過去、話が動くのとシビアなので、それと比べれば確かに面白かった。
滝園学園マイクロバス転落事故のただ一人の生き残りである天音。つけていた日記から振り返るってところにちょっと引っかかりは覚えるものの、まあそれは置いておいて。
簡単に説明すると、バスケ部の合宿帰りに不幸にも山道でカーブ時にタイヤがパンクして崖から落ちてしまい、周りはほぼ密林状態で残された手持ちの食料等々で救助をずっと待っている人々の心理と、動きと、状況。オチ(=天音だけが助かる=他は生き残らない)が分かっているので、どう考えても気が滅入るような展開が想像されるのですが、人の動きはそれなりにリアルだったように思う。

そしてここで明かされる主人公の姉、風見一姫。彼女は上から目線で頭が切れる、冗談が面白くない、けど……非道ではない。何より人をよく見ていて、天音がどういった子かわかっていたから、最初から天音に目を付けたんだろうなあと感じました。あと単体では別にそうでもないんですが、一姫と天音が心を通わせていく様子が可愛らしくて。「好き」と言われたときの一姫の反応も可愛くて、最初は疎んでいた天音も一姫のことを心から信頼して仲良くなっていく様子を見れたのが、個人的このルートで一番の収穫でした。もう私のなかで一姫×天音または天音×一姫は王道カップリングです、主人公なんて要らなかったんや……。
一姫の天才設定はともかく、この話にとってのヒーローは間違いなく、この子。その知識量と思い切りのいい判断力、人を見る観察眼、この子が居なかったらもっと早く崩壊していただろうなと思う。天音は間違いなく、一姫に救い出されたと言ってもいいでしょうし、でも天音に救われていた部分も一姫にはあったんじゃないかなあ。

話を戻して。
話が劇的に動くのは、生き残っていた部員が飼っていた犬が死んで、それを食べる事になった時。言い方悪いですが、愛玩動物を食用にする瞬間ってのは辛い。でも実際に自分がその場に居たら?と思うと迷うことはないでしょう、だから余計に辛かった。一姫が誰よりも早く割りきって、『犬』を『食べ物』にした時、頼もしかった反面、可哀想でもあった。それは犬に対してはなく、一姫に対して。(犬も巻き込まれてしまったという点では、ほんと切ないんですけどね…犬を頼りにしていた部員の気持ちもわかる)
それから犬の飼い主である部員が不容易に植物を食べて倒れ、そこから怪我人が次々と亡くなり……今までなんとか保っていた分、崩れる時の呆気なさが恐ろしい。
そして今まで一度もそういう展開がなかったにも関わらず、野うさぎや鹿を捕ってきたと言って料理を振る舞う部長と顧問……で大体今後の展開がどういった感じになったのかはお察しください。ながらプレイで食事することもある自分でも、さすがにこの時ばかりは水すら飲まなかった。

この時の食事を取らなかったのは一姫と天音だけ。一姫は『それが何であるか』はわかっていたのでしょうが、天音は一姫が食事しない事に引け目を感じ食べなかった。これが救いとなった……のは、天音もそうですが、知らなかったとはいえ、天音が食事を取らなかったことで一姫も救われたんだと思う。ただあの答えの現場を、天音に見せたのは完全に一姫のミスだよなあ。あの展開は未だに意味がわからない、混乱するのは当たり前でしょうに。それまで『完璧』で『天才』な一姫を描いてきただけに納得の行かない展開だった。

それから一姫は知識と食料を天音に分け与え、人でありながら人でなくなってしまった『鬼』たちの囮になる……のを見ることしか出来なかった天音の判断を責めることは私には出来ない。一姫は最後まで気丈で美しかった。もっと一姫がやり方を考えれば、助かることも出来たのでは?と思うんですが。
これは私の脳内補完だけども、彼女は上から目線ではあるし人との関係を割り切りもするし明確に順位付けもするけど、『非道』ではない。何の罪もない人を責めたりもしないし、弱者にはいたわる優しさもある。皆を救うことは出来ないと言いながら、『皆を救うことの出来る可能性』を中々捨てなかったゆえの結果だったのではないかなと。そして最後に皆が助かる可能性を切り捨て、自分のことを好きと言って慕って想ってくれた天音だけは救おうとした。作中、誰よりも頼りがいがあったし格好良かった。そう……雄二!お前よりもだよ!どういう事態だこれ!

というわけで、天音は雄二は一姫の弟だとわかって接触し、一姫への贖罪のために雄二の為に尽くそうとしたのでした。でもセックスしていくうちに情が移り……って、あんたもかい。いや、エロゲだし、セックスから始まる恋があっても仕方が…無い……のか?まあこのへんの感情移入は心の変遷が無く理解も出来なかったので割り切るとしても、ここからは本当に、天音の好感度が爆下げで辛かった。天音株ストップ安。
天音が幸せを感じるのに負い目なのはわかるし、罪の意識を持つのもわかる。それはいくら周りが『天音は悪くない』と伝えたとしても、彼女の中でそう思えないのもわかる。でも、天音の贖罪に『雄二を利用した』のが、個人的には許せなかった。相手のためと言っておきながら、どうも自分が赦されたいだけの行動だったとしか思えなくて。
「私馬鹿だから分からない」
彼女は作中で何度もそういう言葉で予防線を引いてきたけど、結局彼女は過去の事件を越えてられたのかと思うと、ただ『赦されたい』だけで、自分がどうしたい、どうすべきと見つけることの出来ない、他者依存な人間だったのかと。これはハッピーエンドの最後までそうで、辛かった。
ただ、主人公が天音に課した言葉とやりとりは主人公らしくて良かった。それだけに天音自身がなあ、ほんとなあ。

あとは唐突に坂下という部長と同じ苗字したおっちゃんが天音のファンだと言って主人公に近寄ってくるっていうお粗末としか言いがたい展開に始まり。一姫が残したであろうモノを探しに事故現場へ行くことになって、その父親に襲われるっていうもうこれを蛇足と言わずになんと言おうか。
主人公はその道のプロのクセに簡単にこのジジイにヤラれ気味であり、ハンティングが趣味というだけでプロに差し迫る勢いのこのジジイの方が潜在能力高いんじゃなかろうか?

BADエンドでしか一姫が天音に残した言葉を見ることが出来なかったのは、本当に残念。あの手紙は感動しました。一姫の天音への、見守るような優しさを感じられて良かった。それだけに終わり方がキツかった。ここまで振り返って、さあこれからだというのに、一姫が残した大切な存在が手折られるのを見るのは辛い。

HAPPYエンドは、もう、余計としか。孫まで見せて、天音は赦されました!ってのをプレイヤーに見せたかったんでしょうけど。うーん、必要あるかといえば、そーでもない。私がここまでの展開に納得言ってないっていうのもあるけども。赤ちゃんの靴下でも編む練習でも始めようかな、とか言ってて幸せになってもいいのか苦悩したとか言ってた割にはすごい発言だなと。いや別に、幸せになってほしくないわけじゃなくて、幸せにはなって欲しいんですけど、それには天音自身の成長が不可欠だと思う。それがなかったので、なんだこれと思いながらエンディングを終えてしまって、残念。


前半の怒涛のエロ展開と無条件の献身の理由がわかったのは良かったです。これは悪い意味ではなくて、天音は『男性が好む女性像』のテンプレだと思う。家事全般が出来て、深い事情には突っ込まなくて、適度に嫉妬し、美人で巨乳、子供(マキナ)に対しても面倒見がよく、金銭感覚もちゃんとしていて。女のめんどくさいところがない。(いや、でも、その割には遊んで遊んでうるさかった気もするけど……)
本来の彼女は嫉妬深くて、女々していたのかもしれないですね。事後が起きる前の天音がどういう人物だったのか見てみたかった。あと事故後から今の明るいおっぱいねーちゃんまでどういう感じで立ち直ったのかも見たかった。
事件の件は良かったっちゃ良かったですが、発見に二週間も掛かったってさすがにある程度の理由付けが必要だと思うんですが、一切語られなくてそこはすごくモヤモヤしました。展開の強さで誤魔化されている気が拭えなくて。(あまり車通りのない道だとしても、警察がその道を発見できなかったとか考えにくいんですが…)


このルートをまとめるのなら、風見一姫という存在そのものでしょう。主人公だけでなく、天音でさえも彼女にクわれていた。彼女の合理的な考え方は見ていてスッキリもするし、頼りがいがあるし、真面目な意味での気が滅入る状況を見せられていた中で、天音だけじゃなく私までもが一姫を頼りにしていた。
趣向的な意味で苦手なのはその異常すぎるまでのブラコンですが、天才にはどこかおかしい部分があるって言うし、仕方ないのかなと思う部分もなきにしもあらず。私としては天音と新しい世界を開いて欲しいです!(拳を強く握りながら)

もっと一姫×天音でイチャイチャして欲しかったな~と新たな扉を開けました。雄二ちゃん雄二ちゃん言ってた私がまさかこうなるとは思わなかった。
一姫は、ほぼ間違いなく生きてると思う。というか生きていて欲しい。天音とイチャイチャして欲しい。(迷宮でそれらしきものがあると教えていただき本気でテンション上がった)

このゲームをプレイすることになったきっかけのアニメ。ゲームをやる前も感心していた、ある程度突っ込める程度の『余白』を残して『ゲームではどうなのだろう?』と視聴者に思わせるようなシナリオ。かつ、話が特別破綻しているわけでもなく、わかりにくいわけでもない。販促アニメとしてこれ以上優秀なのも見たことが無いぐらい。(そこに釣られた私がどう思ったかは語りましたが……。アニメ→ゲームで同じように鳩尾にパンチ食らったうたプリをなんとなく思い出した。)
あとはアニメのマキナルート、あの無茶苦茶な展開をどうまとめるのか楽しみにしていたら、これまた見事に違和感の部分をギャグに変換して、かつ重要な設定をそのギャグの流れから組み入れて。マキナルートをアニメ後半に持ってきたのも、好感度が上がってからの『パパ』っていうゲーム本編の流れを踏襲していてとにかく違和感がない。

この天音ルート、どうアニメ化するのは気になるところであります。
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