全力で頭を抱える日記

おもに乙女ゲームの感想を中心に。ネタバレご注意。

30 2015

SHIROBAKO 感想

最初はなんとなしに見始めたSHIROBAKOですが、私の中でこんなにも心のなかに残るアニメになるとは思いもしませんでした。2クール目からのテーマは、アニメ好きからしても非常によく考えさせられたテーマだったと思う。

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SHIROBAKOは、簡単に説明するとアニメ会社にてアニメが出来上がるまでの群像劇を描いたアニメ作品です。この重複感というか、SHIROBAKOを見ながら、このアニメもこんな風にできてるのか~という目線で見られる面白い作品でもある。
そして職業アニメでもある。アニメが出来上がるまでの、一つ一つの職業にスポットライトを当てつつ、全体で『アニメ』というものは何なのかを描いていく。単純なようで居て見ているコチラもいろいろ考えさせられるテーマだった。

SHIROBAKOを見る前の私のP.A.WORKSのイメージを率直に語るならば「雰囲気アニメを作る会社」。私が見たP.A.作品は、true tears(2話切り)、いろは、TARITARI、凪のあすから、グラスリップ(3話切り)ぐらいでしょうか。この中ではグラスリップ以外はそれなりに評価されてるように思いますが、どれも作画や演出はしっかりしていて、そこは安定して見ることが出来ました。というか、そこがなまじ半端に綺麗だったから、自分にとって『雰囲気』で止まって居たのかもしれない。
私にとってのP.A.の問題は、言わずもがな脚本。自分の好みの問題でもあるけれど、全体を通して何か1つでも一貫したものがあるか、なんですけど、私が見てきたP.A.作品はどれもそこがふわっとしていて、良くもないけど悪くもない作画だけがきれいな会社としてのイメージが強かった。
SHIROBAKOも、いろはに続く働く女の子シリーズ?だということで、またいろはみたいにヘタに恋愛を混ぜてふわっとしてんのかなーと思いきや、水島監督&横手脚本ペアの方向性の舵切りが良かったのか、『アニメを作ることへの思い』に一貫していたのがすごく心地よかった。見てる途中から、P.A.じゃないみたい……と思い、最終的にはこんな作品もつくれるんだ!と感嘆のため息が出ました。

だって、可愛らしい女の子が「どんどんドーナツどーんと行こう!」とか言いながら、みんなでアニメ作れたらいいね~なんてふわっふわしたスタートダッシュで、どうしてここまでアニメを作る工程や思いをしっかり描かれると思うだろうか……。
登場人物ひとりひとりが、それでこそモブのようなキャラクターでさえ、その職業に対し一生懸命でいて、向き合っていて、それでもいろいろ壁にぶつかりながら、なんとか「アニメ」というものを作り上げていく。私がみたあのアニメやこのアニメも、どんな思いで作られたのかと思うと、制作側を見せるこのアニメを見た後ではもう評価甘くなっちゃいそうです。(いや、それでも許してないアニメもいくらかありますが)

主軸となるのは同じ高校の5人の女の子。それぞれが違った分野で『アニメをつくろう』という夢を果たすために各々頑張るお話です。制作進行、原画、脚本、声優、3D。あとみんな服のセンスが可愛らしくて、そこも好き。
制作進行のみゃーもりは本当に本当に可愛くて一生懸命で、好感が持てる女の子でした。キャラデザ見た時プリン頭で大丈夫か!?と思ったものの、いろいろ悩みながらも一生懸命まっすぐ駆け抜けていく姿は本当に感動的で、毎度応援しながら見ていた。制作進行というお仕事は、このアニメを見る限りではあちこち周りながらスケジューリングして、顔が広くなれる反面コミュ力がおおいに必要になるだろうなと。いや、どんな職業だって他人との連携があるかぎりはある程度のコミュ力は必要になりますが。みゃーもりはとにかく持ち前の素直さと明るさで、雰囲気を和らげるのが上手いというか、とにかく頑張る姿がまばゆかったです。これからも色んな壁にぶつかっていくだろうけど、彼女の道はきっと明るいんだろうなあ。
原画の絵麻ちゃんの序盤の悩みは本当にもう辛かった。締め切りがある中、早く描き上げるのが大事か、丁寧で居るべきか。SHIROBAKOは相当ホワイトな描写でしたけど、現実はこんなもんじゃあ無いんだろうなと察すると……。『うまくなりたい』という思いから、最終的にそれを実際に声に出して行動に写せた絵麻ちゃんの成長がこれまたまばゆかった。目が潰れる。
脚本家志望のりーちゃん。脚本家っていうのは自分みたいなシナリオ重視の視聴者に目付けられるとホントアレだと思います……どれだと思います。りーちゃんの強みは積極性と、『ちゃんと物事を下調べしてそれが何であるのか自分で解釈する』という工程をちゃんと踏んでいた描写が見られたのが、りーちゃんは良い脚本家になれると思いました。自分の個人的感覚ですけど、脚本家で下調べする方はどれだけいらっしゃるのか(原作を読み込む、というのとはまた別の話です)。時間もない中だろうとは思うけども、そういった現状は自分にはよくわかりませんが、私はそういう『ちゃんと調べたんだ』と分かるシナリオが好きなので。これはゲームとかのシナリオに関しても言えることなんですが。だからりーちゃんに将来乙女ゲーのシナリオを書いていただきたいです。
声優志望の、ずかちゃんは、もうほんっっと心の底から応援しながら見ていたと思う。宝くじを当てるよりも声優で売れるほうが難しいと言われる昨今、ちゃんと演技のことを考えながら、役に感情移入しながら、一生懸命頑張りつつも、それでも評価されないずかちゃんを見るのは辛かった。この子はいつ評価されるのかと思いつつ……最後の最後でのシーンは本当に感動的でした。私のSHIROBAKOのクライマックスはあのシーンだった。ずかちゃんの声優としての道はまだまだこれからですが、ずかちゃんみたいな苦労を知りつつ、声優としてのお仕事に真摯に向き合う声優さんだったら応援したいなあと思うのです。
最後に3D担当のみーちゃん。ハッキリ言うけども、そんなに感情移入は出来なかった。みーちゃんは作りたいものが作れない葛藤が描かれていたんですが、そういう悩みって大体だれでも持つもんだと思います、まあそれは良いんですが。みーちゃんはその葛藤を乗り越える前にあっさり自分のやりたい道へ修正していったもんだから、一つのことをやり切らないのに、なんだかんだ好きな事が出来て、優遇されてるなあと思った。みんなそれぞれ苦しんで、悩みを越えていく描写が心地よかったので、彼女だけはなんだかもやっと感が残る感じでした。

あとは憎めないキャラクターを作るのが本当にお上手。あるキャラクターが現場をかちゃまかしたり(※)、それで連携がとれなかったり。アニメ業界の闇に触れすぎて気力を失くしたキャラがいたり。でもそんなキャラクターたちを憎めなくする演出と、シナリオ。見ていてどのキャラクターも可愛らしく感じられてしまう不思議さ。(でも実際にそいつらと仕事するのとは別ですけど……)(※追記。北海道弁で「かき混ぜる」「ぐちゃぐちゃにする」の意。P.A.さん次のご当地は北海道どうですか)
アニメ業界という現実を描きつつも『アニメーション』として、二次元の表現としても絶妙な混ぜ具合。演出も、脚本も、作画もどれも心地が良かったです。そんでもって、「こんな思いでこのアニメが描かれているならコレを見ている私は本当に幸せだなあ」とさえ思った。

声優さん。キャスティングを見る限り、ほぼ新人さんですが、このキャスティングが出来たのはこの作品だったからと、P.A.だったからだろうなーとそこもなんだか感慨深かったです。作中で、とあるアニメのキャスティングをする時に名のある子にするか、売り出してる子にするかみたいな会議シーンがあったんですが、そこで音響監督さんだったかが「そういう(ゴリ押しの)意図は必ず視聴者にバレる」的な発言をしていたのが印象的でした。私は同じ人が何度も役をやるのが苦手だし反対派なので、あのシーンは本当に心の底から唸った。(でも正直言うと、私が見てきたSHIROBAKO以前の作品は結構声優さん被ってる部分もあって、またか……って思うこともあった。なのでSHIROBAKOのキャスティングは、私にとって有りがたかった。)
新人さんながらどの方も演技力は抜群です。個人的にはみゃーもり役の木村さんの演技が光っていたと思いますが、どの方々も応援していきたい。ずかちゃん役の千菅さんとかはもう感情移入しすぎて今後まともな目でみれなさそうです。

出来るなら、5人が何故『アニメを作りたい』と思ったのか、原点の動機をもっと詳しく知りたかったなあと。『なぜアニメを作るのか』はこの作品でしっかり語られていましたが、そこも見てみたかったです。
ちなみに自分が何故こんなにもアニメ見るようになったのかはもう思い出せない。自分はセーラームーン世代ですが、あの頃は本当にアニメ界へ陥落させるためのアニメが多すぎた……。原作ありアニメも見ますが、私が好きなのはやっぱりオリジナル作品です。次がどうなるワクワク感は、オリジナルでなければ出せないと思うので。自分が思い出せるオリジナルアニメで一番古いのはバトルアスリーテス大運動会ですかね。毎週すごく楽しんで見てた記憶があるんですが、今脚本を調べたら私が好きな脚本家さんがシナリオ書かれてて、こういうのは変わらないもんなのかとちょっと震えた。
そうそう、原作アリとどう向き合うかというシーンも作中でありましたが、アレは本当に理想の形だと思う。原作レイプだのなんだの言われた作品も多々ありますが、原作を超えたと思えるような作品も見てきたし、原作あり作品との着地点を見つけるのは本当に難しそう。

あとこの作品、学生の頃に見て、働いてからまた見たらまた違った見方が出来たんだろうなーと思うとちょっと早く生まれすぎた。働いていなくても、アニメをよく知らなくても楽しめる作品だと思うからこそ、時間をおいて自分の感想が変化するのを楽しんでみたかった。といえ、今の私でもまた時間が経ってみたら変わる感想もあるのでしょうが。
私は大人になってから、大方の監督と脚本家の名前を覚えるようになりました。出来が悪いと思ったアニメは大体苦手な脚本家さんだったり、苦手な監督さんだったり。作画とか演出とか音響とかの評価はまた個々にしますけど、やっぱり『アニメ』という1つの作品な以上、シナリオとかに占める重さっていうのは大変なもんだと思う。作画が綺麗でも話がぶっ壊れてると、やっぱそういう評判になっちゃいますし……あの作品とかこの作品とか。(アニメ好きな方は各々思い浮かんだと思う)

言いたいことをまとめると。アニメが好きでまだ未視聴な方は、見て損はないと思う。これが真実だとはもちろん思いませんが、業界のことをわかりやすく学べるアニメだと思う。そしてアニメに興味が無い人も、普通に見れて明るい気持ちにさせて、笑ったり悲しんだり、感情移入が出来るアニメ。非常によく上手く作っていると自分は感じました。

私を精神的に癒して、活力を与えてくれるアニメ業界の、いろいろな部分の向上に願いを込めまして、BDを買わせて頂きたいと思います。OPEDは制覇しました。モモーイの歌詞が可愛らしくて本当に好き。
SHIROBAKOに関わって下さった普段陽の目を浴びないであろういろいろなスタッフさん方、特に制作進行の方々への感謝を。2クール、しっかり楽しませてくださってありがとうございました。来週からはみゃーもりの喜怒哀楽を見られないと思うととてもさびしいですが、P.A.の次なる作品を武蔵野アニメーションが作っていることを妄想しながら、これからも楽しみにさせて頂きます。願わくば、作中で出てきたえくそだすっ!と第三飛行少女隊をなんらかの機会で見る事ができるのを祈って。(全話見てみたいけどハードル高そうだな)


最後に。ナベPのこと終始エロい目でみてごめん。乙女ゲーに来て攻略させてください。
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