全力で頭を抱える日記

おもに乙女ゲームの感想を中心に。ネタバレご注意。

23 2017

アトラク=ナクア 感想

やっぱり忙しいとサクサク出来そうなゲームに手を出してしまうっすね。そういうわけで一端もし神を熟成させつつ、姉様で有名なアトラク=ナクアをプレイ。

アトラク=ナクア 廉価版
アリスソフト (2000-09-14)


うーーーん………………言われているように、たしかに面白かったし萌えた。でも私が求めてた萌えとは違ったのでなんだか消化不良感もある。まず百合萌はしなかったし普通のカプ萌してしまった時点で、当初求めてた目標が崩れてしまったのでなんともなあ。

どの心理描写も巧みで高◯生にあるような薄暗い人間関係が描かれていて、どのキャラ主題の話も楽しかった。そしてそれが初音が現れた事によってぐっちゃぐちゃにされてしまうところの面白さと、人間の陰鬱な部分に入り込んで、餌が自ら飛び込んでくるように誘導する面白さもあった。
この物語の主題はあくまでも初音という存在であり、初音が人を拐かして行く様子は面白くもあったんだけど、自分は初音がどうこうより、初音に堕とされていく人間側の行動のほうが面白かった。これは初音側の境遇が初音からしか明かされないしそんなに描写が多くないからっていうのも原因。初音はとっても魅力的なキャラクターで、強くて美しくて黒髪長髪の黒セーラーなドSなお姉さまとか視覚的には私のドツボって感じだし、実際そこを楽しみにしていたんだけど、楽しめたのは人間側だったっていう気持ちのオチがついてしまって、消化不良感がすごい。

あと百合の先駆けだと言われているけど、本当に恋愛描写があったのかと考えると疑問が残る。
まず初音側のかなこへの気持ちだけど、これはただ単純な信頼でもあり、あとは強姦されて輪姦されていたかなこへの共感でもあり、そして400年という時間に飽きた気まぐれだっただけなんではないかと。自分の百合萌ポイントは「恋愛感情があるかどうか」なんだけど、かなこの健気さに昔の自分を重ねて、人間としての感情を感化されただけで、そしてそれは恋愛感情ではないんじゃないかと。それでもちょっとだけもしかしたらと思う部分があったのは、ラストで女郎蜘蛛としての本来の醜い姿を見せたくなくて、かなこの前では必死に人間の姿を保とうとしていたところだろうか。乙女だなあと思えてじんわりきた。
ただ100歩譲って初音側にかなこへの愛情があったとしても、かなこが初音に恋愛感情を抱いていたとは思えない。ストックホルム症候群とはまたちょっと違うんだろうけど、まず出会いのかなこの精神状態からしておかしかったし、その状態で支配とも言える状況に置かれていったことで、かなこは『複数の男に犯された事実』から逃げ出したかっただけなんじゃないかと。初音とのセックスは強姦された思い出を上書きしてくれ、もしかしたら今後来るかもしれない悪にも初音は圧倒的な力で薙ぎ払ってくれる……かなこが初音に求めていたのはそんな安心感であり、それは恋愛感情とは違うもんだと。そんな感じで、かなこ側に恋愛感情あるのかこれ?と思いながら見ていた自分を、和久からキスされて顔を赤らめてドキドキしているシーンが来て、答えが出たと腑に落ちた。かなこが本当に好きで恋愛感情を抱いていたのは和久だった。その時点で自分の百合萌で楽しむぞ!という気持ちは粉砕され、愛し合ってる男女が妖かしに寄って引き裂かれる様子は美味しいなあ、に変わった。初音自身の問題も、銀との痴情の縺れからだったし、これは百合という皮をかぶっただけの男女の話なのでは。
あとこれは自分のこだわりだけど、初音がふたなりだったのはけっこーがっくり来た。百合モノでちんこ付けられるの苦手。BLもGLもそうだけど、そういう性の象徴が同じだから響くものがあるんじゃないかと思うんで。まあ色んなタイプがあるとは思うんですけども。でも初音にちんこついてないとラストシーンの意味が無くなるからか……。

登場人物が初音の行動、言葉、表情に惑わされていく様はとてつもなくよかった。そこに登場人物各々の感情や事情をもつれ込ませていって、初音がそんなのお構いなしに色んな人の地雷を踏みまくって、巣へ招いていったのが面白い。初音は簡単に狩ることもできたんだろうけど、わざわざ巣へ招くのが粋だ。
それだけに初音の本来の事情である銀との男女の縺れがあまり描かれなかったところにとてつもなく不満が残る。一応伏線は貼られて回収もされていくのだけど、ラストで銀との関係が暴かれていくのは唐突過ぎて感情移入もあまり出来なかった。ただここで初音が唯一、女を見せるのが良い。恨みながら、妬みながら、それでも銀を愛していたのが見て取れて。男女の物語だったんかーい……って少々項垂れながら見ていた。銀との受精卵をかなこに託すってのはもう本当にエゴでしかなくて、本当にかなこを愛していたのなら、長い時間を生きるのに疲れた自分と同じ立場にはさせ無いはずで。どうしたってその後のかなこは幸福にはなれなさそうな道で、後日談のあらすじを読んで『やっぱりな』と思った。だからラストは、行動理由はわかるけど感動は出来なかった。

システムは序章を見終えなければコンフィグすら出てこないのは正直不便。あと私は文字速度一気表示派なので、いちいちクリックしなければならないのも面倒だった。スキップは早いがよくわからないところで急に解除されるのも疑問だった。昔発売されたってことを鑑みてもあまり使いやすいシステムとは言えない。
あと急に場面転換なったり時系列変わったりするのは正直もっと演出等でわかりやすくして欲しかった。

グラフィックはエロくて良い。ジャケットだけリメイクされているけれど、リメイクされない方のかなこのが良かった。時代を感じる絵柄と塗りだけど、それがまたこの作品に合ってた。


結局は人間の人間に寄る人間模様を一番に楽しんでしまった。こんなはずじゃなかったと頭を抱えながらも、楽しんだからいいやと思えている……そんな感じで以下よりキャラ感想です。


・比良坂初音
女郎蜘蛛。そして姉様。自分も彼女を姉様と呼びたかったけれど、感想を書き始めて無意識に「初音」と書いてしまったところで、姉様としての初音には惹かれなかったんだなと自覚した。それでも色んな人の人間関係にじわりじわりと忍び込んで、あるときは言葉のみで一石投じて、あるときは操って、あるときは人質を取って罠にかけて。人の弱さを知っているからこその行動と言動が面白かった。そりゃ何百年も生きてりゃ十数年生きてる程度の人間なんてお茶の子さいさいだろうな。
しかしそれはおそらく初音が手に入れたかった日常だったんだろうなとも感じた。エンディングでそれぞれの登場人物の最高の形のスチルが表示されるのがなんとも切ない。唯一大事にしていたかなこは和久と手を取っているスチルで、初音は一人で窓側の席で物思いに耽っているような……これが本当に切ない。気まぐれで一人の少女を助け、人間たちと戯れていくうちに本人も気づかぬまま感化されていた。
初音は強くて美しくてそして乙女。かなこが和久に奪われかかってると知るやいなや「私とこの男どちらを選ぶの?」とかいう仕事と私どっちが大事なの理論を繰り出す。これはどちらも大事なのをわかっていながら相手に天秤を傾けさせるのが重要でありながらも、和久を選んで逃げる二人を仕留めようと思えば出来たはずなのに、一端逃した。そして再び現れてしまったかなこだけを自分の糧にしながら、和久は逃がし、自分を殺させための贄にした。正直このエンディングが一番胸に響いた。諸悪の根源は絶たれなかったけど、哀愁と余韻がたまらなく良かった。大切なものに幸福になって欲しかった思いと、置いてけぼりにされてた寂しさと憎悪と、それでも会いに来てくれた感動と、全部終わりにしてしまおうとした物悲しさが痛々しくて良い。
ただ最後の最後で燐を蜘蛛に変えたことで、銀に対しての「どれだけの者を弄べば気が済むの」は本当にお前が言うなだった。地の文でも「つい今しがたの自分なのだ」って突っ込まれてるから、これは本当に初音の無意識の発言で、その発言をしたことで自分が人間に感化されていて、どういう思いを持っていたかを自覚したんだと。

何と言っても初音のカリスマ性は美しくて優雅で、そして強くて格好いいところだと思う。
ラストで傷を負った初音を案じたかなこに対して、「服が汚れるわ、かなこ……」ってまず服を気にかけた優美さが、かっけえええ!!って胸がときめいた。勇ましい立ち絵にこのセリフが乗るのがたまらない。百合萌はできなかったけど、予想通りの魅力を秘めたキャラクターだった。


・深山奏子
意志が弱く付け入られがちで、初っ端からかなこの輪姦シーンから始まるのはなんとも可哀想。心の中で輪姦した奴らを「殺してやる」と思っても実際には行動に移せない、願っていたところを叶えてくれた初音に「付け入られた」のだと自分は思っている。かなこへの初音への感情は前述したとおりだけど、初音に対しての憧れもあったんじゃないか。物怖じせず、強く個を持っていて、自分の願いを叶えてくれる女性。崇拝するさまは正しく信仰。ただ意志は弱いけれど、意志が無いわけじゃなくて、結構自分の気持ちには強固で頑固だなと感じられた。うじうじはしているけれど、初音も和久もちゃんとかなこの話す言葉を待っている印象で、かなこはそういう人になついていたように思える。
そして一番萌えたカップリングが和久×かなこだった。自分はこういう不良系×お嬢様に弱い。和久がもうちょっと早く現れていればなあ……でもどのみち初音が来た時点で積んでるか。参ったね。


・高野沙千保
初音と仲良くなる中で、好きな人が初音の正体を疑いそれをきっかけに好きな人への不満が一気に溢れ出して疑心暗鬼になっていくのが見ていて面白かった。それが色々描写が省かれていても、一つ一つが不安と不満を呼び、爆発していくのが良い。初音が仕掛けた罠が、じわりじわりと毒がゆっくり回っていくようで陰鬱で良かった。誰もが持ち合わせているような不安と恋心。そしてついに陥落して贄にされてしまってもタカヒロを求め続けたのが切ない。そしてそんな純情な彼女が、男から精液搾り取るだけの道具にされてしまうのが、エロ悲しくて良い。なんてことないキャラクターなのに、普通に持ち合わせている弱さでエグい結末に落とされるのが胸に響いた。初音さえ居なければ良いカップルでいれただろうになあ。


・渡辺鷹弘
普通に格好いいサチホの恋人。性欲に流されない、危険察知能力も兼ね備えているスーパーマン。サチホを囮にしてタカヒロを罠に仕掛けるのは正直楽しかった。そして贄にされても人格はそのままにする初音の趣味の良さよ。こういう人格者が性欲に塗れた世界に堕とされていって、それでも初音を憎む気持ちを持ち続け、でも現状を打破出来るわけではないってのが、この物語のどうしようもなさを感じられて良い。


・渡辺つぐみ
実は兄貴を想ってたのかと思いきや、あれはただの家族としての信頼だった。なんかキモい豚に変な目で見られて強姦されかけたり無理やり兄貴を襲わされたり、助けてと言っても結局兄は誰も救えなかったのがな……。
どこにでも居るような普通の性格の良い子で、だからこそかなことの対比が映える。かなこがつぐみに対し、自分が負った恐怖をつぐみは負っていないという現実を知り落胆を抱えるシーンも良かった。そういうわけで色んな人をよく見せる良い脇役で終わった。


・葛城和久
不良とお嬢様の恋、ええやないっすかあ……!和久は本当に「主人公」だった。過去に闇を抱えつつも、それはもういいと割り切ろうとして、でも出来なくて。自分と似た感じの闇を感じ取ってかなこをいじっていく内に愛らしくなって守りたいと思って、かなこが「助けて」と願ったら助けに来てくれるヒーロー。最初はかなこも、自分を犯した奴らと同じ系統である和久に壁を作るも、なんだかんだ優しさに触れて行き、和久は自分を犯した奴らとは違い大切に思ってくれていることを知る……っていう少女漫画のような王道を踏んでいくのも良い……自分はこういうのに猛烈に弱い。出来れば最初の強姦シーンで来ていただきたかったけど、そうならないからこそ彼は主人公ではない。
過去にしたことも懲りずに結局かなことセックスしたのはらしくて良いんだけど、これで身も心も結ばれたんや!!って思ってたところにあの結末だったからほんと可哀想だった。でも絶望から救ってくれた初音を裏切れないかなこの気持ちも切ない。
ちなみに過去については本気で先生のこと好きだったんだろうなと。まだ未成年だけど、だからこそどうしようもならない現実を思い知って、新しい先で幸せにしてあげたいし自分もなりたいと思えた現実が結局これだから前世でなんかしたんかと思うぐらい当たり悪いっすね彼。
いやしかし本当に萌えたなーー途中から初音は一人でも生きていけるからこっちでも良いんじゃないのかなこさん、と問いかけながら見ていた。でも初音のような女性に「一人でも生きていける」は禁句だよなと思うので、だからこそかなこが与えられたのかな、とも。


・八神燐
超不憫。滅ぼしたと思っていた銀の末裔で初音からも恨まれるわ、銀からは玩具のように蜘蛛にされてしまうわで……。大した描写もされないので使い捨て感も強くそれがさらに不憫だった。


・銀
諸悪の根源だけど、結局は初音も同じような感じだったから喧嘩両成敗何じゃないですかね。巻き込まれた無関係の人間たちは本当にいい迷惑だ。二人で勝手にやってれば良いのに。なんだかんだ強敵だったらしいけど、言動は小物ですぐに離脱するタイプのキャラで、実際大した描写もされずに最終決戦でもあっさりって感じだった。ある意味惜しいキャラクターだなと、もっと胸糞悪くさせて欲しかった。



いやあそれにしても和久とかなこのカップルは王道で萌えたなあ……。こないだ村正をやったせいか、和久が悪である初音に対して恐怖よりまず腹が立つって怒りが来てた時点で思わず連想させられてしまって、「こいつ主人公じゃないんだよな~~」ってなってしまったのは自分でも笑った。
ホテル行くかってなったときに、かなこが自分は色んな人に犯されてそれでも良いのかってことを中々言い出せなくて言葉に詰まって、それでも和久が「うんうん」って相槌ついて、ちゃんとかなこが言い出せるのを待っているシーンで私の頭がHAPPYになりました。もうここで萌えなきゃいつ萌えるってぐらい萌えた。この楽しみ方きっと間違えてるな~~って想いながらも止められなかったほど萌えた。いいカップルだったなあ、後は私が脳内で幸せにしようと思う。

最近昔の作品ばっかりやっているが、エロシーンがおち◯ぽだとかおま◯こだとかを連呼しないから良い。これほんと大事。需要があるのも分かるけど、毎回聞く度にもうおち◯ぽはわかったから黙っててくれって机ダーンしたくなるんで。
エロシーンの情緒ってホント大事だなって思った今日このごろです。