全力で頭を抱える日記

おもに乙女ゲームの感想を中心に。ネタバレご注意。

02 2016

プリンス・オブ・ストライド ゲーム総評

これで本当に最後の感想です…………たぶん。
プレイ中から語りたいことたくさんあるぞ、とは思っていたけどまさかここまで長々しくなるとは自分でも思わなかった。いつも自分が語りたい分だけ語っているけど、本当に何故ここまで止めどなく湯水の如く溢れ続けたのか……萌えによる脳内物質って凄いことになってるんじゃないかと思うそんな今です。

ちなみにアニメ→ゲームに走った人の感想ですよ。

【総評】
・システム

もうちょっと何とかせいという出来。遊べないわけじゃないけれど、使いにくいしそもそも根本の意味を問いたいシステムだった。
ストライドの大会日に向けて、誰と練習するかに寄ってチームの総合レベルの経験値の上昇率も変わるし、本人のパラメーターや好感度にも影響する。しかしながらこれが好感度以外意味が無いのが逆に凄い。要するに、パラメーターを上げても、大会には影響しない。大会中のゲーム(タイミング合わせ)と選択肢さえ乗り越えればなんとかなる。大会のオーダーはこちらで決められるとおもいきや、大会中の話が固定のためオーダーも固定される。つまり、自分で自由にはオーダーを組めないということ。それはオーダーを組まされているのであって、オーダーを組んでいるわけではないと思った。しかも誰と練習するかを1日毎に設定するのは本当に億劫だった。
ちなみにストライドシーンも何をやっているのかがよくわからない。地図上を矢印がただ走っていくだけ。演出は漫画のような効果線があるスチルを見せることでなんとか疾走感を出そうとしていたけど、ギミック(障害物)をどう対処したのかはさっぱり描かれない。この辺はアニメから入るのもまた良いと思う。実際自分はアニメ→ゲームをプレイした人間ですが、アニメを見ていて、あの疾走感を視覚で覚えていたからゲームのストライドシーンを上手く妄想出来たところもある。それだけゲームは妄想力問われる描写だったということでもあるんだけども。
フラグ管理が甘い所があって、さっきした昔話を、同じキャラに初めてする話かのように再び話し始められることもあった。背景指定のミスもある。いずれも普通にデバッグしていれば気づくようなミスなので、おそらくデバッガーは気を失っていたんだろう。これらはおそらくバージョンアップで解決されている筈……(バージョンアップの存在にフルコンプ後に気付いた)。

一般的なADVの部分に特別な不満はなく、動作はサクサクでした。ただ基本一本道なのに上記のシステムが邪魔をして周回が少々めんどくさかったのは辛い。途中までは同時攻略できるけども、そこからはまた日ごとに誰と練習するかを選び直さなければならない。ただし、同時攻略した好感度は攻略後も引き継がれるらしいので、なんというか、良い部分と悪い部分が相殺しているという印象だった。

・グラフィック関係
自分は結構このキャラデザが好きだったので、スチルはありがたい出来だった。特に複雑骨折スチルとかもなく、見るのが楽しみな出来ではありました。枚数は多くもなく少なくもなく、変な部分で出てきたり意味を問いたいスチルも少しはあったけど、それもまたご愛嬌。ちなみに目パチ口パクもちゃんとあり、音と合わせてパクパクするのも感心。こういう細々とした演出は心地よかった。
個人的に一番唸ったのは、皆でプールに行った話で、ちゃんとキャラごとに合わせて筋肉の書き込み量が違った事。立ち絵が並ぶと、筋肉にこだわったり身体に厚みがあるキャラにはちゃんと筋肉が描き込まれていて、それほどでもないキャラには筋量が減らされているのを見た時、「よくわかってらっしゃる!」と思わず拳を握った。
EDの演出は是非とも見てほしい出来、枚数そこそこのスチルを重ねあわせて動くのが良い。アニメーションとしての枚数が多いわけではないので動きがなめらかではないのだけど、それがまた良い演出の一助になっていた。おそらく原画家が合わせて描いたのがわかる出来で。あの演出は、ベタだけど手間が掛かっていて好きです。

・シナリオ
話は一本道で各話に大きく差は無い。一緒にストライドをし、練習を重ね、仲良くなり、好きになる。基本、どのキャラもこの道を辿る。ストライドがまずあって、そこに自然と恋愛が発生した感じ。これは作り手側もそれを意識して作ったらしい。でもいつの間にか好きになられていた、というわけではなく、それぞれの事情に絡んだやり取りがあって、そこで各キャラの心揺さぶられる何かがある描写がちゃんとされていた。キャラと同時に、プレイヤーである自分の心も一緒になって揺り動かされるようなそんな心地よさだった。(ちなみに諏訪ルートのみが色んな意味で特殊だけども、大きく道が外れた変わったルートだったという印象もない……おそらく、その大半が部活シーンでうめつくされていたからだと思う)
ストライドシーンや部活シーンにも、何故うまくいかないか、どうして上手くいくのか、がきちんと理論建ててされるのには感心した。原作者は「ストライド」という架空のスポーツを、ある程度煮詰めたのだろうとわかるシナリオだったので、そこを誤魔化さずきちんと描き切ったのはただひたすら心地よかった。逆を言えば恋愛に重きを置いた話が読みたい場合には物足りなく感じるだろうけど、自分はプリストのようにまず違った何かに熱くなっていて、それに付随して恋愛がくっついてくるのが非常にとてもたいへん好みなので、ひたすら悶えた。ただ好きだと自覚する展開は毎度同じで手を抜かれていた感じもしなくもないが、好きになる描写自体に手が抜かれていたわけではないので、イベントが来る度に楽しみにしていた。

難点を言えばギャグが寒い所があることだけど、やっていくうちにある程度慣れるし、きちんとした話をしなければならない雰囲気になったらギャグをかましていたキャラもちゃんとした話をしだす。その按配というかタイミングがとても上手くて、さっきまでギャグをかましていたキャラが真面目に語りだしたりするのにはちょっとドキッとすることも少なくなかった。もちろん、良い意味で。
あと基本一本道なので、どうしても周回を重ねると飽きが来る。そして展開が似ていて金太郎飴チックではある。ただし完全なる金太郎飴だったかと問われると、ちゃんと味は違っていたのでその味ごとに楽しめた。

劇的な展開はなく、友情、努力、勝利の、王道でまっすぐな話ではあったけど、各キャラの設定や思い、考え方、それぞれの拘りや主張、熱い思いは一貫していて、綿密に組まれたのがよく分かる。その上で各キャラが思いを語るその言葉が、とてもストレートに胸に響くのが本当に心地よかった。
どの試合にも思いがあって、それを覗き見て一緒になって熱くなれるのが嬉しくもあったし、億劫なゲームシステムの疲れを全部吹っ飛ばすほどだった。

とっても良い青春のおすそ分けゲーだったと思う。

オススメ攻略順は、好きなキャラを一番最初に。後に回せば回すほど飽きが来るし、一番最初にEDを見た時のあの感動は一番好きなキャラを攻略した時に味わうと一番気持ちがノると思う。
プリストという作品の全体の設定を考慮するなら、【 穂積→久我→ヒース→諏訪→尊→陸 】
久我→ヒースと尊→陸はセットにしたほうが流れがすっきりする。諏訪は中盤辺りが一番飽きが来る流れを断ち切れて良いかなと。陸は一番最後に攻略したほうがとてもすっきり終われるだろうと思う。


とここでアニメとゲームの比較を少し。アニメをみてゲームをやるかどうか迷っている人に対しては、是非やって欲しいと思った。アニメはゲームの清純な空気を損なわずに、誰のEDを迎えるわけでもなく美しい友情青春に落としていった。ゲームは恋愛描写が丁寧と言うわけではなかったけど、仲良くなるポイントはきちんと抑えていたし、流れに違和感はない。でもこのゲームは恋愛が主題じゃなくて『ストライド』がちゃんと主題だったからどちらを先に楽しんでも、どちらも楽しめる出来だったと思う。アニメをみて彼らたちと恋愛してみたい、恋愛模様を見てみたいといった方なら十分に楽しめるゲームになっているかと思う。
逆にゲームが先の人は、あのストライドシーンの疾走感を是非アニメで体感して欲しい。動きの良いマッドハウス製ですし。1クールでゲームのプリストの空気感を損なわずに、ちゃんと一本の話として上手くまとまっても居た。


このゲームをプレイする前は角川って所が非常に引っかかっていた。加えて各校にそれなりにキャラが多く居て、ストライドやりながら昨今人気の『アイドル』をやっている高校もあるし、「ああそれで売出したいんだな」ととても斜に構えていた。きっとアニメを見なかったら、この作品をやることもなかっただろうと思う。
でも誰が作ってるとかどこが作ってるとかそういうのは関係なく、自分が良いと思ったものは良いと言いたいし、駄目だと思ったものはその理由を含めて語っていきたいなあと改めて思った。そして、できたらそういう自分が敬遠しそうな要素を持っていても、やりたいと思えたなら飛び込んで見るのもありかなと。あくまでもそれを作る製作者は制作物を構成する一つの要素でしかなくて、それとはまた別に制作物自体に良い悪いを判断して行けたら。
ただそれがまた難しいんだ……自分は主にライターを気にする人間だけど、今後はちょっとそう言う視点をクリアにしてみるのもいいかなと、角川を怖がっていたプレイ前の自分の肩を叩きたくなった。


とにもかくにも、ゲームとしてはどうかと思う部分も多々あったけど、私の心に残るゲームだったのは本当に嬉しい。悪い部分を徹底的に薙ぎ払って、猛烈に私の秘孔のみを突いてくれた。好みだったというのはやはり否定出来ないけど、それでも丁寧に作ってくれた部分もちゃんとあったのは見ていて心がウキウキした。製作者の想いを感じられる良い作品だったと思う。
窓を開けて近所迷惑を顧みず大きな声でプリストが好きだと叫びたい、そんな開放感たっぷりな気持ちの今です。今後は方南ストライド部を優しく見守る風にでもなろうかと思います。
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