全力で頭を抱える日記

おもに乙女ゲームの感想を中心に。ネタバレご注意。

28 2016

乙女理論とその周辺 感想

つり乙BADEDその後のお話。BADEDと言っても衣遠兄様の料理人として終わるEDで、そこからまた服飾の世界へと羽ばたくお話でした。凝りもせずまた女装してパリ校へ編入という展開には笑ったけど、上手くつなげていて感情移入も出来た。
結果として簡潔にまとめると、良いところと納得行かなかったところが反発しまくって苦しかった。終わってみれば、ああ楽しかった!といえる出来ではあるけれど、それでも言い終わった後に表情筋が少し攣り気味になる的な。


全体的に見ればつり乙と同じような構成。かなり大元真相のようなルート一本に、それなりに丁寧に作ってあるルート一本に、考えることを放棄するのはやめろと言いたくなるようなルートが一本。その他おまけのようなEDが数個。こういうような作り方をするんだったらNavelもっとちゃんとやれ、と言いたくなるぐらい。つり乙ではその大元ルート一本に心を支えられたし、その出来が最高のものだったから納得できたけれど、こういうゲーム構成を立て続けにだして、それにフルプライス出すのはなんだか納得をもってお金を払えたという気はしなかった。
恋愛面的な話はともかくとして、家族愛は非常に良く描かれていた。拗れに捻れまくった大蔵家の関係が紐解かれるところも心温まったけれど、やはり詰めが甘いと言わざるをえないあっさりした描写でごまかされたように思うところも無きにしもあらずというか。なんというかかんというか……良かった部分には本当に素敵だったと言えるできなのに、それを手放しで喜べないできなのがなぜだか悔しい。

とりあえず、キャラ感想を。りそな、メリルはともかくとして、エッテは扱いが可哀想過ぎるんじゃないですかねえ。ヒロインなのにまるで刺身のツマ。


●ブリュエット・ニコレット・ブランケット
OPまで到達するのに非常に長くて(なにせ8月から始まって12月までかかる)、そこまで非常に丁寧に導入部を描いておきながら、妹との電話を部屋越しに聞かれて男だとバレるっていう、途中から考えることを放棄したような展開だった。しかも導入部で、何かあって男だとバレると困るから、日本語で会話しようみたいな話をしていた記憶があるにも関わらず。そしてエッテはメリルのことが好きと言って嫉妬等の描写を何度もされていたのに、朝日が男だと知ると『エッテに断られ続けて凹んで諦めようと思ってたから』とかさほど悩まず尻の軽い理由で手コキをし始め、『これで恋人だね』みたいなことを言い出した時私は画面に向かって、セフレかな?と問いかけた。つーかセフレの方がまだ中途半端な気持ちが入ってないだけ良かったかもしれない。
とは言えつり乙でため息吐きまくった感想を書いた湊ルート同様、エッテ自身のことはそこそこ好きなので、ただただ飾り物というか添え物というか、そんなような扱いをされているキャラクターの使い捨て感は可哀想だった。例えば本当にはっきりメリルに気持ちを伝えて、その上で恋心が折られて、そこからちゃんと遊星のことを好きになるイベントがあればまだ納得もできただろうにと……。ろくな恋愛描写もなし、服飾描写もなし、大蔵家の問題もエッテは蚊帳の外で、都合の良いポジションに丁度いい奴現れたからそこに適当に収めておくか感。打っているこちらとしてもなんだか悲しくなってきた。
エッテの誰とでも対等に接する清純さと裏表のないその性格は好きだったけど、彼女の両親との関係は彼女が一方的に喚く展開ばかりが目立っていて、誠実に心から気持ちを訴えるようなそんな彼女の良さが見れるような話が一つでも欲しかった。ヒロインになれなかったサブキャラクター。
良かったのはエロシーンがギャグ調でちょっと楽しかったところ。パリったあいは冷めたけど、男バレシーンは自分から正体バレるような展開に持ち込んでおきながら慌ててたのは可愛かった。その後はお察しください……。


●メリル・リンチ
もはや隠そうともしないそのままな金融機関名……。大蔵家と関わりがあるという伏線は割りと丁寧に貼られていたし、メリルが遊星を好きになる展開も(その逆も)、それほど深くはなかったけれど納得出来ない展開ではなかった。ただ男バレした後は瑞穂ルートのように怒られることを期待したんだけど、「男だったら結婚できますね!」な反応だったのは笑ったけど残念だった。これでは女装の重厚感まるでなし。それともフランス女性は心が広いと解釈すべきなのか。
しかし一度遠くへ離れて大蔵家とはなんの関係もない立場になっておきながら、結局大蔵家同士で惹かれ合うのは因果、大蔵家って血が濃いなあ良い意味でも悪い意味でも。大蔵家本家とわりと関わらなかった(もしくはそれを疎んだ)人たちほど聖人傾向があるから、大蔵家の本質的な根本にあるのは、お祖父様の考えが血に受け継がれてるのかもしれない。お金や立場や権力は人を狂わせるなあ。
兄様はすべてをわかっていてメリルに「幸せにはなれないけど、幸せを掴むことはできる」という言葉を与え、遊星たちをパリへ飛ばしたと思うと、こうなることは覚悟の上だったんだろうと思えた。その籠から飛び出したメリルも素敵だったし、その言葉を与えた衣遠兄様も流石。
一方スルガさんにとっ捕まえられて軟禁する展開になったけど、軟禁はしてたけど結構ガバガバだったのは笑った。でもアレはスルガさんの優しさなんだろう。自分が作った壁を、自分が憧れた人間に壊して欲しかったんじゃないかなあと。
祖父を彼女らしい素朴な言葉で懐柔させていたのはなんだか微笑ましかったし心温まったし、彼女の健気さもそうだけど、服飾に対してどんどん熱くなっていくメリルを見るのは素直に応援したいという気持ちにさせられて心地よかった。終盤の大蔵家との和解は正直りそなルートよりも納得できるものだったし、なんだかんだ一番楽しんだルートでした。
その身分の高くない立場からいろいろ虐げられることも多かったけれど、あとはもうとにかくひたすら幸せになって頂きたい、本当に天使のような子だった。ちなみに彼女がよく言ってた「きゃー」が可愛くて好きだった。もっと言って欲しかった。


●大蔵りそな
このルートは自分が良かったと思えた家族愛展開と、納得のできない恋愛描写が混じっていて気持ちがとても濁った。悪かったと言えるようなおざなりな展開でも無かったけれど、納得に至るまでの描写がされていなくてとても辛かった。
良い所を後に語りたいので濁った部分を先に語るけども、りそなはともかく遊星側のりそなへの感情の変遷描写があっさりしすぎ。ずっと『家族』だと思って家族愛は抱いているけど恋愛関係を否定した人間が、妹が弱ってたところを支えて兄妹一緒に頑張っていくってだけで、恋愛感情へと変化するものとは思えなかった。自分は兄弟がいるからそう感じるのかもしれないが、仲の良い家族ならば支え合うのは普通なことであって、その家族への感情が『恋愛』にまで発展するって相当何か特別なことがない限り納得まで至るのは難しい。でもそれをあっさり「なんだか違う感情も芽生え始めてきたんだ」みたいな簡単な独白だけで終わらせられるので、まったくもって理解できないままただただヒートアップされていき私は置いてけぼりにされた。極めつけだったのはテンション上がった二人がアーモンド並木で遊んで、りそなが遊星のことを「お兄ちゃん」と呼んだこと。あれ、家族愛以外の何ものでもないと思った。でも自分を恋愛対象として求めている人間に、お兄ちゃんと声をかけるのかと思うとまたそこでなんとも言えない引っ掛かりが出来た。
恋愛→家族愛はまあ一般的な流れなのでわかる。この場合は家族愛→恋愛で、そのパターンも無いわけじゃないと思うし否定をするという気持ちも無いけど、物語として納得させて理解させるには相当ハードルが高いし、自分はこの描写では納得しきれなかった。中途半端に料理された味付けの薄いぬるい料理をひたすら食わされた感じ。

そして最後のとどめは、最高にして最悪のタイミングで現れたルナ様。りそなのルートなのに。つり乙をプレイしてルナ様の人となりも分かって尊敬もして、ルートの一番の山場で登場させてそこから状況が好転して良い方へ発展していくって、こういうのをルナ様ルート以外ではやって欲しくなかった。せっかくりそなの良さが分かって応援しようと思えて、りそなへの感情移入が進んでいる状態で、二人で立ち上がっていざ独り立ちしようとしたところに、心の中で決別したルナ様に二人が膝を折りそうになった時に救われるっていう……ルナ様ルートが正史な自分でも、ここでルナ様に感情が流れるのがすごく嫌だった。せっかくりそなの魅力がわかってきたところで結局ルナ様に救われるっていう展開は必要だったんだろうか。これが遊星の中でルナ様や桜屋敷への決別が描かれていなかったのならまた別だろうけど、ど丁寧に決別までの道を描いておきながら結局ルナ様に救われるっていう……。このルートはりそなのルートであって、ルナ様がりそなの輝きを上回ってはいけなかったのに、こちらが頭を抱えるほどの圧倒的な力強さ。ルナ様のことが好きだから、なおのことそう思った。というか、決別しようとか言っておきながら未だにルナ様が関わるとテンションが上がる遊星には引いたし、妹とは言えもうちょっと恋人に気を使って欲しかった。こういったところにりそなと結ばれた後も変化が無いから、余計に感情移入もしづらかったと言うか。
ちなみにこの後のルナ様との会話もいたく感動するものであり、感動をしながら目が虚ろになるという摩訶不思議な状況になりながらプレイしていた。
ラストで遊星の人権無視しまくったりそな母が、遊星が作ったりそなの衣装とその姿を見てあっさりと遊星に謝ったのも、しりすぼみな印象を受けた。それほど衣装に感動したという理由だとは思うけれど、今までのりそな母の対応を見るに、悪い言い方をすればたかが衣装で心を入れ替える人間ではないような気が。だから自分はりそな母には最後までヒールで居て欲しかったし、そうであるべきだと思った。

良い部分で語ると、家族愛としてみれば非常によく、丁寧に描かれていたこと。ていうか、衣遠兄様がりそなも遊星も喰っていた。これの詳細は衣遠兄様の項で語るけど、もうりそなはいろんな人に喰われすぎ。私はりそなの健気さと自分を奮い立たせて立ち上がろうとしたところは素直に応援したいと思えたし、不器用ながらも人間関係を築いていってるりそなには励まされるものもあったのに、それを上回る怒涛のキャラたちと展開に、「りそなのルートではりそなが一番であってほしい」という気持ちはいとも簡単に崩れ去っていった……っていうかこれ結局良い所じゃないな。
遊星にコートを作ってもらって感極まって泣くシーンが私にとってのりそなルートの一番の山場だったのかもしれない。あれもなんだかんだ家族愛としての描写ととらえたけど、デザインにすら興味がなかったりそなが服飾の世界へ前へ進めた一歩だったし、大好きな遊星からの気持ちのこもった贈り物に、冷静なりそなが声を上げて泣けるほど心を動かされたのだと見ているこちらも感動した。

長々と不満を語ったけど結論を一言でまとめると、りそなと恋愛したかったなあ。で終わる。


●大蔵衣遠
兄様の過去であるその才能主義となった過程と、スタンレーとの出会い、家族とのつながり、遊星・りそなへの思い……このゲームの主人公は一体誰なんだと問いかけたくなるほどいろんな人を喰いまくっていた衣遠兄様。
家族との血のつながりが無いと知ってショックを受けているのなら、衣遠兄様は人並みの感情を持っているだろうなあと思えた。非情過ぎる言動は、『覇道』を進むと決めた時に全部捨ててきたんだろう。でも捨てきれなかった家族への情に、なんだかんだ結局苦しめられる衣遠兄様を見るのは辛くもありながら嬉しくもあった。
兄様が本当に潔い人間だったのなら、あっさりと公表して大蔵家に負けない会社を作ろうと奮起するだろうし、もしくは自分のやりたいことを見つけて貫くだろう。でもそれをせず、いつまでも大蔵家当主にすがりついていたのは、自分の消化しきれない想いをただひたすらぶつける場所だったのだと思えた。そしてそれはとても人間臭くて、そんな人間臭い衣遠兄様が更に好きになれた。
彼が歪み切らなかったのはスタンレーとの出会いもあっただろうし、遊星・りそなの存在もなんだかんだストッパーだった。正統な血を持つ二人を家族として認めながらも認めきれないその葛藤で飯がうまくてごめんよ兄様。
りそなルートで心情を吐露出来てよかったと思ったし、衣遠兄様のような人が心の中を打ち明けるって相当勇気が要ることだったろうし、ハードル高かったし、難しいことだった。遊星が衣遠兄様に真実を告げた時の高笑いは本当に胸が詰まった……中の人の演技力にも、ただただ脱帽。聞いただけで切なくなるような高笑い。声優さんの名演技もあり、あのシーンを見れたことで私の中の乙りろは大分救われた。
まあだからといって兄様がしてきたことをのすべてが許されるわけじゃないけど、歪んだ始まりは衣遠兄様じゃないだけに不憫。結局衣遠兄様の父親は描写されなかったけど、これは大蔵家の物語だし、衣遠兄様も大蔵家こそが家族だからそこは別に良いかと思えた。


●大蔵駿河/スルガ
衣遠兄様は乙女ゲーでも攻略が難しいと思ったけど、ぶっちゃけスルガさんは乙女ゲーで簡単に攻略できると思った。なんでそう思ったかというと、朝日の清純さにあっさり救われてたこと。そして兄様にあるような覇道の芯がふにゃってるところを見て、「(乙女ゲーに)行ける!」と思った。衣遠兄様は鑑賞用、実用用でスルガさん。
「惚れた」とか「惚れなおした」とか「君なら男でもいいと思った」とか「君のことが欲しい」とか朝日に対してガンガン言っててその度に震え上がったたけど、むしろこの人どんだけ周りの人間に恵まれてないんだろうと思ってしまった。朝日ほどではないけど清純な女性は世の中他にもいると思うし、慈愛と慈悲に満ち溢れまくった乙女ゲー主人公ならよりどりみどりなんだよな。
それとは関係ないけれど、りそなルートで男の格好をした遊星のどアップ画面に「参った、完全に惚れた。完敗だ」とか顔グラが表示されて何ゲーなんだこれはと思って思わずスクリーンショットを保存してしまった。
兄様とは違った形の『大蔵家を捨てられなかった人』。兄様と似たような感情を持ちながらも、相反する性格で、違ったゆがみ方をしているのには衣遠兄様とは違う意味で興奮した。
朝日は残念ながら男だったけど、スルガさんにも良い人現れるといいね(訳:乙女ゲーに来い)。


●大蔵アンソニー
何の関係もないけど、馬鹿なオトコほど愛しいっていうキャッチコピーの乙女ゲーを思い出した。おバカさんで下半身だらしないけれど、悪党ではない。本当にただの良いおバカさん。失態を犯した彼を切れない駿河が居たのがその証左。アンソニーが性根の腐りきった悪党だったら、駿河はさっさと関係を切っていたと思うので。
なんだかんだ大蔵家にアンソニーのような人間が要ると安心するなあ……何故だろうかと考えたけど、なんか彼だけ裏表が無いからだろうな。


●桜小路ルナ様

「美しさに憧れるのはもうやめにします。あの大切な妹が傷つかずに済むのなら、貴女の傍で仕えるのに相応しい自分でいることも諦めます。 ありがとうございます、お美しいルナ様。今日を限りに、私は貴女に別れを告げようと思います。 私はとっくに桜屋敷のメイドではありません。それでもどこか心の隅でしがみつき、日本へ戻れば、貴女の従者に戻りたいと、僅かに願っていたのだと思います。 その思いを捨てます。今日から小倉朝日としての私は、大切な妹のために捧げます。そして大蔵遊星として、笑って暮らせる幸せを掴もうと思います。」

どうせ私は前の女を忘れられない人間だよ……。
かといえ前述したとおり朝日がルナ様と決別出来たかというとご覧の有様だったので、朝日は私とともにこちら側へ来るように。
りそなの項でも語ったけど、今作で朝日がルナ様を決別した瞬間、この作品では現れてほしくなくなった。けれど事前に『格好良い』と聞いていたので不安を感じていたら的中。そしてとてつもないほど格好良かった。その瞬間、私の一番は今作でもルナ様になってしまった。でもそうあってはほしくなかった。理由は簡単、りそなのルートだから。
メリルルートを楽しめたのはルナ様が出てこなかったのもある。それだけ私にとってのつり乙という作品にはルナ様が欠かせないんだけど、そうでなくともこの扱いはちょっと複雑な意味でヒドいと思えた。りそなの恋愛ルート的な意味でも邪魔だし、朝日の決意表明的な意味でも邪魔。だから私は血の涙を流しながら、「今作ではとてつもなく卑怯で邪魔な存在だった」という感想を残したい。

「ありがとう。仕えた相手が私であることを君が誇りに思えるようなひとでありたいと思う」

これが卑怯でないなら、一体なんと言えばいいんだ……。


●リリアーヌ&華花
大体糸目に普通のやつはいないんだよなあ……ということで、正体は大分感づいていたけど、正体バレは大笑いしたしとても楽しかった。なんといっても特筆すべきは中の人の演技!ハイテンションな狂った煽り演技が聞いてるだけで超楽しくて、豹変シーンはボイスを飛ばさす逐一ちゃんと聞いた。彼女の笑い声一つ一つに全部つられ笑った。鳴き声に聞こえる笑い声も秀逸。中の人の演技は乙女ゲーで良く聞いていたけど、ここまで楽しい素晴らしい演技が出来るのなら、乙女ゲーでもはっちゃけたキャラを演じてほしいなあ。ちなみに彼女の笑い声がキャキャキャ!で猿っぽいなあと思っていたら衣遠兄様も猿と言っていて笑った。もともとは心優しい子だったのに、彼女の周りには誰も味方が居なくてついに狂ってしまった悲しい存在でもある。衣遠兄様や駿河さんも、スタンレーや遊星やりそな、アンソニーなどの家族が居なかったらこういうふうになってしまう可能性もあったのではないかと思えた。彼女がしたことは許されないけど、彼女がどういう先に行き着くのか、華花との着地点も見てみたかった。
ちなみに土下座っていう文化はフランスにはあるのか?なんかそこだけ急に日本感出されて残念だった。


●ディートリンデ&ヴァレリア
もっと中身まで見てみたかったなあ……おまけEDのような扱いで本当に残念。ヴァレリアの鎖が外れたシーンは感動したし、もっともっと彼女の頑張りを詳しく見てみたかった。りそなとは違った成長度合いを見れただろうなと感じたので。愛国心が強く国で人を判断するその思考は最初は気持ちが濁ったけど、でも悪い人間ではないと分かったので変わると良いなあ程度で見てたら変わってくれて嬉しかったっていうのもある。フランス来てから差別的に見られると言った描写がままあったけど、それを違う視点で再現した子なんだろうなーと。
でも正直ヴァレリアの「んっ」は結構好きでもっと聞きたかった……。


●大蔵 遊星(小倉 朝日)
今作ではちっとも女装に重みが無かったのは残念。格好良いと思えたシーンもりそなを突き飛ばして2階の窓から飛び降りたあのシーンのみ。エッテルートでの簡単に股を開く彼女(彼?)には正直がっかり。恋愛的な過程では全く満足させてもらえなかったし、服飾への気持ちもなんというかなあ……でもそれは一度失敗して今があるからということを踏まえたら納得できた。りそな、衣遠兄様にとっての救いでもあったし遊星も二人に支えられているのは心温まった。みんな家族が欲しかっただけなんだな。
口が酸っぱくなるほど何度も言うけど、あんなに熱くルナ様との決別を描いて、ようやく私もルナ様を忘れなければと思わせて置きながら結局にルナ様に救われてることは反省していただきたい。飛び降りるほどの勇気を持ったシーンを見たあとだと情けなく感じてしょうがなかった。
りそなは遊星が疑いの気持ちを抱えて心が汚れることを拒否したけど、人を疑うことと、人を見る目を養うことは厳密に言うと別なんじゃないかなと思ったので、ぜひ後者を育てていってほしいなあと思えた。しかし疑いすぎて吐いたという描写を見た時にはちょっとびっくりしたぞ……聖人か……。

後はやっぱりボイスが欲しかったなあ……朝日から遊星への声色の変化を楽しみたいところが多々あった。お金は出すのでお願いしたい。


【総評】
・システム、音楽

システムは相変わらず良いけど、シーン回想はEDやエロシーンだけじゃなくて個別で見たい。いちいちセーブから目的のシーンまでたどり着くのはとても面倒くさかった。
音楽は前作SHINY MOONのアレンジが入るSweet Heart Cherryが流れた時は思わずぐっときた。DESIREのアレンジDESIRは何度もいうけど卑怯。個人的に好きな画家のドラクロワの絵画から「民衆を導く自由の乙女」ってタイトルの曲があって笑ったけど、絵を思い出しながら作曲の人は何をイメージしたんだろうと考える時間は楽しかった。ちなみに絵はルーヴルにあるそうです。

・イラスト
苦手としている西又絵を可愛いと思える感じに成長されていた。骨格は相変わらず無茶苦茶な感じもあったけれど、鈴平絵と並んだスチルでもそれほど違和感を感じなくなったのは大きい所。メリルのデザインが結構好きで、泣き顔の表情が好きだった、可愛くて。鈴平絵については相変わらず美しかった、文句なしです。あ、でもBADのスチルは美味しかったけど衣遠兄様の顔が若干誰これ状態だったのはちょっと悲しかったです。
あとつり乙アペンド感想で不満を言った「モブに顔グラすらない」というのは今作では解決されていて嬉しかった。表情は1パターンしか無かったけど、それでもあるのと無いのでは大違い。
衣装のデザインはぶっちゃけつり乙を越えなかったけど、それはシナリオの勢いもあっただろうからなんとも言えないところもある。一つ面白かったのは、デザインを出しあうシーンで自分はりそなのデザインが一番面白いと思い、リリアのデザインが一番つまらないと感じられた所。デザインっていうのは個人の好みに寄るところが大きいからこれは偶然なんだろうけど、そう思えたことはちょっと嬉しかった。

・シナリオ
前半の導入部(共通ルート)がかなり長めで、若干飽きていた気持ちが大きかったのは少々辛かった。8月に始まり最初の選択肢まで2月までかかるってもうちょっとコンパクトに纏めて欲しかったところはある。意味もなく伸ばしたというわけではないし面白くなかったというわけではないけど、物語は動かないし淡々と日常が続くので。
家族愛描写については文句はないけど、恋愛描写については一つも納得できるところがなかった。前作からこの傾向はあったからなんとなく受け入れたけど、家族愛が秀逸すぎたために恋愛が足を引っ張ってる感じがしてどうも楽しみきれなかったことは本当に悔しい。ただ過程が変だとか流れが悪いとかそういうことではなく、そのへんの構成は割りとしっかりしていたと思う。足りなかったのはそれに足るような理由付け描写で、それが薄かったから納得できなかったのだと。
良い所を述べるなら、パリの雰囲気がすごく出ていたことと、他国へ行った時のアウェー感がとてもよく表現されていて、その上でお互いを認め合えるようなシナリオだったのは感動しました。友情や信頼関係の流れは暖かく見守りたい気持ちにさせてもらえたし、気持ち良く見ることが出来た。

シナリオの出来がバラバラについてはいい加減統一したものにして欲しい。いや、一つ飛び抜けていた物があったりしても良いけど、あまりにも差がありすぎる。特にその差っていうのも『真面目に書いたけどおかしくなった』とかではなく、文章量も描写も不足して『明らかに手を抜いた』のがわかるから。前者と後者ではたとえ出来のレベルが同じだっとしても私にとっては意味が全く違う。

なんだかんだぐちぐち言ったけれども、確実に楽しんだしプレイして良かったと思えるシナリオではありました。不満があふれたのは、満足できた気持ちを濁らせたくなかったからであって、全体的に見ても丁寧に作ってある場所は多々あるのはわかる。それだけにあと一歩、最後の最後まで手を抜いてほしくなかった。

声優さんの好演も語るに外せない。どの方も演技にはとても光るものがあったけれど、自分の演技イメージを変えられたということでリリアーヌ様の中の人の演技が忘れられない。力強さの中に彼女らしいとても良いアクセントもあって、あのシーンがより印象的なものになった。あと駿河さんのイケメンボイスで告白された時は思わず乙女ゲーかなと思えて心が震えた。低音で良いお声です。

衣遠兄様好き、ルナ様好きな人にはプレイして欲しい。ただしりそなルートではりそなに萌えたいという人にはあまりオススメ出来ないかもしれない。拗れまくり捻れまくった大蔵家の謎、その家族愛の成り立ちが見たい人は是非プレイして欲しい。というか自分はそういう心づもりで見たほうが楽しめました。



あ、一つ感心したのはこの作品、モブの子たちの名前がおそらく全員フランス出身画家で統一されてたこと(ドラクロワ、ルソー、ルノワール、ユトリロ、ミレー)。途中で気付いたので違うモブもいるかもだけど、この共通点は西洋絵画好きとしては嬉しかった。デザインは美術につながっているから、是非美術館めぐりして欲しかったなあ。きっと得られるものもあったと思うのだけども。服飾の本場だというから、もうちょっとそういう内情を見れるかとおもいきやぜんぜん違うところが出てきたのはちょっと残念。
今作はモブが特にいい味を出していた。大家さん、担任の先生、アパートの人たち、犬の散歩をしている人……パリの生活で根を張っていけてる感じがしたのは心地よかった。結局遊星は、人に恵まれているなと感じるところも大きい。
ただ日本校の皆のほうが華やかだったのはやっぱどうなのかなと思うところも。

自分は思った以上に、たとえ自分に本命の最萌が別に居たとしても、別の子のルートではその子が王者で居て欲しいし主役で居て欲しい人間なんだと改めて知ることが出来た。それを捨てれば楽しめたんだろうけど、そうでなくなるとルートの意味がなくなるので捨てられなかった。なのでずっともやもやを抱えたままプレイして楽しめ切れなかった部分もあっただろうけど、兄様の過去が見れたことはホント悶えたし救われたし、兄弟愛に始まり家族愛に繋がるところは大変に気分が良かったです。
プレイ前は乙女理論はルナ様を忘れることだと思っていたけど、正しくその通りで自分の勘が悪い意味で誇らしいです。でもこの作品でむしろ私は前の女(ルナ様)を忘れなくて良いんだと開き直りました。

うたプリネタが出た時には一瞬身体がビクッとなったけど、それが2000%の方だったので、2000%ももうそんな時間経ったのか……となんか変なところで感慨深くなった。


コルダ4まであと少しだけど、もうちょっと時間があるので、雪降ってるうちにホワルバ2でも始めます。こちらは思う存分3人で殴りあって欲しい。