全力で頭を抱える日記

おもに乙女ゲームの感想を中心に。ネタバレご注意。

28 2015

氷の涙 感想

今年中にあともう一本ぐらい同人ゲーに浸っていたいなと思ったので、フリーでさくっとできそうだった氷の涙をプレイ。いつものごとくネタバレあり、少々辛口寄りです。

氷の涙 - radix works様


・シナリオについて
簡単に物語を説明すれば、小国の王女でありながらとんでもない美貌を持つリュシアは国を滅ぼされ、攻め落とした国の王の妃にされようとしていた。リュシア自身は自国を滅ぼした王よりも、直接手を下した将軍のアルダシールをあの手この手で口説き落とし復讐を誓いつつ、なんだかんだでその国の執政官の一人がすっと近づいてきて謀略の計画を持ちかけるのであった。

王宮のドロドロいいぞいいぞ王宮なんてドロドロしてなんぼや~って思いながらプレイしておりましたが、実際そういうドロドロの策略とそれぞれの思いや考え方はわからなくもなかったし納得できるものではあったけど、終えてみれば自分がこのゲームに一番に求めている物は違うんだと気づいた。
と言うのは、滅んでしまえばいいと心底憎んでいた存在からどう変化して愛情(または愛憎)へと変わっていくのか、その変遷を楽しみにしていたらしい……(他人事なのはフルコンプした後にそのことに気づいたから)。そう考えると、この物語はさくっと終わってしまうところが大きいし、どのルートも恋愛過程的な意味で見ればいつの間にか好きになられたりなっていたりするので物足りない部分も大きかった。乙女ゲーと言うよりは一般ゲーに近い感覚だけど、個人的には馴染み深かったし、つい最近まで同人ゲーをやっていたのですぐに慣れました。

大きく残念だったのはそこだけだけど、山になるような大きく話が動く展開が無いので結構平坦な道を歩かされるのもちょっと辛かった。ただ、王宮内での動きや主人公の立場を取り巻く状況で動く話はとても自然で楽しかった。侍女とかの思惑とか、それぞれの立場から来る行動理由には惹かれるものがあった。それだけに恋愛的な意味でのブーストが無く乗りきれなかったのが残念。
なので攻略陣の中で特別推しキャラが生まれなかったけど、シーリーンだけは最後まで株爆上げで、彼女との和解EDがなかったのは悲しかったなあ。主要女性陣は結構好きなのに男性陣誰一人ピンと来る人が居なくて謎な状況に……。

以下よりキャラ感想。

・アルダシール
恋愛ゲーでは1本プレイすれば大体1人はいるかいないかの確率で『攻略する必要のない人』ってのがいるけど、アルダシールもその部類だった。その意味は『最初っから主人公のことが好きな奴』。というわけで主人公があの手この手を使う必要もなかった、大分チョロかった。別に好きなのは構わないし、自分はそういう奴が大好きだしどんと来いだけど、彼の立場は「主人公の国を直接的に滅ぼした将」なので、もうちょっと己の立場を考えた行動をしてほしかった。いや、考えては居たし一生懸命抑えようともしていたけど、かなりの頻度でそれが漏れ出ていた。しかも会って間もない主人公にこうもあっさり陥落させられるとは……ただどのルートでも彼の感情は一貫していて、終えた今ならそれも『らしい』とは思える。
好きになった理由も一目惚れっぽかったのは少々残念。主人公は生粋の美人らしいので一目惚れも致し方無いとは思えるけど、やっぱり立場がなあ……。ただ、武将らしく暗殺者にすぐ気付いたり、肝心なところでちゃんと駆けつけてくれたり格好いいとこもたくさんあって、感情が乗り切らなかったのは本当に残念。上手く行けば猛烈に悶えさせてくれる存在になっただろうになと。別の野郎ルートでも逃亡の手引をしてくれたりして彼の思いがモノホンのものだとわかったけど、この国のことを考えれば結構心配になるレベルだった。
婚約者であり王妹でもあるシーリーンの好意を知りながらも無下にして、あくまでも線引していた彼は自分の気持ちに正直で超頑固。ハッピーEDでは国を捨てて主人公と二人で逃避行EDだったのは正直笑った。結果的に主人公もアルダシールを好きになったからハッピーEDだけど、主人公と純粋に仲良くなりたくて近づきかつアルダシールを慕っていたシーリーンにはとてつもない大ダメージを与えたし、国の重要なポジションの武将を引きぬいたので、結果として主人公の復讐は叶ったのでは。でもそれはある意味大切なモノを奪われた第二のリュシアを産んだだけに過ぎないんだよなあ……争いが結果的にこういう結末に落ちるのは面白かった。

・ファルーク
軍の力が大きくなりすぎるのを良く思っていない政務官で、主人公に謀略をコソッとご教授くださる。そして結果的にこの人も主人公に堕ちるので、あまりの主人公の無双っぷりに心が踊った。彼のTRUEEDが物語的な意味では一番よくまとまっていて綺麗ではあった。結局最後まで復讐を貫き通した主人公に『あなたを毒花にしてあげます』と言ってくれたのはこの美貌で悪女EDきたでコレ!と太ももパシィーンして心踊ったものだけど、オチは結局他のBADEDと同じく、実は復讐考えてました~とバラして主人公だけがその罪を背負うだけだったのは結構残念だった。この国に大ダメージを与えて主人公が実権を掌握しきったところで主人公に高笑いするぐらいの猛毒を含んだ美しい花を咲かせて欲しかったな。でもファルークはこの国のためを思った行動を貫き通していたので、それはこのルートではほぼありえない話だとは思うんだけども。
他のルートではほとんど空気だったのも残念だけど、行動理由は一貫していてそこは好きでした。主人公にアルダシールに復讐を持ちかけたのも、ある意味自分が思う国のため。なので主人公と幸せになるEDが一つもないというのはとてつもなくしっくり来たし、それが要因で彼の株が上がった。作中でしっかり主人公を頂いちゃってるので今作中で一番美味しい思いしてるんではなかろうか……。

・アズール
隠し?キャラ。攻略制限は恐らく掛かっていないような?国の王女だった人を暗殺しろと言われ揺らぐ心優しい暗殺者。恋愛的な意味ではアズールルートが一番しっくり来たけど、萌えたかと問われれば前述したとおりなのでなんともかんとも。最初アルダシールを攻略しようと思ったけどBADEDスパイラルに陥ったかと思ったら、庭でアズールと出会わなければアルダシールEDを見れないことに気づき、発見した時は結構恨んだぞ……。
でも結果的には彼のEDが一番幸せになれる、そういう意味では一番美味しい子だった。基本的には乱暴しないし、主人公を殺すかどうかで悩む優しい心も持っているし、年下ポジで可愛らしかった。上記の年上組に比べれば幸福度かなり高かったし、やっぱ年下ポジはサイコーだなと感じた次第。

・シーリーン
主人公の仇であるアルダシールとなんとか仲直りさせようとする超絶空気の読めない悪気ゼロの王妹。一番純粋な存在で、その白さがある意味際立っていた。彼女の気持ちには一切の汚れが見当たらない、発言も思ったことをそのままなので、相手を配慮するというフィルターが全くかかってない。でも悪気はないし感情の裏側もないので、進めば進むほど好きになれた。流石に序盤の行動や発言は無表情になったけども。
作中一のキーパーソンと言ってもいいんじゃなかろうか。彼女がいるおかげで主人公は国を滅ぼされる前の感情も少しずつ取り戻していくし、彼女を裏切ってしまう行動をとることで良心の呵責にも苛まれる。結局どのルートでも彼女が最悪の形で不幸になってしまうのは可哀想だったけど、それもまあ王宮モノだし仕方無いのか……前述したけど、和解EDでまた仲良くなるところを見たかった。元気でお姫様らしくないお転婆姫、可愛かったです。

・リュシア(主人公)
絶世の美女で作中の男どもをバッタバッタとなぎ倒していく様はちょっと手に汗握った。自分が政治の道具だということを理解して受け入れているし、年齢の割には早熟した御方。まとっているオーラはもはや未亡人。根が優しすぎるせいか、憎んでいた相手も最後まで憎みきれず、最後まで自国を想う姿は格好良くもありました。シーリーンについても、良くしてくれているとはいえ敵国で自国を滅ぼした男の妹なんだからもっと恨んでもいいのに、恨みきれずに悩んでいたところを見ると生来の情深さなのかなあとも思えた。
悲しかったり、全部が解決してなかったりするEDが多かったけど、一つでも彼女を取り巻くしがらみをすべて取っ払えるEDがあったので、心救われた。ただ、どのEDも納得の行く形だったので終えた後のすっきりとした余韻は良かったかも。いや、すっきりっていうより結局ドロドロしてるんだけども。


・システムについて
立ち絵なし、スチルなしのノベルゲースタイル。スチルがないのはまだしも、立ち絵は欲しかった……結構誰が何を話しているのか理解しきれないことが多くて。というのも洋名だから名前が中々覚えられないって言う私のすっかすかなオツムがついていかないから。でもこれらがないことで、立ち絵およびスチルの視覚効果って大きいんだなあと改めて実感した。かまいたちの夜のようにのっぺらぼうでも、あるのと無いのでは全然違うと思えた。主要キャラはイメージ図があるから想像もしやすかったけど、本編本文中で各キャラの容姿についての説明が入ることがあまりなかったので、それが誰が何を話しているかおよび名前とキャラクターが結びつかなかった要因かもしれない。
あとノベルゲースタイルだと特に、文字を読むことに集中するので背景の透過度の調整はさせて欲しかった。気にならん人はならんとは思うしかなり読みにくいというわけでもなかったけども……。それ以外のADV機能は特別不便なところもなく良かったです。


というわけでリュシア無双なお話でした。こんだけ聡明で現状を割り切っているキャラは中々居ないのでもうちょっと話を見ていたかったなあと思う気持ちもある。ただフリーゲーでサクッとできるので、この程度の長さもそれはそれでちょうど良かったので楽しめました。ちょっと明るい乙女ゲーしすぎて、仕切りなおすために変化球を加えたい方にオススメしたい。
また、オススメしてくださった方、ありがとうございました。


次は予定したとおりeuphoriaをプレイしたい。ずっとプレイしたかったエロゲなので期待を良い意味で裏切ってくれることを楽しみにしている。
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