全力で頭を抱える日記

おもに乙女ゲームの感想を中心に。ネタバレご注意。

29 2015

龍之介ルート 感想

乙女ゲー界のヴァンパイアハンターを自称する自分としては、チェックはしていたけど手は出さなかった作品。ちなみに自分は乙女ゲーにおいての吸血鬼ゲーは地雷という法則を発見しているので、発売日まではその期待を裏切って欲しいような裏切ってほしくないような複雑な乙女心(瀕死)を胸に秘めておりました。
発売直後に密林のレビューのささやかすぎる☆の数を見て『やったぜ』と拳を握ったので、もう自分はどちらに転がり落ちたとしても結局喜ぶ他無いという領域にまで到達できたのかもしれません。

やったぜ。

簡単に物語を説明すると、お父さんが管理するアパートで暮らしていた主人公、そのアパートには5人の男の子が住んでいて、お父さんは何考えてるのかな?おねだりなんとかメイトかな?と突っ込む暇もなく、開始から大体5分でお父さん離脱。実はお父さんは吸血狼(ヴァンウルフと読むけど吸血鬼と大差ない)ハンターで、その男の子たちも吸血狼ハンターでみんなで協力して吸血狼をやっつけていたのでした。父親が残した遺言の中の『この中に裏切り者がいるかもしれない』という根拠の無い手紙を握りしめながら、仲間であるその5人にヴァンウルフミッションとかいうこじつけ大会でキャラを疑いながらも協力しながら吸血狼をやっつけていくゲームです。
朝だけど眠い~とカーテンを閉めるキャラに『あのカーテンの締め方、ちょっと大げさすぎない…?』とこじつけ大会開始を宣言する主人公に、『オマエに会うためにオレは生まれてきた…ようするにオマエは僕よりも遥かに強い』と意味不明なことを言い始める攻略キャラ……『ケツ打った。今度こそケツ割れた……』というギャグにささやかな笑顔を与えて貰いながら、痛感したこと……そっちゲーでも何でもいい、私はこのゲームが好きです。(告白)

久々のハイパースピード感ある展開にわくわくドキドキ胸を踊らせながら、それでも……それでも、このゲーム……私がやってきた数々の吸血鬼ゲーの中でも一番『吸血鬼』の設定を汲んでくれた……ようなそうでないような……。(自信ナシ)
ダンピール(人と吸血鬼の混血、このゲームでは吸血狼の血を浴びすぎたり血を吸われて吸血狼になった元人間をこう呼ぶ)を語られるとは思ってなかったし、太陽はもちろんダメ(といっても弱る程度だけど)、神聖な場所ダメ、銀製品ダメ、聖水ダメ……乙女ゲーで無視されてきた数々の吸血鬼の特徴が汲まれていて、次第に自分は吸血狼さんに向かって『吸血鬼の設定を汲んでくれてありがとう……』と胸をときめかせながらプレイしていた。自分がどんだけ吸血鬼に飢えていたかを知った。貴重な吸血鬼をハントするなんてとんでもない。こんな吸血鬼らしい吸血鬼、希少価値高いですよ、いやほんとに。

そんでもって今回攻略した龍之介くんルートがこれまた良かった。彼は美術好きで自分の趣味と合致する面もあったし、お家が金持ちな彼が描いた絵がコンテストで最優秀を取ってしまい、それを良しとしていなかったり。家が先物や動産の取引で財を築いて来たから扱う商材には絵画も含まれていてそのせいで贔屓される……と設定も上手く話に絡められたりしていて、このあたりの自分のウキウキ具合と言ったらすごかった。今まで吸われるどころか大量に吐いてきた自分にとっては、たとえコナンの犯人みたいな黒タイツ仕様な吸血狼でも吸血鬼ならなんでもいい血が必要ならなんぼでも飲ましちゃるな勢いだった。
しかし、それだけなら密林地帯で曇りの日のような星の数にならないはず……そう、惜しむらくはそんな描写も5分と続かない。そして一度出た設定は殆ど伏線にならないという、エコ時代に背くような男気溢れる設定の使い捨てであること。そして肝心なことを語ろうかという時に意味不明な理由付けで、唐突に話が展開していくというスーパーハイスピード吸血狼でありました。さすが狼。

大分仲良くなってきてもヴァンウルフミッションというこじつけ大会は開始され、夜更かししながら木刀振って鍛えていた龍之介くんに『夜行性?もしかして吸血狼……?』と疑うことを忘れない主人公さんに手足をジタバタさせケラケラ笑っている時の自分は今思っても最高にやばかった。その後なんやかんやでお遊びで主人公も剣の鍛錬をすることになり、つかれたもう限界~と外なのにその場で寝始めた主人公に笑いすぎて呼吸が止まりかけた。
ちなみにこんな感じでヴァンウルフミッションは疑いから始めてもなんだかんだ仲良くなったりするが、もしかして吸血狼?みたいなことをあろうことかおもっくそ口に出して言うと流石に相手がキレるというサディスティックタイムなるものがある。しかしサディスティックっていうかそんなこと言われたら誰でも怒るし言葉を変えるならガチギレタイムで、そんなサディなんとかタイムも5分もかからずに終了するんで、安心して受け止めて、そして忘れることが出来る。(どんな内容だったのか本当に思い出せない)

途中で龍之介の父親が主人公たちの住んでるアパートを買い取って追いだそうとし、『土地の建物と所有者はお父さんじゃなかったみたい……』と唐突に語る主人公。そんな中で「このアパートはお父さんが遺してくれた大切な思い出だから、私が守る」的なことを言っていて、私の笑顔もとても柔らかくほぐれ、主人公を見守る目も慈愛に満ちていったような気がしないでもない。お父さんが遺してくれたのはアパートじゃなくて厄介事じゃないのかな?
龍之介は責任を感じたのかなんなのかよくわからないが、主人公の前に姿を見せなくなり、夜中に龍之介を探して外にでかけると案の定吸血狼と出会うも、「まさかここで吸血狼に出会うとは思わなかった…!」と主人公もかなり脂がノッてきた様子。ここまで来て一体何をいっているんだ。
そしてなんだかんだピンチな主人公を見放せなかった龍之介が現れ、上記した意味不明な告白がここで繰り出される。龍之介は未来が見える能力を持っているけども、それが主人公だけには効かない……理由がずっとわからずにいたものの、ここで答えを出したかのように「お前に会うために生まれてきた。だからお前の未来はいつも不確定で、ようするにお前は僕よりも遥かに強い」とたいへんに純度の高い意味不明な告白をされる。何度読んでも意味がわからないのが、これまた最高なのである。

最初の方はまだ吸血狼を狩るぞ!チームワークで倒すぞ!みたいな描写もあるが、後半につれてそれも薄まっていくのもまたたまらない。そして唐突に吸血狼化する主人公、あんだけ他人疑っておきながらお前がなるんかい!!(ちなみにこのあたりの理由を補完するなら、吸血狼の血を浴びすぎると吸血狼化するのでその辺りのせいじゃないだろうか。後はあるんだか無いんだかよくわからない真相ルートで明かしてもらえることを祈る)
吸血狼化した主人公に、あんだけ情け容赦なく吸血狼狩りしてきた龍之介が『お前だけは殺せない……』とこういうゲームにありがちな常套句をくれるが、それでもまだ設定からは脱線してないので……という意味不明な理由で私も吸血狼を受け入れ始めた。

すると意味不明に吸血狼化する龍之介。お前もなるんかい!

そんでそのまま二人で逃避行エンドみたいなのがビヨンドEDだったらしいです。日本語もままならない英語もわからない自分は即座にネット英和辞典で『ビヨンド』をカチャカチャターンしたところ、『向こう側』とか『あの世』とか言う意味だったらしいですが、一度でもこっちに来てくれたことはあったんだろうかと問いかけたい。

ホープEDという名のハッピーエンド(ビヨンドもまあハッピーの一種ではあったけども)は、龍之介は吸血狼にならずに済んで教会でプロポーズみたいなものを受けて終わる。残念ながら、それだけである。

カルマEDという名のバッドEDは、傷ついた主人公を庇うあまり閉じ込めて守るという唐突なヤンデレをご披露されて終わる。ここまで来るとむしろ安定感というか安心感のようなものすら感じた。


吸血狼というけど、狼的な要素は殆ど無く『人狼』という人を疑う設定に絡めたかっただけなのだろうし、吸血鬼という設定は私がやってきた吸血鬼ゲーの中では一番設定を汲んではくれていたけどそれはあくまでも倒す対象であって、攻略キャラではない。ただ、吸血鬼ゲーをやってきて『吸血鬼とは一体何なんだ……?』という永遠とも思えるテーマな壁にぶち当たって何度も倒されてきた身としては、たとえ5分以内で作中での説明が終わるとしても『吸血鬼』という設定を(割合的に言えば)尊重してくれた(傾向にあった)ことはありがたかった。
あと吸血鬼=エロみたいな解釈をされがちであったの対して、不必要なエロが殆ど無いのは意外だった。壁ドン床ドンが多めではあるが、5分以内で終わるというのがこの作品の強みであるので引きずることはほぼ無い。


久々にかっ飛んだゲームをプレイ出来て、嬉しいような切ないような気もしますが、自分はかなり楽しんでプレイ出来ているのでやはり色んな意味で飢えていたのだと思われる。誰が人狼でも受け入れる準備はできているので、早く名乗り出てきて欲しい。怒らないから。手を繋いで吸血鬼ゲー界を共に歩けることを願ってます。
というわけで次は美味しいものを残す意味で吸血狼じゃなさそうな人、金月さんか東雲さんあたりに行きたい。
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