全力で頭を抱える日記

おもに乙女ゲームの感想を中心に。ネタバレご注意。

13 2015

志賀ルート クリア +総評

血を吸われる前にマーライオンの如く吐き続けていた私ですが、なんだかんだ駆け抜けてしまいました。
気がつけば血の海におりましたが(もちろん自分の血)、なんだかんだ楽しかった部分もあったように思う。でも兄のことは許してないし、彼とは今後も血を吐きながら続ける悲しいマラソンを走り続けようと思います。

以下よりそんなヴァルプルさんとの駆け抜けた様子です。


●志賀ルート
志賀くんはどのルートでも作中一強い雰囲気を匂わせて置きながらあっさり離脱を食らわされてしまうので、かわいそうだなあと思っていた。(最強の後にカッコワライとか付けたいぐらいの強さだった)
しょっぱなから強引に主人公に激おこぷんぷん丸(これはもう死語なのか)な様子でしたが、相当好みのタイプだったのかやっぱ伴侶にするわ!と意見を変え、そこから大変しつこく付きまとってくるレベルの高い感じのお方だった。後でネタばらしされるのですが、途中から主人公が何処で何を思って何をしているかも分かるようになっていたと言われるので、それを見て自分も『やべえな』と感想を口に出すぐらいでした。

ただし、そんな彼に対して自分はさほど悪い印象を抱いて居ません。というのも彼は異界の人だから。人間の形を模してはいるけど、人間ではないから、彼の奇特すぎる行動や発言も理解することは出来たし許容することも出来た。
志賀くんは隠世という異界から来たお方で、こちらで目覚めた時に幼いころの主人公と約束したこと(伴侶になる)をひたすら大事にして、ようやく復活した!運命の女探すぞ!と見つけたら、自分を封じ込めた立場の人狼と一緒に居るもんだからキレちまった、ということだった。この幼少期とのやりとりはなかなか印象に残るものであったし、それをずっと引きずっている志賀くんはある意味作中一純粋なのだろうと思った。
そんなわけで彼はある程度の知性を持った生まれたてホヤホヤマンで、自分の感情がどういったものかを理解しておらず、幼少期の誤解を解いて、それらを『やり直し』て、対等に接していくやりとりは心に残るものがあった。欲望に忠実だけど、作中で一番「主人公の意思」を優先させる様子が見受けられるし、主人公が喜べば志賀くんも嬉しい。でもその感情をなんと呼べばいいのかわからないし、なんなのかはわからない。自分の中で優先順位が決まっているのに、それがなぜかはわからないという、そういう志賀くんの不器用なところは可愛らしかったし微笑ましかった。

最初こそ裏切られたと感じて乙女ゲーお得意の殺す殺す詐欺が発動しておりましたが、状況を理解してからは彼が一番主人公を大切にしてくれる。嫌がることはしないし、主人公が駄目だと思ったら、自分の感情や意思に反してでも主人公の意思を優先させる描写が立て続けに続いて……あんなルートこんなルートを思い出して、お前らホント見習っとけよ……と思った。一番危険そうな人が一番安全地帯だった。

途中から志賀くんのことを理解するために、志賀くんと志賀くんの下僕的なジーク(これまた他ルートでは終盤で光の速さで離脱する)と三人で逃避行するのですが、移動してる感はあまりなかったのは残念(ホテル→ホテルで背景がホテル室内ばっかりだった)ながらも、志賀くんの魅力をこれまでかと見せつける流れだったのはにっこにこしながらプレイしておりました。兄ルートで黒目も白く、そして最終的に赤く染まりそうだった私の目も生気と輝きが戻ってまいりました。
あと、基本どのルートでも流されるままで自分の意思があるんだか無いんだか微妙だった主人公が、ちゃんと自分の意思で考えて、志賀くんと向き合う事を選んでくれた描写があって良かったです。

志賀くんがこの世にあり続けるだけで禍が発生してしまうので、そのことで悩み続けながらも、終わりはあっけなくジークが人狼側と通じてて二人が出会った教会で人質に取られる主人公。ここであっさりと自分が消えることを選んだ志賀くんを見て、最後までそこを貫き通されて、いい意味で卑怯なキャラだなあと。
ただ終わりがまたご都合主義で、あっさり戻ってきた志賀くんには嬉しいやらそうでないやらな複雑な感情にさせられた。伏線みたいなのを回収してる描写はあったけれど、やはりご都合主義としか思えない強引さでHAPPYエンドになってました。まあ、不幸なまま終わられるよりはある程度のご都合は許容する派なんですけど、さすがにほぼ全員ご都合主義EDで、メインキャラぐらいはちゃんと締めてほしかった。

最後は多分、主人公は向こうの世界に行く方を選んだんだと思いますが(EDタイトルが『二人だけの結婚式』なので)、作中で結構悩んでたのにほんとあっさりだった。育った環境をなかなか捨てられない描写はむしろよく理解できるし感情移入もしてたんですが、そんなあっさりそっち行くなら散々悩んで引っ掻き回してたアレはなんだったのか……と思わなくもないけど、志賀くんを一度失ったことで決心がついたのだろうと自己完結。最後はなんか裸のように見えるスチルがあったような気がしましたがアレは裸で抱き合ってるだけなんだ……生まれたままの姿なだけなんだ……ということで自己完結。(二回目)

このルートで、志賀くんがどうして人間界に出没出来たのかとか、いろいろ明かされたこともありましたが、モノホンの志賀喬さんの死因とか、隠世の詳細な設定とかは明かされなかったのでそこんところはちょっと消化不良でした。恋愛描写は一番流れが良かったので、それで許せた部分が大きい。

ただひとつ私が志賀くんに尋ねたいのは、どうして感情面では何も知らないのに『抱く』とかいうお言葉を知ってるんですか?と喧嘩を売るヤンキーのような面をして聞きたい。


【総評】
・システム

ADVとしての機能は申し分ないです。スキップも早いし、一つ先の選択肢にジャンプしたり、一つ前に戻ったりすることも出来て、周回プレイ前提のADVとしては大変使いやすい。エフェクトの演出ONOFFや、非アクティブ時の動作だったりなど、痒いところまでに手がとどく機能満載だった。
ただ疑問に残るシステム(演出?)もある。申したいのは、サブシナリオの閲覧方法。タイトル部の【詩】のランプ部分をクリックするとダイアログが出て、そこでサブシナリオを開放したキャラの名前を入れるとサブシナリオを見れるのだけども。そこでは『私の名前は……』とか書かれていて、自分はこれシーン回想とかで主人公の名前を変えるヤツだと思っており、名前を入れども入れども彼女の物語は本編でお楽しみくださいとか言われて疑問符両脇に抱えてました。シーン回想とかにはサブシナリオは開放された様子が無いし、暫く放置してようやく気づいた時には誰のサブシナリオを開放したのかは忘れていた。(一言ですますなら、わかりづらいということ) ただ、略称を入れたり漢字変換がめんどくさそうなキャラはひらがなを入れてもOKなので、そこは便利だった。便利なのか不便なのかよくわからなかった。
あとおまけシナリオとスチルを見るためには全員の既読率100%にしなくちゃいけないんですがこれがホントもう面倒くさくて同じシーンぐるぐる周ってED見つかんねえ見つかんねえやってたら、別のキャラのEDを見なくては開放されないEDとかがあって、それがシナリオ的にもさして意味が無いのが辛かった。
延期をしたのに誤字脱字や、セリフの指定ミスで音声が流れなかったり、システム設定的な意味ではよく出来ているのにツメが甘い部分も多い。

・スチル
いまどきのデザインではないけれど、崩れているスチルは無いと感じたし、色気もあるし、キスシーンも多めで使いどころも良かったように思う。人狼側の狼Verのもふもふっぷりはほんとかわいいです。どんなに酷い判断されても許してしまいそうだった。主人公の幼女時代のぷくぷくした感じの手とかも、可愛らしくて良かったです。
あとすごい個人的な嗜好な意味で、血をすすったあとの飲みきれなくて口の端からたらーとこぼれるスチルがなかったのが残念でした。赤い血が口元に残って汚れているところに色気を見出してすごく興奮するのですが、なんかこれ以上語ると自分でも気持ち悪いのでここまでにしておきます。

・シナリオ
まずはじめに、吸血鬼ネタ好きの自分が吸血鬼的要素の観点から語りたいんですが、まあ無いと言っても過言ではないぐらい。血は吸うけれど、吸血鬼だけれど、吸血鬼が掘り下げられるわけではない。味の感想も語らなければ、十字架が駄目とかそういうのもない。血が吸われた人が吸血鬼になるとかそういうのもない。そもそも教会みたいなところで出没されては、私の中の吸血鬼好きセンサーもそっと電源がオフになった。むしろそういうのが全然なかったから早めに切り替えられて良かったのかもしれない。これらは私の嗜好的な部分が強いし仕方がないにしても。
掘り下げられるのはタイトル通りのヴァルプルガとかヴァルプルギスの夜とかだけども、でもこれも本編に深く関わってくるわけではなく。洋名を出す割には、『禍』だの『隠世』だのの日本名も出てくる。ひょっとしたら作中で繋げられている部分もあったのかもしれないけど、深く繋がっている描写はなかったように感じました。そしてそれらの根本的な彼らの正体という謎は、最後まで曖昧な表現で終わってしまった。

物語の設定、出来事に対しての伏線は巧く貼られている部分もあったけど、それに伴う人々の感情とかの描写は巧くなく、いつの間にか好きになってたり、多少強引にでもその事象に集結するように持っていくという無茶な力技は見ていて目が点になったし、納得できるものではなかった。物語の終盤は大体ご都合主義でまとめられて、理由とかは無く幸せになって終わり。陰鬱な雰囲気を見せて置きながら、納得もできないまま明るいEDになるのは大変辛かった。

共通が長く、そこから派生していく感じですが、そこからの物語はトラ、リュウ以外は違うものであってその違いは楽しかったです。トラ、リュウも持っているものが違うし考えていることも感じていることも違うので、展開は似たような流れをたどるけれども、結末はまったく違うもので、それぞれ納得できるものではあった。

あと主人公だけども、流され主人公で何か合ったり何かされたりしても大体THE不動で驚いてんだかそうでないんだかの感情がよく見えない。幼少期のほうがよっぽど意思があったと思わされるほどの不動っぷりだったので、感情移入には大変困ったもんだった。あと、だいたいいつの間にか好きになってるので、どのルートでも置いてけぼりにされていた。巻き込まれることに関してはしょうがないにしても、恋の問題ぐらいは自分で何とかしようとかそういうのも感じられないので、『動けよ!』って絶叫するシンジくん並にマウスカチカチしていた。

主軸の設定はちゃんと立てられているので、後は肉付けの行動理由や感情の機微など、丁寧に描写していけば間違いなく良いゲームになるはずだったのにと思うと…………まあそうならなかったからこそ、この作品なんだと思いました。どうしてこうなった。


おすすめ攻略順は、 兄→トラ→リュウ→志賀くん。
美味しいものを後に残す順。兄で大体のネタバレをされるので、それを後に持ってきてもよし。先に持ってきて、他ルートをプレイしながら考察するのも面白いかと。志賀くんは彼の思いの強さから最後にしてあげてほしいという私のごっつ個人的な願いです。
トラEDはぜひ口に水でも含んでトラの本気のセックスと勝負してみてください。



自分が納得出来ないのは、なんとなく手が抜かれているなと感じたところだったろうか。『こだわり』までは感じさせなくて良いから、内容を整えるぐらいの事はしてほしい。明らかに強引すぎたり、納得が難しかったりすることが多すぎた。あと節穴な私の目でも気づくぐらいの誤字脱字。そういう細かいところで手が抜かれていたので、積もり積もってモヤモヤしてしまった。
同じライターということで、恋戦記はそこの流れが綺麗で好きだったんですが、今回はちんぷんかんぷんで最初のほうで『恋戦記の期待』はバッキリ折られてむしろ良かったのかもしれない。
恋戦記好きさんにはオススメしませんが、そうでなければ楽しめるところもあった。そうでない部分のほうが上回ったけれども。
兄は私の乙女ゲー史に残るレベルである意味すごいキャラだった。こんなに主人公を大切にしてくれるのに、感情移入するぐらいならBADEDのほうが幸せだと思わせられるにまで至ったのはある意味力強い描写があったのかもしれないそっち的な意味で。


やるゲームが無くなっちまいましたが、ぼちぼち積みゲーを復活させていきながら、気になったゲームでもプレイしていたいと思う。
あと懲りずに『違うライターだから大丈夫だよね!』を合言葉に絶対階級学園たぶん買います。
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