全力で頭を抱える日記

おもに乙女ゲームの感想を中心に。ネタバレご注意。

11 2019

光森壱哉ルート 感想

彼のようなキャラを攻略対象に据えて、この物語を構築して終わりまで導いたことに心から感服した。


ここまで全員のルートがそうであったように、壱哉も生い立ちから現在に至るまで、今の壱哉を構成している要素を追いつつ、そして今立ちはだかる問題に対し、悩み、考え、立ち向かい、そしてぶち壊していくルートでした。正直に言うと、強烈に萌えたとは言い切れないのだけど、恋愛ゲーに対するアンチテーゼ的な要素を組み込み、二人の恋愛を成就まで導いたことに感心しっぱなしだった。

共通ルートでの壱哉のエピソードでも分かる通り、主人公に対してのアプローチの方法が一辺倒。相手のことを考えず、「女の子はこれが好きなんだろう」と壱哉が思い込んでいる食べ物を主人公に出してキレられる話だった。まあなんやかんやでそれは解決するのだが、ルートを進めるうちに壱哉が主人公に対してそういう扱いをするのは当然のことだったと明かされていく。

ひとまずデートをすることになって、これまたいい雰囲気になり夜景をバックに主人公が壱哉の『結婚詐欺』について問い詰めるのだけど、これが壱哉が「過去に嫉妬している」と勘違いする要因になって、思わず主人公にキスしてしまう。一方、嫉妬とかではなく本当の意味で過去を問い詰めただけの主人公はいきなりファーストキスを奪われ、そのまま壱哉をぶん殴り帰宅する。この展開は正直愉快も愉快でワハハ笑いながら見ていたのだが、その笑いも急速冷凍するような展開がやってくる。笑顔のまま凍る。
いつまで経っても謝りに来ない壱哉に業を煮やした主人公が壱哉の部屋へ赴くと、謝るどころか自分のほうが傷ついているという顔をして『とどめを刺してくれ』的なことをいう壱哉に、二度目の大噴火と拳をお見舞いする。私もここまでは、『本当に自分のことしか考えてないな~理由あるんだろうけど最低だな~』ぐらいにしか考えていなかった。つーか主人公がグーパンで殴ったことにプロレスを見てる気分になっていた。
すると飯担当にもかかわらずご飯を作らないどころか、部屋からすら出なくなった壱哉に流石に不安を覚えた婚約者候補たちが壱哉の部屋に入って説得を試みようとするのだが……この辺りの各々の反応は必見で笑った。しかし笑えるのもここまでである。

主人公が意を決して中に入ると、そこにはシーツに包まって大粒の涙をこぼしている光森壱哉さん(26歳)が居た。


……主人公(17歳)は引いていた。
約10歳も違う成人男性を泣かしてしまったことも驚きだろうが、それよりも良いお年の成人男性が部屋で一人しくしく泣いているというのは凄まじい状況だ。薄葉カゲロー氏の美麗なスチルで無ければ引くどころか恋愛対象からも転がり落ちていただろう。顔面の作り的な意味での生みの親に感謝するんだぞ壱哉。
もちろん私も引いたが……引くというよりは驚きのほうが勝った。つーかなんでお前の方が悲しんどんねんとは思ったが……何らかの事情がお有りなんだろうな、というのはこれまでの壱哉の反応で察することは出来た。ここで追い詰められた壱哉が、ポロポロと誰からも愛されなかった過去があることを匂わせる発言をするのである。あれ……なんかヒバリ嬢の壁を壊すはずが、殴るのと当時に壱哉の壁を壊してませんか。あとヒバリ嬢も壱哉の泣き顔を見てなんか目覚めかけてたので壁を壊すっていうか新しい違う扉開いてました。

その後ある程度落ち着いた壱哉に過去を問うのだけど、勇気がでるまでもう少しまってほしい的なことを言われ主人公も壱哉の心情を鑑みて待つことに決めるのだが……。そこで、これまで共通ルートで出会っていた、困っていたところを助けてくれた相談に乗ってくれる優しいお兄さんであるカズさんが現れて、実は壱哉の双子の兄だったと名乗り、壱哉の事情を話してしまうのである。

一方、三度の飯より双子ネタが大好きな自分は仁王立ちで両手を上げてガッツポーズした。ありがとうバリバリ、ありがとうオトメイト。
立ち絵が似ていたので薄々そうではないかと感づくようには出来ていたが、いざ本当に双子ですと言われると双子大好き人間としてはそれだけでもうテンションが上った。個人的に双子設定で好きなところは、人間必ず優劣が存在して、誰よりも近い存在であるにもかかわらずそこには差異が必ず発生していて、お互いにそれが苦しむところである。まさしくこれが来てくれて壱哉の苦しみとは対称的に私はずっと双子萌えをおかずにご飯をばかすか食っていた。

両親、そして双子の兄である千哉は合理的な考え方で、家庭で壱哉だけが結果よりも過程を大事にする思考が育っていった。つーかそもそも両親は何を思って千と壱って名付けたんだひどくないっすか。
考え方も違い出来が良い兄だけが愛される中で、誰からも愛されないことを悲しんだ壱哉は、女性に対して優しくすれば、同じ分だけ優しくしてくれたり愛してくれたりすると学習する。要するに、誰にも愛してもらえないから、愛してもらう代わりに相手に合わせた理想の男性を作り上げていたと。だから共通ルートでも、相手のことを考えずにテンプレートのように『女性が喜ぶこと』をひたすら実行していた。主人公が問いただした時も、嫉妬と勘違いしてキスでもブチかましておけば納得してくれるだろうと思ったのだろう。
浅はかだ、と思うと同時に、ここまでくるまでそれが本当に愛情であると思っていた壱哉に同情せざるを得なかった。ただ愛情が欲しくてやってここまで来たのかと……どんだけ孤独だったんだ。自分とよく似た存在は自分以上に認められて、愛されているのに、自分は誰からも愛されず、誰かから愛されたいという一心で、ずっと愛を囁いていた。思った以上に根が深くて、そういうのを美味しいおかずにしながらご飯を食べるのが大好きな自分は嬉しさを感じながらも一方で頭を抱えた。
これらの経緯を主人公にも語るのだけど、そこで壱哉一番のやらかしとも言える『結婚詐欺』について語るのである。一人暮らしをして家から少し離れて気持ちが落ち着いたと思ったら、結婚を考えていた女性にフラレていたタイミングで、千哉からとある令嬢から無理に押しかけられてるんだけどどうしたらいいと思う?と相談を持ちかけられるのである。そこで壱哉は「俺なら令嬢を上手く心変わりさせられる」と言って千哉に成り代わるのだが、逆に狡猾な令嬢に罠に嵌められて、薬を盛られて既成事実を作らされそうになったところを、見張っていた千哉に助けられたと。

…………こりゃあ簡単に話せないわ。言うの渋るのよく分かるわ。17歳の女の子にこの身の上話はキツすぎるわ。つーか17歳をとっくのとうに超えた自分でも結構キツいっす。
止めと言わんばかりにご令嬢から「劣化版」と言われて罵られるのである。状況に耐えかねた壱哉は親戚の光森家に養子入りする。これを主人公は、自分を肯定出来ない自分の過去に重ね、「愚か」の一言で断じることは出来ないと考える。一方で千哉側も壱哉に愛情は持っているもののそれが上手く伝わっていない面もあり、事態は色んな意味で滅茶苦茶に拗れていた。

そもそもこの壱哉の兄である千哉がこの婚約者騒動の発端で、合理的な千哉は、自分の会社を大きくし地位を固めるために目をつけたのがこの東条の跡取りである主人公だった。いやーイケメンスパダリ双子に挟まれてむちゃくちゃオイシイっすねえヒバリさん。
千哉は合理的で説得力ある言葉で主人公の婚約者に名乗りを上げる。何をしても勝てなかった、何をしても負けてしまっていた壱哉は後ろ向きになりながらも、初めて本気で欲した存在である主人公を手に入れるために立ち向かう。
この千哉も千哉で、『だったら俺と結婚して壱哉を愛人にすれば良いんじゃない?』とか言い出して正直もう笑い転げた。素晴らしい倫理観をかっ飛ばした発想だ。ここで壱哉が本当に怒って千哉に喧嘩を売るシーンで、ようやく壱哉のことを格好いいと思い始めることができるようになっているのも、巧いシナリオだなあと思った。
ちなみに壱哉が婚約者に選ばれた理由は、「愛し愛されることの意味を誰より知っているように思えたから」らしい。千哉が求めていた存在に自分が愛されることで千哉に勝てるという打算が頭に浮かぶも、自分も愛されたいと婚約者に立候補したとのこと。ここらへんの経緯とそれぞれの思いが交錯している描写は色々立場や思いを考えさせられてとても良かった。

とんでもないことをされてとんでもないところをみてとんでもないことに巻き込まれている主人公だったものの、壱哉の生い立ちを自分に重ね、壱哉の弱さに引きつつもそんな弱さも可愛いと受け入れて、確実に壱哉に好意を抱いている。……はずなのに、それでも壱哉を選ぶと断言できない主人公。それが何であるのか理解できず、状況を一旦ノートにメモって考えたり、事もあろうか壱哉の最大のライバルである「カズさん」に恋愛相談したりしてもなかなか何であるか理解出来なかった。この辺は私も主人公が全くなんで悩んでんのかさっぱりわかんなくて、カズさんが言ってくれる「何か引っかかるから~とかいっていちいち距離を置くのか」という台詞にめっちゃ頷いたりした。
一方で他の婚約者候補からの後押しもあって、もう一度主人公を好きになった理由を添えて告白することにした壱哉。他のルートでもそうだったけど、ホント仲いいな君たち。

ここまで、笑い転げ、笑顔が凍り、報われない思いに苦しんだ自分に待っていたのは最大の恐怖だった。

キスをブチかましてしまった例の場所で、それまでの上辺だけの言葉ではなく、拙くても素直で飾らない壱哉の本心の告白を聞いても、主人公の心にはまだ響かない。嬉しいと思えても受け入れることが出来ず、自分自身も何故なのかと困惑している中で、「どうしたら俺を愛してくれる」という壱哉の悲痛な叫びを聞いた時の主人公の台詞は背筋が凍った。

「……それ、私でないと駄目なの?」

私が壱哉だったらショックでチビってそのまま近くの海にダイヴしてる。
立て続けに言葉の機関銃を撃ち放たれる。

「もし他に、あなたの弱い姿を他の女性が肯定して認めていたら……
私よりも優しくしたら、愛したら――
……あなたはその人のことを、選んでしまうんじゃないの?
なら……。私じゃなくてもいいじゃない」

壱哉の息の根を止める気か。こんなライフ0になるどころかマイナスになるような台詞を、壱哉が心から人を愛して、心から愛されたいと願った人に繰り出されるなんて流石に不憫だ。可哀想だ。これまでも可哀想なのにまだまだ可哀想だ更に可哀想だ。この主人公の台詞は複数回もトドメを刺された壱哉を貫通してプレイヤーの私までもを刺した。どんな愛の囁きよりも、強烈に猛烈に痛烈に心に残った。

この台詞の良いところは、壱哉が双子なところにもかかっている。できる兄と比較され、愛されなかった過去を持っている壱哉に掛けられた言葉が、要するに『似た存在が居たらそっち行くんじゃないの』だったのは傷口グリグリやられた後に丹精込めて塩を塗り塗りされることに等しい。似た存在に苦しめられてきた壱哉が、『似た存在が居たら~』とか言われる苦しみ。
困ったことに、主人公がこう疑問に思うように伏線もちゃんと散らばっている。実際壱哉は愛欲しさに色んな人に歯の浮くような台詞を囁いてきた。それは相手のことを本心から好きになったから出る言葉ではなく、相手のことを想った言葉ではない。不特定多数の『誰か』に愛されたかった人間の台詞だ。それを序盤にカズが指摘している。伏線も巧く張られていて素晴らしい。

「そう、きっと彼は誰かに愛されないと生きられない。だから過剰なほどに愛そうとする。
愛したぶんだけ愛されると信じて、相手に一方的に愛を押し付ける……
ただ、厳しい言い方になるけど、それはいわゆる代償欲求、見返りを得ること前提の下心でしかないよ。
結局のところ……。一番大事なのは彼の本心だ。
彼は本当に、君のことが好きなのか。それとも同じ愛を返してくれる相手なら誰でもいいのか?」

そこまで察してるんだったらもうちょっと弟に優しくしてくんないかなあ……。カズさんのおかげもあって滅茶苦茶話が拗れてるんすけど……。

けれどこの主人公の疑問は、乙女ゲーに対してのアンチテーゼのように感じた。制作陣がどこまで考えてこれを作っているかはわからないけど、これはいろんな恋愛ゲーに通じるようにも思える。「その人だからこそ」と言えるとは一体何なのか。哲学か。
壱哉は主人公にしか救ってもらえていない。だから、その仮定自体が無意味である。現時点で存在することの無かった可能性を考えてしまえばいくらでもマイナスな事項は考えることができるので(もちろん逆も)、例え似た存在が居たと仮定してその人を選ぶかどうかを判別することは出来ない。
しかし、厳密に言えばそれは「何故ヒバリでないと駄目なのか」を証明する答えにはなっていないような気もする。この17歳のシンプルでマントル並みに深い質問を唐突に投げられて言葉に詰まった壱哉は到底責められない。つーかこれに即座に答えられる人間ってなんなんだ。存在するのか。
これを肯定する事もできないが、否定することもまた出来ない。壱哉が主人公じゃなきゃ駄目かどうかの問題は一旦置いておくが、逆に考えて、主人公には壱哉以外の男性のエンディングが用意されている。つまり、主人公にとっては壱哉は『壱哉じゃなきゃ駄目』ということにはならない。だから、この質問は恋愛ゲーが負う宿命であるマルチエンディングのアンチテーゼでもあるような気がした。主人公は、壱哉以外を選べてしまえるのである。それを主人公が「私でないと駄目なの?」と問うてくるもんだからもう困った。主人公がこのゲームを否定しているようなもんだ。そして主人公も逆に壱哉じゃなきゃ駄目な理由を問われて、答えを出せないのである。出せたらむしろびっくりである。

そんでもって壱哉の心にドでかい風穴を開けるほどの剛速球のこの問いに、主人公と結ばれる可能性があった攻略キャラたちが答えてくれるところがまた面白かった。

大我「真実の愛は世界に1つだけのはず。……ってか?
お嬢……。そりゃ恋愛映画や少女漫画の世界だけで成立する話だ」

攻略キャラから言われると胸にクるものがあるなあ……。肯定して欲しかったわけではないが、その少女漫画の雑念がない美しい世界が好きな人間としては、ちょっと主人公が唯一無二を求めた気持ちも理解できた気がする。

汐音「極論だけど……。どんなカップルにも【その2人じゃなきゃいけない理由】なんてないんだよ?
お互いを【運命の相手】だと思ってたって、この広い世界をくまなく探せば、同じような見た目と性格の人物は見つかる。
ただのそっくりさんよりも、出会い恋に落ちるのが早かった。……それだけの話」

ぐうの音も出ないし仰る通りなのだが…………なんか私にも刺さってきた!男性陣の正直な意見すげえ!威力が!
仮定の話だからやはり断言的に答えることは出来ないのだが、そのそっくりさんと恋に落ちるのも確定事項ではない。落ちるかも知れないし、落ちないかも知れない。つーかわからない。一方で、主人公にとっては唯一無二"ではなかった"可能性を覗くことが出来てしまった私は、彼らの発言を否定することも出来ない。……ちなみに那由太は上記で語った、壱哉じゃなきゃ駄目な理由を主人公に訊いていた。意外と鋭いところを突くんだな那由太。
ただこの男性陣の回答を聴いて、男女の違いが面白い、なんてことを自分は考えていた。男は最初の男になりたがり、女は最後の女になりたがるともいうが、ヒバリの思考はやはり「自分が最後であってほしい」という願望なようにも思うし、男性陣の思考は「可能性はたくさんある」ということの示唆なようにも思える。

結果、壱哉はすべてを捨てる覚悟でヒバリと対峙することに決めた。なりふり構わずヒバリを連れ去って、火サスばりの崖の上でいろんな人に追いかけ(追い詰め?)られていたのは、これぞ最終決戦という感じがして真剣な登場人物たちには悪いが楽しかった。もちろん、壱哉はヒバリの問に対しての答えも用意して……いたかどうかは難しいところですが、壱哉の回答もまた面白かった。

「考えたよ! 今日までの間、何度も何度も寝る時間さえも削ってその答えについて考えたさ!
でも、何もわからなかった!君じゃないと駄目な理由なんて、全然思い浮かばない!
ああそうとも! 浮かばないさ! ……だって仕方ないだろう?それが事実なんだから!」

正直でよろしい。
……それでも男性陣はみんな、はぐらかさずに真面目に考えて、傷つけるのだとわかっていても正直に答えてくれたところは良いなと思った。私が彼らの立場だったら「この世に似てる奴はいても同じ奴なんて二人もいないんだから安心しろ」とかいう考えることを放棄した回答をしている気がする。この台詞に至るまでの前座と、この後のトドメの一言も最高だった。壱哉のキレっぷりとなりふり構わずな感じと自分を取り繕うこともせずに、それが情けない姿であろうと全力で「君じゃなきゃ駄目」を表現していたのはときめいた。
壱哉が出した答えも結局言い方を変えれば、たらればの可能性を考えることは出来ない、ということのような気がする。似たような人は居ても同一の時間や環境、感情を背負ってきた人間は居ないのだし、会って会話して心を通わせあった時点できっと唯一無二なんだろう。
主人公への愛を身体を使って証明しようとする壱哉に対して、「唯一の人って言って欲しかった」と告白を受け入れる。君がいないと生きていけない、までの告白でときめいた人は見たことがある気がするが、君がいないと生きていけないから駄目だったら死んでやる、でときめいた主人公は正直笑った。貴女に愛されないなら死ぬ=自分の生命を賭けて貴女を愛します=貴女じゃなきゃだめ、という図式なんだろうけど……しかし凄い告白だな……いや、本人たちがいいならいいか。

その後の気持ちが通じ合った後の必死な壱哉の反応も楽しかったが、ちょっと情けなくても一途で愛されたがりな壱哉は可愛かった。両者愛されたがりな人間だから、相性は良いんじゃないでしょうか。
ちなみにBADEDよりAnotherEDで本編で壱哉が強く否定してた愛人展開になってしまいもの凄くショックだった……。千哉との結婚は避けられなくなってしまい、壱哉も『愛人』という形を受け入れるのだけど、世の倫理道徳的に正しくないことは、いずれ軋轢を生むと思うし、それに対してメンタルがお世辞にも強いとは言えなさそうなこの二人が耐えられるのかというとまた疑問だ。それだったら、しゃーないからやっぱ千哉の方にするわメンゴメンゴ!の方がまだHAPPYEDでした。私にとってこのEDはどんなBADより耐え難いEDだった。


……結局「私でないと駄目な理由」の明確な答えは出なかったけど、人によって答えが違うという曖昧な形で収まるような気がする。主人公と壱哉が二人で考えて出た結論はこの二人らしくてとてもしっくり来たし、それこそがこの作品らしいような気もして感動も出来た。それに、『主人公だけ』が求められる傾向にある乙女ゲーにおいて、この疑問を投下して、作品なりに答えを出してくれたことがなんというか、とても嬉しかった。それについて考えることも楽しかったし、制作側も答えをだすのが難しいような視点から作られたものを最後まできちんとまとめ上げて答えを示してくれたように感じた。
壱哉が主人公に、主人公が壱哉に惹かれる過程も理由もちらほら伏線を違和感なく散らばらせながらも、終盤綺麗に回収して行くところも良かった。突っ込めば粗はあるし、正直言えばもうちょっと惹かれる過程にボリュームが欲しかったけれど、逆に言えばそれほど長くない話を良く巧くまとめ上げたなあという感心する気持ちがとても強い。

壱哉は『見返りばかりを求めている』って悪いふうに言われがちだったけど、見返りを求めるのはそんなに悪いことではないと思う。そりゃ見返りの求めない無償の愛は美しいしなかなかできることではないと思うが、やはり自分が何かをしたら、返される何かがあったら嬉しさを覚えるものだろうし。例えば、見返りを求めずに相手のためを思ってしたことが、お礼なり行動なりで返って来たらやはり嬉しいもんじゃないかと。まあ千哉はその度合のことを言っていて、壱哉は見返りを求めすぎってことなんだろうが、壱哉の境遇を思うとやはりどこか同情してしまうんだよな……あとあの泣き顔スチルは本当に効いた……ヒバリと一緒に新しい扉開けるどころか扉を木っ端微塵にぶち壊しましたね。
壱哉が過去付き合った人たちは壱哉が心から好きになったとは言えなかったと思うし、相手のことを良く考えてした言動では無かったとは思うが、壱哉が彼女らに対して何もしなかったわけではないし、実際彼女らも壱哉の言動で喜んだ部分はあったと思うので。どっこいどっこいなんじゃないでしょうか。それでも、こんな顔良し家柄よし家庭的なスパダリさんを振る元カノ達は一体何者なんだ……。主体性や自分の意見が無いことに不満を感じることはあるとは思うし、これらも有村さんとの会話で「なんでも叶えてくれるなんてつまらない」なんて言われていたが、そんなつまらなささえ塵と化す程の素晴らしい輝かんばかりのスペックだと思うのだが。ただこのまま行くと一生本音を聞けなさそうな感じはするのでそこで足踏みするのはわからなくもない。

何度もいうが、壱哉の泣き顔は最高でした。このスチル演出は薄葉カゲロー氏の絵でなければ効果的に働かなかっただろうなあと思うほど彼はとても良い表情をしていた。新しい扉を開いたヒバリ嬢の気持ちに共感するほど、エロくて美しくて可愛いスチルだった。美しいイラストはたくさん見たことがあるけれども、このイラストレーターで無ければ描けない表情や表現を見れたような気がして、そういう意味でもとても興奮した。

あとキャスト変更についてはご病気なので仕方なかったとことだとは理解も納得もしているが、本音を言うと、やはり元のキャストで楽しみたかったという気持ちも拭えない。変更後のキャストの方が苦手とかではないし、私の中で壱哉はこの方の声しか考えられなくなってはいるのだけども……。
双子の兄である千哉のキャストとその方の声質を考えると、変更前のキャストの方に準じてキャスティングされたように感じられた。それは制作側が考えて決めた演出の一部であったようにも思える。それと、この壱哉のある意味強烈に個性的なキャラクターとシナリオを、どう演じられたのかなあというのも気になった。

最後に……。
ショタ壱哉最高だった!!!!あーなんで成長したんだ!!いや成長後も違った意味で最高だったけども……。あと攻略キャラ全員のショタ時代どれも最高級逸品でしたが中でも壱哉はダントツで可愛らしかったちょっと困ってる感じが素晴らしい。大人になってもこの名残があるとか素晴らしい逸材ですね。
この素晴らしいショタ時代に出会うことが出来ないなんてとても悔しいので……この素晴らしい瞬間を写真という名の永遠の空間に閉じ込めて欲しい……おいルクレール聞いてるか出番だぞ。
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