24 2016

金春貴之ルート 感想

数多の乙女ゲーの男たちと殴りあってきたので拳には大変自信があったのだけど、1周目を終えてみたらこれは真っ当な乙女ゲーで、この今までのなんやかんやの思いを溜めた拳を振り下ろせなくて大変困っている。まだ一周しかしていないので、2週目以降どうなるかはわからないけれど、この印象は覆らないような気がする。

普通の乙女ゲーに飽きた人に、という謳い文句だったけれど、このゲームこそがその普通の乙女ゲーの域を出ていない。唯一普通じゃないのは攻略対象をボコれるところだ。自分自身、乙女ゲーは少女漫画の延長線上にあるモノだと捉えているし、花とゆめでよくやられていたような男装少女漫画の空気感がよく出ている。実際花ゆめで連載がやっているようだし、そういう意味では本当に良くマッチングしているのではないかと思う。
ちなみに極道設定は、仁義なき乙女を思い出して美蕾好きとしては少々切なくなったりもした。坂口さんのテンションは違う世界線のあの人を見ているようだった。
ゲーム要素はボタン押し練習ゲー以外の何物でもないので、○☓△□の位置をよく学べる。肝心なところは結局選択肢。しかもこれ面白味もない上に二周目以降スキップできないってのがそこそこ引っかかるんすよねえ……わざと負ければ『勝ったことにする』っていう親切な選択肢が出てくるけれど、番長になるからには一敗もしたくねえという妙なプライドで今のところ皆ボコってます。

ゲーム自体は普通に良い乙女ゲーという感じで楽しめてはいます。突っ込みどころも多々あるけれど、それはギャグ・コメディチックなこの作品だからそう作ったんだろうというところもあるし、『喧嘩番長』というテーマからは大きく逸脱することもない。主人公も暴力を振るうことも振るわれることにも全くと言って抵抗はないし、そういう世界観も表現されては居る。
でも私はもっと血沸き肉踊るようなものがプレイしたかったんだなーと思った。血が足りない。拳が足りない。殴り足りない。まさか今作で一番喧嘩する気満々だったのがキャラ差し置いてプレイヤーの自分だとは思いもしなかった。どんだけ血に飢えているんだ。
まああんまり殴りあってもそれはもはや乙女ゲーではないような気もするけど、もう少し本来の喧嘩番長っぽい男気色出しても良かったのではと感じた今日このごろです。


そんでもって今回攻略した金春くんだけど、ふつーに良い子だった。乙女ゲーにおいてのヤンキー聖人説を後押しするようなキャラだった。
公式煽り文にもあるように基本的にはストイックで喧嘩を煽っても最初は相手もしてくれない。何故相手をしてくれないのか彼を追っていくと、金春くんは5人姉弟の長男で、父親を交通事故で亡くしてしまったらしい。「とにかく高校へは行け」との母の言葉でヤンキー校である獅子吼に入学した。喧嘩をしたくないのは面倒くさいことに巻き込まれたくないからとのこと。もうこの時点でいいやつやんけ……とすっかり私の拳も勢いを失くしたが、狛枝の出来損ないみたいな奴に嵌められ主人公が金春弟を人質に取ったと嘘をつかれて喧嘩に。こういうところでなんの後腐れもなく殴り合えるシステムなのは嬉しかった。
拳で語り合って解決した後はもう主人公、斗々丸、金春くんの3人はマブダチみたいないい関係になって、もう殴れなくなってしまって大変困った……殴りあうことも出来るのだけど、気持ちを削がれてしまったというか。

共通が終わった後半でルートに入っても、彼の良い子っぷりは継続していた。今度は弟が交通事故にあってしまい、その高額な治療費を稼ぐために、もともとプロ格闘家志望だった彼は違法賭博の地下格闘技に選手として手を染めることになる。この黒い方向への金の稼ぎ方は、『喧嘩番長』らしい空気感で良かった。いや、やってることはなんも良くないんですけども。
主人公一行もなんとか出来ないかと一生懸命考え、周りの人のサポートもあって金春くんも地下格闘技からは手を引くことにする。男の娘喫茶で働く展開にしてギャグを小気味よく交えたりして、重すぎない感じにしたのは喧嘩番長の味かなと思いながらプレイしていて楽しくもあった。
一度手を引いた地下格闘技にもう一度だけ手を染めてしまいそうになった時に、今度はちゃんと友人である主人公と斗々丸に相談したのは短い話ながらも嬉しい変化であったし、『ちゃんと勝負して勝ってこい』って言葉をかけた主人公も、男気勝負な感じがしてたまらなかった。このシーンを最初見た時は金春を止めてくれよって思ったんだけど、よくよく考えて見れば高校生な彼らが自分の心情で何を一番大切にするか、を考えたらこれも悪い描写では無いんじゃないかなあと……。絶対に止めるべきだとは思うけども、このキャラならこう後押しするよなって思えたところは素直に感動した。

恋愛ルートも友情ルートもプレイしたけれど、大筋の流れは地下格闘技に参加させられる流れになった真犯人を暴いて終わり、なのは正直手抜きな感じが拭えない。しかも一度見た展開なのに、ルートが違うというだけでスキップさせてもらえないのは悪い意味で小気味よくイライラさせられた。シナリオの流れが楽しめていただけに、そこがイマイチハマり切れない要因になってしまった。

友情EDでは地下闘技場のオーナーにより、主人公と金春が対決する展開になってしまったのはぶっちゃけ超熱い展開で興奮した。ここでも主人公が優勢なのが笑えるというかなんというか、強くてすいません。友情EDは一切身バレする雰囲気もなく、本当に友情な感じで落とし込んでくれたのは良かった。こっからバレる可能性もあるんだよな、と思うと妄想捗ってオイシイ。

恋愛EDでは、ひょんなことから主人公が女だとバレるけれども、胸の感触で女だとバレるっていう展開は金春くんにとっては大変美味しかったのではなかろうか。残念だったのは好きになる過程が殆ど無く、女だと分かったら意識して好きになったという恋愛ゲーにあるまじき適当感だったのは正直悲しかった。なのでもうさんざんボコった時に拳で愛が伝わったのだと思うことにでもしようと思う。
そういうわけで、萌えるよりも燃えるで友情EDのほうがしっくりきた。EDでは学校の屋上で押し倒してキスしてたけど、これが誰かに見られてあらぬ噂まで建てられる所が見たかった。

主人公の親族の謎や生まれの謎は金春ルートでは明かされなかったので、他に期待。


描写がさらっとしすぎて長く続かず、恋愛描写的な意味でも萌え切らないのは少々残念。シナリオに大きく変なところはないし、ギャグも空気感も中々に楽しめているだけに、中途半端な詰めの甘さが際立ってしまって『普通』な部分に落ち着いてしまっているのが悔しいところ。

あと攻略対象はおそらくヤンキーにあるまじき全員性根聖人っぽいので、性根ネジ曲がってグレてる奴を落としてえなあと思っていたら、上述した出来損なった狛枝くんみたいな容姿の蛇男が気になって気になって仕方がなくなってしまった。スパチュンなのであれはオマージュっぽいけれど。
挫折を味わっている点なんかも最高だし、最後に後押しして仲間だったりそうでなかったりするポジションをキープしているところなんかもたまらない。蛇男くん、私の拳を浴びてみないか。


どうでもいいっちゃ良いんだけど、教室や学校の壁の落書きに男性器女性器またはSEXっていう荒れたところにある定番の落書きが無い所が、乙女ゲーだなあって思った。しかしながら何故人は意味もなくそういう落書きをするのか……。
関連記事
スポンサーサイト