全力で頭を抱える日記

おもに乙女ゲームの感想を中心に。ネタバレご注意。

12 2018

鎖-クサリ- 感想

岸田さんの岸田さんによる岸田さんのためのSurprise party!

鎖 ~クサリ~
鎖 ~クサリ~
posted with amazlet at 18.08.11
リーフ (2005-09-22)


プレイ前から岸田ゲーとか岸田さんがメインヒロインとかは聞いてたけど、本当に岸田ゲーだった!ここまで岸田ゲーとは思わなかった!でもこれ本当に岸田さんが主役の話でもあったし個別感想でも絶対岸田さんの話が1番長くなる自信がある……最低最悪最強の悪役だったけど、鎖というキャラクターの中で1番魅力的でした。ほんと笑い転がされてしまった。

楽しかったは楽しかったのだけど、岸田さんという凶悪犯が行う数々の非道の最中にギャグを挟んできたり、二人同時にピンチな状況になって一人を助けに行ってももう一人をすぐに助けに行かなかったり粗は結構目立つ。何より主人公側のヒロインが何の役にも立たないどころか足を引っ張ってきたり感情的にキーキー主人公を根拠のない事で避難浴びせてきたり、勝手に一人で行動して結局捕まって襲われたりしていて、これはメインヒロインを引き立てるための演出だとわかっていても耐えるのが辛かった。散々色々行動した後で、敵である岸田さんが船の機能を使って主人公を嵌めて「そんな機能もあったのか!」的な展開に一度じゃなく何回かなるのも疲労感が増した。
特にヒロインたちの行動は疑問が残る。お前ら本当に友人かと思うぐらい主人公を根拠なく疑ってくるし(敵の策略があったにしても)、人が襲われたのに呑気に風呂入ったりしてるし、危機感薄すぎるのがこの惨状だよなと思った。ここまでじゃなきゃこんなにひどいことにはなったりすまい、例え岸田さんが化物並みの身体能力で切れ者だったとしても。
そんでもって岸田さんが結構激しいプレイしてるのに時間が経ったらケロッとしてるのも違和感。非処女の志乃さんのほうが、よっぽど反応がそれっぽくってそこもなんだか不満だった。恵なんてつい数時間前まで処女だったはずなのにいろんなプレイされても次のシーンには普通に歩いてて強靭なお股だなって思った。さすが岸田さんが一番始めに選んだ女だ。……物語上しょうがないにしてもなんだかなあ。

でも全ては隠れメインヒロインである恵を際立たせるための演出の一つに過ぎなかったんだなと思えば納得できた。主人公側を多少アホにしてでも恵という存在はこの物語上目立たせなきゃ行けなかったんだろうとは察せられたけど、それにしてもアレで中盤はちょっとダレてしまった。岸田さんが閉じ込められて話に緊迫感がなくなったのも理由の一つではあるんだけど。

アイテムを入手しても、別に自分で使えるタイミングを選べるわけじゃなくて、ただのフラグ管理ぐらいにしかならなかったのは疑問だった。このフラグを立てて(アイテムを入手)置かないと展開が突破出来ないよっていうプレイヤーへの補助演出だったんだろうけど。入手ってコメントが出てくるのも、わざわざ手持ちアイテムを見られるように出来てるのも誤解される余韻の一つだったかと。

そんな不満を補うぐらい話は面白かった……岸田さんが面白かったという意味でも在るけど。恵の存在も面白くはあったけど、ここまでお膳立てされてしまうと引いてしまうタイプなので、この演出は私にとっては逆効果に終わってしまった。

そんな感じで以下よりキャラ感想。ああ、本当にもう岸田さんはすごかった。すべての意味ですごかった。


●折原明乃
プレイヤーのヘイトを溜めまくる人。最初は足しか引っ張らないし、自分もイライラ来ては居たんだけど、ラスト付近はお荷物にもならない空気だったのでそれほどイライラせずに終わったのは自分でも意外だった。
というのも、明乃は恵と逆演出なんですよね。きっとわざとこういうキャラにさせているのだろうし、そういう制作陣の意図が見えてしまったのが、明乃にヘイトがたまらずに終わった要因なんだろうなと。おバカだけど明乃は重要な選択を迫られないし、それを自らするわけじゃないし、逆になんの選択もしない事で恵の明乃へのヘイトは溜まるんだけど、でもそれは恵自身の問題でもあるような気がする。何も汚れていない何の重圧もない何の責任もない綺麗なままの明乃に対しての嫉妬。でもそれって明乃自身が犯した罪でもないし、神経逆撫でするお馬鹿な発言はどうかと思ったけど、それを明乃にばかり当たられるのもどうかなと思った。まあこの逆演出のおかげでそう思ったのもあるんだろうけど。
恵の事情を知った上で「半分でいいからあたしも恭ちゃん欲しい」っていうのは笑ったし、明乃EDラストで「あたしのってことでいいよね…?」っていうのはここでこんな事言えるなんてコイツツエエ~!って思った。恵の事情や感情を知った上でこう言えるのは、明乃は同情する気持ちがあっても自分の気持ちを優先させるほうが強かったんだろうなあ。性格は良くはないと思うが、自分の気持ちを優先させるのは恵も岸田さんも明乃も同じだと思う。そこに世間体とかまあ色々なものが加味して強弱は変わってくるとは思うけど。
それに対しての恵の返答が「好きにするといいわ」だったのが相当ムカムカ来てるんだろうなーと察せられるのが良かった。そりゃイライラしますよ。
どちらにせよ主人公が決めて判断することだし、このEDの後主人公がどちらを選んだかまで見たかった。これで明乃を選んだ時、恵は一体どういう行動に出たんだろうなあ。どちらも選ばず全然事件と関係ない女の子と結ばれた時の2人の反応が知りたい。本編で一度も結ばれる描写がないのもそうだけど、主人公は明乃は選ばないような気がする。

月の扉ルートでは真逆に徹底的に犯されるんだけど、その時の岸田さんの台詞が面白い。

「力まかせに摘み取られる花に罪はない。お前は安心してよがり狂えばいい。されるがまま、どんなに嬌声をあげてもお前の責任ではないのだから!」

これは主人公を信じなかったことへの明乃に対しての皮肉なんだけど、でもこれはまごうことなき真実なのでは。岸田さん的には自分の選択ミスを呪え、これはお前がした選択の責任だっていう意味なんだけど、そういう意味で使うのは岸田さんの自己肯定にしかならない気がする。俺はこんな事するけどそれはお前の選択ミスの結果だからな!っていう自己肯定。明乃自身はこのままの意味で捉えても正解では在るような気がするなあ、だって岸田さんが明乃に陵辱していい理由なんて無いので。まあ、相手の気力を削ぐ言葉責めの意味でもあったんだろうけど。
あ、今気づいたけど作中で唯一岸田さんにスチルありでキスされた女の子?これは羨まし……くない!!!

おバカなのが良い意味で物語に左右すれば良かったんだろうけど、制作陣という神の意志が加わりまくったある意味不遇の子。鎖という土俵でなきゃ彼女の魅力は発揮されたんだろう。


●綾之部可憐
私のヘイトを溜めまくったのはこの人。友人のくせに主人公を疑うし(まあ妹以外は皆そうなんだけど)、根拠もなく感情でワーワー言うし、助けてもらったくせして感謝もしないし、志乃さんが全裸で精液ぶっかけの吊し上げされた後に風呂入ろうとするし、襲われてる最中に文句言うしで、こっちのほうが明乃より選択ミス犯してるのでは?と思っていた。明乃の何もしない行動が-1倍としたら可憐は-5倍ぐらいやってる気がする。物語上重要なキーマンになるわけでも、明乃のように逆演出で役立つわけでもないのでそういう意味でもある意味空気だった。
ルートのラスト付近で自分の状況と心情を語り始めるんだけど、唐突だし感情移入も深くは出来なかった。でもその本音を聞くのが面白くはあったんだけど。明乃が犯されているのを見て思っていたことが「価値が目減りしてる」ってのはこええーって思った。そう思った自分を自虐しては居たんだけど。そこまで家に縛られて歪められていたっていう表現でもあるんだろうけど、別に深く描写されたわけでもないから感情移入する前に、ヒいてしまった。あとお嬢様なのに頭の回転が悪くて感情で動くので、抑圧されてる割には自由だなあと感じてしまって……それだけ主人公に心を開いてたのかもしれないけど、心を開いていたのなら余計最初の時点で主人公を信じるべきだったし、あとからいい雰囲気になっても「でも最初信じてくれなかったじゃん」って最後まで引きずった。スタート時点で友人でもなんでもないのならわかるんですけどね。
ラストはあっさり終わってしまってちょっと納得が行かなかった。船の問題は解決したけど、別に綾之部家の問題が解決したわけじゃないからなんともなあ。

そうだ、最初のエロシーンは可哀想でもあったけどそれ以上に岸田さんの面白発言が楽しすぎて笑ってしまったのは本当にすまないと思っている……。


●綾之部珠美
工作係。主人公もそうだけど、やたらと詳しい理系技術を持っていて、物語上で都合の良いように使われている違和感しか感じなかった。夜の扉ルートでは可憐が犯されてるところ見て感情的になるしかなくなっているところも含めて、悪い意味での演出になってしまった。それだけ可憐が珠美にとってのトリガーだったと言われても理解はできるんだけど、それ以上に珠美は感情よりも『確実に仕留める』方法を選びそうだなって気がしなくもないのが最後まで引っかかった。
でも彼女との結ばれるシーンが無かったのは、この短い話の上では余計な描写を省くという意味では私にとっては良く映ったし、なんだかんだ女性陣で一人だけ選べと言われたら珠美を選ぶ。明乃では悪い意味で働いていた無邪気さが、珠美では効果的に演出されていたからだ。だから余計に明乃は可哀想だなと思ってしまう。まあアレは明乃とは違って珠美は演じてたってのも在るんだろうけど、明乃も明乃で『演じてた』部分があったんじゃないかなと。珠美に関してはつよがり的な意味が強いけど、明乃に関しては庇護欲をそそる意味だったのがこの緊迫した状態では癪に障る要素になってしまったような。
珠美の映画好きという設定も効果的に使われていたし、岸田さんやっつけたら映画をたくさん見に行こうっていう会話もじんわり胸に響いた。これで主人公が「ハッピーエンドで終わるやつ」って最後に返すのが、また粋で良い。健気で良い子で挫けず強い心を持っている、ヒロイン側のヒーローだった。

対岸田さんでは最後まで珠美がかっこよかったのも良かったし、汚い言葉で岸田さんを罵るのも溜飲が下がった。もっと言っても全然許されるぞ!!
これでサル顔って言われてイケてるお面の岸田さんがカチンと来てるのは笑った。顔に自信あったんだー……そうかー……。


●香月ちはや
主人公が唯一恋愛感情抱いた描写があったのはこの子のみ?それにしても描写は少ないし、実は兄妹で同じ恋愛感情抱いてましたって言われても、こちらはすぐに感情移入できるわけでもない。そうなのふーんぐらいの気持ちしか抱けず、ラストで開き直って「私達が兄妹だって知ってる人殺しちゃえばいいじゃん!」っていうのは浅慮。それもこれもまあこの極限状態に感化されたっていうのは納得はできるんだけど。
ちはやルートで面白かったのはそういう兄妹の云々かんぬんじゃなくて、この追い詰められた状態をやったラッキー!って思ってた人がいた事。友則もそうではあるんだけど、あれは心から思ってるわけじゃないのでまた別。近親相姦はある意味でその理由付けにしか利用されて無かった。岸田さんに感化されて、共鳴して、岸田さんとはまた違った自己肯定する存在が出来上がったのが面白かった。ちはやもまた世界から否定されるような感情を抱いていて、だからこそちはやは岸田さんの感情を理解出来た。岸田さんスナッフビデオをばら撒く理由を『生存証明』だと言い当てたのは感心した。なるほど。

でもちはやの岸田さんに関する発言で引っかかったものがある。

「彼はまだ幸せ。強制されたという言い訳ができる」

そりゃ岸田さんに失礼ですわ!岸田さんもそういう状況に強制的になったというのはあったんだろうが、なんだかんだ選んだのだと思う、自分で。生まれたときから罪だったって言ってるが、でもそこで感情育てて選択していったのは自分の感情と選択の結果だろうに。ちはやがこういう解釈してる時点で自分達のほうがより哀れで可哀想な存在って酔ってるのがちょっとカチンと来てしまった。そういう感情に至るのも理解できなくはないし、それだけ辛かったのだと察することもできるんだけども。

「天国って地獄の底にあるんだね」って発言は、地獄=他人に認められない世界ってことなんだろうが、でも自分たちがいいならそれでいいって解釈をしたのに、結局他人に認められたかったの?と思えて、ここが主人公に偏狂な人が好きになる傾向がある自分が引っかからなかった理由かなと。他人が認めようが認めなかろうがどうだっていいといいながら、『兄妹という存在を消す』というのはそれは他人の目を意識している事にほかならないのでは。本名でご活動なさってる岸田さんのほうがよっぽど世界に喧嘩売ってますよ!
あと開き直って主人公が岸田さんを殺す時の「お前は孤独に負けた」っていう発言は、孤独に立ってない立場な人が言うのは違いませんか。少なくとも主人公はちはやっていう共有する感情を持った人がいたのだし。つーかそう言うなら誰も理解してくれないと嘆くあんたらも孤独に負けとるがな。
突き抜けるぐらいなら、誰が認めなくてもお兄ちゃんが私を好きになってくれたこの世界はハッピーだー!ぐらいの力強さぐらいは持っていただきたい。

そんな感じで、ちはやルートはあまり感情が乗らなかったんだけど、岸田さんに見つかっても兄妹でセックスするのをやめずに、岸田さんがその様子を大笑いしながら主人公に手錠かけてくシーンは私も大笑いしました。つられ笑いしますわあんなん。

そういや雫ではリメイクの際に近親相姦描写は書き換えられて残念に思った記憶があるんだけど、こちらはそのままなのでなんかソフ倫とかよくわからん関係のアレがソレなのかなとちょっと気になった。


●折原志乃
第一印象はいかにも陵辱されそうなスケベボディだなあ、首輪してるし、と思ったらものの見事にそのとおりになってしまった。非処女なのに犯されたあとの使い物にならないっぷりが恵との対比で際立ってしまった。反応逆じゃないですかね普通。それにしても本当に可哀想だった、ほんと一体何したんだあの人……。
チョーカーに実弾入れてるって伏線の一つだったのは感心したけど、そんな急所につけておくなんて危ないなあ。拳銃も隠し持ってたってことは岸田さんの存在は岸田さんを助ける前からなんだかんだ察知していた?いずれにしてもあの状況で岸田さんを助けないわけには行かないし、ミスがあるとしたら岸田さんが乗ってたあのボートを調べなかった事か。
振り返ると志乃さんが襲われてシャンデリアに釣られてる時に、岸田さんが「デザートの時間でしょう」って言ってて、岸田さん的にはやはり女を犯すのはデザートでしかなくて、メインディッシュは主人公の事だったんだろう。


●早間友則
ここまで手の平くるくるするコウモリさんにはなかなか出会えない。もうわかりやすく状況によって手の平返すからいっその事清々しかった。信用ならないやつっていう絶対的な安心感はあった。あとコイツは友達でも何でもない、知り合いでもない、他人というカテゴリに入れるのさえ苦痛なので空気未満にでもしておきましょう。
事件が起きる前から、主人公ばかりが女の子から信頼されていることに嫉妬していたらしいけど、その独白は印象に残った。そういう扱いだったことに不満を覚えていて、気づいていたんだと。でも絶対普段から女性陣に失礼なこと言いまくって来たんだろうと察せられるし、そりゃ主人公の方に矢印が行くのは当然。
ただしイケメンに限るこの世界で顔は良いのにここまで嫌われてるって相当中身がアレだったんでしょうなあ。主人公、どうしてコイツと友人になったの?


●片桐恵
隠されていたけれど、メインヒロイン。頭は切れるし、頭脳で助けてくれる所はあるんだけど、積極的に助けてくれるわけじゃないし、まあそれにも大きな理由があるんだけど、私は彼女を最後まで支えてあげたいと思えなかった……。
岸田さんに脅されたのはあったとはいえ、殺人を犯してしまった彼女は、自分の罪をよく理解している。理解しているから苦しむ。追い詰められた恵が岸田さんのまくし立てるような言葉で、その言葉を受け入れてしまったのがスタートだったような気がしなくもない。これは岸田さんにも言えることだけど、自分は孤独で、誰にも理解されなくて、信用されないんだと決めつけて行動に出てしまったことが本当の悲劇の始まりだったような気がする。そうやって恐れてしまうのも、状況的に理解できなくも無いんだけど。
だから同じ立場の『存在』が生まれた時点での岸田さんの喜びっぷりが……でもこれは強制的に仲間を作っただけであって、心からの信頼では無く、まさしく状況によって自分と恵をつなぐ鎖にしかならなかった。そしてそれが出来上がるのは、自分の罪を罪と認める事ができる恵または主人公のどちらかしか居ないと知っていたことも、岸田さんの観察眼と洞察力ってすごい。ほんの少ししかやり取りしてないのに。他のキャラだったら、良い意味で自分の思考を楽な方へ逃がす気がする。でも恵は、そして主人公も、岸田さんを自分の手で殺すことを悪だと認める強さが在る。便宜上、強さ、という表現を使うけどそれは本当に強さなんだろうか?と思う自分もいるのが否定できない。

支えてあげたいと思えなかった理由はやはり、岸田さんに感化されすぎたところかな。というかやはり、岸田さんから与えられた恐怖のほうが主人公への信頼より勝ってしまっていた描写が続いたのが。自ら岸田さんのところへ言って結局主人公に助けを求めるシーンも、恵以外で何度もとんちんかんな行動していてそれを見させられた上で恵も岸田さんに従うので、不憫だとか思う前に「お前も(主人公の足を引っ張るの)か」と思ってしまった。恵ともう少し心を通わせるようなシーンがあればまた違ったんだろうけど。

正直言うと恵EDはいくらか不発に終わったのも理由の一つだ。
主人公が岸田さんを殺す1度目のEDでは恵が死んで主人公が狂ってED。いやー今更ここで狂われても唐突すぎてとても不満だった。カタギリメグミイマセンカは寒かった。悪い意味での鳥肌がたった。狂って仲間を殺すEDに余韻もヘッタクレもないし、せっかく恵が体張ったのに無駄に終わったのがつまらなかった。
恵だけ船に残って岸田さんと心中EDと見せかけて最後のホラー演出も肩透かしを食らって、この時点でちゃんとラストまで描ききらんかいと逆に腹が立ち始めていた。ちなみにこのラスト間際の岸田さんと恵の会話で萌えただけに余計に苛立ってしまう。やっぱ会いに行くってなんじゃそりゃ。
良いと思ったEDもあったんだけど、それ以上にこの2つのEDが悪い意味で目立ってしまって他のEDをあまり覚えていない。上記でも語ったけど、主人公との関係よりも岸田さんとのラストのほうが萌えてしまって……鋼鉄のちんこに鋼鉄のおまた、意外と相性が良いかもしれませんよ。

これも振り返ってみれば初期に岸田さんがデザートを用意する直前で、すべてを告白しようとしてるフシがあるのがなあ。あそこで何が何でも一歩を踏み出してしまえばよかったのだけど、足踏みする理由もよく分かる。彼女はまさしく、悲劇のヒロインだった。


●岸田洋一
はじめのエロシーン観た時は、面白いキャラだなあ…って思ったけど、この物語開始時点での岸田洋一が出来上がるまでの過程まで描いてくれるとは思わなくて、おかげで岸田さんを『こういう趣味の人』ってだけだと勘違いしそうになったんだけど、それだけじゃなかった。ただの面白キャラに終わらなかった所が本当にもう素晴らしかった。この作品で1番魅力的なキャラだった。
中でも岸田さんのちんこに関する発言は本当に笑い転げましたそれはもう。もう。

自分が物語みたいな恋をするとでも思っていたか?白馬の王子様が迎えに来ると?
ははっ!! 王子様にだってペニスくらいあるけどな!!

なきゃ困りますよ!!!
こんな表現をするから意外と岸田さんロマンチストなのでは……。この発言の意図は可憐を追い詰める要素にしようと思っていたんだろうが、可憐は相手が決まっていると割り切っている部分があるから、この発言はある意味空振りかなと。

「男同士の勝負に割り込みやがって!! ちんぽはやして出直してこい!!」

緊迫したバトルシーンでこんなこと言ってくるのでもうしばらーく笑ってた。気分がなかなか戻らなくてもう困ったし、勝敗とかどーでも良くなってきてしまったのは演出としては良くはないんだけど、それ以上に岸田さんが魅力的すぎてもう何もかも許しました。他にも主人公に「しゃぶるか、少年」と持ちかけたりして、ああ、もう無茶苦茶だ……でもそんな岸田さんが私には魅力的に映ってしまう。
ちなみにこのちんこの発言をされる度に、私の脳内が対抗したのか蝶毒の瑞人お兄様の名言「そんなだらしない性器ぶらさげて何様のつもりなの?」が何故か頭に湧いてきて困った。戦わせたい。肉弾戦なら瑞人お兄様が速攻でやられるだろうけど。(今が気づいたけど、タイトルに同じ鎖がついている……!)

いやあそれにしても、陵辱シーンでこちらを笑わせに来るのは本当に困った。緊迫感がなくなるから。もう本当に残虐非道の数々なのに、岸田さんが面白い言い回したくさんするから楽しくなってしまったのは本当に困った。何かまた一つ大切なものを失ってしまった気がする。

陵辱ゲーとしては物足りないって言われているし、自分もそういう意味では岸田さんの面白発言を除いたとしても行為自体も極めたものではないとは感じたけど、そもそも岸田さん自体が屈服させる事が趣味ではないしそういう意図で陵辱していたわけじゃないからだと気づいた。出し入れするだけなら豚のケツでも変わりはないと言っていたし。だから岸田さんにとって陵辱は手段でしかない、主人公という存在を色んな意味で追い詰めるための。岸田さんがそもそも陵辱が趣味だったのなら邪魔になるであろう主人公を一番始めに殺していただろうし。
だから殺さない程度にヒロインたちを陵辱する。動けないまでには追い詰めないし甚振らない。心は折るけど、それはヒロインという道具を使って心理的に主人公を追い詰める。その絶妙さ加減が素晴らしかった。

岸田さんは、主人公という罪もなく追い詰められる立場を作り上げて、それを壊すことで、自分の立場を確立させたかったのかなあとぼんやり思った。
主人公は、岸田さんが人を殺す前の立場に似ている。岸田さん自身が悪いわけではなく、状況によって世界によって潰されそうになる。主人公も岸田さんという状況によって陥れられそうになる。今の岸田さんが恵だとするなら、昔の(人を殺す前の)岸田さんは主人公だ。何の罪もなく、そして悪に立ち向かう主人公を殺す事で、今の自分を肯定しても良いのだと自分を慰めることが出来る。あの時の自分自身を殺すことで、今の自分を肯定出来る。あの選択は間違って居ないのだと。
主人公が岸田さんを殺しても、岸田さんと同じ立場になる。彼を生かしてひっ捕らえて陸に連れてくルートが無いのが、良い意味でのどうしようもなさとしての余韻が残る。それは恵という存在を救うためもあったんだろうけど、そういう意味では主人公は岸田さんには勝てなかったのだろう。

でもこういう事をするのって結局岸田さんも心の何処かで「やりたくてやったわけではない」と思っていたからではないか。だから、同じ存在の恵が生まれたことを心から喜んだ。己の正義と、苦痛からの開放を心の天秤にかけて、苦しんでいる。心からどうでも良いと思ったのなら、恵という存在は生まなかったんじゃないかと思えてならない。
「生存証明」ってのは他者に認められてこそだと思うので、岸田さんも自分を認めてほしかったんだろう。でも周りがどうとか言うのは建前で、結局自分自身との戦いだったように感じる。そして岸田という存在は擦り切れて行ったのかなあ……事故が起こる前、彼がどういう人間だったのか気になる。ま、知ったところで岸田さんに対する評価が変わるわけじゃないんですが……結局岸田さんは進んで戻らないことだけを選んだから。戻るつもりももう無いんだろうなあ。

いやーー……それにしても頭の回転は早いし体格は傭兵並みだしちんこは噛み切れないほど恐ろしいほどに男根だしたった数時間で10発くらい発射できる絶倫だし最強キャラです。チートなところが絶望感を感じさせて、たった一人に追いかけられるだけなのに絶望感半端なかった。チートだけど良い演出になっていた。
あと言い換えれば本当に主人公のことが大好きなキャラだった、ヒロインのこと差し置いて主人公のことを1番考えて1番理解していたのは岸田さんだったんじゃないでしょうか。相当気に入ってらっしゃいましたよね岸田さん。私としても主人公にはしゃぶっていただいても構わなかったんですけどね。

ここまで言ったけど私は岸田さんのことを好きだとは言えないなあ……悪行が過ぎる。岸田さんが辛いことと、岸田さんが他者を陥れることは心理的なトリガーはあったにしても、何の繋がりも何の関係もないし、陥れていい理由にもならない。もちろん岸田さんはそれをわかっててそうしたんでしょうけど、自分を守るために。その心情も理解できなくはないんだけども。
あと、好きなのと面白いのは違うし、好きなのと魅力的なのは違うし、好きなのと気に入ってるのは違うので。


●香月恭介(主人公)
岸田さんも超人だけど、恭介も超人ですよ。知識も技術も精神力も半端ない。岸田さんが本性現す前になんとなく察知していたし……それは恵にも言えるけど。
味方に足引っ張られまくってるので、一対一のほうがむしろ有利な戦い方が出来たのでは。恵に「他人に冷たいけど、心を許した相手には誰よりも頼りになる」ってちはやが言ってたと伝えられるけど、これは足を引っ張る方々へ心を許してるから足を引っ張られても助けに行くことへの伏線?って思ったけど、プレイヤーにはイライラの要素にしかならなかった。自分を信じてくれないような存在もちゃんと助けに行くし、岸田さんには目つけられるし、恭介はよく頑張ったと思う。ギャグは寒かったけど。

恭介は主人公では在るけど、主役って感じがしないなあ。受動的に行動させられるのもその要因の一つだけど、恭介自身のエピソードがあまり語られなかったのも要因の一つだと思う。恭介がここまで強くいられたのは家庭環境があったんだと察せられるけど、それでも深く描写されたわけではないから、ただの強い子で終わってしまった。

恭介で一番萌えたのは可憐ルートで冷蔵庫に閉じ込められて、運動しよう運動!つってセックスに誘う時の、

「だから運動……ってダメ?」

の言い方がも~~~~~本当に可愛かった!この『ダメ?』の部分がエグいほど可愛かった!ログで10回ぐらい聞き直した、何度聞いても可愛かった。さすが数々の乙女を陥れてきたボイスだ~と拍手を送った。



いやーほんととんだサプライズパーティーでした。
この可愛らしいキャラクターの絵も良かったし、背景も素晴らしかったし、システムも特筆して使いにくいところも無かったし(あえて言うなら回想がエロシーンしかないところか)、シナリオには穴もあるんだけどそれ以上に魅力的な部分が多かった。何度も言ったけど岸田さんとの出会いは衝撃的だった。本当に彼はよい悪役だったなあ。