全力で頭を抱える日記

おもに乙女ゲームの感想を中心に。ネタバレご注意。

10 2017

華陀ルート 感想 +総評

魁ってタイトルが初出され、それを見て合言葉のように男塾!!と叫んだあの時から、フルコンプの今があるのがなぜだか感慨深い。続編をプレイ出来るとは思っていなかったので、そういう意味ではプレイできて良かったなと思える出来ではあった。これは自分が求めていたような恋戦記じゃないけど、確かに恋戦記の雰囲気を残していた、恋戦記のような作品。

あ、もちのろんで前作のネタバレがあります。


●華陀ルート
無印恋戦記でぶん投げた本の謎を今更ながら掘り返して頂けるとは思わなかった。でも掘り返し方が中途半端、ようやく本当の姿が見えてきたってところで掘るのを止められた。もうちょっと頑張って全部掘ってくれよ……。
というわけで本は未来で作られた、過去に飛べるお遊び的な物だったらしく、華陀は未来から本を使って飛んできた未来人だった。ただやっていれば長岡再来だなということはなんとなく察せられるし、未来人と言われてもそれほど衝撃を受けなかったのは少々残念。ちなみに華陀の発言に「バグ」とあったので、機械的なものである可能性が。分かったことはこれぐらいで、誰が何の目的で作ったのかとか、なんで未来で作られた本が過去である主人公の時代にもあったのかは明かされることはなかった。

未来では争いが起こっているらしく、それに苦しんだ医大生の華陀が本を使って過去に飛び、本を無くして戻れなくなって困っていたところを本を持って居る主人公を見つけて近づこうとした。おそらく華陀の発言から、華陀は一周目であろうことが察せられるから、長岡氏よりは幸運なのでは。

薬草の曼陀羅華から名前の華陀を取ったことで字ではないことが伝えられた時は思わず感動した。曼陀羅華というよりはチョウセンアサガオという名称のほうが馴染み深い。そしてチョウセンアサガオ=毒というイメージが強くて、そしてそれが上手く話しの中にも組み込まれていて良かった。仲良くなっていく流れも上手く組み立てられてて伏線も綺麗に回収されていた。でもやはり丁寧というわけではない。流れが大きくざっくりとしているといった印象だったけど、それでも、他のルートよりはポイントは抑えていた気がする。
なんだかんだ一緒にいる内に仲良くなっていきながら、本の効果で少し先の未来に飛んでしまう。華陀は主人公から本を奪おうかどうか迷っている描写が何度か見られたけど、飛んだ先で死という結末を受け入れたのを見て、「終わり」が来れば主人公を帰せると知っていたからこそ流れに沿ったんだなあーと。主人公が自分に想いを寄せていると知っていていてもキスしなかったのは、いずれ迎える終わりからくる主人公へのダメージを軽減させるためで。ただそれを主人公が最悪の形で知ることになったのがエグくてよかった。想い人の斬首ってハイパーエグいな……。

主人公が願ってまた飛ぶ前の時代に戻ってきたけれど、そこで未来の自分に嫉妬させる展開になったのは上手いなと。未来人が未来の自分に嫉妬っていうのがなんだか面白い。「死」という終わりをどうにか捻じ曲げようと、これまた薬の知識を使って事実を捻じ曲げたのは手に汗握る展開でクライマックスにふさわしかった。ただ華陀が自分の居た時代を捨てて主人公の居る時代についてきたのはあっさりすぎた。まあこんだけの事があって、自分の時代に帰りたいから本渡せと言われても凍りつくしか無くなるが。帰ってきたら戸籍とか立場とかどうなるんだ?という現実的な疑問は全部場外ホームランして、タクシーの中でイチャついて運転手にちゃんと乗ってくださいみたいな事言われてもイチャつきを止めなかったのは大笑いした。運ちゃんは客を選べないから本当に可哀想。この時の運ちゃんへの感情移入が半端なかった。

華陀以外のキャラクターは全て主人公より立場が上だからか、華陀へはかしこまることも萎縮することもなく、対等なやり取りだったのは和んだ。一番主人公が主人公らしく入れたのは華陀ルートだったんじゃないかと。おちゃらけた華陀とのボケとツッコミのような流れも見ていて楽しかった。他のルートはどれも緊張感があったけれど、そのおかげで華陀ルートの色が違って見えたのは良かった。

ちなみに弓矢の設定は使われた部分もあったけど、おまけみたいなもんで笑った。後々役に立ったのは華陀から教えられた薬の知識だったから、まあこれはこれでいいんじゃないでしょうか。弓さんは別の場所でがんばってください……。


【サブキャラクター雑感】
・主人公(木下巴)
前作主人公との違いは、より普通の女子高生ってところだろうか。弓矢の設定は置いておくとして、彼女の反応は「普通の女子高生」ならまあそうなるよなっていうような反応だった。では前作主人公が普通の女子高生では無いかというと、あれは上手く物語に対して色付けされていた印象。ファンタジーを上手くファンタジーとして調理してくれていたというか。
今作は現実的なことを現実的に受け止めて現実的な反応をしていた。弓矢の設定を持っていながら、人に対して打つのを恐れ、一度打ってしまっただけでもトラウマ化する。そりゃそういう反応になるわ、と思った。的に向けるのと人に向けるのとでは大きく違う。これがファンタジーに色付けされていたら、簡単に覚悟を決めて人に撃てるようになるのだろうけど、彼女は『普通の女子高生』だった。そんな覚悟、すぐに決められるわけではない。全くと言っていいほど違う異国へ来て右も左も分からない大混乱な中で、内向的な性格がさらに内向的になって臆病になって行動力と判断力を失ってしまうのも理解できる。
ただこれが物語的な意味で面白いかって言うとまた別の話。思っていることを外に出さないのはやきもきするし、前作をプレイして本の使い方を知っていれば「駒を使って意志をもって願うんじゃ」とか画面の外から天の声でも授けたいのだけど、使い方を知らないのだから使わない。そもそもこの本も前作主人公のためのアイテムみたいなもんだったから、今作主人公にとっては異世界へ飛ぶだけのアイテムにしかならないのがなーー。そこはシナリオ次第だったのだけど、まあご覧のとおりなので。
設定を色々盛られていたけど、何一つ上手く使われることはなかったのはある意味可哀想だった。

・浩太
主人公のことを好きな男の子。戻ってきた主人公に「お前じゃない」と思われる、告白しようとして図書室に呼び出したけど「どうでもいい」とすっぽかされる等など今作で一番報われて欲しいキャラクターランキング、堂々の第一位。私は浩太と結ばれるのが一番幸せな未来なような気もするよ、頑張れ浩太、君の未来は明るいはず、たぶん。

・孟徳、公瑾
孟徳はともかく、公瑾はもうちょっと伯符とのやり取りが見たかったなあ。出番も少しだけ、やり取りも些細な物過ぎて辛かった。孟徳に関してはこの時代でもきっちりズルい男でした。前作プレイしてたら孟徳に心揺らがされる、相変わらずの魔性のキャラだった。

・孟卓
ルートをよこしてください。孟徳と仲違いするまでの過程が見られたら良かったなあと思わざるをえない。

・盧植
玄徳の師になる人だと言うから、深く話に関わってくるのかと思いきや、ポッと出てきていつの間にか居なくなるまさかの使い捨てキャラクターだった。出て来る意味はあったのか。


●総評
・システムについて

改善された所もある、改悪された所もある。が、結論から言えば大きくマイナス。
過去の私の発言によるとジャンプ機能がついて居なかったらしいが、今作ではちゃんとついていて便利だった。あと前作より画面が大きくワイドになった。デフォ名で進めるとちゃんと名前を読んでくれた。
無くなった機能が複数ある。まず単語をクリックすればすぐ意味がわかる用語辞典、用語辞典はあるが、単語をクリックすれば出てくるような機能は無くなった。好感度システムについては完全消滅で、EDに入る前のキャラごとの演出は無くなった。ED後のおまけシナリオも無い。続編と銘打つなら、前作の機能はそのまま搭載させるのが当然だろうと思うのでここまでされると逆にアッパレを差し上げたくなる省きっぷりだった。ただそれは前作と比べた評価で、普通にADVとして楽しむなら問題はない。ちなみに軍議システムがないのは今作主人公は軍師を選ばないのでそこは当然のこととして受け止めた。私がアレをあまり楽しんで居なかったというのもあるけれど。
個人的なアレだけど、ボイコレは主人公のセリフも登録出来るようになりませんかね……だめですかね。

・グラフィック、音楽について
前作から比べたらより現代的になったなあという感じ。見れて嬉しい出来ではあるのだけど、仲穎のキススチルとか一部誰これ状態になったのは気になった。ちなみに孟徳の若い頃の立ち絵も初見は誰だお前状態だったけど、面影はちゃんと残されているので。あと大人孟徳は服をちゃんと着られるようになったんだと笑った。
音楽については相変わらず素晴らしい出来でした。以前の恋戦記らしさを残していながら、場面を邪魔しない心地よいBGMだった。ED曲が好きです。

・シナリオについて

前述したけどもキーボードを弾け飛ばすような理解に苦しむ突拍子も無いような描写、展開はなかったような気がする。ただ理解出来ても納得が行くのとはまた別で、そしてさらにそれが面白いと感じるのはまた別だ。キャラが減り、シナリオ量も減り、必然と前作で描写されていたものが省かれた。共通ルートがないため、他キャラとの関わりあいが薄く、一部キャラクターを除き会話もないどころか一切出会うこともない。この時点で大きく前作の恋戦記らしさが省かれていたような気がする。そもそも『三国』である必要があったのかなという疑問も湧いてしまった。

こういう理由、こういう性格だからこういう話の流れになったという理由付けは割りと納得がいったし楽しんだ所も多かった。しかしシナリオ量が減ってしまっていて、本来描かれたはずのキャラのやり取りも減り、感情移入がしにくくなった。シナリオの量が多いことは決してプラス要素ではないけれど、前作と比較すればやはり1/3もあるかないかぐらいの印象を受けた。シナリオ量がなかったとしてもポイントを抑えた作品は多々あるけど、アクが強く歴史上明るい未来を辿っていないキャラたちなので、やはりある程度の量は必要だったのではないかな。せめて前作と比較しても1/2ぐらいは欲しかった。

あと主人公の項でも語ったけど、一部設定が放置されている所も多々ある。キャラクターも放置され気味で、三国志で出てきたからとりあえず出しとく感も否めない。そういうところを全部引っくるめて、雑なシナリオという評価に落ち着いてしまったのがなぜだか悔やまれる。キャラクター造形は相変わらず良いのに、それに付随するシナリオがついて行けてないというのがなんともまあ苦い気持ちにさせて頂ける。

ライターに寄って表現が違う所もあったけどそれは誤差の範囲内。出来が違うのは流石に誤差では済ませられないんだけど、前作ライターが担当したルートが一番悲しい出来になっていたのは本当に悲しかった。シナリオじゃないところで落ち込んでいた。

これが本当に製作者が作りたかったものなんだろうか。前作は丁寧に作っていた、そして作りたいものを作ったという気概をプレイしていても感じることが出来たので、「作りたい」ではなく「仕方なく作られた」という意志しか感じられないことが、私にとっては一番悲しかった。

オススメ攻略順は、
【 伯符→奉先→仲穎→本初→華陀 】
華陀は攻略制限がかかっていたからどのみち後半になるかと。奉先と仲穎はからめた方が流れが分かりやすいかなと。



伯符ルートとかプレイしていた頃は、これが続くと思うと辛いなと思っていたけど、プレイし終えた今はそこそこまとまりがある、そこそこ楽しいゲームに落ち着いた。嘆き悲しみはしたけど、これはこれで楽しんだし、私は魁が嫌いではないのだなと感じている。前作が秀作すぎたのでグレードダウンな印象はやはり否めないんだけど、こういうのは楽しんだもんが得をするもんだと思う。ただ、価格が見合ってないんだよなあ。これで無印恋戦記と同じような価格なのははっきり言って、損。そしてこれがまたすぐ加筆修正されてVitaあたりにでも移植されるんだろうなと思うとやっぱり印象は良くない。
あと魁っていう意味は先駆者、一本槍っていう意味があるらしいのだけど、全くシナリオと関係なくて笑った。

この作品とは関係ないんだけど、自分は先にヴァルプルガの詩をプレイして、先に三国恋戦記の期待を折られていて良かったと思った。ヴァルプルさんをプレイした時は「プレイして良かった」なんて気持ちは湧かなかったのに、まさか魁をプレイして「ヴァルプルさんをプレイして良かった」と思うとは思わなかった。久々にヴァルプルさんの自分の感想を読んで思ったことだけど、ヴァルプルさんへの悪い印象と魁への悪い印象はほぼ一緒だった。違うのは期待値の大小に伴うダメージ具合だ。
例えれば、好きな人に裏切られるのと嫌いな人に裏切られるのに近い。「裏切られる」という結果は同じでも、好印象を抱いている人に裏切られる方がダメージがデカいのは当然のことだ。だからつってヴァルプルさんが嫌いなわけではないし、アレはアレで殴り合いとか色々楽しんだけれども。
ヴァルプルさんをプレイしたからこそ、最小のダメージで楽しめられるところは大いに楽しめた。これがまた順番を変えて、魁を先にプレイしてヴァルプルさんを後にプレイすれば逆の結果になっていただろうことは、面白いなと感じる。

辿ってきた過去、感じてきた物、考えてきたこと、プレイしてたその当時の心境や状況に寄って、感想や印象が大きく変化することはやはり面白いなと感じながら、買い戻した三国恋戦記で師匠を救ってこようと思います。

以下より私が登録したボイコレです。せっかくなので記念に。
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伯符「お前が諦めたものを考えれば、それでは不平等だろう。お前が手放したものと同じだけ、俺はお前に与えたい。だから、妻はお前一人で十分なんだ」

大喬とか色々娶ったほうが良いのでは?みたいな話になった時に言った伯符の男気あふれるセリフ。キャラクターは良かったんだよなあ、キャラクターは……はい。

奉先「そうしろ。親父どのは黒づくめだから、こうも暗いと何処におわすかわからん」

仲穎と暗がりの中でイチャついてたら奉先が入ってきて主人公が「明かり付けます!」と言った時のセリフ。思わず声出して笑った。

仲穎「私の前にそなたが現れたのは、天の采配なのだろう。このままなるように任せようとする私の前に、そなたという新たな賽が投げ込まれた」

結果はあまり変わりませんでしたけどね……という悲しい事実は置いといて、主人公が現れた時の仲穎の感情はまさに天にも昇る心地だったのだろうな。呪って呪って呪われて、失った幸福がまた与えられたのだと知った時の仲穎の気持ちはどんなもんだったのかな、とぼんやり思った。


以下よりボイコレに登録したかった主人公の台詞。

巴「かっこよくて素敵なのは当たり前です。でも、かっこわるくても素敵だと思えるのは、華陀さんだけですから」

こういう風にあなたが特別だと伝えるのは、なんだか素敵だなーと。

巴「花は、また咲きますから。生きものですから、枯れます。でも……根や種が残っていれば、また次の年きれいに咲いてくれます」

花は枯れるからあまり好きじゃないみたいなことを仲穎が言った時のセリフ。幸福が枯れてしまっても、幸福の種が芽吹くことを仲穎には自覚してほしかったなあ。


絶対階級学園を攻略した時、ここに「なんだかんだDaisy2らしい作品だったとは思います。次作もあれば、やっぱり期待するだろうと思う。 」と書き記した。今回は期待するとは書けないけれど、Daisy2らしい雰囲気があった作品だったと感じることが出来たのは、やはり嬉しかったです。
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