全力で頭を抱える日記

おもに乙女ゲームの感想を中心に。ネタバレご注意。

09 2017

吸血殲鬼ヴェドゴニア 感想

昔の作品だしそんな長くはないだろう、久々に虚淵作品でもプレイしてみるか……と次のゲームへの繋ぎとしてプレイしたのにも関わらず、終えた後には『いい話を見た』と言えるぐらいには面白かった。とても。気持ちを揺さぶられるものもたくさんあった。
虚淵氏はこの作品をかなり苦しんで書いたようだけども、私はこの物語が好きだな。


吸血殲鬼 ヴェドゴニア 廉価版
ニトロプラス (2003-08-29)


虚淵氏のイメージと言えば暗い、シリアスって感じだと思うけども、そんな虚淵氏が「学園モノ作ろう!!」と意気込んで結局パッケージにコッテコテの人外が映ってるあたりどんなものが出来たかはお察しください。しかしながら学園モノ作ろうとした残骸は結構散らばっていて、それを感じられるのは楽しかった。テンプレのように幼馴染が朝お越しに来てくれる所から始まるが、主人公に「エロゲーみたい」とかそんなツッコミをさせるあたり、やっぱり『違い』は出したかったのかな。
キャラたちも私が触れてきた虚淵作品の中ではかなりの真っ当な人たちも多く、そういう意味でも違いが面白い。エンタメらしい部分は残されていながらも、虚淵氏が書いたんだなあと分かる展開や描写が随所に残されている。そんな点も楽しかった。

あと特徴的なのは仮面ラ◯ダーを意識して書いたってところだろうか。これの十年後ぐらいに本当に仮面ラ◯ダーの脚本書くとは夢にも思わなかっただろうなあ、ご本人もプレイヤーも。ちなみに仮面ラ◯ダー要素は取ってつけたようにバイク乗り出したのは笑った。虚淵氏はノリノリで書いたんだろうなあと分かるような描写だった。ただバイクを乗らない人間に、まったくわからせる気無いだろと言いたいぐらい専門用語等が飛び交っていたのはどうなのか。そしておそらく日本という国に来てあまり日が経ってないであろうモーラ達が用意したというのも取ってつけた感があってなんだかなあと。あとは戦隊モノお決まりの、悪の組織側の作戦会議的な描写がある。全然いきあたりばったりな作戦だったけど。
仮面ラ◯ダーはあまり見たことがないけど、仮面ラ◯ダー要素を求めてプレイすると肩透かしどころではないとは思った。

あとは1章ごとにOPとEDがあり、テロップもテレビ的な演出にしてあるのも仮面ラ◯ダーらしさを出そうとしていた。けどこれは全部で13章ぐらいある中で単純計算で26回見せられるのは中々に辛いので、最初の6章ぐらいでスキップONにしてしまった。この演出は正直成功とはいえないんじゃないか……やりたかったと言う意志はヒシヒシと伝わってきたけども。あとWindows7以降だとコーデックの関係で動画が表示されないので、PC内の設定を変える手間がある。インストールしたファイル内に動画が入ってるのでそれ見るだけでも事足りるので別に設定まで変える必要は無かったかなと。

ゲームシステムは時間制限付きのコマンド選択方式で、これがもうほんと「これ面白いと思って作った?ちゃんと面白さ見出した?」って小一時間問いたいぐらい面倒で微塵も面白くないのは逆に笑った。乾いた笑顔だったけど。
まず5つぐらい武器選択出来るんだが、これがほとんど意味をなしていない。短距離が得意な敵には長距離の武器を使えばいいとかあるらしいが、結局プレイヤーの意志に関係なく必ず持ち歩くサド伯爵の愉悦って武器を振り回していれば敵は倒せる。
そして時間制限はまだ分かるが、このコマンドがクルクル動くのが本当にウザい。攻撃ってコマンドを選択して「やっと攻撃出来たー」って思ったら、今度は「強打」というコマンドを押さなければいけない理不尽を強いられる。そしてクルクル動くウザさを乗り越え攻撃を繰り出してもランダムで敵が避けたりもする。そしてまた一からクルクル動くコマンドとの時間制限を数セット繰り返さねばならない。とにかくもう、30秒間に100回エンターキー連打しろとか言われる方がまだ面白いと思えるほどの面倒臭さだった。
そしてこの戦闘がほぼ毎章襲ってきてくれる。救いがあるのはこの戦闘をスキップ出来るところだけど、敵の攻撃時にもスチルが表示されそれを見なければCG達成率が100%にならないところも頭をかきむしりたくなる衝動を体感できる。

あと戦闘にあんま関係ないけどクリーチャーデザインはそれぞれ別の生き物とドッキングしたようなデザインで楽しかった。カニとか鳥とか居た。最初に襲ってくるサメのクリーチャーだけども、私にはどうしてもキモイルカにしか見えなくて最初のエロシーンがこのキモイルカクリーチャーのレイプなのに笑いをこらえるのが辛かった。

描写は淡々としているけれど、抑えているところは抑えているし、時折ハッとさせられるような言い回しもあってそこも楽しかった。ただ一人称と三人称の視点切り替えはちょっと混乱した……けどすぐに慣れる。ウィンドウ枠が右に左にと動いたりしてそこがまた読みにくかったけど、これも慣れる。
虚淵氏らしい暗さはあったんだけれども、キャラクターはどれも誠実で真っ当で、宿命によって歪みはあるけれど、正しく生きようとしている人たちばかりだった。それでも戦うという意志を見て真っ直ぐ進む様子はなんだかんだ心温まったし、ご都合主義に収まらないエンディングの余韻が好きだ。やっぱり自分は虚淵氏が書くエンディングとその余韻が好きなんだなと思えた話だった。

スキップは早くないが昔の作品だと言うことと、ニトロプラスだということを思えば我慢できた。たぶん最新作やったとしても「ニトロプラスだから」とか言って滅茶苦茶不便なシステムでも受け入れてしまうような気がするけど。


以下よりキャラ感想。全員のヒロインを『可愛い』と思えた事が本当にびっくりした。テンプレっちゃテンプレな部分もあるんですけどね。

・来栖 香織
テンプレ幼馴染。毎朝起こしに来てくれて、ちょっとだけ凶暴で、弁当を作り、主人公を心配し、化け物の身体になっても愛してくれる。そんなテンプレで王道がこの作品では際立って見えて面白い。いい子なんだけどヒロインとしては弱くて、このルートで豹変する弥沙子とウピエルとの関係のほうが面白かったのがなんともかんとも。でもこのテンプレ王道ヒロインは虚淵氏が学園モノ!と意気込んで残った結果だと思うとそれがまた面白い。なんか変なところで楽しんでる感も否めないけど。
ちなみに恋愛描写はどのルートも薄かったけれど、誰が一番納得できたかと言われると香織ルートかなと。自分が吸血鬼化して肉体的にも精神的にも辛く、それを誰にも言えない状況の時に、幼馴染の女の子に「あたしの前ではべつに強い男のフリしようなんて思わなくていい」って言われたら縋っちゃいたくなるのも分かる。異変を察知しながらも、主人公が事情を話してくれるまで突っ込まずちゃんと待っている姿勢も好感度が高くて良かった。そして主人公に一番近い女の子である香織が、その他ヒロインから一身に嫉妬を買っているのは笑った。別に香織は悪くないし、他ルートで別の子と結ばれたのをちゃんと後押ししてるのは好感だったし、良いヒロインだった。

・白柳 弥沙子
最初はうじうじして読んでいるこちらも辛かったけど、書いている虚淵氏も辛かったらしく(※あとがきで筆が進まないとすら書かれた)と香織ルートでは吸血鬼化してSMのお姉さんみたいなカッコさせられて敵キャラウピエルの下僕として性格まで真逆に豹変させられていたのは笑った。いや、笑うところじゃないんだけども……よほど動かしにくかったんだなと。
そしてこのウピエルとのやり取りが良かった。完全に奴隷として身も心も従っているのは唐突な展開ではあるんだけども、弥沙子自身がロック好きで己を抑圧させて生きていることを考えれば、豹変後の弥沙子もある意味弥沙子の一部のように感じられて違和感も無かった。ウピテルの奴隷として従いつつも、最後の最後で主人公を生かし、自分の恋心を貫き通した点も良かった。自分のいちばん大切な気持ちだけは、売らなかったんだと。
香織ルートの弥沙子とウピエルの関係性が良すぎて弥沙子ルートに行くのがちょっと億劫だったんだけど、ルートでも良かった。主人公を化け物ではないかと疑いつつ、吸血鬼だと明かされても信じ続け、吸血鬼の本能で弥沙子を襲ってしまいそうになるところでそれでも主人公は主人公だと手を差し伸べて、「こんな私で……いいのなら」と化け物状態の主人公に陵辱されることを厭わなかったのは結構ときめいた。これを化け物姿の主人公の前で笑顔で言うのが良い。
残念だったのは、弥沙子が何故主人公を好きになったのかが明かされなかった点だけど、自由に生きてて堂々としてて弥沙子を弥沙子として認識してくれてる時点で弥沙子は好きになっちゃいそうだなと思えば納得。
あとメタルロック聴きながらオナってるシーンは笑ってしまったが、哀愁があって名シーンだと思う。虚淵氏が苦しんで産んだ分、魅力的なキャラに仕上がっていた。

・モーラ
迫害されて人間に熱々の油をぶっかけられたり化け物扱いされてもそれでも人間を憎まず吸血鬼だけを憎み続けていたのはマジで聖女のダンピールヴァンパイア・ハンター。自分が半吸血鬼として生まれて迫害されたことにより、諸悪の根源である吸血鬼を滅ぼすことを決意して世界を回っている。

「見ず知らずの人でもね、幸せそうに笑ってるのを見ると……もしかしたらその人は、むかし私が滅ぼしたヴァンパイアに襲われる予定だったのかもしれないって。もしあのときに私がしくじっていたら、彼は死んでいたかもしれない、って……。
そんな風に思うとね。まるで私がその人を幸せにしたみたいな気分になれて、ほんの少しだけ嬉しくなる。」

何だこの優しい子は……。
モーラは最初から、吸血鬼にされてしまった主人公を哀れんで同情していた。なんとか人間に戻してあげたいと行動して口に出していた理由が明かされて、それでも人を憎まずに居たんだなと思うと中々に胸が苦しい。人間に酷いことをされたのに「人間になりたかった」のも辛い。そんなモーラだけど歪んで居ないわけではなくて、クリーチャーを弄ぶように叩き潰したり、居候することになった香織宅で香織の優しさに触れながら、香織が『普通の女の子』として過ごせて居ることに嫉妬したり。到底自分が得られない主人公の愛情を香織が受けることを想像したモーラの気持ちは激痛だろうけど、その分主人公がモーラを受け入れた時のプレイヤー側の反動の喜びが美味しい。ただ主人公がモーラを好きになった動機は弱すぎて、納得できるまでには達しなかった。不憫なモーラの境遇を聞いたら好きになるというよりも同情という気持ちが強くなると思う。
エロシーンは淡々としていてこれと言ってどのルートも特徴は無いんだけども、モーラとのセックスで、一回やった後にダンピールの治癒能力で処女膜が治って「……治っちゃった」って涙を流すシーンはかなりぐっと来た。そんで何度でもやればいい的に二回戦に突入するのは笑った。でもヴェドゴニアで一番萌えたシーンだった……まさか虚淵脚本のエロシーンで萌えるとは思わなかった。
ラストは主人公が人として生きることを選びつつ、モーラと二人で吸血鬼を滅ぼすために世界中を旅するED。全部が終わった後は人里離れたところでゆっくり暮らそうとか言ってるの見て、それはアカンフラグだーと思いつつも、ちょっと歪み始めている主人公と、どうあがいても主人公のほうが先に逝ってしまうという現実が余韻として響いていて良かった。
「明るい未来は見えないけど、仄かな幸せを感じる」ような虚淵氏が書くエンディングが好きなんだなと改めて思わされた。自分はこういうエンディングをBADENDだとは思わないなあ。

・リァノーン
全ての元凶であり、かなりランクが高い吸血鬼らしい。死んでしまった自分の恋人を追い求め、2000年生き続けたのはかなりの執念。もう一度出会って抱かれるだけで良かったらしいが、だとしたら別に主人公を咬まなくても良かったのでは?ただなんか生まれ変わっても自分を好きになってくれるかもしれないという希望があったのかな。それでも相手に自分の気持ちを強いるようなことはなく、主人公に想い人がいるとわかったらあっさり終わりを受け入れていたのは好感持てた。2000年って時間に疲れていたんだとは思うけども。
何と言っても良いのはエンディング。モーラのエンディングの余韻も良かったけど、それに匹敵するぐらいこちらのエンディングも余韻が素晴らしい。リァノーンと一緒に生きるときめ、不死を受け入れた主人公が最後に自分と関わったキャラの死を看取るシーンは切なさが入り交じりとても良かった。耐えきれず涙を流す主人公を慰めるリァノーンも良かったし、「自分を知ってる人が居なくなる最初の100年は辛い」と体験談を語るのも良い。結ばれた幸福の裏にある切なさが素敵だった。
主人公が少しのやり取りでリァノーンを好きになって共に生きることを選んだのは描写不足だけど、輪廻転生の「運命」という一言で自分を納得させたらしっくり来た。

・伊藤惣太(主人公)
何も悪くないのにランクの高い吸血鬼の恋人の生まれ変わりと言うだけで、中々に壮絶な状況に巻き込まれていく不憫型主人公。身の内に居る裏側の悪人格と戦って勝つ意志の強さもある。正義感も溢れていて女性陣が好きになるのも分かるなーと思うけど、自分は振り切ってるキャラが好きなのであまり惹かれはしなかった。

・網野鏡子
主人公は自分の意志が残ったまま巻き込まれていくが、彼女はNo.1で不憫。化け物に犯された上で敵側に洗脳され慰み者にされた挙句輪姦される。そして敵に洗脳されているから主人公視点で進むと「余計なことしやがって」と思わされプレイヤー側のヘイトも買ってしまう。そして攻略対象ではないので作中誰からも愛される描写がない……不憫、とにかくTHE不憫。

・ナハツェーラー
悪代官。若い子のおっぱいをモミモミするのが好きなスケベジジイ。モーラの過酷な生まれの元凶……つまりモーラパパだった。こんなジジイからモーラみたいな可愛い子が生まれるとは。吸血鬼なのに戦闘力は0に等しくどのルートでもあっさり脱落していった。なんか豆腐より脆いんじゃないかと思うぐらいのあっさり具合だったので、雑魚だと思っていたらモーラの父親と言う割と重要なポジションでちょっと驚いた。
そして私が一番思っていたことは「名前が読み難いんだよこのクソジジイ」。

・フリッツ
モーラと兄妹なんだろうなと思っていたら本当にそうだったのでそういう意味での意外性は無かった。モーラルートでは実はモーラを女性として愛していた事が明かされ、主人公に横からかっさらわれて悪堕ちしちゃうけど、兄妹っていう立場に甘えてた結果だったからなんとも言えない。あんまり状況とか考えないで「危険因子だから殺せばいい」とかすぐ言っちゃう脳筋っぷりにはちょっと……本当にそうすることが自分たちの立場に最善だと思うんか?と問いたいぐらいの脳筋っぷり。それがまたフリッツらしくて良いんだけども。
シスコンでとにかくモーラのために行動していたけど、結局自分の気持ちに正直に行動してモーラが一番嫌悪している吸血鬼に成り下がってしまうのは皮肉だし、血の繋がった兄を殺させるという苦行を強いてしまった。コイツはモーラの一番近くに居たくせして何を見てきたんだ?と。そして最終決戦でモーラを奪って真っ白なドレスに着替えさせてたのは引いた……お前何を用意しとったんじゃい……行動が中々に乙女でキモい。笑ったけど。
兄妹なおかげで一番近くにいられたけれど、思いは伝えられない立場で、でも打破しようと思えばいくらでも出来たのでは?そういうアピールもせずに悪堕ちされて結局迷惑かけられても……。あとずっと人間として守ることしかできなかったから、ある意味同等の立場になれる吸血鬼にあこがれていたのか。そう思うと本当に皮肉でしかない。結果は自業自得なんですけどね。

・ウピエル
残虐でサディスティックだけどそのサドっぷりに一本芯の通ったものがある。乱交したりやりたい放題だったけど、自分は芯のあるキャラはクソ男でも嫌いになれない傾向がある。なので、好きじゃないけど嫌いにはなれなかった。ウピエルはクソ男って言うよりは世の中に飽きて刺激足りなくなっちゃった系男子か……あんま変わらないな。
香織ルートの弥沙子との主従関係はすごく良かった。良すぎて「もう主人公とか要らないんじゃね?」と思えるほどに。主人公VS弥沙子で、弥沙子が炎にやられてボロボロになりながら帰って来て醜悪な姿になってしまったのを、どんな姿であろうと端女の分際で主の前で恥じるとは、と激昂するのがたまらなくいい。

「醜い。ふた目と見られないほどに。
だがそれが、どうしたというのか?
この女は……肉の一片から魂に至るまでウピエルの所有物なのだ。清きも卑しきも美醜もすべて、余すところなく差し出して捧げる。それが奴隷というものだ。
すべて俺が愛でて、俺が罰する。どんな些末なものであれ、包み隠すのは許されない」

このSMプレイのご主人様としての矜持は素晴らしい。そしてそんな下僕である弥沙子が最後の最後で主人公を助けることで、所有物である弥沙子を主人公に取られたと怒り狂うのもまた良かった。おかげで香織ルートなのに香織の存在感がかなり薄れたが、このやり取りがあるから香織ルートも楽しめた。

・ギーラッハ
リァノーンの強さと矜持に惹かれた人。ただリァノーン側は一途に恋人を慕っているので思いは叶わない。恋愛的な意味でかなり不憫な人その2。諦めることも出来ず、かといえリァノーンを陵辱することもないまさしく騎士ではあるんだけど、他のキャラが濃い分どうも存在感が薄かった。下から3番目ぐらいに。2番目は香織。1番目は以下の人。
男気あふれるだけのまっとうな人ってどうも印象が薄くなっちゃんだよなあ……主人公もそうだけど。

・諸井霧江
名前すら覚えてないほどに存在感が薄い。なんか研究してるらしいがその研究成果は、リァノーンを陵辱する機械を作ったという、AVの企画立案者だった。離脱するときもあっさり。敵側に女一人なので、あーこれ陵辱されるパターンだとそのシーンを心待ちにしていたんだけど、そんなシーンすら無かった。……居た意味あるんだろうかこの人。


あとがきを読む限り、この作品を生むのに相当苦労したのが窺い知れる。確かに粗は探せばいくらでも出てきそう。でも自分はヴェドゴニアという作品が好きだし、プレイしていて楽しんだし、この作品に出会えて良かったと思えている。
以下、この作品を生むに苦労したであろう虚淵氏のあとがきを抜粋。

「でもよォ……つよくなりてぇんだよ!ファンタジィやりてぇんだよ!スペオペやりてぇんだよ!コメディもやりてぇんだよ!」

笑った、この叫びを見て、チャレンジ精神あるなあと嬉しくなった。そして虚淵氏への好感度が上がった。結局中身は「いつもの」と遠からずな虚淵作品だったとは思うけれど、他とは毛色が違う部分は確かにあったし、そしてそんな部分が自分は楽しかった。
虚淵氏が今どういう作品を描こうと思っているのかはわからないけど、未だにこういう気持ちで作ってくれているのなら嬉しい。


なんだかヴェドゴニアの作品の感想というより、虚淵玄という作家の感想になってきたな。暗さとかエグさとかが目立っちゃってますが、私は虚淵氏が描くちょっと切ないけどちょっとだけ幸福な余韻が美しいエンディングが好きなんだと改めて思えた。他の作品も面白かったけれど、好きとは言えなくて。完成度は他の作品のが高いのだろうけど、私はヴェドゴニアという作品のが『好き』だと言える。
軽いノリで始めたのにしっかり楽しめたし、虚淵作品への視点がちょっと変わった作品になったのが嬉しかった。
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