全力で頭を抱える日記

おもに乙女ゲームの感想を中心に。ネタバレご注意。

08 2017

仲穎、本初ルート 感想

特別悪いわけでも無いが良いわけでもないっていうビミョーな評価のゲームになってきているけども、恋戦記にそういう評価をつけるのはやっぱり寂しい気もする。
残すところあと一人になったが、今のところキーボードのキーを弾け飛ばすようなシナリオには出会っては居ない。こう書くと「出会いたかった」みたいになるが、ヴァルプルさんで散々弾き飛ばしたので、個人的には結構楽しめている部類に入るんだよなあ。しかしながらやはりこのゲームが恋戦記と思うとうーーーーん、ってのをひたすら繰り返している。もったいない。とにかくもったいない。


●仲穎ルート
醜悪な見目っていうのを逆手にとって乙女ゲーイケメンフィルターバリバリ掛けたキャラデザを見て指さしてケラケラ笑いながらも見た目がどストライクだったのでプレイ前から結構オチていたし、割りと楽しみにしていた。あと三国志の中でも極悪とも言える行いをしていた人物を、どうプレイヤーに納得させるかのシナリオが見ものだったのだけど、楽しんだ部分半分、納得しきれない部分半分で終わった。これがまた私の評価を中間にさせる要因になってしまった。

昔自分に降り注いだ悲劇から、漢王朝を恨んで滅ぼすためにお化けと契約して、漢王朝を滅ぼせる代わりに周りからは醜悪な見目で見られるってのは上手い設定だなと思った。しかしそれで苦しむことになっても正直言って仲穎の自業自得であるため、そこでの同情の気持ちは全く湧いては来なかった。ちなみに化物と契約っていうのは、前作では殆どそういうファンタジー的な要素がなかったのを考えるとちょっと眉をひそめたけど、本自体がファンタジーだし伯符ルートでも呪いがなんだかんだやってたんで、慣れた。でも慣れたから良いかというと決してそうではない。やっぱ納得させて貰える現実的な理由がほしかったけど、イケメンフィルターかかってる以上は無理か……。
主人公は別世界から来たので本当の姿が見えるのは未だ分かるにしても、奉先も仲穎の本当の姿が見えるっていうのには答え合わせはしてもらえなかった。奉先は遠方の出身(モンゴル)らしいので、漢王朝(呪いの原因)から離れれば離れるほど呪いの効果が及ばないという私の勝手な解釈で納得した。

好きになる過程については、仲穎から主人公へはもう唯一無二過ぎて、過程が薄くても理解は出来たし納得も出来た。主人公から仲穎については、自分だけには優しい仲穎と民を虐げる仲穎とで揺れ動いていたけど、まあ異国に来て自分を救ってくれた存在ならそれにすがるのもわからなくはない。が、これがまた仲穎の行いを許せるかっていうのとは別の問題だ。牛裂きまでやって流石に主人公がドン引きして仲穎を拒否したけど、その後すぐ仲直りしてたのを見てる私がドン引いていた。
主人公がもうちょっと勇気を出して仲穎の行いを咎めればなんとかなりそうなもんだっただけに、見ていて本当にもどかしかった。主人公は自分がお世話になった人は助けに行くのだけど、モブに対しての悪行は苦しみはするけど積極的には助けない。自分が知っている人なら頑張って助けてモブはひどい目に合って苦しいけどその後を深く聞かないっていうのは、主人公への心証が悪くなりすぎて困った。一度ならまだしも、この描写が数回あるものだから、いい加減に動いてほしいなあと思いながらプレイしていた。これでお世話になった人さえ助けない展開だったら私は今頃キーを弾き飛ばしていたはずだ。
異国から来た何の立場もない主人公の状況を考えれば理解は出来るし、非日常過ぎる世界に臆病になるのもわかる。これはある意味正しい人の姿だとも思える。だがこれは乙女ゲーだ。どうにも中途半端に乙女ゲーフィルターが掛かっていて、結局何を見せたいのかが不透明なままだった。

仲穎の時代に終わりが来ると言うときに本が使われて元凶の始まり(化物との契約の時期)に飛んだのは今更かーいって思ったし、ラストで化物と戦って仲穎が記憶喪失になるっていう展開には終盤でこれかーいとも思ったけど、おそらく仲穎が今まで一番大事にしてきた主人公との記憶を喪ったことは、仲穎が今までしてきたことへの報いなのかなと。過去に飛んだことで、今まで仲穎がしてきた悪行も無くなった事になったけど、それで苦しんだ人は確かに居た。そのことへの報いだと思えば、このラストを受け入れることが出来た。単なるハッピーにならなかったのはむしろ良かったのかもしれないと思えた。漢王朝の民というだけで、何の罪もない人たちが苦しみ痛んでいったかと思うと、仲穎の行いは到底許されるべきではない。むしろ逆に記憶失うぐらいだったら安いもんだ。
ちなみにBADEDでは上記したことを仲穎本人の口から聞けるのが良かった。

「私はかつて、一族の死を百万の漢の民であがなってやると決めた。その時点で、私は許されざる者となったのだ」
(中略)
「たとえ過去に戻ってやり直したとしても、私は殺してきた者どもの断末魔の声を覚えている。血の赤さを覚えている。それは私の魂にしがみついた穢れだ。覚悟の上で選んだ道だ。だからこそ、やり直すことは許されない。私は私の罪を背負って生き、死ぬ」

ここまでして覚悟を持っていてこの結末なのなら、むしろ本望だろうと思った。作中何度か主人公が咎めても、おそらくそれで主人公が苦しんでいると知っていながら、悪行を止めなかった。進んだ時点でどんな事があっても止まらないという仲穎の覚悟だったと知ることが出来て、腑に落ちた。そして、過去に飛んでも結局同じ道を辿って同じ世界に帰ってきたのも、主人公を元いた時代に返すためだと知っていたからこそで、このBADENDの方が、強烈に胸に刻まれた。悲しくて苦しくて痛々しい悪役に与えられた仄かな夢のような時間で、相応しい終焉だった。
最後に元の世界に戻ってきた主人公が、幼馴染に本当の名前を呼ばれるのだけど、「それは私の名前じゃない」で終わるのが猛烈に良かった。一度も本当の名前を呼ばれないことが逆に胸に響く事になったのは思わず唸った。作中で主人公が本当の名前を言おうとしても仲穎がそれを拒否するのもなんだか哀愁があってよかった。いずれ帰る主人公の名前ではなく、今ここで自分の本当の姿を見せてくれる主人公が仲穎の求めたものだったのなら、『貂蝉』が大事なのも頷ける。
描写の軽い重いはあれど、それらを補うほどの設定が上手いと思えたルートだった。


●本初ルート
出会いは「切れ者なのかな?」と思わせておきながら、鳥さん牛さん動物さん大好きキャラだったのは……なんというかこう、どうしようもない気持ちにさせられた。
本初ルートはサブキャラクターが良すぎて、本初自体が霞みまくっていた。この世界に来てから主人公に色々なことを与えて支えてくれた女官の張さん、本初と仲が良く後に孟徳といざこざがある孟卓、真面目の道を真っ直ぐ歩き次第に歪んでいく公路、この頃からだいぶ達観していて世を見据えていた孟徳。これだけサブが輝いていたら本初が霞む霞む、本初ルートを攻略しながら「こいつら攻略できたらなあ」と思わせられた時点でとても悲しくなった。

それでいて本初はというと、特に何もしていない。マジで主人公共々THE直立不動を進むから、一体どこまでこれが続くんだと悪い意味でドキドキワクワクしていた。ヴァルプルさんで鍛えられたあの時の気持ちが少々蘇った。
仲穎を討とうと連合軍を組むことになり、それの盟主を務めろとと言われても「俺は相応しくない」といい士気と私の気持ち下げる。なんか主人公に言われたからまあいっちょ長やってみっか!と心替えしたあとも、主人公に肩揉みさせたり自分の天幕でいちゃいちゃしたりしていて「これが仕事って羨ましいなあ」と歪んだ目線で眺めていた。次第に周りの武将から、あいつ女侍らせてんぜ、と冷やかされると、『じゃあ冷やかされないために結婚すればいんじゃん?(意訳)』とか言われた。嫁探しのダシにされた仲穎とその他大勢の皆様の気持ちを思うと、もう……もう。

しかし本初が動かなくても周りが動く動く。激動の時代に巻き込まれない立場から傍観している意味での楽しさはあった。
まず先に公路に不審な動きがあって、本初の妾の子という立場から関係が歪んでいって対立していく。孟徳は先見の明があり、同盟を組んでいた頃あたりからすでにこの仲間たちがいずれ時代の流れに引き裂かれると予見していた。ちなみに孟卓はいつの間にかドロップアウトしていて、本文でたったの一行でそれが明かされて笑った。本初が何も動かずとも、どんどん立場が悪くなっていき、追い込まれていくのは、楽しいと評するのはいかがなもんかとは思うが、やはり楽しかった。この時代に立場のある人間が、「人が傷つくのはイヤだ」とゴネて何もせずに居るとこうなるのだなという流れだった。
体調に関しての伏線はちらほらあったけど、ラストに関しては、まあ本人たちが幸せなんだからこれで良いんじゃないでしょうかね。先が長くない描写については明るい気持ちにはさせてもらえなかったけど、誰からも邪魔されず静かに暮らせるなら未だ良い方なのでは。結局本初は、誰も苦しまない自分だけの世界を手に入れられたのは、ある意味皮肉だ。


なんでこの展開にしたんだ?と思うのが多々あるが、流れもオチも多少なりとも納得はいっている部分はある。それでもこんなに三国志演義の流れを汲まなくても良かったのでは。仲穎のようなオリジナルの設定のほうが楽しめられたのはなんとも言い難い。
前も言ったけど、シナリオ量が圧倒的に少なくなっている。描写も流れも適当になっている。多けりゃいいって問題でもないし、ダラダラ続く流れは逆に苦痛を呼ぶけど、この時代はコロコロ状況が変わるものでダラダラすることもなかろうものだし、もう少し丁寧に描いて欲しかったという気持ちがどうしても拭えなかった。拭うつもりもなかったが。

なにはともあれ、次はラストの華佗です。字じゃないのはなんらかの理由があるのだとなんだかんだ楽しみにしている。
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