全力で頭を抱える日記

おもに乙女ゲームの感想を中心に。ネタバレご注意。

12 2015

蘇芳、リュウルート クリア

本当に不毛な争いだった。
リュウはともかく兄ルートは兄が姫と言う度に頭をかきむしり、兄が意味不明なことをする度にキーボードに怒りをぶつけながら、終えた後に残った倦怠感とかもう最高にたまらなかった。さすが友人に良いと思ったら彼氏とキメてもいいよと主人公の前で言った男だ。(それでも尋ねた友人も友人だと思うが)

このゲームに救いはないのですか――!と絶叫する私に舞い降りたリュウルートで天を仰ぎましたが、それでも特別秀でて出来が良かったとは思えません。でも、それまでの二人よりは大分感情移入出来たし、幸せになってほしいと思えるだけの気持ちは持たせてもらえた。

以下よりそんな兄との勝者の居ない殴り合いと、リュウルートでちょっとヴァルプルさんを許しかけた感想です。

●蘇芳ルート
まずいいところを語ると、このルートで志賀くん以外の大体の謎はネタばらしされるので、そこは楽しい部分もありました。主人公との兄妹関係や、兄の正体、禍の発生の謎、昔起こった出来事、序盤に貼られていた伏線の回収等など。もう謎とかどうでもいっすわ状態で生気を失った瞳でプレイしていた自分でも、この怒涛の勢いで伏線を回収して行く様子は引き込まれるものがあった。

そしてそれを相殺するレベルで兄への感情移入のハードルが高い。
そもそもまあ、実の妹(違ったけど)を『姫』呼びしている時点で大半の人は、やべえよコイツやべえよ……っていう危機感を覚えると思う。ちなみにこの姫呼びは蘇芳ルートをほぼ攻略した時点でさえ明かされなかったので、私はこのゲームを終えたとしてもずっと彼と勝者の居ない殴り合いを続けることが確定しました。
まあ多少ながらも主人公を思うようなエピソードもあったのですが、それもほぼ主人公を取り巻く男への嫉妬心丸出しで、攻略後に見られる兄のサブシナリオで主人公の男の同級生(当時兄大学生、主人公中学生)への嫉妬シーンだから、ホント兄の心のタマキンのごっつ小ささよ。干支一回り程度違う年の子にまで嫉妬することにはまあ恋愛ゲーだしと思う部分はあるにしても、それを実際に行動に移して、家に招かれたばかりの同級生をさっさと家に帰すっていう行動に出られた時は、攻略後のサブシナリオでさえプレイヤー(私)にムチ振るうそのお姿には、『これじゃなきゃ兄じゃない』とさえ思うに至った。

兄が実兄じゃないと知っても抑揚がなくさして驚かない主人公に、『ココらへんで慣れとかないと後が辛い』と自分に言い聞かせ、主人公が気絶して起きてすぐ兄に連絡したのに説教された時にはもうキーボードクラッシャーが憑依しかけた。
お兄ちゃんはお兄ちゃんだよね、と自分を無理やり納得させる主人公だけども、すぐに感情を抑えきれなくなったのかまたウジウジ己の思考だけでは解決しない悩みを抱えだして、兄が病気隠してるみたいだし実兄じゃないしどうしよう……みたいな重大な悩みも、画面内に反して画面外の私の心はTHE不動であり、悟りすら開きかけてあっただろうと思います。

そんで明かされないであろう謎を知っているにも関わらず隠し通す兄に、志賀くんがこの世にとどまることができている媒体を見つけても『埋葬するのには時間がかかるから』と謎理由で(準備しとけよというツッコミも埋めておいた)、人狼側と「二手に分かれたほうがいいと思うし」という謎理由で妹と二人でホテルで一泊。(追記:これって後々兄が不老不死のちからを得るためにごまかしたんでしょうけど、この謎理由で周りが納得するのも理解できないし、病気の恐怖があったとはいえそんな保身に走りまくった兄を許せるかと問われると、気持ちを沈めるために地面を殴った拳が痛い)
兄が実兄でないと知ってから途端に意識しだし、不穏な行動をする兄に『お兄ちゃんは私のことを思ってるからお兄ちゃんを信じよう』と考えることを放棄しだした主人公に、もう味方は居ない、戦うのは自分しか居ない、と覚悟を決めつつ。

なんやかんやで志賀くんを体内に取り込んで不老不死の身体を得た兄となんかよくわからんけど洋館で一緒に暮らすことに。主人公が状況を理解しない内に、起き抜けにお薬入りの紅茶を飲ませて眠らされてしまう主人公。一方乙女ゲーで薬を盛られ慣れている自分は、薬よりも別の意味で意識を失いそうになっておりました。
志賀くんを取り入れた所為か、急に闇(病み)だして、志賀くんが使っていた力を駆使して、あいつらは姫の血を求めてくるからと人狼側と対峙する兄。ふわふわしていつつもなんだかんだ今まで協力してくれていた人たちをメッタ斬りしている様子は、まるで私の心まで追い打ちでザクザクやられているようでした。
主人公もさすがに違和感を覚えたのか、こんなのお兄ちゃんじゃない……と訴えるも「お兄ちゃんよりただの友達を信じるの?」とかどの面下げて聞いてきたので、逆に聞くけどお兄ちゃんは自分に信じてもらえる要素があると思ってるの?
抜け出しに失敗した次の日から、洋館の窓を板でがっつり塞がれ、そのDIYを兄がジェバンニ並のスピードで一晩で自分一人で頑張ったかと思うと笑みがこぼれました。
闇に囚われてしまった兄を何とか救おうと最終手段で血を与えまくって「少しでも意識が残ってるなら、お願いだから元に戻って」と願う主人公、画面外の私は「元に戻られても困るからむしろ違う人になって!」と拳を握るこの温度差。
愛のパワーなのか正気を取り戻しつつも兄はなんやかんやで虫の息。主人公は最後の祈りで志賀くんに与えられた力をすべて使って兄を浄化しエンディング。

あまりのご都合主義っぷりに自分も大分闇に囚われてたんですが、画面内ではおおいに盛り上がり『今まで妹として見てなかったごめんこれからも妹として見れないから離れよう』とかここまで来て何言ってんだかよくわからない申告をされ、主人公も主人公で「私もお兄ちゃんが好きなの!」とか言い出し、数年後に親にまで報告しているのだから私も鼻に小指を突っ込むしかなかった。ちなみに人狼側には謝罪はしに行かない。

兄は一貫してタマキンの小さい男だったので、私も殴る手を止めずにいられたから楽しかったといえば楽しかった。前述したサブシナリオでさえブレることのないそのタマキンの小ささにはむしろアッパレ!って感じでした。ちなみに兄の実は病気だった描写は、あって無いようなものなんで、別にさして気にしなくても良かったし、他のルートでも普通になんやかんや無事な気がする。
個人的には、別に兄は主人公を信頼も信用もしていないし、妹の域をでていないのではと感じた。重大な秘密を最後までバラさず、誰にも相談しなかった独りよがりな描写は、結局は誰とも心を通わせなかったんだと判断してしまった。兄は今後も、似たようなことがあったらまた繰り返して、兄以外の人が兄の尻を拭うのだろうと思うと、俺たちの戦いはこれからだ!~望月の次回ファイトにご期待ください~


●リュウルート
トラルートでは光を宿さぬ瞳でプレイしていたので、彼の双子の弟ということで多少の不安を抱えながらプレイしておりました。でも現実的で合理的な彼の考え方は、ふわふわしていたこの登場人物の中でも心地よい部分がありました。他が何をしたいのか何を考えているのかどうしてその考えに至るのかホワッツだったので、私の感情移入がほぼすべてリュウへなだれ込んだと言っても過言ではない。

トラルートと途中までは流れ(主人公が血を分けて力を与えたほうが当主になる)が同じとはいえ、リュウはリュウなりにコンプレックスを持っていて、仲良くなって段々信頼し、心の中をそれとなく明かしてくれる様子が見受けられた。お互いにぶつかり合いながら、冷静なリュウが感情をぶつけたりするシーンも楽しかった。感情移入がこんなに素晴らしいこととはと感動で心が震えました。今まで違う意味で震えていただけに、なぜだか感無量になる部分も少なくなかった。
とはいえ、主人公がいつリュウのことを好きになったのかは描写不足だと思うし、トラ、兄と攻略してきて大分このゲームに心身ともに慣れてきた後での攻略で救われた部分も大きかったです。

トラが攻撃の力なら、リュウは防御の力で、最後の決戦もトラの力で終結した部分が大きかったですが、トラルートのようにご都合主義で主人公が力を手に入れて志賀くんをTASかと思うぐらいの早さで速攻で倒すとかでもなく、普通に苦戦しながら何とか勝ちを得るという展開にすら感動を覚えそうになった。ハードルが上がったり下がったりすごく挙動不審な動きをしている。

志賀くんを倒したので主人公に宿っていた力も無くなった状態なのに、捨て身作戦で傷を負ったリュウに願いを込めてキスするというシーンもそれまでのリュウルートをなぞるものであったし、最終決戦の流れからのEDで勢いもあったように思う。
最後はご都合主義で人狼としての力は失いつつも無事で、普通の人間として生活することを選んだリュウには感動しっぱなしでした。無意識の内にここで感情移入しとかなければと頭が反応していたのだと思う。

エピローグはまたエロを匂わせるような出来で、ヤメロ……ヤメロ……と大分闇に囚われた自分が溢れでていましたが、致す直前から図ったように兄からの電話が掛かってきてなんとかノーエロで終えることが出来て、私の身の内で湧く歓声が止まなかったです。主人公のパンツ見えてたけど。

自分がこのルートで特に気に入ったのは、双子ならではの葛藤だろうか。双子なのに優劣があり、その劣等感に苛まれ苦しみ悩むリュウは素直に応援したい気持ちにさせられたし、そういう双子ネタが大好きな自分はもう心がホクホクしていた。サブシナリオでその様子が見られるので、それもありがたかった。



どうして同じご都合主義EDなのにこんなにも終えた後の心証が違うのか。
それまでの感情移入の量が大きな原因だとは思うものの、勝手に泥沼に足突っ込んでいった人と、なんとか戦わなくてはと意思を見せてくれた人、どちらのご都合主義が許せるかと考えれば個人的には明白でした。

恋戦記の頃からなんとなく思ってきた事ではありましたが、恋愛描写が結構すっ飛ばされていつの間にか好きになっていることが多い。あとは、過去に出会っていてそれで好きになったという補正をしているためか、まあキャラ側から主人公への矢印は納得するにしても、何も覚えてない主人公側からのキャラへの矢印がイマイチ理解できない部分も大きかった。

サブシナリオはちゃんと感情移入できるものであったし、主要人物だけでなく他の人たちの描写ももっとちゃんと色々丁寧にしてくれれば、きっとどのキャラにも感情移入できただろうにと考え始めて哀愁タイムに突入しております。
なんだかんだ最後のキャラ、志賀くんなので、他ルートであっさり離脱してしまった分、おおいに暴れまわってほしい。
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