全力で頭を抱える日記

おもに乙女ゲームの感想を中心に。ネタバレご注意。

05 2015

ハル 石ころ、薔薇ルート クリア

萌えの大収穫祭開催中。

というわけで、凄い勢いで楽しめております絶対階級学園。どちらのルートに転んでも、違った痛々しさがあるけれど、その痛みや苦しみこそが心地良くもあって最高でした。ちゃんと考えさせられて、その上で「苦しい」と思える痛みだったことが良い。
まさかこんな痛みを与えてもらえるとは思っても見なかったので、もうなんと感想を打ったら良いのかと迷う自分も居るのが不思議で、それすらも『面白い』って思えてしまうこの無茶苦茶。大混乱祭。

石ころルートも薔薇ルートもそれぞれ意味があり、味があるお話で大変……大変良かった……。発売を待っていた頃はまさかこんなことになるとは思っても見なくて、あの時の色々業に苦しんでいた自分が今解き放たれて大開放祭です。

主人公は特別強い心を持っているわけでも、弱すぎる心を持っているわけでもない、良い意味で普通の子です。基本装備は差別感のない良い子ではあります。ただ、弱さに転んでしまう脆さも持っているけれども、でもそれは普通に人に備わっている一般装備な弱さだと自分は感じました。もちろん、私自身にも。
主人公本来の強さや良さを保ち続ければ石ころルートへ。少しでも自分を見失って何の苦労も得ずに他人に崇められることに快感を覚えてしまえば薔薇ルートへ。大多数の人の目を気にする弱さ、実際その立場になってみたら痛苦しいだろう、だから薔薇ルートで人の目を気にする彼女を責めようとも思わなかった。ただ可哀想だとも思わなかったけど。
逆に石ころルートへ転がった時の彼女の良さも良かったけど、階級的な立場ではない部分で苦しんでるのが痛い部分でもありました。


●石ころルート
ハルくんは私が思っていた以上に頑固で、我が強くて、ほんの少しねじ曲がっていて、愛あるSさんだった。もうちょっとおとなしい子だと思っていたら、主人公と色々歳相応の面白い言い合いとかもあって近所にある急斜面な坂を母音を叫びながらダッシュで駆け上れるんじゃないかっていうぐらい、悶えた。そんでお互いがお互いを傷つけあう様子もたまらなかった……これは薔薇ルートの感想で語ることにして。

差別的な視点を持たない主人公が階級システムに戸惑いながら、それでもハルくんと言葉を交わして行くのは本当に心地が良かった。そしてそういう意思をプレイヤーが自分で、選択肢で選べるのも良い。ちょっとずつちょっとずつ近づいていくのは分かるのに、じれったくてなかなか素直になれない感じのハルも良かったし、前述した歳相応な感じの言い合いも可愛らしくてなるほどここがエデンか……って思いながらプレイしていた。
ハルくんはいろいろいじめられることも多かったようだけども、そのシステムに染まらなかった主人公に救われた部分もあったんだろうし、救われて情けなかった部分もあったんだろうなと……ハル君側の心情もなんとなく察せられて、衝動が抑えきれなくて本当に窓でも開けて叫びたかった。
主人公の階級が下がってしまった時に心配する言葉をかけたハルに、離れ離れになる必要がないからずっと同じ階級で仲良くしようと言ってくれた主人公の心の清らかさとそれで救われたであろうハルの心を想像し、衝動が抑えきれず自分は本当に鼻血を噴射した。3日に2回も噴射した(実話)。

石ころルートは、ハル自身が抱えた問題が現れる。それは水が苦手だということ。最初は水辺が苦手なだけだったのに、いろいろいざこざがありミツバチ階級の生徒に突き落とされ水辺で濡れながら意識を失うハルくんは大変お美しく美味しゅうございました。
大分見えている感じではあったけれど伏線もちゃんと貼られている。というのは、ハルくんは絵画がお好きでその中の1つにミレイ作のオフィーリアが出てくる。自分、西洋絵画好きなので、ハルルートではたくさん絵画の話が出てきて、それがちゃんとお話に繋げられていてそこも感心しっぱなしだった。ミレイのオフィーリアも好きな作品でもあったし、もうずっと鼻息荒くプレイしていた。だから鼻血を出したのか。
暗い川辺に生気無く漂う美女は何処か色気も含んでいて、暗くて底が見えない筈なのに川辺の水の透明感とか、全体的に深い緑の中で不自然に漂う散り散りになった花束とかも好きなんですが、この絵画に対しての解説みたいなシーンもあってもうこっからずっと鼻血とまんないんじゃないかって思った。

そこからもう怒涛の伏線!これは今後に向けての伏線!って感じでハルくんが無意識に呟いたりする台詞や単語が出てきますが石ころハッピーエンドではなんの解決もせずに終わった。こう1回で全部回収してくれない流れはあまり好きではないのだけども、真相ルートがあるらしいのでまあ置いといて。

ハルが水辺に突き落とされたのはある意味自分の所為でもあった主人公は悔やんでハルがもう一度水を克服できるようにしようとするも、ハルからは反発を食らってしまう。そこで主人公が諦めずにハルに歩み寄ったのも良かった。お風呂で髪の毛を洗ったりしたのはほんともう一般ゲーサイコーって拳を天に突き上げましたよ自分は。おばあちゃんになっても介護してあげるだの遠回しな告白をガンガン蹴っ飛ばした先で待ってたキススチルに鼻血も出尽くした。主人公の気持ちをわかっていて可愛らしいいじわるで攻めるハルも可愛らしかったし反発する主人公も可愛らしかったし、階級とかほんとそんなもんクソどうでもいい優しい世界でした。
前述しましたが投げっぱなしで終わりましたが、テンポよく気持ちがつながっていくイベントも出て来る中で、それがこれ見よがしな感じでもないのが素敵だった。大量の萌えの前にエンディングの突拍子もない感じがかき消されてる気がするけど、ハル自身の問題は二人で乗り越えたし、後は末永く幸せに暮らしてくれれば自分はそれでオールオッケーです。

石ころバッドエンドは、なんか惜しいなあと思った。壁を乗り越えられなくて、ハルが本格的に水がダメになって気が狂ってしまい自分が掻きむしった傷から溢れ出る血(水)でさらに狂ってしまって……ベッドに括られるハルのスチルに私の心も抉られたけれど、ここで終わってしまうのもったいない。
どん底とも思える状況の中で、それでもなんとなく二人はお互いのことを想い合っているのを感じられて、ハルのどうしようもなくなった現状に主人公が耐え切れず流した涙にすら狂ってしまうハルに、気丈に笑う主人公。この場面こそが、ハルルートの最大の越えるべき壁で、この二人なら越えられる壁だと思えただけに、ここで終わってしまって残念でした。ここから二人で立ち上がって強さを手に入れられたなら、カタルシス半端なかっただろうにと思うと、本当に惜しいところで終わってしまわれて残念。

あと全然関係ないんだけども、ハルくんが水が駄目ってなって薬も飲めないかも……ってなった時に本編の深刻さも丸無視して自分は意気揚々と「水が駄目!そんなあなたにゼリータイプのオブラート!ら●ら●服薬ゼリー!」って呟きどころではない絶叫をツイートしたら、その後に本当に服薬ゼリーを使ったらしい記述が出てきて、絵画といい服薬ゼリーといい、このライターさんとは気が合うなって思いました。


●薔薇ルート
主人公の弱さが際立つルート。萌えは少なかったけれど、自分はこっちのほうが流れも良くて、痛々しくて考えさせられる部分も多くて好きです。乙女ゲーとしてはちょっと違うのかもしれないけど、男性向けをプレイしているような感覚に少し近くて、そこも面白かった。
この階級学園のシステムを肯定するような選択肢を選んでいけば自然と薔薇ルートに入れる。そして肯定する選択肢を選ぶ度に仄かな主人公の弱さが見えて怖かった。実際なんでも買っていいよと言われて、人に崇められて、それが何度も続くとそれが当然かのように麻痺していく……ありえないことでは無いと思った。だからそんな主人公の弱さは、意外と身近なんじゃなかろうかとも思う。慣れてしまって、それが当たり前になった時に、それでも正常な判断が出来る強さを持ちえるのかどうかっていうのは、すごく難しいことなのではないかと。
石ころルートがハルくんが越えるべき壁を描いていたのなら、薔薇ルートは正しく主人公が越えるべき壁。薔薇階級に上がって周りは皆掌を返したように持て囃す。石ころルートとは別の意味で、友人は友人でなくなる。そんな中で、階級が変わってもハルはハルで、大きな心の支えになったはず。多少は弱みを見せながらもそれでも友達として階級関係なく差別関係なくハルに接する主人公は、薔薇階級の人達の視線に苦しむ。ここで突っぱねられず、他人の視線は関係ないと強く言えなかったのは、よく分かる。そうでなければ、薔薇ルートには突入しなかっただろうと思えるから。薔薇ルートに突入してしまった弱さがあるから、周りの目を気にする主人公を否定する気にはなれなかった。もちろん、肯定する気にもなれなかったけれど。
石ころ階級のハルと仲良くしながら、薔薇階級としての自覚が足りないんじゃないかしらとか言われる度にそんなもん願い下げだと絶叫しながら親指地面に突き刺す勢いでブーイングしてたんですが、それは私が外側の人間であり当事者でないから出来たことでもあったように思える。実際にその場に立たされてみた時のことを考えると、どうも主人公を否定しきれない。

そんでもってこのルートでも絵画が伏線として出てきます。ゴヤ作、我が子を食らうサトゥルヌス。惹かれる絵とハルくんは言っていたし、確かに惹かれる絵ではあるけど、この毒々しく黒々しい絵を好んでる辺りハルくん実は内側凄いモヤモヤしてんのでは?とも感じた。オフィーリアも明るい絵ではないですし。石ころルートに続き、この絵もちゃんと解説してくれてそこもまた良かった。
ゴヤの黒い絵は風景画の上から描かれたっていうのは本編でも語られていたけど、そこを上手くなぞってハルくんがせっかく途中まで仲良くしていたのに自分の絵に黒い絵の具を塗ったくったのは、流れとして来るだろうなという予感はしていたけど、実際に来てみるとなんとも言えない感情に溢れてゾクゾクした。そこでの主人公とのやりとりはほんと絶頂した。

ネリ「気持ちなら……こんな形じゃなくて、ちゃんと言葉にして伝えて欲しかった」
ハル「言葉にしたくてもできない感情があるってこと、知っておいて欲しかった」

周りとの軋轢に耐えられなくて、それでも主人公はハルを支えにしながら、ハルも主人公を支えにしながら自分との階級の差で苦しむ主人公に耐え切れなくて、反発しあって、手放そうとしてドロドロした黒い気持ちが正しくキャンバスに塗ったくられて、塗ったくられたキャンバスに描かれていた絵の題材は『ハルくんと私の好きなもの』。私は耐え切れなくて低い声で唸った。
それでも縋るように絵を描いてほしいとハルに頼んでも、戻ってきたのはやはり黒い絵。それでも最後の最後までこの絵を大切にした時に、ひょんなことからこの絵を真意を知り、最後の最後で自分の弱さを振りきってハルのもとへ駈け出す画面の真っ白さが眩しかった……。

逆に薔薇バッドでは、周りの目や雰囲気に飲まれて、じわりじわりとハルを所有物扱いしていくことに気づかない主人公。本人の意図しない内に侵食されて、外側にいる人間だけがそれに気づいている。反抗されて本当に気持ちが別離してしまった瞬間は虚しくもあったけど、変に心を動かされもした。ハルって頑固で、たとえ上の階級でも命令されてもそんなに従う様子も見せなかったのに、フリだった世話係を本当に下僕にしてしまったこのエンディングの後でも主人公の側に居るハルが切なくて。跪きながらガッツリ飼猫に手を噛まれる主人公との構図が、心地良いバッドエンドだった。心地よいって感じる自分もどうかしてると思うけど、筋が通っているというか、いびつだからこそ美しいというか。
あとこの作品が18禁じゃなくてよかったなーとも感じた。18禁だったらあんなことやこんなことになって更にグズグズになっていただろうけど、そういう演出を含まなかったからこそ、心の弱さという痛みが際立って良かったなと。

ちなみに薔薇ルートの各EDのタイトルが座布団運びたいほどに巧い。ハッピーは「恋われた愛」、バッドは「壊れた愛」。共通して『乞われた』でも良いのでは?と一人大喜利やってました。2つとも『愛』があるのがなんとなく、悲しい。


というわけで、ハッピーからバッドまで何から何まで楽しめております。ハルというキャラクターも可愛らしかったし、筋の通ったところも好き。そして何より、石川界人くんの演技力の高さを感じることが出来て、より一層彼のファンにもなった。戸惑いのため息だったり、年下キャラならではの可愛らしさだったり、ハルというキャラクターの表現が上手くてそこもたまらなかった。

見事寝不足を食らって寝ぼけて縦ラインと横ラインの靴下を片方ずつ履いて出勤してから気づいてコンビニに走りながら私はマギー司●かと一人で笑ってたので今日も元気に笑顔で石ころで転がってます。転がされるのには慣れてるんでね。

お次はちょっと私の中で影が薄いと話題の壱波くんルートに突入します。薔薇から行くか石ころから行くか迷うけど、心証よく終わりたいので薔薇から行くような気がします。
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