全力で頭を抱える日記

おもに乙女ゲームの感想を中心に。ネタバレご注意。

06 2016

(Debut)一ノ瀬トキヤルート クリア

4年ぶり3度目の戦い。

「次は一ノ瀬トキヤ氏に向かいたいと思います。」……そう書き残し、冒険の書は途絶えていた。
前回のレビューから約4年もの歳月を経た今になって何故プレイしようかと思ったかというと、これだけ離れていたらいろいろうたプリに溜まっていた鬱憤がすべて燃え尽きたらしく、壊れかけのPSPが充電されたらもう一度挑んでみるかと充電器を差し込んでみたところ、これがなんと見事に充電されてしまったのである。
とはいえ、こんだけ離れると那月が部屋で一人テディベアと会話してた事ぐらいしか覚えてなかったので(今思い出しても震えが止まらない)、どんな内容だったっけ~なんて過去の自分の感想を見てみたら、喉はカヒュカヒュ言わせてるし便器抱えながら震え上がってるし、私の膝のガクガクも良い感じに止まらなくなってきたところで、冒険の書の予告通りトキヤに向かうことに決めた。

過去の自分に散々脅されたため、何が来ても広い心で、何が来ても広い心で、何が来ても広い心で、と呟きながらプレイしてみたら、EDが終わる頃には、「良かった」と真顔でPSPに感想をぶつけた自分が居た。いや、これは(思っていたよりも)良かったという意味も含まれているんだけども、それでも那月ルート並の血の雨阿鼻叫喚修羅が来ると構えていたので、普通に萌えて終わってしまった……なんてこったい……。どうせ来るだろうと構えていたおセックスに対して盛り上げるための手拍子を準備しながらPSPの前で待てど暮らせど一向に来ず、普通に試練を乗り越えて、普通に良い感じで終わった。私はうたプリを何だと思っているんだ。

以下から感想を書きますが、AllStarのネタバレを含んでますので、一応ご注意。


いやしかしながら、ギャグは止まることを知らないレベルで勢い良く滑走しているし、ですます調だった地の文は唐突に素に語り始めたりとあの懐かしいハチャメチャが押し寄せている感じもした。でもそれ以上に、全体的な物語を見ると、「この話を見れてよかった」と思う自分がいるのを否定出来ない。

そんなトキヤルートの問題は、トキヤ自身の壁と戦うこと。ここまで3人攻略してきて、なんだかんだ結局自分自身との戦いだったので、テーマは一貫しているのかもしれない。無印でビッグフットと戦ってた時のことを思えば、自分との戦いは素直に感情移入出来る面が大きかった。つーか今でも思うけどビッグフットってなんなんだ。どこから来たんだビッグフット。

トキヤは一度HAYATOというキャラで業界にはデビューして、それなりの活躍をしている。それでなくても子役からこの業界に身を置いていて、それでもなりたい自分像から逸れていく現状に耐え切れず、HAYATOを辞め、一ノ瀬トキヤとして出直すことを決めた。それは言い換えれば、一度得られた業界への信頼を、すべて投げ出し、マイナスからのスタートであることにほぼ等しい。真面目で責任感の強いトキヤが、再デビューを控え過去の業界への想いからくる「仕事」への責任感で他人との軋轢を産んで孤立していく……のがトキヤルートの大筋の流れであった。

いわくつきだけど面白いと評判の原作付きの映画の主演オーディションの話が舞い込み、監督からの直々のお誘いに、信頼と自分への期待を裏切れないと意気込む。その方向が見事周りとの関係を拗らせまくっている様子は、自分は「らしい」と思った。シャイニーに課題と称して皆で海合宿へ行けと言われて、映画やドラマの仕事のことが頭をちらついてしまい、皆の輪に入れず調和を乱してしまう。最初はこの様子をみながら、なんか中学二年生の時に発症するような「俺はお前らとは違う」的な優位的な立場に立ちたいしょうもないアレみたいな感じだと思っていたのだけど(実際に私はあなたとは違うんですという発言があって腹筋が震えた)、これはちょっとはそういう感じもありつつも、全部が全部そうではないんだなという結論に落ち着いた。
とにかくトキヤは生来の生真面目さにプラスして、かつ自身の経歴から、「自分が今手元に受けた仕事とそれに付随する信頼」に対して裏切るのを極端に恐れているんだと。そしてそのとばっちりを食うのはトキヤの周辺の人々で、これはある意味トキヤが周りへある程度の心を許しているからこそだと思った。自分が台本に集中するために、周りに気を使えと言ったり、自分は別のことに集中したいと主張する。シャイニーからの課題を無視して、他人からの仕事や関係を優先するのは、トキヤが無意識的に『ここまで言ってもある程度ゆるされるだろう』と音也や弁当先輩に対して気を許している現れだと思った。そうじゃなければトキヤは他人に対していつまでも礼儀正しい態度を取り続け、そしていつか圧迫されて潰れそう。

あと無印や他のルートで居るのか居ないのか必要なのかそうでないのかわからんかった主人公の存在は、トキヤルートではきちんと支える大きな存在として居てくれたのが驚きと同様を隠せなかった。前半の海合宿での課題では、トキヤがシャイニーから言われた言葉を若干無視して映像作りのための素材を大きく失ってしまう。主人公はそんな状況に対し、「わたしは演出家じゃないし、映像の編集の知識もない。でも、これまでに培ってきたBGM作りのノウハウならある!」と言ってくれ、その瞬間私の中ではうたプリ(ゲーム)の主人公への最高の拍手喝采が起こった。どんだけハードルを下げていたんだ。
加えて、3人のために作った曲をトキヤに突っぱねられつつも、その曲をどういう思いで作ったかを根気よく訴え、皆が歌いやすいよう改善をし、3人が心の架け橋になるような歌を作るための努力をする、と言ってくれた瞬間スタンディングオベーション。しかしそんな『架け橋』という素敵な言葉を、トキヤは『触媒』と言い換えてぶち壊してくれた。表へ出ろ。

中盤、周りとの軋轢や仕事への葛藤で悩みつつも、なんとか乗り越えてきた。序盤の映画のオーディションは事務所から一名ということになり、椅子を掛けて弁当先輩と争うことに。ちなみにこの映画は藍ちゃん先輩のモデルで寿の友人である愛音さんが主演を務めていた。寿が何故ここまでこの映画に執着するかは今作では明かされなかったけど、AllStarでプレイして事情を知っていたため、弁当先輩の思い入れはとてもよく納得できた。(言い換えると、今作だけじゃ理解できない描写だったんだけど、まあそれはいいや)
視聴者の人気投票で、上位になった方が事務所の代表ということになるが、トキヤは弁当先輩に負けたどころか音也にも負けてしまう。加えて寿が、映画の監督に何か話し込んでいる様子が見えて、そこに探りを入れた主人公の言葉も誤魔化されてしまい、プライドがズタボロなところに更に疑心暗鬼に。このへんのトキヤの上手く行かなさは『これだけ頑張っているのに』という痛さもあって良かった。
そして更に追い打ちをかけるかのように、実は弁当先輩は事務所枠を2つに増やしてくれと訴えていただけであって、更にトキヤの心は潰される。仕事への重圧を感じるトキヤに、音也の伸び伸びとした歌声がさらに追い詰め、ここらへんをおかずにしてうたプリで久々に美味い飯を食えた。吐くばかりだった私が摂取へと方向転換出来たことに全然泣く場所じゃないのに透明な心の涙が止まらなかった。

ちなみにこの辺のトキヤと音也の言い合いは、秀逸とまでは行かないが、性格の違いが出ていてとても面白かった。トキヤはトキヤの、音也は音也の、それぞれ真逆と言ってもいいぐらいの良さがあるけれど、それは短所でもあるし長所でもある。ただ今回は不運が重なって煮詰まりまくるトキヤを、音也の脳天気さが逆撫した形になったけど、自分はこの凹凸を埋めるコンビの形がとても好ましい。
トキヤは音也に「仕事をなんだと思っているんだ」と問う。音也は「夢」だと答える。全部夢につながってる、そう思うと乗り越えられると。好きなことは「やるべき」っていう義務感ではなく「やりたい」っていう気持ちでなんでも出来たりすると答える。でもトキヤは前述した理由から「仕事」というものに対して一定以上の責任感を学んでいるしきちんと背負っている。それがただ少々度を超えてしまって愚直。音也も音也でその夢だけで飯が食えると思ってる脳天気な感じが欠点でもあるし良さでもあるのだけど、この対比がとても楽しかった……いや、楽しかったと評するのもなんか二人には申し訳ないが……。

あと煮詰まって何が行けないのかわからなくなったトキヤとの帰り道に、子どもたちがケンケンパで遊んだ○の跡が書いてあって、それで主人公が遊びながら、童心に少しだけ帰るというのは胸に来るものがあった。トキヤの曲がMy Little Little Girlなので、それに合わせるような形で無理矢理エピソードを入れたっていう感じもしなくもないのだけど。4つ○が書いてあるところがあって、それは足が足りなくて踏めないなあとほんわかする主人公に、トキヤがあとから来て二人でその4つの○を埋めるっていう展開に何故か私の心は萌えで震えた。何気ないけど、可愛いエピソードだなと思ってやられた。こんな穏やかな心でうたプリをプレイする日が来るとは、4年前の私は露ほども思っては居なかっただろうに……。

しかしながらここまで、うたプリとは思えないほど葛藤を描いてきたにも関わらず、終盤は怒涛の伏線回収と取ってつけたような山場でジェットコースターは垂直へと落下する。映画のオーディションも悔いの残らないようやったところ合格し、それでも一度業界を裏切ったトキヤを妬む人間に主人公と仕事の話をしている(一応)ところを取られてネットに流されてしまう。
散々ケンケンパとか夜道二人で歩いたりとかしてイチャつきやがってたクセに、センテンスなお春のアレとかソレとか何やってんだ仕事しろ、とか思う気持ちも無くはなかったけど、別の所が仕事してきた。いやもうここまで来るとこの世界はゴシップとか無い平和な世界なんだと脳内を綺麗にし始めたところにコレだったので私の表情筋もかなりグニャッた。
そして主人公は責任を取って事務所をやめる。事務所公認で恋人同士やってたのに、バレたらバレたでこうなるのだから、現実とは厳しい物ですね。ここからトキヤは必死に仕事をし、主人公が作った歌を情感込めて歌い上げ、学園で出会ったところで再会を果たして恋愛ED。

最後は駆け足どころか息切れするほどの全力疾走で終えられたけども、大変穏やかで健やかな心のまま終えることが出来た。春の日差しがとても暖かい。
トキヤルートは選択肢も意味がわかりやすいものが多く、ちゃんと選択肢としての機能を果たしていた。そこは喜ぶところじゃないと思っても、調教された私は喜ばざるを得なかった。選択肢がわかる、何を言っているのかわかる、この喜びは何にも代えがたい。(麻痺)

約4年前、うたのプリンスさま(ゲーム)とは一体なんだったのかと問うた自分自身へ、そこには暖かな春があったよ……。今後どうなるかは全く分からないけど、一人テディベアがまたあるかもしれないけど、それでも春がそこにあったよ。


●先輩ED
寿嶺二株ストップ高。オーディションには受かったが、寿の演じた解釈がトキヤに衝撃を与えて自信をなくし、集中したいからユニットを降りると言い出すトキヤに、胸ぐらを掴んで信用や信頼とは何かを訴える。このあたりの寿は本当に熱くて胸に訴えてくるものがあったし、恋愛ルートでも「道はひとつじゃないよ」と指し示すのが本当にずるい男だった。
弁当先輩は、先輩としてやユニットの良い潤滑剤としては欠かせない人だと思う。ゲームからアニメまで一貫してそこへの評価は変わらなかったので、トキヤルートでも良い先輩で居てくれたことはとても嬉しかった。
それだけにどうして自分のルートで失踪したのか……一度このゲームから失踪して4年ぶりに戻ってきた私が言うのもなんだが、弁当先輩も今後自ルートで輝いてくれることを期待したい。
ちなみに主人公は空気だったが、それはいつものことなので別に構わない(慣)。


●友情ED

別に友情が深く描かれていたというわけではないんだけど、共通の流れで音也との軋轢と『信用して欲しい』というのと『ライバル関係』っていうのは描かれていたので、那月ルートの翔ちゃんのように完全なるAIRというわけではなかった。最後は主人公を放り出してやり過ぎなぐらい絡んでいるが、もうそれはうたプリのご愛嬌だろう。(広い心パワー)
ちなみにこのEDでトキヤがモツ鍋を食べたがってたことで、うたプリがご当地設定をしていた事を5年ぶりぐらいに思い出したが、福岡弁を喋るのはいつになるのか、期待してます。あと5年ぐらいは待てます。(広い心パワー)


もっとシビアに言うのなら、それぞれのエピソードは上手く繋がっておらずバラバラな印象だし、最初に言ったとおり主人公がですます調からいつの間にか語り調に変わったりする。トキヤは殆ど同じことを堂々巡りで悩み、自分の悩みを周りに当たり散らすだけの印象も受ける。上手く仲に入れないのを彼女にサポートしてもらっておきながら「私のミスもあるんで譲歩しましょう」とか言われた時は流石の自分も、せっかく復活できた8年モノぐらいのPSPを再び眠りにつかせてやりたくなった。後半は取ってつけたのに最大の壁だと言わんばかりの出来事が起こるし、いずれの問題も根本的に何が解決したかとかはなく(一応解決はするが)、愛のパワーでなんとかなった。
何よりトキヤのショタ時代が出たかと思ったら声変わりを3周ぐらい迎えたボイスが降り注ぎ、二次元ショタコンの私は唖然とした。声変わりを迎えてない声帯を寄越せとまでは言わない、ただ宮野ボイスを考慮したうえでのショタ声を出しても違和感の無い人は居なかったのか……誰の声かわかったので更に胸が痛んだ。

ちなみに無印から一新されたこのRepeat立ち絵は、あまりの酷さに胸が震えた。4年という歳月は、無印フィルター(あまりの酷さに多少酷いものを見てもよく見えるありがたいフィルター)を消滅させるに足る期間だった。夢から、醒めてしまった。それでもあの無印翔ちゃんの裸複雑骨折立ち絵と那月の肩幅を思い出してなんとか乗り切った。無印は偉大だ。


ちなみにタイトルでクリアって付けてますが、最近は「感想」って表現に修正してます。まあ攻略しましたよ~って意味で、自分としてはさほど気にしても居ないので、記念にクリアに合わせておきました。別に記さなくても差し支えなかったけど、なんとなく記しておきました。

正直言うと、殴られるつもりで始めたのに、セックスは来ないし、殴られもしないし、普通に楽しんでしまって、心の動揺が隠せない。でもルートの印象でいうと一人テディベアが圧勝過ぎたので、もう一度それを味わいた……味わいたいか……?
今後一生この問いと戦い続けることになりそうです。

次は翔ちゃんに行く予定。私はもう無印のことは忘れたから、立ち絵以外は忘れたから、SSのことは海に放流したから、今度こそ翔ちゃんがご飯がススムくんになりますように。
関連記事
スポンサーサイト