全力で頭を抱える日記

おもに乙女ゲームの感想を中心に。ネタバレご注意。

01 2017

久世 円ルート 感想

乙女ゲーの悪手を詰め込んだようなルートだった。自分はそういうのは嫌いではないし、できるだけ自由な作品をプレイしたいなと思っている人間ではあるけれど、コイツはちょっと虫が良すぎるというか、キャラは簡単に言うけど生理的にどうなんでしょうねえ、と思った。でもそういう意味ではなかなか興味深いキャラクターではあった。

簡単に物語を説明すると、芸能事務所に所属する俳優の主人公はある時社長に呼び出された。そこにはすでにいろいろなメンツが居り、それぞれが問題を抱えているらしい(主人公含む)。メンバーでクリスマスにする舞台を成功させ、各々の問題をクリア出来なければ、今後の芸能活動は出来ないと脅されるところからスタートする。

最初は協調性のなさっぷりが際立ってて良かったのだけど、このあたりで大体オチが見えてしまったのが辛いところ。あと毎回突っ込む手がなんだかんだ止まらないけど、ひとつ屋根の下に女子一人ってヤバないですか。ギャルゲーも同じこと言えるけど。


今回攻略した久世円はトラブルメーカーで女をとっかえひっかえして遊んだり、喧嘩っ早かったり。ただ金持ちの子なので色々もみ消して貰えるという、顔以外何処を好きになったら良いのかな?という盛り沢山なオンパレードでとても笑った。まあ乙女ゲー的な描写は幾つかされていたが。
あと双子の女装している弟が居たり。全部伏線ではあるんだけど、想像の範疇を全く超えなかったのが辛かった。超えないのはまあいいとしても、描写がさらっとしているから感情移入があまり出来ない。事実をただ淡々と読まされている感じがした。

ちなみに乙女ゲーでの悪手っていうのは、この円が皆が暮らしている屋敷に女を連れ込んでおセックスにお励みになられているところを主人公が目撃してしまうこと。しかもこの理由が「性欲を持て余していたから」「思いが叶わない寂しさを埋めるため」的な、なんとも軽い理由で、まあある意味現実的ではあるんだろうが、乙女ゲーでそれを納得させるにはある程度の心理描写なりなんなりを重くして欲しかった。これが男性向けだったら自分はなんとも思わずスルー出来ていたんだろうが、これは女性向けなのでそんなヤりたかったからって所構わずお励みになられるのはどうかと。あと目の前で意中の男が別の女とセックスしているところを見て恋愛に発展するってかなりハードル高くないですかね。別の女を抱いたという事実はあってもいいと思うが、それを目の前で見たって気持ちを萎えさせるほどのかなりの衝撃なような気がする。
あとこのおセックス目撃事件の前か後かは忘れたけど、「主人公が初恋だった」と明かされる。でも初恋だったという気持ちよりセックスしたいって言う下半身の正直な気持ちに負けとるがな、と思ってしまって残念ながら自分の中で無事ヤリチン認定されてしまった。認定されてしまったキャラについては、強制的に病院に性病検査に駆り出すことが決まっている。まあセックスが我慢できなかった、そこに至るまでの円の絶望が濃密に描かれていればまた印象は違ったんだろうが、どのみちおセックスガン見出来てしまった時点でだいぶ辛い。その前にメンバーが暮らしている屋敷に連れ込んでセックスっていう思考能力の軽さがキツい。
別に性欲が勝ってようがそれはそれでキャラを形作る一つではあると思うんだが、乙女ゲーでは悪手だと思った。その悪手をいかに上手く描ききるかがシナリオの醍醐味でもあると思うんだけど、まあご覧の有様だった。
ちなみにラストで主人公は円に抱かれる描写があるのだけど、それを見た私の感想が「竿姉妹……」だったことで私の感情がどのようなものだったのかをお察しいただければ幸い。「俺の初めてはお前が良かった……」とか言われるが、今更過ぎて「そっすか……」以外の感想が出てこなかった。

金持ちで抑圧された人生だったのはなんとなく察することも出来たけど、それもなんか中途半端だったというか。割りと好きなこと出来てる時点で将来は決められてても、ある程度の筋道は建てられそうなものじゃないのかなと。まあ円が色々辛くてそれに気づかなかっただけかもしれないが。
ちなみに円が主人公に「孤児院だから悲しんで欲しいのか」っていう心無い発言をするのだが、それこそ円が自分の家は裕福だから色々辛いって言ってたのとブーメランだ。裕福だからと言って幸福だとは限らないし、一般的な生まれでないからといって不幸ではない。円の辛さと余裕の無さを表す描写だったのかもしれないけど、私の好感度を下げるだけの発言だった。

あと円の双子の女装の弟の謎は、「さっさと真実話せば解決したのでは?」で終わる。実際真実を話したらあっさり「謝らなきゃいけないね」とか言い出してすぐ改心したのはおったまげた。ぶっちゃけそこはもっと暴れまわって『そんなこたあもう知ってるんだよそれでも後戻りできないからテメえらの関係グチャグチャにしてやる!』ぐらい開き直って欲しかったし堕ちてほしかった。しかも主人公が真実を知った後も「部外者の私から話すのもどうなのかな……」みたいなことを言い出して切羽詰まるまで切り出せず、私に別の辛さが襲い掛かってきていた。しかも結局言うんかい。
ちなみに円も黙っていた理由が「環(双子弟のこと)を傷つけるから」で、そのせいで殆ど関係のない主人公まで結構巻き込まれる事になっており、自分は一生懸命『この人達は一体何がしたかったのか』を考えることになったのだった。

ちなみにこの謎とやらは、円と環は異父過妊娠という違う父親の双子で、環は別の女の子が好きで付き合う事になったけど実はそっちと血がつながっていて、なんやかんやでその子が円とできてるんじゃないかと誤解して、誤解が解かれぬままその子が亡くなり、円に復讐の意味も兼ねてその子の名前である『華純』と名乗り女装しているのでした。ちなみにこのどうリアクション取ったら正解なのかわからない過去を聞かされ、「この部屋からでたら聞いたことは忘れろ」とか相当うまい具合に後頭部をぶつけなければならない無理難題を強いられるのはかなり笑った。笑うところじゃないが。
自分は円よりも、円が真実を話さなかったことで兄や自分の好きだった子さえ何年も恨み続けなければならなくなった環の方が可哀想だと思った。円がさっさと真実を話していれば環は誰かを恨むという負の感情に何年も陥ることも無かっただろうし、一歩踏み出せて居たのかもしれない。
いや、環も環で主人公の人生狂わせるレベルのこと仕掛けてくるんだけど、その熱意は評価したい。激情という感情は見ているこちらの心を揺さぶられる。ちなみに環に襲われるEDがあったのもいい感じにグダグダ感があって良かったし、円と結ばれても環が自殺して幸せをぶち壊してくる執念が私にはなぜだか心地がよかった。趣味が悪いと自分でも思うが、性欲や暴力に逃げた円よりも、ある意味一途に自分の感情に素直だった環の感情のほうが私には美しく思える。


さーて、ここまでで一体私は何回セックスって言ったんだ……。
クロックタワーばりのハサミで円の股間を狙う私をもう一人の私が必死に宥めている。自分でも何を言っているかよくわからない。
でもよく攻略キャラが別の女とセックス中のところを主人公に目撃させたなあと思った。どう考えてもマイナスイメージしか沸かないところを敢えて挑戦した心意気は評価したい。それが上手く描かれていたかどうかは別だけども。でも私は別の女の喘ぎ声よりも主人公の喘ぎ声の方が聞きたかったんだよなーーー。
もちろんヤリチンキャラは嫌いではないし、最終的に主人公が居なければ生きていけなくなる身体になる人が多いのでそれを楽しみにしていたのだけど、やはり乙女向けにある程度許したいと思える描写の強弱はあるのだなと感じた。

あと主人公の演技の変化がわかりづらい。ここは『演者』という設定なのだから、声優をつけるべきだったと思うなあ。気持ちの変化はわからなくもなかったのだけど、私が円を上記のような感じで捉えてしまったので感情移入がだいぶ難しかった。
悪い子ではないのだけど、意志がわかりづらい。そこが短所だと本編でもいろいろな人に指摘されていたので、この描写はある意味とても正しいのだろう。ただ味のしないものが一番飲み込めない私にとって、相性が悪い子だった。せめて他のルートでもうちょっと突飛な行動でもしてくれれば嬉しい。

Honey BeeBLACKの『BLACK』が黒い作品っていう意味だと終わってから気づいたけど、もっとどす黒くても良い。ブラックホール並に光さえも何もかもすり潰して無かったことにするぐらい黒くしてほしかったし、あとセックスまで入れるんだったらR18にしてくれと願わざるを得なかった。
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