全力で頭を抱える日記

おもに乙女ゲームの感想を中心に。ネタバレご注意。

10 2016

小日向穂積ルート 感想

せ、青春だー…………。

しかも真っ当で、美しくて、かけがえのない青春だ……何度心が浄化されたかわからない。
青春をタップダンスでも踊るがごとく踏みつけてきて大人になってからは社会の荒波に揉まれ心と趣味趣向が捻れまくった『主人公に狂ってる奴が好き』とか言ってる人間に取っては、ただただ真っ当に裏表なく純粋にスポーツに打ち込んでいるのを見て、そして自然に仲良くなって、恋愛に発展していく流れが言葉で表現できないほど眩しくて美しかった。目が潰れて開けらんなかった。
友情、努力、勝利。王道でテンプレ的ではあるんだけども、描写は重厚じゃなくてもポイントをちゃんと抑えていて方南だけでなくストライドをする他校を見守る気持ちがちゃんと生まれて本当にもう心地が良かった。王道だからこそ安定感もあるし、大筋の流れも美しい。いろんな人の言葉に揺さぶられたり迷ったり、実力の差やそれぞれの人間関係に苦しんだり。歳相応の迷いや葛藤すらもう美味しくて、そんな中でストライド部一丸となって支えあって高め合って繋がりあっていく描写が本当にもうたまらない。
恋愛描写は確かにあっさりはしていたんだけど、大筋の流れがきちんとしていたので感情移入はちゃんと出来た。下手な乙女ゲーよりもしっかり萌えたし悶えたし震えたし、ドラマCDを全部買うための金をどこから捻出しようか算段をするほどハマれている。

それでもすべてがすべて良かったってわけではないんだけども、私が求めていたのは乙女ゲーにありがちなファンタジーがない展開と、普通の高校生の等身大の恋愛だったんだと気付いた。ファンタジーっぽい展開も無くはなかったんだけど、それでも自分にとっては許容範囲だった。前にレーサーの人が、勝った大一番の試合で『運転している自分を上から眺めているのが見えて、後続車がどこから来るかが分かった』的なことを語っていたんだけど、あれに近いようなファンタジーさだったかと思う。
ゲームシステムに手抜きな部分も確かにあるけれど、それでも作り手の『作りたいものを作った』という思いのような演出がちらほら見えて素敵だった。

話は主人公がストライドという街中をレース場にしてリレーするスポーツをとある動画で好きになり、そこからその学校のストライドを支えたいとマネージャー志望で入ろうとしたストライド部は部員が3人しか居らず(内1名将棋部兼部)、廃部の危機に瀕していた。そこで残る二人のランナーとリレーショナー(街中でやるため次のランナーにスタート指示する人)を探すことに。で、なんだかんだで二人の同級生ランナーと主人公がリレーショナーをやることでストライドの高校東日本大会・EOS優勝を目指す……というお話。
架空のスポーツらしいけど、実際こういう感じの海外動画を見たことがあるような気がするし、やろうと思えば出来そうなところも面白い。危険が伴うだろうけど、とても盛り上がるんではないかなーとも思う。それには街中の交通規制とか安全に運営できる設備とか警備とかいろいろ莫大なお金が掛かりそうだけど、誰がお金出すかは偉い人にまかせよう。


そんでもって今回攻略した穂積くんは2年生。3年生が暴力沙汰でいろいろあった中でそれでも部を辞めず部長であるヒースとなんとかストライドをやろうと願ってきた子。
てっきりアニメで主題にされていた、暴力事件を起こしたとされる久我との確執がゲームでも主題になるかとおもいきやそんなことはなかった。もちろんそれがテーマの戦いもあってそこの描写もしっかりされていたんだけど、主な話は穂積の生まれの話から家族の話だった。このゲーム、意外と家族がテーマなのかもしれない。主人公は父親がラスボス校の顧問になるし、尊も父親との確執が描かれてて、陸も言わずもがな兄との才能の差による葛藤。ヒースも家族について結構語られてるし出てくる。

まあそれは置いといて、その家族の流れは主題であるストライドの部活やシーンを邪魔せず、穂積がストライドをやることへの葛藤や悩みへときちんとつなげていて、その迷いがちゃんとストライドシーンにも影響するのが良かった。穂積は母親や下の兄妹たちとは血がつながっておらず、仕事第一の父親と離婚することになっても血の繋がっていない母についていくことを選んだ。ただでさえ実の父のせいで母を不幸にしてしまってその上自分まで抱えることになり、まだ小さい兄妹たちの面倒も見ずに自分だけ部活をして楽しんで、幸せになっちゃいけないという気持ちが根底にあるものだとは思わなかった。その葛藤もちらほら垣間見れるから、違和感なく入り込める。
それでも周りを不幸にしちゃいけないと一生懸命笑顔でいたりテンション高くボケたりするのが胸が苦しかったなあ。同じ2年の門脇がちゃんと良く穂積や周りのことを見ているというのも。時折くれる真剣なアドバイスも、穂積と門脇の中の良さや友情を感じさせてくれてひたすら心地良い。というか何で門脇くんは攻略できないんだ、本当に良いキャラなのに。女の子慣れしてなさそうな所を攻め込んでもたもたしている可愛い所が見てみたかった……。

話を戻して。
実は偽りの笑顔や明るさだったと本人も語っていたけど、全部そうだったわけじゃないだろうと思った。若干滑り気味な部分もあったギャグにこんな物悲しい裏側があったことで途中からギャグさえなんだか胸が苦しくなりながら見ていたけど、何度も出てくるギャグシーンを見ていたら全てを偽っていたわけではないんだろうなあと思えた。
穂積が家族を大切にしたいという気持ちも家族にちゃんと伝わっていて、妹や弟たちが、穂積をすごいと思ったり穂積に感謝することがあったりしたらスタンプ帳にスタンプして、それが一杯になったら穂積への感謝と一緒に渡すっていう展開に心が浄化されまくってそのまま気化するかと思った。父親との確執の真実はちゃんとした解決ではなく取り返しのつかなくなった後に事実をしるような展開になってしまって悲しかったけど、全部が全部ご都合で綺麗にまとまらない展開にしたことで自分の評価は上がりました。穂積が考えてきたネガティブな思考がだんだんと前を向けるようになるし、主人公も穂積に寄り添って支えて近づいて行けている流れが見れたのもとても悶えた。

お互い好きってわかってるのにじれったいやり取りしてるなー最後までもったいぶらせるなあ、と思っていたら、ストライドEDの最後の演出でドーンと来るのは最高の流れでした。あそこまで溜めて溜めてじれったくしたからこそ、あの演出が光ったのだと思う。東京の一等地の公衆の面前でのある意味公開処刑は、実際に考えるとアレだけど二次元だから別に良い。溜めて溜めてこその高いジャンプなシーンだと思ったので、物語的な美しさな視点で、乙女ゲーでの数ある公衆の面前での公開処刑シーンの中でも好意的に受け入れられたというか感動もしたというか。

ノーマルEDも結局なんだかんだ結ばれるんだけど、こちらは家族と友情寄りのEDだったのも心温まる展開だったというか。そこまでの展開に大きな差はないので単なるED1とED2っていう感じで収まったのは残念だったけど、それでもどちらの結末も暖かな気持ちにさせてもらえて感謝。


なろうよ、ストサーの姫。
性格よくて小さくて可愛くてよく働いて握るおにぎりは美味しくて現実にいたらサークラになりかねない存在ではあるけど、そんなこたあ好かれてなんぼな乙女ゲーだからそれでいい。なにより主人公本人も恋愛よりもストライド第一だし、ストライドシーンでは恋愛はどこかに飛んでいって終わった頃に戻って来てくれるとても空気を読んでくれる存在なのが最高。サークラにはならないのも、結局他の部員たちもみんな『ストライド第一』だからこそ。そこが本当に素敵で眩しい。

あと乙女ゲーでけんしょー先生の演技に触れる度に「うまくなったなあ」と思ってしまう。演技力が成長しているような気がします。泣きの演技がテンプレのようなよくある演技をするのかと侮るなかれ、気持ちのこもった良い嗚咽演技だった。またけんしょー先生の演技に触れるのが楽しみになれた演技でした。こういうのを面白いと評するのもなんだか違うような気がするけど、そういうその人にしか出来ないような演技が聞けたのは良かった。
そうそう声優関係でいうと、穂積の兄妹の声聞いてたら、ラブライブの誰かの声がするなーと思ったらかよちんの方がいらっしゃった。途中からふとかよちんに聞こえる所があってかよちん好きとしては非常に和ませていただいた。

それにしても、萌えた。もうずっと萌えっぱなしのときめきっぱなしの浄化されっぱなしで、終わるのがもったいないからゆっくり進めていた。ギャグは正直つまらないついていけないと思う部分も少なくないけれど、それでも会話のテンポも良くてどの学校も応援したいと思える気持ちにさせてもらえた。某最北の学校についてはまた別記事でゆっくり語りたいっすね……いやほんとすんませんでした方南さん、我々道民の指導不足です……。

それにしても暗転した時に見たこともないような笑顔のお化けが映るのが本当に怖かった。ニタアって笑ってた。本当に怖かった。
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